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「超えるべき2つの課題、試される2人のCH」~2019.7.14 J1 第19節 FC東京×川崎フロンターレ プレビュー

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目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第19節
FC東京(1位/勝ち点39/12勝3分3敗/得点28 失点13)
×
川崎フロンターレ(3位/勝ち点32/8勝8分1敗/得点25 失点11)
@味の素スタジアム

戦績

近年の対戦

直近5年間の14戦で川崎Fの8勝、FC東京の3勝、引き分けが3回。

味の素スタジアムでの直近10試合の対戦成績

直近10試合の対戦でFC東京の3勝、川崎Fの7勝。

Head-to-Head

Head-to-Head①
【公式戦の対戦成績】
・公式戦における両チームの対戦は過去37戦でFC東京が11勝、川崎が17勝、ドローは9つ。
・直近11試合の対戦でFC東京は川崎相手に2勝のみ。

 ついにやってきた多摩川クラシコ。久保ロスと悪夢の神戸戦からひと山超えた感のあるFC東京と、負けてはいないが閉塞感がどことなくある川崎という対照的とは言わないまでも、チームの雰囲気に差がある2チームの対決。過去の戦績はそんな雰囲気とは逆。近年の成績は川崎が優位だ。俺が見に行った試合では全然勝ってないイメージ(去年の等々力とか)なんだが、どうやら割と勝っている。FC東京ファンの皆さんに朗報なのですが、僕は日曜日、スタジアム観戦予定です。

Head-to-Head②
【FC東京ホームでの戦績】
・FC東京ホームでの対戦成績はFC東京の7勝、川崎の10勝、引き分けが2つ。
・このカードにおける川崎の1試合平均勝ち点はアウェイ(1.68)の方がホーム(1.55)より多い。

 通算成績で劣っていても、そこは今季要塞と化している味スタやねん!とおっしゃるFC東京サポもいるでしょう。しかし、川崎はむしろ等々力より味スタのクラシコの方が得意。直近10試合で7勝と好調。首位相手なので、今回は惜しげもなく川崎寄りの情報を発信していく所存だぜ!

Head-to-Head③
【多摩川クラシコの傾向】
・FC東京ホームでの引き分けは2005年が最後。以降の15試合はいずれかのチームが勝利を挙げている。
・阿部浩之は多摩川クラシコで唯一の日本人ハットトリック経験者。

 直近の等々力での対戦は引き分けに終わったものの、味スタのクラシコは非常に引き分けが少ない。当時はまだJ1での対戦の歴史が浅かった2005年以降はいずれもどちらかが勝者となっている試合ばかりだ。
 2つ目の特徴は、このクラシコは外国人選手の得点が非常に多いこと。ジュニーニョやエウシーニョが多くの得点を挙げているし、チョン・テセやアマラオはハットトリックを記録している。
そんな中でこのクラシコでゴールを決めている日本人が2人。1人は阿部浩之。日本人唯一のハットトリック達成者である。今季はまだ1ゴールとやや得点は湿りがちだが、相性のいいFC東京相手に上昇気流に乗るゴールを挙げられるだろうか。
もう1人はこのカードの最多得点者、大久保嘉人。ちなみに味スタのクラシコにおけるFC東京の直近2ゴールは大久保嘉人によるもの。今回の対戦でこの記録は塗り替えられるだろうか。

Head-to-Head④
【天王山】
・片方のチームがJ1首位で迎える多摩川クラシコは過去に2回。いずれも川崎が味の素スタジアムで勝利を挙げた試合。

 ふっふっふ。だから勝つのは川崎だ!と言いたいところなのだが、この2回はいずれも川崎が首位にいた時のゲーム。FC東京がJ1首位で迎える多摩川クラシコは初めてなのだ。

Head-to-Head⑤
【日曜開催】
・J1で味の素スタジアムでのクラシコが日曜日に開催されるのは過去3回。いずれも川崎が勝利を挙げている。

 こちらは正真正銘川崎側に有利なデータ。公式戦すべてに範囲を広げても日曜の味スタのクラシコは川崎の7戦6勝1分。FC東京サポには苦い思い出になっているであろうあの「7-0」も日曜日の味スタだったのだ。

Head-to-Head⑥
【観客動員数】
・4万人越えの多摩川クラシコは過去2回。いずれもFC東京が勝利している。

 過去の統計でみれば川崎優位!という日曜の味スタの空気をぶっ壊せるのは、ベタだが味スタの観客の後押しである。観客が多いと力を見せるFC東京。1位は国立競技場で行われたナビスコカップの決勝・・・!

