Fixture
プレミアリーグ 第21節
2025.1.15
アーセナル(2位/11勝7分2敗/勝ち点40/得点39 失点18)
×
トッテナム(12位/7勝3分10敗/勝ち点24/得点42 失点30)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
直近10回の対戦でアーセナルの6勝、トッテナムの3勝、引き分けが1つ。
アーセナルホームでの戦績
直近10回の対戦でアーセナルの5勝、トッテナムの1勝、引き分けが4つ。
Head-to-head from BBC sport
- 直近8試合のリーグにおけるNLDでアーセナルは6勝(D1,L1)。
- アーセナルが勝てば1989年以来のNLDで3連勝となる。
- トッテナムはアーセナルホームでのプレミア32試合で2勝のみ(D12,L18)。2010年の3-2以降、直近13回で勝利がない。
- アーセナルは勝てばプレミア5回目のトッテナム戦ダブル。
- トッテナムは1998年11月の0-0以降、25試合のアウェイでのリーグのアーセナル戦でクリーンシートがない。
スカッド情報
- ガブリエル・ジェズスは膝の手術を行い長期離脱。
- リカルド・カラフィオーリは筋肉系の負傷でこの試合にフィットするかは微妙。ベン・ホワイト、冨安健洋、ブカヨ・サカ、イーサン・ヌワネリは離脱中。
- ハムストリングを負傷したティモ・ヴェルナーは欠場予定。
- フレイザー・フォスターは病気から復帰見込みだが、デビューから2試合連続でクリーンシートを達成したアントニン・キンスキーが引き続きゴールマウスを守る可能性。
Match facts from BBC sport
- エミレーツでのリーグ戦は12試合負けなし(W9,D3)でホームで敗北を喫していないリーグ唯一のチーム。
- 2014年2月以来のリーグ戦ホーム5試合連続のクリーンシートを狙う。
- 開始15分における失点の割合は28%(5/18)でリーグハイ。トッテナムはこの時間帯に11得点を決めており、リーグで最も多くの得点を決めているチーム。
- 今季の公式戦30試合のうち、25試合で相手のxGを上回っている。直近19試合においては18試合でゴール期待値で上回る。
- マーティン・ウーデゴールはユナイテッドとのFA杯で10回のチャンスクリエイト。プレミアの選手が今季公式戦1試合で記録した最も多くのチャンス構築回数。
- 直近8試合のリーグ戦で1勝(D2,L5)で唯一の勝利は最下位のサウサンプトン戦。
- 今季2回目の公式戦2試合連続のクリーンシートを達成している。
- 同じ得点数、1つだけ多くの失点数にも関わらず、昨季の同時期よりも勝ち点は15少ない。
- 101試合連続でリーグ戦のスコアレスドローがなく、1999-2002に記録したマンチェスター・ユナイテッドの114に続き、プレミア歴代2位の長さ。
- 昨季の開幕以降、ドミニク・ソランケはリーグにおいて11試合で先制点を記録しており、これより多いのはエーリング・ハーランド(14)のみ。
- デヤン・クルゼフスキは公式戦で8得点を記録しており、すでに昨季に並んでいる。
予習
第18節 ノッティンガム・フォレスト戦
第19節 ウォルバーハンプトン戦
第20節 ニューカッスル戦
カラバオカップ SF 1st leg リバプール戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
手元のメンバーでの再構築が進行中
アーセナルは120分戦ったFA杯で敗北を喫し、カラバオカップの準決勝も初戦を落として敗退の危機に追い込まれている。一方のトッテナムは5部相手に苦しみながらもFA杯は勝ち上がり、カラバオカップではリバプール相手に勝利を果たした。FA杯のメンバーはアーセナルよりも落としているし、120分戦ったとはいえプレミア勢対決よりは強度も低い。アーセナルよりもいい流れでこの試合を迎えることができるかもしれない。
しかしながら、国内リーグ戦に限ればより苦しんでいるのはトッテナムの方だ。リーグ戦は4試合勝ちなし。ボトムハーフのウルブスにも勝てず、それ以外の3試合では敗戦を喫している。20試合での勝ち点は24となっており、昨季の4位の勝ち点68に到達するには残り18試合で44ポイントを確保する必要がある。残り試合で14勝が求められるハードな条件だ。
アーセナルと同じく負傷者事情も苦しい。『Premier League Injuries』によると負傷者はアーセナルを上回る10人。このうち、ミッドウィークまでの復帰はフォスターとリシャルリソンのみ。それ以外の8人にとって今週の日程はややショートと見られる。8人の負傷者のうち、ティンバーとカラフィオーリ、ジョルジーニョに復帰の可能性があるアーセナルの方が数字的にはまだダメージは少ない。
ただ、近頃のトッテナムは負傷者が続出しているという状態に少しずつ対処してきている感がある。変な話ではあるがロメロとファン・デ・フェンがいないCBに慣れてきつつあるというか、今のスカッドで強度の高いトッテナムらしい展開を持ってくることに関して上手いところ落とし所を見つけた感じがする。
トッテナムの大枠の戦い方は変わっていない。CBになかなか本職を揃える状況が作れず、ドラグシンと相棒を組むのはSBが主戦場と考えられていたグレイである。そんなリスキーな陣容でも前からの守備を怠らないのは仮にブロックを組んだとしてもそこまで強度を出すことができないからだろう。どうせ守りきれないのならば、前から相手を捕まえにいく意識を芽生えさせた方がいいというのはいかにもポステコグルーっぽい。
