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「右サイド設計の真骨頂」~2025.1.18 プレミアリーグ 第22節 アーセナル×アストンビラ プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第22節
2025.1.18
アーセナル(2位/12勝7分2敗/勝ち点43/得点41 失点19)
×
アストンビラ(7位/10勝5分6敗/勝ち点35/得点31 失点32)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去10回の対戦でアーセナルの5勝、アストンビラの5勝。

アーセナルホームでの戦績

 過去10回の対戦でアーセナルの7勝、アストンビラの3勝。

Head-to-head from BBC sport

Head-to-head
  • 昨季のこのカードはアストンビラが2-0で勝利し、1993年以来の同一カード連勝を飾った。
  • アーセナルは直近10試合のアストンビラ戦で5敗を喫しており、それ以前の46試合での敗戦数と同じ。
  • 直近18試合の対戦でドローがないカード。

スカッド情報

Arsenal
  • 直近2試合を欠場したリカルド・カラフィオーリは起用可能かの判断を今後行う。
  • 長期離脱者のうちの数人は復帰が近づいている。
Aston Villa
  • ドニー・マレンにはスカッド入りの可能性。
  • ジエゴ・カルロスは依然として不在。ジョン・マッギン、ロス・バークリー、パウ・トーレスは欠場が続く。

Match facts from BBC sport

Arsenal
  • 昨季の4月のビラ戦の2-0でのは敗戦以降、直近13試合のプレミアのホームゲームで無敗(W10,D3)。エメリ時代の2018-19の16試合以来の長い無敗のラン。
  • 得点を決めた公式戦は2-1で敗れた2023年12月のフラム戦以降44試合無敗(W36,D8)。
  • 昨季の開幕以降、26ゴールがCKから決まっておりリーグ最多。
  • 今季の公式戦31試合のうち、26試合で相手のxGを上回っている。直近20試合においては19試合でゴール期待値で上回る。
  • マーティン・ウーデゴールは11月の復帰以降、公式戦で42のチャンスクリエイトで他のどの選手よりもほぼ2倍以上。直近2試合では14を記録している。
Aston Villa
  • 2009年以来初めてのその年初めての2試合のリーグ戦で勝利。その年は3連勝を記録している。
  • アウェイでの5連敗は水曜のエバートン戦でストップ。4月のアーセナル戦以降、12試合で初めてのクリーンシート。
  • 初めて受けた枠内シュートで11失点しており、どのチームよりも多い。
  • 75分以降で11失点を喫しており、これより多いのはサウサンプトン(12)だけ。
  • ウナイ・エメリは113試合で60勝に到達でアストンビラの監督として最速。
  • 今季、オリー・ワトキンスは27のビッグチャンスのうち、19をミスしておりリーグワースト。

予習

第19節 ブライトン戦

第20節 レスター戦

第21節 エバートン戦

今季ここまでの道のり

予想スタメン

展望

前段の「引きつけ」が成立するか?

 1月になり、FAカップを終えたらスケジュールが緩くなるのが例年のプレミアのスケジュール。しかし、FAカップを全て週末にスライドさせ、欧州カップが1月に食い込んでくる今年のスケジュールに昨年までの当たり前は通用しない。今年はFAカップが終えてもなおスケジュールは過密。アーセナル、アストンビラは共に中2日でのリーグ戦連戦に挑むことになる。ちなみに両チームはこのあとにCLを控えており、過密はまだまだ続くこととなる。

 アストンビラのフォーメーションはこれまで通りの4-2-3-1がベース。ボール保持を主体とする3バックへの変形を軸としたショートパス中心のスタイルである。

 ポゼッション志向が強いビラだが特徴として押さえておきたいのは特に押し込んでからの攻撃がうまいわけではないということ。彼らが得意なのはミドルゾーンからの加速。相手のプレスを引き付けてスペースを作り出し、プレス隊の背後を狙うところから一気に加速し、攻撃を仕上げるといういわば疑似カウンター的なポゼッションを得意とするチームである。ライン間にボールを入れて、時にはサイドも経由し、相手のバックラインを背走させた状態で一気に攻略を図る。

