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Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第21節
川崎フロンターレ(4位/勝ち点38/10勝8分2敗/得点33 失点15)
×
松本山雅FC(16位/勝ち点18/4勝6分10敗/得点12 失点26)
@等々力陸上競技場
前回対戦時のレビュー
戦績
過去の対戦
過去の対戦は3回のみ。川崎の3勝。
Head-to-Head
Head-to-Head①
【公式戦での対戦成績】
・公式戦における両チームの対戦はリーグ戦の3回のみ。
・その過去3回の対戦はいずれも川崎が勝利。
歴史が浅いこのカード。川崎にとってパワー全開の松本のスタイルはなんとなく苦手そうだが、3戦して川崎が3勝している。
Head-to-Head②
【前回対戦時からの変化】
・未だ複数得点者がいないカード。
・松本は川崎ホームにおいて得点を挙げたことがない。
同一試合における複数得点者が未だいないカード。1試合で2点取ったぜ!っていう選手はいない。松本は前回の等々力では得点できず。まずは川崎ホームでの初得点を目指したいところだ。
【川崎フロンターレ】
選手情報
・藤嶋栄介、奈良竜樹は長期離脱中。
・大島僚太の出場は不透明。
Match Facts
川崎のMatch Facts①
【久しぶりの敗戦】
・前節はリーグ戦16試合ぶりの複数失点。
・勝てば今季2回目のホームゲーム2連勝。
ついに公式戦17試合、リーグ戦15試合の無敗が止まった前節。複数失点も実に久しぶりで3節の神奈川ダービー以来だ。3失点になるとリーグでは昨年10月の神戸戦以来。負けた試合でいえば5点取られた17年7月の磐田戦までさかのぼる。「え?3失点ってそんな久しぶり?久しぶりな感じがしないなぁ」と思ったあなたはご明察。何のご縁か知らないけど、去年のカップ戦(ゼロックス、ルヴァン、天皇杯)はいずれも3失点して敗れている。いらない共通点だな。
立ち直って松本戦に勝利すれば今季2回目のホーム連勝。大分に続いてシーズンダブル達成になるが果たして。
川崎のMatch Facts②
【転んでもただでは起きない】
・連敗すれば2018年5月以来。
・リーグ戦で敗れた直後のリーグ戦は5連勝中。
もし、負けてしまうようなことがあれば1年3か月ぶりのリーグ戦連敗。浦和、FC東京と昨年の地獄のGW以来となる。しかし、基本は連敗が非常に少ない川崎。リーグ戦敗れた次のリーグ戦は5連勝中。前節以外の今季唯一の敗戦であるG大阪戦の後も勝利を収めている。その試合で勝利した相手が今節対戦する松本なのだ。松本戦はなぜかホームもアウェイも負けた後に戦うっていうね。
川崎のMatch Facts③
【弱い者いじめが得意】
・昇格組とのリーグ戦は12試合負けなし(W10D2)
・現在のテーブルで12位以下とのチームの対戦は8戦無敗(W7D1)
昇格組には強い川崎。大分にも勝って対昇格組との無敗記録を継続中である。特にホームゲームに限れば13年の湘南戦以来6年間負けなし。弱い者いじめは得意なのだ。
もうひとつ注目は現在のリーグテーブル。川崎がリーグで挙げた10勝のうち7勝は現在のテーブルの12位以下に集中している。やっぱり弱い者いじめが好きなんだな・・・。
川崎のMatch Facts④
【夏男の8月は?】
・8月のホームでのリーグ戦は7戦無敗。
・小林悠は8月のリーグ戦直近14試合で9得点4アシスト。
8月のリーグ戦は川崎が得意な分野。7戦無敗だけでなく直近4試合はいずれもクリーンシートである。3失点から立ち直るには絶好のジンクスといえるだろう。
7月のマッチプレビューで散々取り上げた「夏男、小林悠」のくだり。7月のゴール成績を取り上げたので、皆さん8月も気になりますよね?ということで直近3年分を調べたところ、14試合で13得点に絡むという相変わらずのコンスタントさ。3試合連続ゴール中の絶好調エースが今節も得点なるだろうか。
