新体制も始動してる最中、このブログはまだ2024年にいます。今年も世界一遅い川崎の選手レビュー。まずはGKとDFから。
GK
1 チョン・ソンリョン
川崎の偉大な壁として君臨
もともと安定感が魅力なGKではあるが、今季はその安定感が非常に際立ったシーズンだといえるだろう。シーズン中盤にレギュラーを掴みかけた上福元が見せたクロス対応やポジショニングといった不安要素を復帰以降に存分に発揮。
足元に大幅な改善が見られなくとも、特に文句が出てこないということは、それ以外の要素が十分に高い水準を兼ね備えているのだ!ということなのか、川崎のサッカーがGKの足元の話に及ぶほど余裕があるものではない!ということはなのかはわからない。確かなのは近年毎年のように見られていたソンリョン懐疑論は無縁のシーズンといえるだろう。
安定感だけでなく、セービングに関しては爆発力もあった。例年以上にチームを救うセーブが多く、特に今季はハイボールに対して強みを見せた印象がある。決して身体能力が高いタイプではないのだけども、ジャンプのタイミングが抜群で間に合ってしまうというシーンもしばしば。わかりやすいところで言えば、最終節のファインセーブなどが代表例となるだろう。
年齢的にソンリョンの後継者の話は毎年出てくるのは当然ではあるが、今季後半のパフォーマンスであればもう1年見たいという気持ちが出てくるのも当然だと思う。例年とは異なり、GKの競争に打ち勝つことで存在感を示したことで川崎を長年支えた偉大な壁の高さを誇示したシーズンだったといえるのではないか。
21 安藤駿介
8年ぶりの公式戦出場はならず
今年も出番はなし。2016年以来の8年ぶりの公式戦出場は叶わなかった。ベンチ入りを果たしたのも2月のFFSCの神戸戦と、アウェイの山東戦の2試合だけ。おそらくはACL-Eは登録枠から漏れたと考えるのが妥当だろう。
22 早坂勇希
初出場を経てキャリア初のレンタルに
加入3年目にして今季はようやくスターターデビューを果たすことに。GK玉突き移籍とソンリョンの負傷が重なるタイミングとなった横浜FM戦でゴールマウスを守った。
3失点という結果だったものの、バタバタすることなくGKとして悪目立ちするプレーがなかったのは収穫だろう。特に難攻不落のPKを止めるところに手をかけたことで、アンロペから「めっちゃいいね」と声をかけられたのはハイライト。試合中と試合後に2回。日本語で。アンロペは陽気なやつである。
その試合以降の出番はなかったものの、ベンチ入りした試合では誰よりも目立つベンチワークでチームを鼓舞している姿が印象に残ったファンも多いのではないか。ベンチからでも存在感を出せるGKは頼もしい反面、そろそろプレータイムが欲しいところでもある。キャリア初のレンタル移籍がどう出るか。
98 山口瑠伊
苦難を救えるプレーが欲しい
突如、町田からやってきた世代別代表を経験したGK。今季は2つのルヴァンカップの1stレグに先発を果たした。クリーンシートに終わった甲府戦では悪くないパフォーマンスを見せた一方で、4失点の新潟戦では難しい90分を経験。
自ら失点を生み出してしまうような致命的なミスはないし、どの失点もそこに至るまでの守備に難があるのは明らかではあるのだが、訪れた局面への対応力や体さばきを見てしまうと、こういうスクランブルな局面を救うプレーを求めるのは難しいのかもしれないと思ってしまった。理不尽ではあるが、それをやってのける人が正GKなので仕方がない。
端正な顔出しを生かしたイケメン枠としてクラブから活用されており、ブリーラム戦ではファン・ウェルメスケルケンと共にさわやかにプールで過ごす姿を披露。2人のカッコよさで我々は何を見せられているのだろうという気持ちは確かに感じなかった。謎の説得力があるムービーだったなあれは。
99 上福元直人
ド派手なぶちあげ型GK
プレッシャーをかけられた中での鋭いショートパス、リベロのようにDFラインの裏に飛び出す守備。ショートパスのスキルと守備範囲という2点でソンリョンを上回る能力を持っているGKである。セービングに関してもハマれば止まらないタイプであり、ソンリョンと比べると安定感には欠けるものの、当たりだした時の爆発力に関しては引けを取らないといってもいいだろう。