おまけ

 今のところ当日は雨予報。こんなツイートが来たので、過去の多摩川クラシコの天候別成績でも探そうかと思ったけども、すごくめんどそうな感じだったので、FC東京と川崎の雨の日の成績を比べてみたぜ!

川崎はJ1での通算勝率が48.6%。雨の日は45.8%
FC東京はJ1での通算勝率が40.3%、雨の日は35.6%

 うん。ちょい下がり。両チームともちょい下がり。何とも言えない結果だろう?だからおまけ欄なんだぜ。

【FC東京】

選手情報

・チャン・ヒョンスは出場が不透明。
・田川亨介、鈴木喜丈は欠場の見込み。

Match Facts

FC東京のMatch Facts①
【直近の成績】
・ホームでのリーグ戦は今季11戦10勝。
・リーグ戦5試合連続無失点の後、6試合連続失点中

 首位を走るFC東京を支えるのはホームでの成績だ。11戦10勝、勝ち点21、得点23は堂々のリーグトップ。味スタの要塞化が前半戦の快進撃の一因であることは間違いない。ホームでたくさん点とってたくさん勝つというわかりやすいやつ!

 一方で気になるのは失点だ。少し前までは5連クリーンシートという離れ業をやってのけたが、直近6試合はすべて失点中。この6試合の失点は、それ以前の12試合の失点数より多い。かさばりだした失点の連鎖をそろそろ止めたいところだろう。

FC東京のMatch Facts②
【試合運び】
・先制された試合で4回逆転勝利を挙げており、リーグ最多。
・今季リーグ戦で敗れた試合はすべて無得点。

 今季のFC東京の試合の展開の特徴として述べておきたいのはビハインドにおける強さ。先制された公式戦9試合において4勝1分と半分以上の5試合は勝ち点を得るところまで盛り返している。先制された試合での勝利は17年と18年シーズンを合計して4勝なので、19年はおよそ半年で2年分の先制された試合の逆転勝利を達成していることになる。

 敗れた試合がいずれも無得点というのも特徴の1つ。ちなみに直近のクラシコは2試合ともFC東京はノーゴール。この試合の歴史上、FC東京が3試合連続ノーゴールを記録したことはない。今季のFC東京は得点を取ればすなわち勝ち点獲得となるが、この試合ではどうか。

FC東京のMatch Facts③
【VSトップハーフ】
・トップハーフとの対戦成績は8戦6勝(D1L1)

 首位を走る成績の中でも際立っているのがトップハーフ相手の対戦成績。引き分けだった開幕戦と敗れたC大阪戦を除けば全勝。ボトムハーフ相手が6勝2分2敗なので、1試合平均勝ち点でいえば、むしろトップハーフ相手の方が分がいいことになる。それにしても東京と神奈川相手にやたら強いC大阪は何なんだよ。

FC東京のMatch Facts④
【ハーフシーズンチャンピオン】
・17節終了時点で首位のチームが年間最多勝ち点を獲得した例は直近10年で3回。

 ここまでたっぷり褒めてきたし、ちょっとくらい意地悪なデータを入れてもいいだろうと思って入れたのがこのデータ。17節終了時のチャンピオンが、年間最多勝ち点を記録している確率はおよそ30%。しかも、最後に前半戦王者が優勝したのは13年の広島。ということで、ここ5年のハーフシーズンチャンピオンはひっくり返されていることになる。ここ2年の「ひっくり返し役」である川崎を叩いて、逆転優勝の芽を摘みたいところだろう。

FC東京のMatch Facts⑤
【2トップ】
・永井謙佑は直近2試合で4得点に絡む(2G2A)
・ディエゴ・オリベイラは今季決勝点を5回決めており、リーグ最多。

 好調のFC東京を牽引しているのがこのコンビ。FC東京の得点の58%を稼いでいる2トップである。

 横浜FM戦で見せたように裏抜けだけでなく、アシスト役も徐々に板についてきた永井謙佑。スタメン出場時の1試合平均勝ち点2.33はチームで最高の数字である。ただ、少し気になるのは川崎に対する相性の悪さか。キャリア15試合で1得点はやや寂しい数字といえそう。勢いの良さで苦手な相手からゴールを奪えるか。