川崎のMatch Facts⑤
【得点力アップの立役者】
・齋藤学は今季の試合の1/3以上先発した選手の中で唯一負けがない(W7D2)
ここ数試合は以前よりも得点が増えてきた川崎。前節は負けてしまったものの、得点力不足を嘆く声は格段に減ったといえる。その立役者は齋藤学。彼の先発復帰と似た時期に川崎の得点は上昇。先発時の平均勝ち点は2.28とチームトップ。平均得点もチーム平均が1.57に対して、齋藤出場時は2.67まで跳ね上がる。チーム2位のジェジエウが2.00であることを考えると、この数字は断トツである。
昨季は負傷と順応に悩まされ続けていた齋藤だったが、徐々に出場機会を増やしつつ本領発揮の気配が漂っている。横浜FM時代とは少し異なるプレースタイルで、川崎の左サイドを完全に自分のものにする日は来るのだろうか。
【松本山雅FC】
選手情報
・前田大然がマリティモに移籍。
・阪野豊史、高木利弥にスタメンデビューの可能性。
Match Facts
松本のMatch Facts①
【残留に向けて】
・公式戦直近16試合で1勝のみ。直近8試合は勝利なし。
・20試合における勝ち点18は初昇格時と全く同じ。
まずは残留が目標になるであろう松本だが、直近の成績は芳しくない。公式戦では長らく勝利から遠ざかっている。勝ち点のペースとしては前回の初挑戦時と同じ積み上がり方。ただし、違うのが得点数。前回20節終了時は20得点を挙げていたが、今季は12得点と8得点少ない。見方を変えてみると効率よく勝ち点を積んでいるともとれるものの、得点力改善は残留に向けた必須課題といっていいだろう。
松本のMatch Facts②
【得点源は?】
・12得点はリーグ最少。
・直接FKからの得点はG大阪、川崎と並んで2点でリーグ最多。
その12得点はリーグでも最下位。その上、前田大然の移籍はクラブにとって大きなダメージであることは想像に難くないだろう。そんな中で貴重な得点源となっているのがセットプレー。直接FKから2点、それ以外から3点。PKも含めると、12点中半分はセットプレーからの計算になる。流れの中から6点というのはいささか寂しいが、川崎としてはまずは前節でも失点したセットプレーを極力避けていく方向に向かいたいところだ。
松本のMatch Facts③
【神奈川もアウェイも大嫌い】
・アウェイゲームでの勝利はJ1通算26戦で4勝のみ(D8L14)。
・J1において神奈川県のチームに勝利したことはない(D3L6)。
今季が通算で2季目となるJ1のステージだが、アウェイでは未だ4勝のみ。勝率は2割を切ってしまう。その中でも苦手なのは神奈川県のチーム。9回のチャレンジで未だに勝利がない。10回目の挑戦となる等々力で初めての勝利を挙げることはできるだろうか。
松本のMatch Facts④
【VS川崎】
・反町監督は対川崎戦6連敗中。
・阪野豊史は昨年の天皇杯で川崎と対戦、ゴールを挙げて勝利した。
J2時代は11戦10勝と反町監督にとって超お得意様だった川崎。しかし、J1時代になると戦績は一変。新潟時代の1勝のみ。直近では6連敗中と苦戦中だ。
チームも監督も川崎を苦手にしている状態だが、そんな川崎にとっていいイメージを持っているのは新加入の阪野豊史。山形時代の昨季は天皇杯で川崎と対戦。くしくも前節の広島×川崎とかなり似たような展開で、川崎相手に勝利を挙げている。その試合で得点を挙げた阪野は川崎にとって悪くない印象を持っているはず。前田が抜けたチームにおいて、阪野にかかる期待は大きい。前年チャンピオンにゴールを挙げれば、ファンの心を一気につかめるのは間違いない。
予想スタメン
展望
■前田抜きでの陣地回復に注目
サンプリングしたのは松本×広島。しかし、まぁどれくらい参考になるか怪しいというのが素直な感想である。
まずは戦い方について。この試合の松本はハイプレスを積極的に敢行することはなかった。広島を相手にした時のやり方として、真っ先にWBがドリブルするスペースを消す事を考えるのはよくわかる。この試合も広島にボールを持たせながらも、WBが進撃するスペースだけは蓋をして、焦れさせるということが目的だろう。