個人的な2024年の展望としては23/24のACLまではソンリョンでいって、そこから上福元を組み込んだ保持に傾倒した新しいスタイルに挑戦するのではないか?と考えていた。実際に一時期はこの展望通りに話が進み、シーズン中盤は正GKとしてスターターでプレーすることも多かった。
ただし、プラスを多くもたらすGKである一方で、マイナスを多く計上してしまうGKでもあった。目測を誤ってリベロ役の飛び出しに失敗するとか、ショートパスで相手にプレゼントしてしまうとかはまだ自分の長所を生かしたチャレンジなのでギリギリ目をつぶれるが、ファーへのクロス対応が致命的という点はさすがに目をつぶれなかったなという印象。
1試合の中で2つくらいのスーパーセーブと1つのミスによる失点が同居するイメージ。FWみたいなポジションであればいい点に目を向けることはできるのだろうけど、GKだとそれは無理だよねということで徐々に出番を失っていった。
夏に移籍した湘南の試合をチェックすることはあまり多くはなかったが、ゴールマウスを守ることは多かった様子。ぶち上げ系のGKとしてこれからもJリーグを盛り上げていってほしい。
DF
2 高井幸大
20歳と見るか、川崎のレギュラーと見るか
五輪代表でのレギュラー、フル代表としてのキャリアスタート、そしてリーグのベストヤングプレイヤーと個人で見れば大きく飛躍の1年を果たしたといえるだろう。代表活動を含めて3000分級のプレータイムを稼ぐことが出来ているというのは20歳のCBとしてはかなり順調なキャリアであり、この点では同世代のタレントよりも明らかに前を言っている存在といえるだろう。
大胆不敵な持ち上がりに加えて、スケールの大きいフィジカルは大きな魅力。190㎝オーバーの身長は特に大きな武器であり、大型にも拘わらず特段重さを感じないところも武器の一つである。大型CBとして代表目線で言えばじっくりと育てたい逸材であるはずだ。
一方で川崎のレギュラーCBとしてとらえると正直プレー自体は物足りない部分もある。非保持においてはサイドに流れての潰しが甘く、陣形が歪んでいるにも関わらず、相手の攻撃の流れに歯止めをかけることが出来ない部分が多々。これによって相棒のCBが割を喰ってしまうというシーンは割と頻繁に見受けられた。CBとしての一番の難点は出て行く際のプレー選択に、陣形が歪んでいる計算が組み込まれていない軽さがあることだ。
加えて、ボックス内のクロス対応を見誤る部分もしばしば。保持でも魅力があるサイズのあるCBだが、Jリーグで他の追随を許さぬ無双をしているというよりはまだまだ成長中という感じはある。
シーズンを通してみると、4月に急にボールの雲行きが見えるようになるという超進化を遂げた一方で、夏前にはそのパフォーマンスも落ち着きが見られてしまうなど波が多い1年に。CBというポジションの特性上、ここは大きな足かせになるだろう。
ただ、先に述べたがこの年代でプレータイムを無理なく重ねていること自体は非常に素晴らしい。遅かれ早かれ海外には出て行くだろうが、それまでにこの課題を克服できれば良いのかなという感じ。試合に出ながら課題の克服にトライできているということ自体が大きなアドバンテージである。海外に挑戦する際には「定期的にプレーができている」というアドバンテージを崩さなくていいようなチーム選びには留意してほしいなと個人的には思う。
4 ジェジエウ
出た時間の貢献度は高まった
今季もハーフシーズンを欠場。昨季までの大怪我だけでなく、肉離れでの長期離脱という癖になりそうな負傷をしてしまったのは個人的には暗い見通しを感じる部分だったりする。
難しいのはパフォーマンス自体は昨シーズンよりも上向きであること。相手との間合いも測れず、競り合う空中戦の高さも記録できなかった昨シーズンに比べれば、プレーすることが出来ていた時間における貢献度は高いものがあった。
保持におけるキャリーにトライする精神もあり、この点ではブラジル人らしいボールを持つことに積極的なメンタリティが出てくる。何回でもいうが、できることとやらないことは全然違うのでとても重要な姿勢だ
というわけでシーズン中盤までは「さすがに今季までか・・・」という空気が漂っていたが、後半戦を見る限りは「ワンチャン残留ある・・?」というところまで引き戻すことが出来ていた感がある。右のCBとして計算できる大南の移籍も残留の後押しになったも推測される。
