全文無料で読めます。
Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第30節
川崎フロンターレ(6位/勝ち点48/12勝12分5敗/得点48 失点28)
×
サンフレッチェ広島(4位/勝ち点51/14勝9分7敗/得点43 失点26)
@等々力陸上競技場
戦績
近年の対戦成績
直近5年間の11回の対戦で川崎が5勝、広島が5勝、引き分けが1つ
川崎ホームでの戦績
直近10試合の対戦で川崎が6勝、広島が3勝、引きわけが1つ。
Head-to-Head
Head-to-Head①
【公式戦での対戦成績】
・公式戦における両チームの対戦は過去43戦で川崎が19勝、広島が15勝、ドローが9つ。
・引き分けに終わったのは14年の等々力での試合が最後。以降の9戦はどちらかが勝利している。
わずかに川崎が優勢というデータが示すように、このカードの成績は比較的互角。一時は3-0にされた今年の対戦が悔しい川崎サポもいれば、昨年エディオンスタジアムで完敗を喫したことを忘れていない広島サポもいるだろう。両チームの対戦は勝ったり負けたりを繰り返している印象だ。ただし、引き分けは極端に少ない。直近9試合はいずれも勝敗の決着がついた試合になっている。
Head-to-Head②
【強気のデータ集めようぜ】
・過去の11月の対戦は計4回。川崎が3勝1分。
・直近3回のこのカードの対戦は対戦時の順位が低いチームが勝利を挙げている。
「前半戦で負けたチームに対しては、川崎に有利なデータばっかり集めていい」というマイルールがあるので、当然採用します。11月のリーグでの対戦は過去4回で川崎の負けなし。直近の3回の対戦では順位低い方が勝っているから、この試合も川崎が勝ちたいです。よろしくお願いします。
Head-to-Head③
【3年おきのジンクス?】
・川崎ホームにおける対戦成績は過去20回の対戦で川崎の11勝、広島の6勝、ドローが3つ。
・広島が等々力で勝利した翌年の等々力での対戦は直近2回とも川崎が2-0で勝利している。
川崎ホームでは川崎がやや優勢。スポットで負けることはあるものの、ここはホームチームが有利という過去の成績である。直近で広島が勝った試合を見ると2018年,2015年,2012年。3年周期である。そして広島が勝った翌年に当たる2016年、2013年の対戦では川崎が勝利。しかもどちらも2-0。2019年も3年おきの2-0のジンクスの再現はなるだろうか。
Head-to-Head④
【先制点は死あるのみ】
・等々力での対戦において失点したチームが勝利したのは2012年までさかのぼる
・過去20回での対戦において、先制したチームが勝ち点を取れなかったことはない。
等々力での広島戦はジリジリした堅い試合になることが多い印象。それもそのはずで、過去20回の等々力での対戦で先制したチームが逆転負けを喫したことは一度もない。直近6試合のうち5試合において、勝利チームがクリーンシートで相手をやりこめてしまっている。勝利チームが手堅くポイントをかすめ取る展開はこの試合でも見られるか。
【川崎フロンターレ】
選手情報
・車屋紳太郎、家長昭博は累積警告による出場停止。
・谷口彰悟はルヴァンカップの退場による出場停止。
・守田英正は左ヒラメ筋肉離れで3~5週間の離脱。馬渡和彰は今季絶望。
・奈良竜樹にスタメン復帰の可能性。
Match Facts
川崎のMatch Facts①
【クローズに難がある】
・公式戦3試合連続ドローゲーム
・直近4試合のドローのうち、3試合は追いつかれたもの.
