全文無料で読めます。
Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第15節
川崎フロンターレ(2位/勝ち点27/7勝6分1敗/得点21 失点9)
×
北海道コンサドーレ札幌(7位/勝ち点23/7勝2分5敗/得点18 失点17)
@等々力陸上競技場
戦績
近年の対戦成績
直近10回の対戦で川崎が8勝、札幌が1勝、引き分けが1つ。
川崎ホームでの戦績
全11試合の対戦は川崎が全勝。
Head-to-Head
Head-to-Head①
【公式戦での対戦成績】
・公式戦における両チームの対戦は過去24戦で川崎が19勝、札幌が1勝。ドローは4つ。
わざわざ敵サポーターのプレビューを開いていただいた札幌のサポーターの皆様には大変申し上げにくいのですが、札幌のポジティブなデータはほとんど見つけることができませんでした。ごめんなさい。川崎にとって札幌は現在J1にいるチームの中では最も勝率が高い相手。79.4%という勝率は20試合以上対戦経験があるチームの中では横浜FC(86.4%)に次いで勝率が高い。逆に札幌の勝率は4.2%。J1在籍チームの中では最も悪い数字である。
Head-to-Head②
【昨季の対戦】
・昨季の対戦では川崎がシーズンダブルを達成。
川崎が札幌相手に通算6回目のシーズンダブルを達成した昨季。特に等々力では7-0という大量得点で勝利。そのせいもあり昨季の札幌の失点の19%は川崎戦で喫したものになる。
Head-to-Head③
【等々力は要塞・・・?】
・川崎ホームでの11回の対戦は川崎の全勝
・川崎はホームでの11回の対戦で9回のクリーンシートを達成している。
ホーム11連勝もさることながら、圧巻なのは川崎の失点の少なさ。11回の対戦で札幌の得点はわずかに2つ。初対戦から7試合連続でクリーンシート達成している。札幌はまずは得点を挙げて苦手意識を払しょくしたいところ。
Head-to-Head④
【頼みの綱は・・・】
・川崎ホームにおいて、札幌所属の日本人選手が得点を挙げたことは一度もない。
札幌があげた2ゴールの得点者をみてみると2008年はダヴィ、2017年はヘイス。いずれもブラジル人であり、ブラジル人以外が等々力で得点を決めたことがないことになる。しかし、貴重なブラジル人の1人であるルーカス・フェルナンデスは出場停止。シャドーもWBもこなせて、今季出場時の1試合平均勝ち点が2.13でチームトップである彼の不在は痛い。となると期待がかかるのはもう1人のブラジル人。長期離脱明けになるが、離脱前は得点を量産して絶好調だったアンデルソン・ロペス!!
【川崎フロンターレ】
選手情報
・奈良竜樹が長期欠場中。
・田中碧は国際大会出場中のため離脱。
Match Facts
川崎のMatch Facts①
【直近の公式戦】
・公式戦11試合連続無敗。リーグ戦も10試合連続無敗継続中。
・リーグ戦で複数失点を喫したのは直近16試合で1試合だけ。
2017年末の15戦無敗以来となる記録は継続中。逆転での初優勝の支えになったあの追い上げに並ぶように1つ1つ数字を積み重ねている。その下支えになっているのは失点の少なさ。複数失点の試合は今季わずかに1試合。ホームでの複数失点は打ち合いになった昨年10月の神戸戦が最後だ。
川崎のMatch Facts②
【中断明け】
・中断明けのリーグ戦は直近11試合で9勝。
直近3年間の中断明けのリーグ戦15試合で負けたのは2つだけ(W12D1L2)。負けたのは広島戦と磐田戦はどちらもホームゲームなのはやや気がかりだが、比較的中断明けの試合は好成績を収めている。
川崎のMatch Facts③
【欲しいのは勝負強さ】
・85分以降の失点で勝ち点を落としたのは5回。
・6引き分けはリーグ最多。
前節の浦和戦に代表されるように、頭が痛いのは終盤の失点の多さ。85分以降の失点で勝ち点を落とした回数はすでに昨季1年間と並ぶ5回である。昨季開幕以降、終盤での失点で結果が変わってしまうケース10回のうち、半分はカップ戦におけるもの。来季のACLで上位進出を目論むならここは改善必須ポイントといえるだろう。
負けが少ないのはうれしいことだが、引き分けが素直に喜べないのはリードを守り切れずに、追いつかれる展開が多いから。名古屋戦を除けば、追いついた形での引き分けは17年10月の雨の日立台での柏戦までさかのぼる。今季の公式戦の8引き分けのうち、6回は先制して追いつかれたものになる。
川崎のMatch Facts④
【両MVP】
・小林悠は直近4試合の札幌戦でいずれも得点を決めている。
