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「わからないなら予想すればいいじゃない」~2019.6.1 J1 第14節 川崎フロンターレ×浦和レッズ プレビュー

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目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第14節
川崎フロンターレ(2位/勝ち点26/7勝5分1敗/得点20 失点8)
×
浦和レッズ(11位/勝ち点23/5勝2分6敗/得点10 失点17)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の14回の対戦で川崎が6勝、浦和が5勝、引き分けが3つ(天皇杯のPK決着は引き分けカウント)

川崎ホームでの戦績(ホーム扱いだったゼロックスは除く)

直近10試合の対戦で川崎が6勝、浦和が2勝、引き分けが2つ。

Head-to-Head

Head-to-Head①
【公式戦での対戦成績】
・公式戦における両チームの対戦は過去42戦で川崎が16勝、浦和が19勝。ドローは7つ。

 通算成績は若干だが浦和が有利。リーグでの対戦成績を見ても、川崎にとって浦和(35.7%)はG大阪(34.5%)に次いで勝率が低い相手であり、少なくとも相性がいい相手とは言えない。浦和は川崎相手に7試合連続無敗を記録していた時期もあったほどだ。川崎が得意にしていたペドロピッチ時代を経て、近年はやや川崎も巻き返す。これにより何とか五分に近づけている印象である。
 

Head-to Head②
【直近の対戦成績】
・昨季の対戦では浦和がシーズンダブルを達成。
・しかし、それ以前の7回のリーグ戦では浦和が勝利したのは一度だけ(D2L4)
 

 そんな川崎の近年の巻き返しの印象を覆したのが昨季の浦和のシーズンダブル。川崎がチームとして食らった久しぶりのシーズンダブルということで印象にも残っている人も多いのではないか。ホームアウェイの180分で川崎が無得点だったのは15年の山形以来。ってか去年も天皇杯で負けたし、山形苦手なんですね。無失点かつシーズンダブルになると14年の横浜FM以来である。
 ただし、それ以前は川崎が優勢。浦和に強いというか、ペドロビッチに強いだけなんじゃないかそれは。

Head-to-Head③
【等々力での対戦成績】
・川崎ホームでの両チームの対戦成績は川崎の8勝、浦和の8勝、ドローが5つ。
・直近10試合での川崎ホームの試合で浦和が勝利したのは2回だけ。

 PK決着の天皇杯はドロー扱い、一応川崎ホーム扱いのゼロックスはノーカウントにすると、川崎ホームにおいては完全に五分。近年の成績で川崎が優勢なのも、全体での対戦成績の傾向と変わらない。

    この項で興味深かったのは等々力で浦和が勝利した8試合のスコア。なんと8試合ともすべてクリーンシート。つまり、浦和は等々力で失点して勝利したことが一度もないということになる。今までの傾向を踏襲すれば川崎が得点さえすれば、負けを回避できることになるが・・・。

Head-to-Head④
【土曜開催】
・土曜日開催のこのカードは直近11試合で川崎が6勝を挙げている(D3L2)

 川崎×浦和は集客力でいえばおそらくJでもトップクラスに位置するカード。しかし、近年は平日開催が多く、リーグでの土曜日の開催は実に3年ぶりのこと。土曜日での等々力の試合においてはPK決着した天皇杯を含めて川崎が4連勝中だ。

Head-to-Head⑤
【アップセット】
・片方のチームがボトムハーフの状態でのリーグでの対戦は過去4回あり、すべてボトムハーフのチームが勝利している。

 近年は上位争い常連の両クラブだが、過去に4度だけ今回と同じく片方のチームがボトムハーフにいるときの対戦があった。昨年はいずれの対戦も浦和が2桁順位で迎えてシーズンダブル。12年の等々力はボトムハーフにいた川崎が浦和に勝利。その前年は同じく等々力で今度はボトムハーフにいた浦和が川崎に苦杯をなめさせている。