ルヴァンカップは確かに制したが、スコアを見れば90分でも120分でもドロー。後半終了間際での同点を食らったときは息が止まるかと思ったぜ。直近4試合のドローのうち3試合は追いつかれたものなのは気になる。ちなみに残り1つはスコアレスドロー。追いつかれても勝ち抜けられたルヴァンカップの名古屋戦はいいとしても追いつかれる展開は目につく。前半戦では横浜FMと浦和に終了間際に同点弾を決められたことも記憶に新しいところ。難があるクローズを克服したいところである。
川崎のMatch Facts②
【気のゆるみは命取り】
・国内カップ戦の直後の試合は今季6試合で1勝だけ。
・クロスからの得点(13)がリーグ最多。
国内カップ戦直後のリーグ戦の成績は不安定。6戦でわずか1勝、ドローが4つである。ちなみにACL直後のリーグ戦は今季6戦で4勝。なんとなく「川崎はACLをまじめにやってない!」とやたら言われる理由が見えた気はするけど、まじめにやって勝ててないのだから仕方ない。まぁそれはひとまず置いておこう。
ドローはどちらにもおいしくない試合である。シーズン後半の一発逆転を見据えて少しでも上に行きたいのが両チームの本音だ。終盤になると川崎の攻撃にはクロスが増えてくるはず。13点と川崎がクロスからの得点を多く挙げているのは確かだが、要注意なのは広島がクロスからの失点が少ないこと。わずか4失点とリーグではC大阪に次いで少ない数字。得意なクロスからのパターンにこだわりすぎるのは危険かもしれない。
川崎のMatch Facts③
【結局は先制点】
・今季リーグでの逆転負けがない3つのチームのうちの1つ。
・今季リーグでの逆転勝ちがない4つのチームのうちの1つ。
ギャグみたいな項になってしまったが、これが真実である。リーグにおいて逆転勝ちも逆転負けも経験していない唯一のチーム。Head-to-Headの傾向を見ても、先制点を取られることは致死性が高い。
川崎のMatch Facts④
【いない人と帰ってきそうな人】
・今季、谷口彰悟が欠場したリーグ戦は3試合。阿部浩之と知念慶はうち2試合で得点を挙げている。
・奈良竜樹が出場したリーグ戦8試合でクリーンシートは4つ。負傷以降の21試合でのクリーンシートは6つ。
イエローカードをシーズン通して1枚ももらったことのない谷口がまさかの今季2度目の退場での出場停止。OFRまでもつれたルヴァンカップの退場劇は、谷口の端正な顔立ちがやたら長時間アップになること以外は一つもいいことがなかったが、意外と今季の谷口不在時の成績は悪くない。3戦2勝1分と致命傷にはなっていない印象。谷口不在時に結果を出しているのが阿部と知念。後半戦調子を上げている阿部はもちろん、家長の出場停止で攻撃的なオプションのベンチ入りが見込めそうな知念にチャンスが回ってくるかも気になるところだ。
出場停止で出てこれない選手もいれば、帰ってくる選手もいそうだ。奈良竜樹が出場すれば実に第8節以来。出場時は50%だったクリーンシート率は不在時にはおよそ29%まで低下。もちろん奈良1人の影響ではないだろうが、頼れるDFがこのタイミングでピッチに戻ってくればチームの士気は大きく上がるはずだ。
【サンフレッチェ広島】
選手情報
・ハイネルは累積警告で出場停止。
Match Facts
広島のMatch Facts①
【追い上げムードはどうなるか】
・直近16試合のリーグ戦で1敗のみ(W8D7)
・しかし、直近3試合の公式戦のアウェイゲームでは2敗。
16戦でわずか1敗と後半戦で追い上げを見せた広島。浦和戦の引き分けで逆転優勝はかなり厳しくなってしまったが、鹿島やFC東京、横浜FMなどの上位勢が取りこぼす中で後半戦は特筆すべき安定感を誇ったチームである。
気になるのはアウェイゲームの成績。直近の公式戦では2敗とやや元気がない。等々力で2年連続の勝利を挙げることができるだろうか。
広島のMatch Facts②
【食い止めたい連続失点】
・公式戦直近8試合連続失点中。
・勝てば2015年以来の川崎戦シーズンダブル。
失点の多さも気になるところ。得点も8試合中7試合決めているので全くダメってことはないんだけどね。ただ撃ち合いにならない傾向のこのカードで先に失点が命取りになるのは広島も同じ。勝てば川崎相手に4年ぶりのシーズンダブル達成となる。
広島のMatch Facts③
【4バックが苦手?】
・(29節終了時の)トップハーフとのアウェイゲームは今季3勝。いずれも1-0での勝利。
・今季のリーグ戦7敗中、6敗は4バックのチーム相手
今季14勝中10勝がクリーンシート。無失点での勝利が目立つ。アウェイでのトップハーフに対する勝利はすべて1-0で勝利とゲーム運びのうまさを見せている。ホームでの勝利を含めても6戦中5戦が1-0での勝利になる。唯一の例外が3-2での勝利となったエディオンスタジアムでの川崎戦だ。
そんな広島だが、4バックとの戦績はイマイチ。今季ここまで3バック相手が12試合、4バック相手が17試合だが、この5試合分がまんま負け分に乗っているイメージ。勝ち数も引き分け数もぴったり一緒である。あくまで数字の上での話なので、気にしすぎもよくないだろうが、噛み合わないフォーメーションが苦手なのだろうか。
広島のMatch Facts④
【MFが攻守にカギを握る】
・青山敏弘がスタメンに復帰した直近のリーグ戦5試合での失点は8。それ以前の5試合での失点は1。
・MF登録選手の得点数がリーグ最多
直近の試合では撃ち合いが多いと紹介した広島だが、このタイミングでスタメンに復帰しているのがキャプテンの青山。これも偶然なのかはわからないが、復帰後の直近5試合で8失点はやや気になる数字ではある。
数字でいえば得点数も特徴的だ。全般的にMFの得点が多い。最多得点者はWBの柏。彼のカットインをどう止めるかの対策を注目したい。稲垣や森島、川辺などオフザボールの動きが上達している中盤の選手たちには要注意。
予想スタメン
あとがき
■不確定要素がなくても不安?
