■CB不在も内容は「勝ちきれなかった」
前節、フラムと対戦した時のズマとドーソンが並ぶウェストハムの布陣を見て「ケーラーがSBに戻ることができるくらいCBに人がいて良かった」と胸をなでおろしてから一週間。今節のウェストハムのDFラインはクファル、ジョンソン、ケーラー、クレスウェル、エメルソンと見渡す限りのSBである。ってかよくこんなにSBいたな。
というわけで非常事態感がとても強いウェストハムは3-4-3でサウサンプトンを迎え撃つ。こちらもチームとしてはなかなか上昇気流に乗れないサウサンプトン。今節の並びはメイトランド=ナイルズをアンカーに据える中盤ひし形の4-4-2である。
序盤、ボールを持つことになったのはホームのサウサンプトン。ウェストハムのプレスは控えめ。もともとプレスをかける意識が強いチームじゃないし、その上このバックラインである。サウサンプトンにとりあえずボールを持たせる判断は妥当といえるだろう。
サウサンプトンのボール保持はなかなか難儀なものだった。バックラインの横パスが延々と続き、なかなか縦にボールを入れるタイミングを見つけることができない。ボールを持つことは出来ていたが、ポゼッションを局面打開にスムーズにつなげられたかはまた別の話である。
それでも右サイドはウォーカー=ピータースを軸に複数人の連携で奥を取ることが出来ていた。中央ではアダムスが奮闘し、ウェストハムのDFライン相手にポストや裏抜けで起点となる。
そうした中央から右寄りの奮闘を得点につなげたのは左サイドの選手だ。プローのミドルはやや力のないものではあったが、ファビアンスキの守るゴールに吸い込まれて先制点をゲット。中央に絞ってのフィニッシュに貢献する。ウェストハムのボーウェンが主審に邪魔されたという意見も理解はできるが、ソーチェクのクリアミスが大きく響いたことは認めなくてはならない。
失点後にボールを持てるようになったウェストハムは相手の守りが手薄なワイドから奥行きを作ることが出来た。しかしながら、こちらも安定したポゼッションではあるが、大外からだとアタッキングサードに攻め込むクオリティには疑問符が残る。
むしろ、ウェストハムが好機を見つけられそうだったのはスカマッカやパケタなどのアタッカー陣に縦パスが入った時。ポストから前を向く選手を作り、急戦的に攻めることが出来たパターンの方が可能性を感じることができた。スカマッカのポストからパケタなんてシーンはこの試合のチャンスメイクを象徴しているかのようだった。
後半はさらにウェストハムが攻勢を強める。パケタの裏抜けで立ち上がりからゴールに迫ると、ボーウェンを旗手としたカウンターやベンラーマ投入での4バック移行など次々と攻撃の手段を披露する。
同点弾を呼んだのはベンラーマ。深さを作るドリブルでサウサンプトンのラインを押し下げるとミドルシュートをライスが決めてスコアを振り出しに戻す。
なかなか後半はゴール前まで向かうことができないサウサンプトン。ハーゼンヒュットルは怒りの4枚替えを発動するが、それでも打開が個人頼みになってしまっているのは否めず、流れを引き戻すことができない。
同点弾後もシュートを重ねていたウェストハムも最後の一伸びを欠いて結果はドロー。バックラインに人が揃わなかったウェストハムだが、この試合はあと一歩で勝ちを逃した試合といえそうだ。
試合結果
2022.10.16
プレミアリーグ 第11節
サウサンプトン 1-1 ウェストハム
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
SOU:20‘ プロー
WHU:64’ ライス
主審:ピーター・バンクス