 相手がうまくいってないときほど気を付けるべし。これが川崎×浦和の鉄則だ。

【川崎フロンターレ】

選手情報

・奈良竜樹が長期欠場中

Match Facts

川崎のMatch Facts①
【直近のリーグ戦】
・公式戦10試合連続無敗。リーグ戦も9試合連続無敗継続中。
・昨季の同時期(リーグ13節、ACL6節+ゼロックススーパーカップ)と比較して、敗戦の数は半分以下(8→3)。

 公式戦では10試合無敗を継続中。リーグ戦ではG大阪戦以降の9戦無敗。これは2017年末の15試合連続無敗以来の好調なランである。なんとなく、スロースターターなイメージがついた川崎のだが、序盤戦の敗戦の数は昨季よりは半減。ACLでは早々に敗退をしたものの、チームのエンジンが温まるのは徐々に早くなっているのかもしれない。

川崎のMatch Facts②
【ホームゲーム】
・土曜日のリーグのホームゲームは7試合連続で無敗。
・6月開催のホームゲームは4連勝中

 休日に昼間からのんびり等々力に。そんな土曜日は川崎ファンにとって久しぶりのはず。なにせ土曜日の等々力での試合は開幕戦の多摩川クラシコだけだ。久しぶりの土曜の等々力だが、成績は好調。その多摩川クラシコ以前は6連勝。ちなみに直近で負けた土曜等々力のゲームも昨年5月の多摩川クラシコ。FC東京以外ならかかってこい的なアレですか。

川崎のMatch Facts③
【ホームゲームの懸念】
・ホームでは4試合連続クリーンシートを逃している。

 失点の少なさが目立つ川崎だが、直近4試合の等々力ではクリーンシートはなし。実は18年5月にも6試合連続失点を喫しており、結構あることだったりする。この6試合連続失点の中には昨年敗れた浦和戦も含まれている。


川崎のMatch Facts④
【個人成績】
・チョン・ソンリョンは18年開幕からのクリーンシート数は20。リーグ最多。
・長谷川竜也は3試合連続アシスト中。
・阿部浩之はキャリアで先発した7試合のリーグでの浦和戦において6勝1敗。

 防御率が歴代トップの記録を塗り替えたと話題になったソンリョン。今季のCS数こそ林彰浩にトップを明け渡しているが、18年開幕からの数で比較するとまだソンリョンの方が上である。

   攻撃陣でシャープさが目立つのは長谷川竜也。大分戦では3試合連続の4アシスト目を記録し、アシストランキングでリーグトップに。4アシストを記録している選手の中でリーグ出場数が1桁なのは長谷川だけである。本来苦手な守備でも最近は存在感を見せつつある。

    浦和との対戦が得意なのは、そんな長谷川とスタメンの座を争う阿部浩之。キャリアにおいての対浦和の戦績は折り紙付きだ。

【浦和レッズ】

選手情報

・橋岡大樹、柏木陽介は欠場予定。
・大槻監督就任後、練習はすべて非公開。

Match Facts

浦和のMatch Facts①
【不調な序盤戦】
・リーグ戦4連敗中。5連敗になれば09年8月以来のこと。
・13節での得点数は10で、2011年以来で最小。

 川崎とは真逆でACLは突破したものの、リーグでは悪い流れが続いている浦和。その足を引っ張っているのが少ない得点数だ。勝ち点だけでいえば今季より少ない昨季の得点(12)を下回る出来。2011年は8得点しかしていないものの、この年は守備が踏ん張っており失点数は少ない。今年の-7の得失点差はその2011年を下回る数字だ。

浦和のMatch Facts②
【アウェイゲーム】
・アウェイでの勝ち点はリーグ3位。ホームより3倍以上多い勝ち点を稼いでいる。

 しかし、アウェイゲームに限ると成績はかなり優秀。直近5試合で4勝を挙げており、アウェイでの3失点は川崎に並んでリーグ最少である。アウェイでの勝ち点はリーグ3位。逆に言えばホームでの成績がかなり悪いということになる。驚くなかれ、ホームでの勝ち点は4でなんとリーグ最下位だ。