 翻って川崎との相性も問題ないのがディエゴ・オリベイラ。5得点は広島と並び、最も多くの得点を稼いでいる相手になる。ホームにも強く7ゴールはリーグで最多。決勝点も多く挙げており、勝負強さも兼ね備えている。とはいえ昨季の終盤戦の急失速は懸念材料。だが、そのカギを握っているのもまた永井であるかもしれない。オリベイラへのアシストを最も供給しているのも永井。2トップが好調を維持したまま1年を駆け抜けることは、FC東京の悲願を果たすための最低要件だろう。

【川崎フロンターレ】

選手情報

・奈良竜樹は長期離脱中。
・前節負傷交代した大島僚太の出場は不透明。

Match Facts

川崎のMatch Facts①
【リーチと要塞】
・公式戦14試合連続無敗。リーグ戦も12試合連続無敗継続中。
・リーグ戦で複数失点を喫したのは直近18試合で1試合だけ。

 やたらめったらプレビューに書いてきた公式戦無敗記録だが、17年の15試合無敗(1シーズン通して)という記録にはリーチがかかっていることになる。もう1つ書き続けている複数失点なしの記録。実は継続しているのはジェジエウが出場し始めてから。というわけで川崎は未だジェジエウ出場時は複数失点なしということなる。もはやDFラインの要といっていいジェジエウ。この試合は強力2トップと対峙することなるが果たして。

川崎のMatch Facts②
【アウェイゲーム】
・公式戦のアウェイゲームは5連勝中。リーグ戦は7戦6勝1分。
・日曜日開催のリーグでのアウェイゲームは直近14試合負けなし(W9D5)
・7月のアウェイゲームは7戦無敗継続中(W6D1)

 FC東京が味の素スタジアムを要塞にしているのならば、川崎は等々力“以外”が得意分野ということになる。アウェイゲームは5連勝中でリーグでは6勝1分。7試合で4失点、クリーンシートは4つという無類の強さを誇っている。アウェイでの15得点もリーグ最多で人の家の庭なら向かうところ敵なしである。人の家ならね。

 加えて日曜開催のアウェイゲームに限ると2年間負けはなし。7月のアウェイも得意分野であるとくれば、要塞攻略にかかる期待も出てくるというものである。

川崎のMatch Facts③
【VSトップハーフ】
・トップハーフとの対戦は今季7戦で1勝のみ

 そんないけるかも!という希望を萎れさせるのがこのデータ。トップハーフ相手に強いFC東京とは対照的なスタッツである。とはいえ7戦1勝だけどまさかの無敗!6引き分けだけど!

川崎のMatch Facts④
【東京に強い男たち】
・山村和也は出場したキャリアにおいて出場したFC東京戦は9戦無敗。
・小林悠が得点もしくはアシストを決めた多摩川クラシコは川崎が5戦全勝。

 今季ほとんどスタメンがない山村だが、キャリアにおいて出場したFC東京戦では無敗。川崎では今季クローズの役割を求められることが多い。最近はCBをベンチに置かなくなったなぁと思いきや、天皇杯で急に山村CBを試しだしたので、CBの控え兼クローザーという、前でも後ろでも高さ頼むぜ!的な役割なのは何とも言えない感じ。

    川崎においてミスター多摩川クラシコは小林悠である。点に絡めば全勝という強めのジンクスを持った小林。先発の座をここに来た取り戻した感のあるキャプテンが得点に絡めば、勝利の確率はぐっと上がる。チームがアウェイに強ければ、キャプテンも引っ張られる。先発したアウェイゲームは3試合連続得点中と彼もまた人の家の庭が大好きなのだ。

予想スタメン

展望

■高萩が作るズレが起点

 開幕戦と同じく4-4-2(4-2-3-1)ベースでぶつかることはほぼ間違いないだろう。両チームは今季一貫して4バックを採用してきた。ということでかみ合わせ的には過不足なくがっちり噛み合う状況が生まれることが濃厚である。