来季こそはフル稼働。ボールを運んで動かすプレーはサッカーで後天的にもっとも伸びしろがある部分だと思う。来季は保持へのトライと安定した稼働率の両立を測り、長谷部フロンターレの主軸として君臨してほしいところだ
5 佐々木旭
シフトチェンジでMVPに駆け上がった1年
個人的には文句なしで今年のMVPである。開幕前は三浦とファン・ウェルメスケルケンがスターターとされるSBのマルチな控えという位置づけだったはずだが、あれよあれよという間にフェードアウトしているCB陣によっていつの間にかCBが主戦場に。
これが佐々木の転機となった。持ち味である後方からのキャリーに加え、引き付けてリリースしての前進を体現。GKがなかなかビルドアップに組み込まれない川崎において後方からの組み立てのキーマンに。
素晴らしかったのはSBとしても高いパフォーマンスを見せたこと。アタッキングサード付近までの持ち上がりからのミドルを放ったホームの浦和戦などは特に鮮烈な一撃であった。得点に直接絡む場面でなくとも幅を取るのが苦手な前目のユニット合わせて大外からのドリブルで大外を担当するなど、実にマルチな活躍で川崎のDFラインを支え続けた。
懸念とされていた非保持時での強度面も難なくクリア。守備におけるプレーはよりフィジカルに恵まれている高井を凌ぐ精度。リーグの優秀選手にえらばれたのは高井だが、川崎サポからすればこちらもぜひ!という思いだろう。SBのバックアッパー枠としてスタートしたシーズンはCBの柱という思いもよらない顛末を迎えることとなった。
大きかったのはやはり長い期間の離脱を伴う負傷がなかったことだろう。佐々木はこれまでに何とか飛躍のきっかけをつかみそうになりながらも離脱でプレータイムを取り上げられしまうことが多かった。シーズン4000分を越えるプレータイムで名実ともに主軸としてプレーできた2024年には本人のたゆまぬコンディション調整の努力があったはず。敬意を表したい。
来季は自身の活躍はもちろんのこと、周りのパフォーマンスを引き上げる存在になってほしい。個人の目標として「タイトルを獲る」ことを掲げていたのはそういうことだろう。意識の高さでチームを引っ張り、周りの競争意識を高いところに持っていく。今の川崎であればこの役割は佐々木が適任ではないだろうか。
7 車屋紳太郎
居場所探しから再スタート
非常に苦しいシーズンとなった。シーズン頭を負傷した状態で迎えていたことに加えて、もともと負傷に強くないということを踏まえれば、年間を通じてのレギュラーは難しいと考えるところまでは予想できたが、シーズンを通してほとんど稼働ができないシーズンとなった。
ズルズルと復帰は後ろ倒しとなってしまい、戦列に復帰したのは夏。リーグ戦でのプレータイム110分というのはリーグ戦初出場を記録した2014年シーズンを下回るキャリアワーストだった。
復帰以降もなかなかパフォーマンスは安定しない。初戦となった天皇杯の大分戦では明らかに1,2テンポ遅れてのバックスからの飛び出しがことごとく裏目に。守備で穴を空けるプレーが続出してしまい、複数失点の引き金となってしまった。
本調子に戻るまではそれなりに時間がかかるだろうなと思っていたところに、怪我のセットバックも重なり再び離脱。今季はほぼ怪我と付き合い続けるシーズンとなってしまった。
このままの陣容ならば左のCBはかなり人数がいるのが2025年の川崎。SBができることは強みにはなるだろうが、負傷明けの状態でどこまで上下動できるかは未知数である。
ここに来て居場所探しに苦戦することとなった車屋。2025年はリベンジのシーズンにしたいところだが。
13 三浦颯太
内外問わない質と噛み合ったシステム変更
おそらくは引く手あまただったであろう争奪戦を制し、甲府から鳴り物入りで加入した新進気鋭のSB。川崎のユニフォームを着る前に代表のユニフォームを着た状態で川崎ファンの心を掴むというのは五輪時代の原川を彷彿とさせたのでちょっとだけ不安がよぎったりもしていたのだが、そんな心配も何のその。チームはおろか、リーグを見たわしても有数に入る優良なディールになったと思う。