・家長昭博はキャリアで出場した札幌戦は7試合全勝。
札幌相手には個人レベルでもいい成績を挙げている選手が多い。4試合連続ゴールの小林悠を上回る相性の良さを見せるのは家長昭博。驚異的なのはリーグでの札幌戦はすべて得点かアシストを決めており。6試合で4ゴール5アシスト。およそ1試合で1.5ゴールに絡むペースで得点を量産している。
川崎のMatch Facts⑤
【指揮官の相性】
・鬼木監督はペトロビッチ率いるチームには3戦3勝
川崎にとって相性がいいのは指揮官同士の戦績においても言える話だ。鬼木監督はペドロビッチとの3回の対戦で13得点2失点で全勝。鬼木監督が最も多くの得点を挙げている相手指揮官がペドロビッチだ。
【北海道コンサドーレ札幌】
選手情報
・ルーカス・フェルナンデスは出場停止。
・菅大輝、岩崎悠人は国際大会出場のため離脱。
・日本代表を辞退した鈴木武蔵は全体練習に合流。
・チャナティップ、アンデルソン・ロペスも全体練習に合流済み。
・右膝軟骨損傷で手術の宮澤裕樹、左ふくらはぎを痛めた中野嘉大、4か月半ぶりの部分練習を開始した駒井善成は欠場予定。
Match Facts
札幌のMatch Facts①
【未勝利ストップはいい兆し】
・前節の勝利でリーグ戦連続未勝利を3で止める。
広島戦の勝利でリーグ戦の未勝利は3でストップ。2018年のペドロビッチの監督就任以降、リーグ戦の未勝利を3で止めたのは過去3回。1回目はその後10試合無敗、2回目は3連勝、今年に入って記録した3回目は4連勝+引き分けで5戦無敗。3試合未勝利からの勝利は連勝の幕開けになる?
札幌のMatch Facts②
【VSトップ6】
・現在のトップ6との対戦はここまで5戦で1勝4敗。
上位相手に苦戦する順位通りの戦績。逆に7位以下には9戦6勝と強さを見せている。トップ6最後の対戦相手は川崎。トップ6相手として唯一の勝利を挙げた横浜FM戦に続いて神奈川狩りなるだろうか。
札幌のMatch Facts③
【金曜日の神奈川は嫌な思い出?】
・神奈川県のチームとのアウェイゲームは直近12試合勝ちなし。・金曜開催のJ1はこれが3回目。いずれもアウェイで勝利していない。
しかし、実は神奈川県のチームは大の苦手としている札幌。神奈川のチームとのJ1での対戦は30試合で4勝のみ(D4L22)。湘南ベルマーレ、横浜フリューゲルスから1勝ずつ。マリノスから2勝。J1の神奈川のアウェイゲームでは15試合で一度も勝利していない(D3L12)。
数少ない金曜開催もいい思い出はない。C大阪に引き分け、横浜FMに敗れた昨季に続いて3回目のチャレンジになる金曜開催。三度目の正直はなるだろうか。
札幌のMatch Facts④
【キャリアで唯一・・・】
・ペドロビッチ監督はキャリア通算の川崎戦29試合で17敗(W5L7)。
今季のJは外国人指揮官の入れ替わりが非常に激しい。その中でも長年安定した成績を挙げているのがペドロビッチ。そんな彼が最も苦手としているのが川崎フロンターレである。日本のクラブの中で唯一1試合平均勝ち点が1.00を切っている対戦相手が川崎。文字通り、まさに天敵だ。
札幌のMatch Facts⑤
【待たれるのは救世主】
・直近6試合のうち4試合は無得点。
・チャナティップが得点に絡んだ試合は12試合連続で負けなし(W8D4)。
・アンデルソン・ロペスは90分毎の得点数がリーグで最も多い選手(0.78)
直近6試合での無得点試合の数は今季それ以前の15試合(3試合が無得点)よりも多く、無得点試合が増えているというのが一番上のデータ。下に紐づく2つのデータとは一見無関係そうだが、この直近6試合は彼ら2人の離脱のタイミングと重なる。この期間全欠場だったアンデルソン・ロペスと、離脱と復帰を繰り返していたチャナティップが本調子で臨めれば、鬼門突破の足掛かりになるはずだ。
ちなみにアンデルソン・ロペスに次いで、90分毎の得点数が多いのはウェリントン(0.71)。ウェリボール、強いぜ。
予想スタメン
展望
待ち人は負傷者
ビルドアップの時にGKを含めた菱形を形成すること、GKのソンユンがボールの収まりどころとして機能していることなど、直近で川崎が戦った大分や浦和と似たようなビルドアップを行う札幌。GKへの積極的にバックパスや高いポジションを多用する。
浦和や大分と違うのは菱形を構成するメンバー。この2チームは3バックのうちの2枚のCBが横幅を取ってCH1枚とひし形を形成するが、札幌は中央CBのミンテと最終ラインに落ちてきたCHの深井が横幅を取り、もう1枚のCHが菱形の頂点を担当する。ワイドのCB2枚はそれぞれSBのようにふるまう。