川崎相手に同じ作戦で来るかは微妙なところ。川崎はボールを持たせて自陣引きこもっておけばなんとかなる相手ではないし、90分押し込まれ続けることを選択するのなら、失点を避けるのは難しい。
それゆえプレッシングは重要な要素。なるべく高い位置で川崎を食い止め、1分1秒でも松本のゴールから離れた位置でプレーさせることが松本にとって有利にゲームを進めるカギだろう。90分間のプレス継続は無理だろうから、どこのタイミングでプレスを仕掛けるか、その時間帯で結果を出せるかが重要。限られた時間で最大の効果を得たいところだろう。
松本にとってはそんな戦術面よりも大きい変化はこの試合前後で移籍によるメンバーの入れ替えが起きていることだろう。
特に影響が大きいのはマリティモに旅立った前田大然の退団なのは言わずもがな。コパアメリカの日本代表にも選ばれるほどの存在感を見せていた今季。前田の圧倒的なスピードは、ボールを持たれて自陣に押し込まれることが多い松本の陣地回復の手段として、または直接的な得点の手段として非常に有効なものだった。広島戦においてもそのような場面は当然垣間見えた。新たな陣地回復の手段を考えなければいけないというのが松本後半戦の最大の課題といってもいいくらいだ。
前線のメンバーとしては高さがある高崎に加えて、新加入の阪野豊史。J2で躍進する山形からやってきたFWは裏抜けや体の使い方がうまく、高崎や前田とは違った形で前線の起点になれるプレイヤー。山形ではチーム内得点王だったし、得点力も問題ない。ちょっとだけ見たプレー集のゴールにはエリア内で華麗な身のこなしで決めたものもあり、若干のアクロバティックさを感じた部分もあった。
とはいえ阪野や高崎が谷口やジェジエウを相手に独力でボールを収められるかと言ったら微妙なところ。おそらく難しいと思う。そのため、こっちに関してもプレッシングは大事。なるべく高い位置からボールを奪回し、そもそも陣形回復なんていらないんや!となれば最高。しかしながら、その圧倒的なスプリント回数からもわかるように前田の貢献度はハイプレスにおいても高かった。タイプの異なる高崎や阪野を最前線に配しながら、どのように川崎を高い位置で止めるのか。反町監督の腕の見せ所である。
■どうやって自分のターンを引き寄せる?
川崎サイドとしては中3日の連戦続きでコンディションの低下は懸念だ。特に最終ラインはメンバーの固定が顕著で、広島戦では若干無理が効きづらくなっているように感じた。ボール保持の局面は多く確保できるだろうが、広島戦クラスのサイドの崩しの質となると、松本を崩せない可能性もありえる話。
松本は広島や大分よりも人を寄せて圧縮したボールサイドの守備をするチーム。最も避けたいのはサイドの低い位置でボールを奪われてカウンターに持ち込まれること。原点に返ってボール保持率を高めつつ、松本を左右に振り回す展開もアリだろう。松本は中2週間空いたとはいえ、この天候の中で90分間追い続けることは相当にしんどいはずだ。
広島戦のレビューで課題として挙げたプレスも注目。無駄走りは良くないが、常に相手陣でプレーすることを狙うための圧縮されたハイプレスは効果的だろう。スプリントは多くても、総走行距離がかさまないようなプレスを心がけたい。そのためには最終ラインが大分戦のようにラインの駆け引きでも優位に立つ必要がある。屈辱の3失点を経て、川崎にこれまで優位を持たしてきた最終ラインがクオリティを取り戻すことが、「ずっと俺のターン」を目指す礎になる。
中央が厚い松本の守備を崩すにはCHやトップ下の得点機会の創出は必須。前節不調だった家長や守田の序列にも注目が集まる。
サイドの崩しの質、プレスの開始位置と最終ラインの優位性、CHの攻撃参加。松本戦で自分のターンを引き寄せるための注目ポイントはこの3点だろう。
参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)