チーム史上初のカップ戦タイトル獲得の喜びが冷めやらぬサポーターも多いはず。しかし、個人的には来季のACL出場権がめっちゃほしいので、まだまだ油断ならぬ戦いは続く。そして今節の相手はACL出場権を直接争う相手である広島だ。
この試合を語る上で無視できないのは出場停止の選手の存在。特に影響が大きいのは川崎。3人の出場停止でメンバーを大幅に入れ替えることは確実。特に守田英正、馬渡和彰の負傷離脱も相まって未知数なのは最終ライン。まだトップチームでの実戦復帰していない奈良やジェジエウを含めても起用できるのは登里、マギーニョ、山村の5人だけ。ぶっつけ本番の組み合わせになることは確実で、セットプレー強度やブロック守備の精度は未知数。非常に不確定要素が大きいといわざるを得ない。
広島のボール保持は3バックをフラットに保ったまま、WBに安全にボールを渡すこと。特に最多得点がWBの柏ということで、彼のカットインからの展開は非常に多い。川崎としてはあえてそこを狙うのもあり。ドリブルから得点につなげるにはカットインが必要なわけで、インサイドでCHが食い止めることができればカウンターが発動できる。
もっとも出場停止による影響があるのは川崎だけではない。広島は逆のWBのハイネルが出場停止。広島の攻撃はWBの自由なドリブルによる部分が大きい。最終ラインの不確定さが不安要素の川崎とは逆に、ハイネルという不確定要素を失うことで、むしろ攻撃が単調な方向に進んでしまう可能性もある。
前回対戦において広島の脅威が増したと感じる部分は、中央の攻撃である。ドウグラス・ヴィエイラのポストを軸とした連携は徐々に練度が上がっており、即席DFラインの川崎が恐れるのはWBの突撃よりもむしろこちらかもしれない。ポストプレーに対する稲垣、川辺、森島のオフザボールの動きは向上しており、空いたスペースに飛び込める選手が複数いる状況は非常に厄介。ドウグラス・ヴィエイラも中央に鎮座しているタイプではなく、左右に流れても起点を作れる存在なので、どこを閉じることを優先するかの共有が甘ければ、神戸のように蹂躙される可能性もある。不確定要素を失う外に対して、川崎の不確定要素を利用してくるであろう広島の中央攻撃は注意が必要だ。
■選手を入れ替えてクロスを生かすのもあり
非保持は札幌と似た5-4-1。彼らよりもシャドーの重心は低めで、SHのような振舞いを見せる。特徴的なのは最終ラインからの迎撃。その役割を担うことが多いのは中央の荒木。彼が前に出てきてアンカーのような立ち位置で相手を潰すことが多い。おそらくダミアンの降りるポストには彼が対応するのだろう。
川崎としては最終ラインが動いた瞬間が狙い目。ダイレクトに荒木が空けたスペースを狙ってもいいし、裏を突いて駆け引き勝負に挑んでもいい。対人に強い広島の最終ラインだが、ラインコントロールにはやや怪しさがある。行動範囲が広い稲垣を最終ラインから遠ざけてから一気に攻略できればなお良しである。
もう1つの狙い目はWB。この試合ではハイネルの不在。代わりに入る選手の守備力は未知数だが、川崎のSHが広島のWBを引き付けて剥がすことができれば、最終ラインをごっそり横に引き付けることができる。札幌戦と同じように大外に引き付けた上で逆サイドのWBにクロスを競らせる作戦も面白い。その場合はSHにクロスのターゲットになる小林を起用したり、もう片方のSHに幅の取れる長谷川の起用もアリ。裏をめぐる駆け引きのできる小林の起用はこれ以外の局面でも、広島の最終ラインを悩ませることができそうだ。
不確定要素が大きい川崎と、攻撃における不確定要素を失う広島。勝利必須の一戦は総力戦の様相を呈することは間違いない。
参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)