素晴らしいのは内側でも外側でもプレーエリアを選ばずに活躍できる点だ。いわゆる偽SBのようなゲームメーカーとして運用するのはすこし無理があるように思うが、敵陣であれば内側のルートであっても相手の守備ブロックのギャップを縫うように侵入し、パンチ力のあるミドルを放つという得点パターンを作ることが出来る。
大外からは高いクロスの精度が持ち味。離脱での復帰戦となった日立台での柏戦では早速の精度を見せて山田のゴールをアシスト。不在時に感じていた存在の大きさを復帰して改めてファンに突き付けるパフォーマンスを見せた。川崎がリーグを制していた時代と比べると、いろいろとクオリティが下がっていることを突き付けられる場面は多いが、SBのクロス精度だけは当時よりもクオリティは上かもしれない。
サイドアタックにおける存在感はシステム変更とも親和性が高かった。シーズン途中に4-2-3-1にシフトしたことで川崎はサイドにおけるトライアングルでの崩しが減少。二人称での攻撃が増えることとなった。突破力、大外のクロスの両面で勝負できる三浦の存在は非常に大きいものがあった。
難点を挙げるとすれば非保持に回った時のクロス対応になるだろうか。逆サイドからやってくるボールに対するケアの甘さはたびたび見られる。おそらく、ここは代表を狙う上でも重要な部分。Jから招集される攻撃が持ち味のSBは軒並みこの項目で足切りを食らっている感がある。三浦もこの点での懸念は例外ではないだろう。
来季はフルシーズン稼働して文字通り川崎の顔となってほしいところ。3バックだろうが4バックだろうが順当に行けばレギュラーが期待できるのも強み。2025年は更なる飛躍を遂げたい。
15 田邉秀斗
言い訳しにくい環境で苦しむ1年
DF陣に負傷者が続出した2023年に千葉からシーズン途中にレンタルバック。そのまま自身も負傷してしまうという苦しいシーズンを過ごす。
今年こそは!というシーズンにしたいところではあったが、2024年もなかなか芽が出ない1年間となってしまった感がある。最大の問題点は非保持における相手との間合いだろう。間に合わないタイミングで寄せてしまったり、あるいはコンタクトが過剰になってしまったりなど、退場しないかもしくは相手選手に怪我をさせないが見ていてひやひやしてしまう。
出番がないというケースにおいてはレギュラーの壁が高いという環境要因もあったりはするが、今季に関しては三浦とファン・ウェルメスケルケンというレギュラー2枚はある程度の期間はまとまって離脱をしているので、正直環境要因での言い訳は効かないなという感じ。本職ではない橘田が3番手として重用されることもしばしばだったが、この位置に田邉が収まるほど成長してほしかったというのが本音だろう。
天皇杯では思い切った攻め上がりで限られた時間での存在感を発揮するなど、今の川崎にもバリューはもたらせるように思う。まずはバタバタしないこと、そのうえで「これで勝負する!」という武器を確立すること。言い訳の効かない環境で戦うのは苦しいこともあるが、何とか乗り越えてほしいところだろう。
31 ファン・ウェルメスケルケン・際
幅の広いプレースタイルでレギュラー定着
移籍市場の最終盤にオランダから逆輸入でやってきたSB。シーズン序盤は長らくベンチ外が続き、やや出遅れた感があったが、中盤以降はレギュラーとしてのポジションを奪取。ターンオーバーでスターターではないケースもあったが、シーズンの半分から2/3くらいはレギュラーを守ったといっていいだろう。
内外どちらのレーンでも勝負ができるというのは三浦と同じポイント。低い位置で絞りながらゲームメイクに関与することも可能であり、特に左サイドではボールを隠すように内側にドリブルしながら中盤を解放する形を作ることもできていた。
定点攻撃では大外からの精度の高いクロスを上げることもできるし、カウンターにおいては遅れて中央に飛び込む形からパンチ力のあるミドルをそれなりの確率で枠内に飛ばすことが出来ている。形を選ばずに高い位置での攻撃に貢献できる稀有な選手だ。
非保持においてはアタッカーに対する厳しい寄せがきっちりとできているため、スピードやパワーのあるアタッカーでも先手を封じながら対抗することが出来ている。欠点を挙げるとすればタフなチャージで警告を受けた後もプレーのテイストが変わらないこと。いつも通りできるといえば聞こえはいいが、2枚目をいつ貰ってもおかしくないテンションでタックルを平気な顔で仕掛けており、カードマネジメントは無鉄砲だ。