 そのために押さえておきたいのは前半戦からのキャスト変更だ。トップ下に入るのはティーレマンス。相手を背負う役割を担わせるにはフィジカルが頼りないが、前を向くことさえできればここからのラストパスの精度は一級品だ。

 もちろん、ロジャーズも健在。前半戦にビラ・パークでアーセナル相手に猛威を振るった新進気鋭のアタッカーは好調を維持。中盤にスペースを簡単に与えてくれる相手であれば、あっという間に反転からの前進でゴールまで向かうことが出来る。

 ここにラムジー、ブエンディアなど中央のカラーが強めの選手が加わる2列目は強力。さらには新加入のマレンもこの試合がデビュー戦になる可能性がある。

 トップのワトキンスは前半戦で当たった時よりはコンディションが良好。出場停止が明けのデュランとの使いわけをすることで90分間前線から脅威を与え続けることが出来る。

 ただ、懸念はバックラインだろう。パウ・トーレスの不在はビラの疑似カウンターの前提である「引き付ける」という工程で怪しさが残る。フリーでフィードを飛ばすことは得意なミングスも、プレッシャーがかかっている状態でわずかなスペースを通すようなプレーは得意としていない。エバートン戦でもこの点での苦労は明白で、相手の1列目を越えることには苦戦。もしかすると保持時は3バックの中央に入るGKのマルティネスが縦パス供給の主役になっていくのかもしれない。

 枚数調整が非常にうまいカマラが中盤に帰ってきていることは組み立てと最終局面、さらには非保持での対応まで含めてアストンビラにとって朗報なのは間違いない。しかしながら、多様な2列目を生かすためにも後方でプレスを引き付けることは必須事項。攻撃を加速させる下ごしらえをできるかどうかがビラにとっての重要な分水嶺となる。

プレスの押し引きの判断が重要に

 ということで保持志向の強いアストンビラ相手でもプレスをかける価値は十分にあるアーセナル。パウ・トーレスがいる時と比べればより大きなリターンを期待することが出来るのは間違いないだろう。

 しかしながら、先に述べたように日程は過密。特に前線のやり繰りがシビアになっているアーセナルにとって、前からプレスに行くことは容易ではない。できれば、早めにリードを奪うための先制点は欲しいところ。

中盤を開けてしまう形で背中を通されると一撃で仕留める精度を持っているチームなので、プレスにどこまで行けるかの肌感覚を序盤でつかむことは重要になる。プレスを90分続けることができない前提に立つのであれば、プレスのやめどきの見極めも大事になってくるだろう。ショートカウンターで早い時間から先制点を奪うことが出来ることが最高、その背後を取られてファストブレイクを決められて、追いかける展開になるのが最悪だ。

 保持においては押しこんだ後でも十分にチャンスはあると考える。特にカマラがいないアーセナルから見た右サイド側は狙い目。オナナは1つのプレーをやり切るという点では身体能力を生かした素晴らしいプレーを見せることがある反面、あらゆる選択肢を相手が作っている状態では明らかにフリーズする場面もあり、逆サイドのカマラと比較すると危機察知能力が圧倒的に足りない。

 前節のプレビューでも述べたが、サカ不在の右サイドの生命線は抜け出しもしくはスターリングのドリブルから奥を取る(最近は縦が相手に読まれてきたが)ことと、DFラインの手前でウーデゴールがファーのクロスを狙う形を両立すること。この2つを両睨みすることが出来ればおのずとチャンスは見えてくるはず。ある意味右サイド設計の真骨頂が問われる展開になるだろう。

 逆にその点をサボると、ミングスに簡単に跳ね返されたところからカウンターのピンチを迎えるケースも想定できる。前節はトランジッション色が強まった終盤に明らかに疲労が見られたアーセナル。負傷者だらけのトッテナムならば渡り合えるだろうが、前線にアタッカーの代えが多いアストンビラ相手に同じようにオープン合戦を許容するのは明らかに危険に思える。

 先制点をもぎ取った後は相手にチャンスを一つも与えないくらいボールの捨て方には警戒したいところ。ダービーでの勝利で生み出した勢いを本物にするためにも、ホームでの連勝をなんとしてでも成し遂げたい。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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