というわけで決断に迫られそうなのが川崎のSH。札幌のWBとCBどっちを見る?という選択ははっきりさせておきたいところ。
配置だけ見ると浦和でも見られた4-1-5のミシャ式だけど、ボール保持時に最終ラインとトップの距離を縮めて中盤空洞化をやるぜ!っていうミシャ式in浦和の原理を忠実に踏襲している感じは受けなかった。むしろ、最終ラインは深さを作って相手を引き込む要素が若干あった。
参考にした試合が撤退型3-6-1を敷いた広島と外捨てで中央をコンパクトにするFC東京だったこともあり、ボールはワイドから進める局面が多め。起点となることが多い福森や進藤は遠くを見る意識が強く、前線への長いフィードを蹴る頻度は比較的多い。次節の札幌はL・フェルナンデス、中野、駒井、菅などWBに欠場者が多く、サイドアタックにおけるCBの負担は多そう。スコアが欲しい展開ではCHにバランスを取らせて、ワイドに張るCBの位置取りが高くなっていたのはペドロビッチらしさが垣間見える。
撤退型の5バックだった広島相手には両ワイドが同時に上がることも許容していたが、重心が高めな川崎相手にリスク高めな両サイド上げを継続するかは微妙。WBで川崎のSHをピン止めして低い位置から福森のフィード力を生かし前線へ長いボールを送る戦い方がリスクが少ないだろうか。
中盤より前は起用される選手でだいぶカラーが変わる印象。中盤で起用される可能性が高い荒野は攻撃で前線に顔出してプラスワンになれる存在であるが、守備時のポジショニングにはやや難があり、高い位置に飛び出していって穴をあけるシーンも見られた。東京戦で先発した宮澤の方がバランス感覚には優れている。荒野の先発はややギャンブル要素が高くなる印象を受けた。
前線の組み合わせは非常に豊富。興梠に代表されるように中央でCFがコンビネーションの軸になるのがミシャ式のイメージだが、今季はスペースで受けられる鈴木武蔵を軸に、深さを使いながらシャドーにスペースを与えていくアプローチがメイン。彼がベンチに回るならジェイのキープを活かすという異なる戦い方になるだろう。
シャドーはボールを運べるタイプのチャナティップやL・フェルナンデスや広く動き回る早坂や荒野の組み合わせ。フィニッシャーとして今季猛威を振るっていたアンデルソン・ロペスが帰ってくるのは札幌にとって心強いはず。ドリブルで相手を剥がせるチャナティップとフィニッシャーのアンデルソン・ロペスにどのようにしてスペースを与えるかが大事なポイントになりそう。苦手の等々力から勝ち点を持ち帰るには復帰明けの前線の選手がチームの救世主となることが必須である。
待ち人は「あの3人」
最後には追い付かれたもののゲームを支配しつつ進めるという側面では悪くなかった浦和戦。今節のメンバーを予想するにあたってポイントとなりそうなのは、その浦和戦をどう評価するかになりそう。GKとCBの3枚に加えて、トゥーロンで田中が不在になるCH、絶好調の登里と長谷川まではスタメン予想に自信を持てる部分。
浦和戦で強さを見せた左とは違い、幅を取れなかった右サイドの家長と車屋、徐々にパス交換の回数は増えてきたとは言え連携がスムーズとは言えない小林とダミアンが継続起用されるかは未知数。スタメン組同様絶好調だった脇坂に加え、練習試合で好調をアピールした知念もここに割って入る可能性はある。
Match Factsでは家長と小林のMVPコンビの活躍の期待を込めたデータを紹介したが、もう1人のMVPである中村憲剛もそろそろ存在感を見せたい。札幌戦は昨年の等々力での対戦で鋭いプレスから先制点の起点になった。
昨年の対戦が7-0という大量得点での勝利となったのは、ことごとく前線のプレスがハマったという側面が大きい。上で述べたように札幌は最終ラインに選手を広く配置したり、GKを積極的にビルドアップに組み込むことでプレス回避の策は講じてきている。得意な相手とはいえ、昨季の再現を狙うのは虫が良すぎる。とはいえ、プレスの勘所を抑えた中村憲剛が札幌のビルドアップの自信を喪失させられれば、勝利を手繰り寄せられるはず。
小林、家長、中村のMVPトリオが同時にスタメンを張る可能性は低いが、序盤戦に多かった引き分けを勝ちに変えるためには、彼らのパフォーマンス向上は必須。新生川崎が中盤戦でブーストをかけるために必要なのは、2連覇を支えたベテランの力だ。札幌戦がその足掛かりになれば、得意の夏に向けて最高の中盤戦のスタートになるだろう。
参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)