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「7連戦の心構え」~2025.3.29 J1 第7節 FC東京×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第7節
2025.3.29
FC東京(12位/2勝1分3敗/勝ち点7/得点4/失点5)
×
川崎フロンターレ(8位/2勝2分1敗/勝ち点8/得点7/失点3)
@味の素スタジアム

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦でFC東京の2勝、川崎の9勝。

FC東京ホームでの戦績

直近10戦でFC東京の2勝、川崎の8勝。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近11試合の多摩川クラシコのリーグ戦において川崎は10勝。
  • 昨年は3月30日に等々力で対戦。川崎が3-0で勝利している。
  • 味の素スタジアムでのクラシコにおいては川崎が直近の公式戦8戦で7勝。川崎は7勝すべてで複数得点を挙げており、そのうち6試合においては3得点以上。
  • 味の素スタジアムでのクラシコにおいて川崎は直近3年間で2人の退場者を出している。

スカッド情報

FC東京
  • 故障が続いていた遠藤渓太は練習に合流。
  • ペク・インファンはハムストリングの肉離れで離脱。
  • マルセロ・ヒアンは直近3試合の公式戦で欠場。
川崎フロンターレ
  • ジェジエウはトレーニングに合流。
  • イ・クンヒョンは左膝離断性骨軟骨炎及び左膝内側半月板損傷で長期離脱中。
  • 小林悠は左肩鎖関節脱臼で離脱。

予想スタメン

Match facts

FC東京
  • リーグ戦は直近3試合無得点。
    • 3月のゴールは20日のルヴァンカップ・奈良クラブ戦でのPKのゴールが唯一でオープンプレーからの得点がない。
  • 得点を決めた試合は3試合全て勝利している。
  • 5つの失点は全て60分以降に喫したもの。
  • 得点も含めて前半にスコアが動いた試合はここまで7試合で1回だけ。それ以外は全てスコアレスでハーフタイムを迎えている。
  • 松橋監督は川崎相手に公式戦7戦4勝。町田と並び最も勝利数が多い相手。
  • マルセロ・ヒアンは昨季のホームの川崎戦で1得点、1アシスト。横浜FC時代も含めて出場した2回のホーム川崎戦でいずれも勝利している。
川崎フロンターレ
  • 今季の公式戦は9試合で5つのクリーンシート。
    • 昨季は5つのクリーンシート達成に16試合かかった。
  • 直近4試合の公式戦は自軍か相手の少なくともどちらかが無得点。
  • 今季の得点のうち76%は後半に決めたもの。
  • 得失点差は4で鹿島に次いで大きい。
  • 今季のリーグ戦の得点者は7人。いずれも得点は1つずつ。
  • 3月のリーグ戦は直近9戦で1勝(D3,L5)。
    • 唯一の勝利が2024年のホームのFC東京戦。

予習

第4節 鹿島戦

第5節 湘南戦

第6節 福岡戦

ルヴァンカップ 1回戦 奈良クラブ戦

展望

目指す方向性の整理整頓が求められる

 ACLのファイナルラウンドへの切符は地獄の過密日程の入場券でもある。川崎はここから怒涛のリーグ戦7連戦が開幕。東京V戦までの7試合のリーグ戦を23日間で戦うことになる。

 初戦となる今節は川崎と同じく国内から新監督を招聘したFC東京。味スタの多摩川クラシコから過密日程の幕が上がることとなる。

 松橋監督が就任したFC東京はここまで3バックでフォーメーションを固定。監督のカラー通り、後方からボールをつなぎながらショートパスで前に進むことを狙っていくのが基本線ということになる。

 メンバーは固定気味。3バックは森重、岡、土肥がリーグのレギュラー、CHは高と橋本、WBは安斎、白井が基本で時々長友。シャドーは仲川と俵積田が基本だが、このポジションでは遠藤の全体練習の合流が報道されている。トップはマルセロ・ヒアンの離脱以降は山下が務めることが多い。

 この用兵から考えるとまずはある程度メンバーを固定しつつ、ボールを動かしていくことの精度を高めていこうという感じだろうか。CH、シャドーは降りるアクションを多く行い、バックスが強気のプレスを受けた際にもショートパスの受け手としてボールをもらいにいく。

 ただ、現段階でショートパス主体のスタイルがきっちりペイしているか?と言われると微妙なところ。上手くハマればそれこそ新潟のような細かいパスワークから相手のハイプレスを剥がすことができるが、そうなる頻度は現状では高くはない。逆に同サイドにきっちり封じ込まれる形から縦パスを相手に狙い撃ちされてカウンターを喰らうというシーンもあるくらいだ。

 ロングボールのターゲットのマルセロ・ヒアンが離脱してしまっているというのも辛いところ。ショートパス主体のスタイルにおいて、長いボールの逃しどころがあるかは重要。もちろん、背中に崖の状態だからこそ成熟する部分もあるかもしれないが、新潟にあってFC東京にあるもので言えば、お手軽に前進できるマルセロ・ヒアンの存在になると思う。ボールの逃しどころを確保しつつ、構築したいショートパスでの繋ぎのプレッシャーを和らげられれば理想ということになる。