浦和のMatch Facts③
【流れが止まらない?】
・直近8試合のリーグ戦で両チームに得点が入った試合は一度だけ。
・直近3試合での失点は9。それ以前の10試合での失点数(8)よりも多い。

 ここまで13試合で西川のクリーンシートは5つ。数字としては川崎のソンリョンと1つしか変わらず悪くない。おそらく、ひとたび相手に点が入ると止まらなくなるのだろう。その代わりリズムを引き寄せれば粘り強く無失点までこぎつける。控え組中心かつ異様な雰囲気に包まれた湘南戦を除けば、今季の浦和は良くも悪くも試合の流れが一定であるのかもしれない。

浦和のMatch Facts④
【個人成績】
・大槻監督は前回就任時のリーグ戦は4戦無敗。
・橋岡大樹が出場したリーグ戦は今季全勝

 暫定監督として就任した前回4月の時は4試合を無敗で乗り切った大槻新監督。審判批判をしてベンチ入り禁止を食らったオリベイラの代役として指揮を執った9月にはC大阪に負けているが、困った時の救世主的な立ち位置になっている様子。監督の成績を個人成績の項で紹介してすみません。
 
 今まさに困っている浦和にとってスタッツ的に最も戻ってきてほしい選手は橋岡だろう。彼が出場したリーグ戦は4試合全勝である。昨季開幕時から見ても彼不在で戦った17試合は4勝3分10敗。今年に限ると8試合で1勝1分6敗とさらに際立った数字に。この試合でも欠場が見込まれる橋岡。車屋を手玉にとった昨季の川崎戦での活躍を考えても、この試合に間に合わないのは浦和にとって残念な知らせになる。

浦和のMatch Facts⑤
【VS川崎の個人成績】
・杉本健勇は先発した直近4試合の川崎戦で4得点に絡んでいる(2G2A)
・興梠慎三はこのカードにおける最多得点者(9)

 誰が出るかわからないからたくさんスタッツを集めてみたぜ。めっきり出番がない杉本だが、対川崎相手には好調である。ルヴァンカップの初制覇を狙っていた川崎に立ちはだかっていたのも彼。得意の川崎戦、新しい指揮官の元で復調の足掛かりは見えるだろうか?
 
 川崎×浦和の対戦において最もたくさんゴールを決めているのは興梠である。興梠慎三に関するデータで面白かったのは、川崎戦における彼のゴールの有無での所属チームの勝率である。

 歴然すぎて笑った。フィニッシャー興梠に仕事をさせないことは浦和を流れに乗せないためにも重要なのだ。

予想スタメン

【展望】

カーテンの中身とは

 広島戦での浦和はFWが起点作りに右往左往。動いて!収めて!スペースを作って!チャンスも作って!という感じで負荷マシマシ。興梠はともかく、杉本が苦しむのはなんとなくわかった。

 ビルドアップは大分と若干似た仕組み。3バックのうち2人のCBが大きく幅をとる。もう1人のCBである鈴木大輔が高い位置を取り、WBの森脇良太はさらに押し上げられる形に。高い位置は取れる場面はあるものの、そこからの被カウンター時のカバーには問題があり。高い位置を取るメリットと、裏を突かれるデメリットの収支が合わない感じがした。

 というところまで把握したところで、ドンガラガッシャンでございます。オリベイラ監督が解任という運びに相成りました。

 後任の大槻監督は、ここからはバッチリ鉄のカーテンを張るということで、追加情報も出てこない見込みであります。絶対予想スタメン当たらないじゃん。でも諦めるのは悔しいので、前回の大槻さん就任時の情報を探りながら、戦い方を予想することにした。

 4-4-2(4-2-3-1)相手には4戦して3勝1分の無敗。試合を少し見た感じだと、前に出るWBで相手のサイド攻撃を高い位置で封じ、そこから一気呵成のカウンターに打って出るという方策だった。