ビルドアップで繋ぐ意識はあるが、SBの関与は限定的。左右のSBはそれぞれ異なる理由でビルドアップへの関与が減っている。左のスペンスは低い位置でボールを受けてしまうとプレス耐性の低さからか保持はなかなか安定しない。利き足の問題もあるだろうが、本来はもう少し高い位置を自由に駆け上がってなんぼの選手なのだろうなと思う。
左サイドは縦への抜け出すルートを作るところから。手前でボールを受けるソランケと裏をとるソンの2つの選択肢から前進のルートを模索する格好だ。なので左サイドはフィードさえ出せればいい。GKとして先発が予想されるキンスキーも同様に安定したフィードの使い手だ。ファストブレイクはまずはこの2人に任せておけばいい。ソランケは背後を狙うアクションも徐々に増えており、活躍の幅を少しずつ広げている。
右サイドは人数をかけた攻撃が少しずつ機能。タメを作るクルゼフスキを軸にジョンソンやポロといった抜け出すアクションを見せる選手との組み合わせから、従来は苦戦していた押し込んでからのサイドの崩しの可能性を作り出していく。ポロのビルドアップ関与が減っているのはサイドの高い位置での崩しに関与が増えているからかなと考える。
その分、ビルドアップは中盤の負荷が増加。ベンタンクールはウルブス戦で動きながらフリーで受けてボールを前に進める形で前進に大きく寄与。カラバオカップで倒れてしまった時は肝を冷やしたが、経過は良好で早期復帰が見込まれているのは不幸中の幸いである。
中盤ではベリヴァルの存在感アップも目立つ。アンカー的にゲームメイクをする場面もあれば、前プレ参加で圧力を上げる部分にも寄与できる。序盤戦では怠慢なプレーでヴィカーリオに怒鳴られていたが、ここにきてレギュラー格にまで序列を上げている。
秋までが負傷者に苦しむフェーズだとしたら、今は再構築のフェーズ。手元にいるメンバーで少しずつできることを見定めて整備し、目の前の相手と組み合いながらもがくことができている時期だ。
勤続疲労の負荷とのにらめっこ
2つのカップ戦で苦い結果を手にすることになったアーセナル。ジェズスの長期離脱に代表されるようにスカッドのやりくりはさらに苦しいものとなっている。
もっとも、結果ほど内容は悪くないと思っている。押し込むフェーズを作り、そこからチャンスもきっちりと作り出している。FA杯の後半でいいところを探すとすれば、右サイドの定点攻撃に解決策を見出しつつあるところだろう。ジョルジーニョを生かした背後へのアクションと、DFライン手前に立つウーデゴールを使ったファーへのクロスの二刀流はサカ不在の右サイドにおいては悪くない解決策だ。
カラバオカップでのリバプール戦では健闘したものの、トッテナムは押し込まれるフェーズの繰り返しはそこまで得意ではない。アーセナルは勝てなかった試合でも少なくともセットプレーを含めてシュートチャンスを作ることはできている。そういう観点で言えば、この試合も同じようにチャンスを作る期待はできる。
気になるのは勤続疲労要因での継続性。特に前線はほぼメンバー選考に選択の余地がなくなっており、トロサール、スターリング、ハヴァーツ、マルティネッリのうち3人を選ぶよりも広い幅をもたらすことができない。直近の試合と同じクオリティを提示できなければ、当然同じようにチャンスを作ることはできない。
特にサイド攻撃では従来以上にオフザボールの動き出しが重要になっており、過密が続く日程においては大きな足枷になる。120分を戦ったあとの中2日で同様のパフォーマンスを担保できるかがまずはポイントになるだろう。
守備においても同様の懸念はある。上で述べたとおり、トッテナムは左サイドのビルドアップに不安定があり、こちらのサイドに追い込めば高い位置からボールを奪ってチャンスを作ることができる。その一方でハイプレスは過密日程との相性が悪い。その上、右サイドで強度の高い守備ができるサカとジェズスはおらず、スターリングやトロサールに同様の負荷を求めることも難しい。
左サイドにおいてはむしろ後方の守備が懸念。ルイス=スケリー、ガブリエウ、メリーノの左ユニットはハーフスペースへの抜け出しに後手に回ることが多い。クルゼフスキやポロにライン間のスペースを使われてしまうと、ジョンソンからの押し下げからサイドを突破されるシーンが出てくる可能性がある。
ティンバー、カラフィオーリがともにこの試合にフィットしなければこの左サイドのユニットの先発の再現は濃厚。ユナイテッド戦でも失点やピンチの要因となっていたこのサイドの守備の修正は行っておきたい。
悪いムードが流れている中で早々にノース・ロンドン・ダービーを迎えるということは個人的には前向きに捉えている。勝てないことによって生まれた雑音を吹き飛ばすこの上ないチャンスだ。
なんと言われようと今の段階ではこのチームの「悪いなりにまとめる能力」を自分は信頼している。力不足を感じる時はあるが、このチームが弱いと思うことはないし、残念な内容な時でも毎回勝利を信じながら試合を見ている。もちろん、「つまらなくなった」という考えの人の意見は尊重するが、質問箱でつまらないことに同意を求められるならば、そんなものはすぐにゴミ箱に捨てるだけだ。
だから胸を張ってほしい。このチームはできる。もう一度前を向いてタイトルに向かってスタートを切ることができる。そう信じる気持ちが正しかったと思わせるような90分になることを心から願っている。