 アタッキングサードにおいては左右の個性がかなり出ている印象。右サイドにボールがあるときは2人のCHや逆サイドのシャドーの俵積田も含めてボールサイドに顔を出すことが多い。多くの枚数をかけて同サイドを攻略しつつ、抜け出す選手を作り出して比較的速いクロスを入れ込むことでゴールを狙っていくのがFC東京のプランと言えるだろう。

 左サイドも3人程度の連携で攻撃は見せるが、右に比べると少ない人数で崩すことを意識する形。俵積田や遠藤は大外から勝負できる選手がいることも大きいのだろう。横断から密集した逆サイドからの展開を引き取りつつ、カットインからのシュートを狙うといったパターンもある。逆サイドからのクロスに飛び込むことも含めて、スコアリングに近い役割が求められる。特段出来が悪いとは思わないけども、俵積田にはもう少しゴール前でのプレー精度が欲しいところだろう。

 非保持においては5-2-3がベース。わざわざ2-3と表記したように、シャドーはかなりナローに絞ることで幅を狭く中央をケアするイメージである。無理に前からプレスにいくというよりはきっちりとミドルゾーンを締めていくというマイルドな形。前から行くこともなくはないが、奈良クラブにも交わされることはあったので、そこまで相手を飲み込むような精度は今の段階ではない。

 総じてスタイルとしてはまだ途上という印象。松橋監督の招聘というのはとてもFC東京らしい用兵だとは思うのだけども、FC東京は戦力が充実している分、迷いが生じて監督の前所属チームほどベクトルがはっきりしないチームになるというのはあるあるである。どこを伸ばし、どこを捨てるのかの整理の部分がきっちりできるかどうか。今の段階ではまだ雲行きは見えていない感じはする。

疲労している前提のスタイル

 ここから始まるハードな7連戦。単純にこの7試合を戦う上で前提となるのは「相手より疲弊している状況においてどこまで修正できるか?」というところだろう。横浜FMを除けば基本的には相手は自分たちよりもフレッシュな日程を戦うチームになる。

 もちろん、どの試合もコンディションを整えて臨みたいが、実際のところ相手より調整が難しくなる試合は必ず出てくるだろう。ただ、そういう試合を「スケジュールが悪い」という言い訳で落としてしまってはシンプルにそのまま勝ち点を落としてしまい、あっという間にタイトル争いから脱落してしまうことになるだろう。

 そういう意味では岡山戦は1つロールモデルになる試合ではあった。あの試合も相手の方がおそらくコンディションは優勢。そんな状態ながらも2,3つほど決定機やそれに準ずるチャンスはあった。もう少し、保持でのミスから発生してしまう相手のカウンターは抑制する必要があるとは思うのだけども、我慢をベースに少ないチャンスを生かし、相手に無理をさせる展開に持ち込むことでコンディションの差を埋めていきたい。

 その上で気になるのは非保持のスタンス。フォーメーションが噛み合わない相手が直近の相手に多かったこともあるかもしれないが、CHが前に出ていく形で前で刈り取る形は開幕当初よりも増えている。もちろん相手次第でこのプランはとてもきっちり刺さることもあるだろうが、過密日程を迎える状態でハイインテンシティベースの戦い方に徐々にシフトしているのは気になるところ。

 ただ、FC東京は十分にプレスをかける価値がある相手だとは思う。特にFC東京の左サイドのユニットはプレスのかけがいがある。岡をコーナー付近に追い込みつつ、外に逃がす選択肢を削りながら縦パスのカットを狙っていきたいところだ。

 ただ、深追いしすぎてしまい中盤でスペースを空けてしまうと細かいパスワークで穴を開けられてしまうリスクはある。展開的には後方のブロックをコンパクトに維持しながらレシーバーを塞ぐことが優先すべき場合もある。小柏、佐藤といった背後を狙うアクションがベースとなる選手が頭から登場すればもしかしたら話は違うかもしれないが、基本的にはおりてパスワークを行いながら、中盤のスペースを繋いで加速するというポイントは優先的に抑えていきたい。

 攻撃面においてはナローな守備をするFC東京のシャドーの外側は安全地帯。SBはここ数試合と同じく時間をもらえる想定はできるはず。また、FC東京の前線はプレスバックが甘いので一見人がいる中央でもサイドからパスを差し込めば、意外とCHは前を向ける時間を作れるかもしれない。

 基本的にはファストブレイクよりもボックス内での対応の連続にFC東京を追い込みたい。有望株ではあるとは思うが、岡や土肥といった面々はまだボックス内でのデュエルには不安要素がある。昨季はここでアドバンテージを握ったし、今季のここまでの戦いぶりを見ても森重も含めてミクロなマッチアップの中での駆け引きで優位に立ちたいところ。

 今の川崎のCFは誰が起用されても流れの中で消えやすいが、一瞬で仕事をするという意味ではエリソンの方が長谷部フロンターレの方向性にはフィットしているようにも思う。ただ、FC東京の守備陣を考えると、つっかけ続けられる山田も効くはず。ストライカー陣の復調も連戦を戦う上での重要なポイントになるはずだ。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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