■プレミアコンビが最下位から韓国を救い出す
グループステージ1試合を残し、すでに突破を決めているポルトガル。最終節は大幅なターンオーバー+まだまだ頑張りたいロナウドの組み合わせの先発である。一方の韓国は非常に厳しい状況。勝利は最低限で後は裏のカードの結果次第という形である。
得点が絶対に欲しいのは韓国なのだが、立ち上がりは非常に慎重だった。ポルトガルのバックラインに対しては自由にボールを持たせており、我慢しながらの序盤戦を想定していたのだろう。
ポルトガルはボールを持ちながらこのブロックを攻略できるか?が問われることになる。その答えを出すのにかかったのはわずか5分。最終ラインからのフィードで右サイドからのダロトの抜け出しを誘発。インサイドでオルタが待ち構えてシュートを叩き込む。一発でラインを破られてしまい、幸先が悪いスタートとなった韓国だった。
ビハインドになった韓国はまずはロングボールで様子見しつつ、どこから前進をできるか伺っていく。非保持では4-4-2にシフトしたポルトガル。プレッシングは前から行きたい前線と、ステイして守りたい中盤より後ろで意識が分断する場面があった。よって、韓国はギャップができた中盤からボールを進めることができる。
前進の基本線は長いボールを前線に背負う形で受けてもらい、その選手を追い越す形で奥を取ること。この動きの組み合わせで敵陣に進撃していく。
敵陣進撃以降の韓国にとって、大きな武器になったのはセットプレー。ショートコーナーからのデザインなど工夫が見られる形でポルトガルの守備陣を追い詰める。同点ゴールもセットプレー。ニアで潰れる形から中央に流れたボールをヨングォンが押し込んで追いついてみせる。
押し込まれた時間はポルトガルにとっては苦しいものだった。ベルナルドとブルーノ不在の中盤はボールの預けどころがなく、ロナウドが直線的な抜け出しを狙う以外はあまり陣地回復の手立てはなかった。
前半の終盤はボールを持てるようになったポルトガル。右サイドから裏を取る形を作り、エリア内にボールを入れるようになる。先制ゴールを決めたオルタはクロスの入り方がうまくマイナス方向で待てる。ポジショニングが巧みな選手である。
ポルトガルにはゴールを奪うチャンスがあったが、ことごとくロナウドが決めることができず。韓国を突き放せる時間帯をフイにしてしまう。
後半、再び韓国は4-5-1でのブロック守備で我慢のスタート。ボールを持つポルトガルはサイドの攻撃を意識しつつもそんなに急がない。崩せない状況が続いても悪くないという考え方で時計の針が進めていく流れとなった。
意外だったのは非保持時のポルトガルの振る舞い。高い位置からのプレッシングを強化し、相手を捕まえにいく形を前半よりも多く作っていた。保持のまったりとした感じとは異なり、アグレッシブな非保持で韓国から時間をとりあげにいく。
だが、得点が欲しい韓国にとってはポルトガルのプレスは自分たちが縦に急ぐ絶好の好機と言える。スピードある前線に素早くボールを渡し、韓国は前半よりも早いテンポの攻撃を増やしていく。点が欲しい韓国が、突破を決めているポルトガルにテンポアップを促されるという結構不思議な展開となった後半だった。
韓国はファン・ヒチャンの投入を合図にプレッシングを強化。非保持の局面でも勝負に出ていく。あとから出てきたウィジョによって4-4-2にシフトしたことも含め、勝てなければおしまいなので理解できる振る舞いと言えるだろう。裏の会場はウルグアイが2点リード。韓国はこの試合に勝てば逆転で突破を決めることができる。ベルナルドなどの主力を投入したポルトガルの選手交代も含め、試合は徐々にクライマックスを迎える。
しかし、交代から少し時間が経つと、両チームともにだらっと間延びした時間を迎えることに。中盤はボールを運ぶことができるけども、敵陣では固めた相手に攻めあぐねるという状況が続き、どちらも決め手を欠いている展開だった。
どちらにもチャンスが訪れないまま試合は後半追加タイムに。そんななかで終盤に絶好機を作り出したのは韓国。CKのカウンターから3人に囲まれたソンがヒチャンに股抜きでラストパス。これをヒチャンが決めてリードを奪う。
韓国のゴールとソンのアシストは見事だったが、ポルトガルがそもそもなんでそんなにズルズルと一発で自陣まで下げられるようなリスク管理をしていたのかは不思議。自分がウルグアイ人ならばポルトガルに恨み言の一つでも言いたくなるだろう。
試合はそのまま終了。他会場の結果を持って韓国は逆転でのノックアウトラウンド進出が決定。頼りになるプレミアコンビが後半追加タイムに引き寄せた勝利で最下位から生還することに成功した。
試合結果
2022.12.2
FIFA World Cup QATAR 2022
Group H 第3節
韓国 2-1 ポルトガル
エデュケーション・シティ・スタジアム
【得点者】
KOR:27′ ヨングォン, 90+1′ ヒチャン
POR:5′ オルタ
主審:ファクンド・テージョ