稼働率に関しても何試合に1回か休みを入れないとパフォーマンスが安定しない傾向が強い。もっとも、ここは前任者の高止まり安定が異常だっただけなので、気にする必要はないと思うけども。
キャラクター的にもメンタリティ的にも起用できるポジションとプレーの幅においても今の川崎において貴重な存在であることに間違いはない。あと、長いネーム好き同好会会員としてはどうにか背ネームをVAN WERMESKERKENにしてほしいです。よろしくお願いいたします。
35 丸山祐市
ワンポイント起用でも問題点は拭えない
山村と入れ替わるように加入したベテランCB。シーズンを通してみてみると獲得してなかったらもしかするともっと大変だったかもしれないが、めちゃめちゃチームを救ったかというと・・・という感じだろうか。
結果的にシーズンを通してほとんどの時期に車屋がいなかったという状況を踏まえれば1人選手を置いておきたいというフロントの方針は間違いではなかったのかもしれない。だが、丸山自身もかねてから懸念されていたように負傷の耐性は高くなく、高井が五輪で忙しい時期というもっともいてほしい時期にいなかったのは切なかった。そういう意味ではCB佐々木誕生の立役者ともいえそうだけども。
夏以降はCBの3番手としてコンスタントにプレー。動きがなくどっしりとしたCFであれば相手がフィジカルで優位を取っていても対抗できるというのが強み。代表格としては山東泰山のゼカ。動かなくても収められるやろというポテンシャル勝負系にはきっちり強みを見せた。
その一方で縦方向の駆け引きが入るとめっぽう後手を踏みやすいという難点がある。ボックスの外でのスピード勝負に難もあるし、ボックス内でもマークの付くと離れるの動きの使い分けが怪しいところもある。
保持においてはキックがうまいこととビルドアップに効果的に関与できることは別ということをまざまざと見せられたなという感じ。正確な左足からのフィードが得点につながるチャンスを生み出す反面、コンパクトなミドルブロックを組む相手には相性が悪く、強引なコースを通そうとしてはパスカットでカウンターのピンチを生み出す悪循環に入っていった。
稼働率、保持面、非保持面のいずれにおいても気になる点があるというのが正直なところで、獲得前に感じていた懸念はそのままだったなという印象は強い。長谷部監督のスタイルであればもしかすると相手に与えるスペースを制限できるのかもしれないので、そうなればもう少し能力に合ったスタイルのチームになるのかもしれないが。
44 セサル・アイダル
博打要素の強い守備が嫌われたか
シーズン途中にレンタル移籍で加入したコロンビア人の左利きのCB。高い身体能力を生かしたしなやかな身のこなしで相手のピンチを防ぐことが出来る。今の川崎のCB陣で言えばジェジエウの次に身体能力は高いかもしれない。なお、大南の移籍を考慮したリクルートだったのかは不明だ。利き足のバランスは結構悪くなった。
その一方で相手との間合いが合わないと簡単にすれ違われてあっという間にチャンスを作られてしまうこともしばしば。リスキーなスタイルに見合うプレーの成功率を叩き出せなかったことが秋以降の稼働率の大幅低下につながったということだろうか。
保持においては丸山ほどではないにしてもやはり運ぶことを大事にしないまま差し込む意識が強く、相手のパスの刈りどころになってしまうこともしばしばだった。要は丸山と似た立ち位置の中で非保持におけるミスした時のダメージが大きい分嫌われたという印象だろうか。その点で丸山に上の序列が与えられたことにより、シーズン終盤は行方不明となった。
そのため、レンタルバックが濃厚かと思われたが、予想を裏切っての買取成立で残留をすることとなった。身体能力は高そうなので押し引きさえ覚えればいきなり序列を一気に上げてもおかしくない。この辺りは長谷部監督の腕の見せ所になるだろう。
3 大南拓磨
いつでも帰ってきてください
シーズン序盤でもっともプレータイムを計算できるCBとして名前を挙げたのにあっさりと夏に退団。にゃろう。今すぐ帰ってこい。安定して出場できるタフネスと飛び出した際の責任の取り方の2つは川崎のCB陣にもっといいお手本にしてほしかった感がある。
つづく!