 得点につながるパターンで見られたのはカウンターに移行するボール奪取の時のWBの出足の良さ。上で紹介した橋岡が前回の大槻政権時に躍動しまくっていたのはこの役割に加えてボールを運べるからだろう。両WBが出ていき、相手の陣形を横に揺さぶりつつ、最後は中央でフィニッシュ。大外のWBの2人が非常に大事な役割を担っていると感じた。前回就任時に4バック相手に結果が出たのは、相手の陣形を横に揺さぶりやすいからではないか。

 今季は橋岡の欠場時に勝率がぐっと下がること、出場時の1試合平均得点が最も低い浦和のプレイヤーがサイドへの展開に長けている柏木陽介(0.64)であること、そして直近広島戦でのサイド攻撃の質を合わせると、大外のWBを使った攻撃の機能不全が得点の低下につながっているという仮説が考えられる。

 これらを組み合わせて大槻監督の川崎戦の出方を考える。ベースとなるのは昨季等々力で川崎に勝利した手法と予想。2トップ+インサイドハーフ2枚+WB2枚の6枚で川崎のビルドアップ隊をはめる作戦を予想した。前回就任時の撤退守備を見ても5バックの前方の守備の規律はあまりないように感じた。窮地の浦和の戦い方として、モチベーターとして優秀な大槻監督が後ろ向きの選択をするとも考えにくい。メンタリティごと前に向けて川崎相手に散っても仕方ないと割り切れる選択をする可能性が高いと見た。幸い、マギーニョやジェジエウなどプレスの狙いどころになりそうなポイントは川崎にもある。

 川崎戦まで時間もないので、個人のパフォーマンスを軸に代表ウィークでチームの立て直しを図るのではないかと予想。とはいえ怪我人が多くあまりメンバーにはそこまでいじりしろがない。青木、エヴェルトン、長澤の中盤3枚はおそらくこの戦い方には向いているはず。マルティノスや山田直輝などのウルトラCもなくはないが、ここはすんなりいくと予想。

 人選で工夫をするとしたらWB。ここに若手を抜擢する可能性はあると思う。例として挙げられるのは荻原拓也。フリーランに長けたアタッカー色の強い彼を登用する可能性はあるのではないか。好調の森脇を1列下げて、右サイドでコンビを組むと予想。逆サイドにも精度が高く攻撃意識の強い山中を予想した。両ワイドから川崎の最終ラインを揺さぶり、空いた中央で興梠と武藤がクロスを待ち構える展開を浦和は狙いたいはずだ。

    このメンバー以外では、去年天皇杯でリーグ戦仕様の川崎相手にガンギマリのドリブルをバシバシ決めてチャンスを作った汰木も川崎の脅威になりそうだ。

プレスをひっくり返すべし

 では川崎はどのように立ち向かうか。前から嵌めてくると仮定した場合、プレス回避のキーマンとなるのは脇坂になるはず。大分戦でも見せたレイヤー間を柔軟に行き来する動きや、狭いスペースでも反転して前を向ける動きはプレス回避にうってつけ。好調の長谷川や前方への飛び出しが魅力のマギーニョは浦和との相性もよさそうで、脇坂のプレス回避を軸に前がかりな浦和のサイドをひっくり返すような戦い方になるのではないか。図は大分戦の使いまわしですが。

 前節の大分戦に比べれば、ボールを持つ時間は長くなるはずで、相手を押し込んだ時の家長の働きには注目がさらに高まるところ。ようやく復帰した彼が、不在時に躍動した新戦力とどのような連携を見せるかが、浦和の撤退守備を攻略するカギになる。

 手負いの浦和だが、データ的にもタレント的にも侮れないのは明白。新監督の初陣に対峙するのは初めての鬼木監督。大槻監督がカーテンの裏に隠した作戦にたじろがずに、返り討ちを狙ってほしいところだ。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)

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