 となるとボール保持側に欲しいのは「ズレ」である。FC東京のズレを作り出すのはCH。片方が中央にいたまま、もう片方が左側のタッチラインに大きく開くのが特徴。高さとしてはSHとSBの間に位置して、相手の基準点を乱しにかかる。

 特に警戒すべきなのはより視野が広く、長いパスを通せる高萩が流れてきたときだ。遠くを見る意識が強い彼は裏に抜ける永井や、逆サイドを駆け上がる室屋のオーバーラップを見逃さない。特に警戒すべきはカウンターの局面で、この左サイドに流れるエリアを「安全地帯」としてしまうと、カウンターの起点として大きな役割を果たすことになる。してやられた横浜FM同様、高いバックラインを設定している川崎にとっては最もつぶしておきたい存在である。

 ボール保持の局面においてはCHが開き、そこにボールが収まるとSBとSHでレーンを使い分けて前進を狙う。内に絞っても活躍できるSHと脚力のあるSBというそれぞれの特徴を生かした組み立てだ。

 2トップは片方がサイドの崩しに関与することが多い。引いてポストもやるけど、主にハーフスペース付近で裏抜けを狙いながら、相手のDFラインを縦に引っ張る役割を担っている。サイド攻撃を完結させうる存在は一昔前なら久保だったが、今はその役割をナサンホが担う。数節前から東とサイドを入れ替えたのは、カットインからのチャンスメイクが大きな武器になるからだろう。崩しとフィニッシュ共に顔が出せる韓国人アタッカーは要注意の存在だ。

    ポジションチェンジを大きくずらしたトリッキーな配置への対抗策としては、単純に人が付いていく!と言う作戦がある。人に引っ張られやすい川崎がその形をとることも大いにあるだろう。この際に気をつけたいのが、スライドした時に空く逆サイドのスペース。鳥の目と空いたスペースにボールを届けるスキルを持つ高萩に寄せきれなければ、大きく空いたスペースからFC東京に前進するスペースを与えてしまう。サイドに流れる高萩にどう対応策を取るのかは川崎側の要注目ポイントといえる。

■FC東京の弱み=川崎の課題

 FC東京はボール非保持においては4-4-2でボールサイドの圧縮が強めになる。狙い目になりそうなのは小川諒也周辺だろうか。前への強さは見せるものの、後方のボールに対するリアクションや、空けるエリアの判断など、やや不安定な部分が見られる。川崎も今季は右サイドの崩しはうまくいっていないが、ストロングサイドになる逆側には対人に強い室屋がおり、長谷川がいつものような活躍が見せられるかは不透明。サイドに流れる動きがうまい脇坂と連携しつつ、相手の左サイドを狙い撃ちにしていきたいところだろう。

 もう1つ川崎が狙いたいのはカウンター返し。ブロック守備における中盤はハードワークができる東京だが、即時奪回はあまり得意な印象を受けなかった。特にFC東京が前線のスピードを生かしたカウンターや脚力を生かした単騎プレスが不発に終わった時が狙い目で、全体のラインを押し上げられずに、中盤にスペースがある場面が発生しやすい。CHの橋本が例年よりもバランサーとしての役割を任されている影響もありそうで、引いた時の中盤の守備の安定とトレードオフで狩る守備はやや落ち着いた印象を受けた。

 くしくも速いカウンターも川崎の今季の課題。前節のレビューで家長のプレーを指摘したように数的優位の場面でのカウンターの精度はやや怪しいものとなっている。

 最後に狙いたいのはセカンドボール。おそらく前節に負傷交代した大島は間に合わないだろう。田中と守田のコンビでの先発が濃厚だ。ボール保持時のスキルが落ちるのは仕方ないとして、彼らに求めるのは前節の鳥栖相手に物足りなかったセカンドボールの奪取。2つ目の狙いでもある、素早いカウンターにつなげるためにはセカンドボールの奪取は不可欠だろう。高萩、橋本そしてFC東京の中盤はタフな選手が多いが、大島不在を異なる形で乗り切れれば、怪我の功名になりうるだろう。

 まったり保持では右サイドの攻撃、そして中盤の色を生かすためにトランジッション局面を増やしつつカウンターを完結させること。今季の課題2つに、試される2人のCH。試練の多摩川クラシコを制するために、川崎は一皮むけることができるだろうか。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)

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