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「長谷部スタイルを名にし負わば」~2025.3.16 J1 第6節 ファジアーノ岡山×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第6節
2025.3.16
ファジアーノ岡山(9位/2勝1分2敗/勝ち点7/得点5/失点3)
×
川崎フロンターレ(8位/2勝1分1敗/勝ち点7/得点7/失点3)
@JFE晴れの国スタジアム

戦績

近年の対戦成績

 過去の対戦は川崎が1勝。

Head-to-head

Head-to-head
  • 2019年の天皇杯が唯一の対戦。川崎がホーム扱いだが、会場は岡山。延長の末に家長昭博がPKで決勝点を決めた。

スカッド情報

ファジアーノ岡山
  • グレイソンが昨季の長期離脱以降、未だに出場がない。
川崎フロンターレ
  • ジェジエウはトレーニングに合流。
  • イ・クンヒョンは左膝離断性骨軟骨炎及び左膝内側半月板損傷で長期離脱中。
  • 小林悠は左肩鎖関節脱臼で離脱。

予想スタメン

Match facts

ファジアーノ岡山
  • 今季ここまで連勝も連敗もない。
  • 今季勝ち点をとった3試合はいずれもセットプレーから得点を取っている。
  • セットプレーからの得点は3つでC大阪と並んで最多。
  • 公式戦直近9試合で複数失点がない。
  • クロスの本数がここまで104本。これより多いのは浦和(111)だけ。
  • 木山監督は2020年に仙台を率いて川崎と対戦。ホームでもアウェイでも敗れている。
川崎フロンターレ
  • 負ければ昨季9月以来のリーグ戦連敗。
  • ACLから中3日の試合は直近4試合負けなし(W3,D1)
  • 今季の勝利は全て2得点以上を挙げたもの。
  • アウェイでのリーグ戦連勝になれば2024年8月以来。
  • 昇格組との対戦は直近14試合で4勝だけ(D4,L6)
  • 山田新は直近3試合でゴールがない。
    • 今季のアウェイの公式戦は全試合先発流。

予習

第3節 G大阪戦

第4節 清水戦

第5節 浦和戦

展望

ACL明けに迎えるタフなアウェイ

 ACLでは劇的な勝利を決めてサウジアラビアの切符を獲得。ファイナルステージ行きを決めた川崎だが、シーズンはまだ始まったばかり。リーグ戦に話を絞るのであれば、サウジアラビア行きのチケットは過酷な連戦への招待状とも取ることができる。

 ACLから中3日で迎える今節の相手は岡山。川崎が近年苦手としている昇格組との一戦を迎えることになる。

 木山監督に率いられてプレーオフを制した岡山。ここまでは5戦2勝とまずは残留という大目標に向けて順風満帆なスタートと言っていいだろう。得意なスタイルは非常にはっきりしており、ランアンドガンというべく直線的な流れを作り出していくのが持ち味となっている。

 攻撃の軸となるのは前線への長いボールや対角のパスなど大きな展開が中心。フィフティーのどちらに収まるかわからない状況においても、とにかく前に積極的にボールを入れるのが特徴である。その代わり、CF以外のロングボールの受け手は裏へ走ることが多く、守備側にエラーを引き起こさせるための工夫はしている印象だ。

 一美は中央にどっしりと構える形で長いボールを収める。ここにボールが入ると、ポストから中央でのコンビネーションも見えるがあまり使われるケースは少ない。逆にルカオが特に右サイドに流れて体を張り、強引にオーバーラップの時間を稼ぐことが多い。ちなみにであるが、ここまではスターターと控えのボーダーがきっちりと引かれており、先発するメンバーは比較的固定されている。CFのレギュラーは今は一美だ。

 上のスタッツでも紹介したが、基本的に攻撃の手段はサイドからのクロスに偏っている。やり直しは少なくシンプルに入れる形が中心。CFをターゲットにする形はもちろん、WB→WBのクロスが入ったりなどサイドのプレイヤーにも高い位置の攻撃参加が求められる。

 WBが攻撃に参加できているかどうかは岡山の攻撃がうまくいっているかどうかのバロメーター。前にスペースが空いている状態での攻め上がりは迫力満点で、特に柳貴博のオーバーラップはかなり得点に直結している印象だ。

 スペースがないところでの細かいプレーはそこまで得意ではないので、敵陣に押し込んでからはなかなか攻め手に苦しむこともある。だが、そこでチームを助けるのがここまで5得点中3得点を決めているセットプレー。シンプルな空中戦の強さで相手を上回ることができている。押し込む状況そのものが岡山にとって得点のチャンスと言い換えることもできる。

 プレスに関しては高い位置から出ていくところとリトリートで5-4-1を組むことを使い分けていく。特にミドルゾーンにおいてはシャドーは比較的ナロー気味に構えることで5-2-3っぽい陣形になるのが特徴でもある。

 ビハインドの時や、ロングボールで起点を作れない時などリズムを変えたい時はマンツーマンでのハイプレスにも出ていく。浦和相手にハイプレスが特に刺さっていた感はないが、バックラインが一発で破られてピンチ!という場面は多くなく、京都の3トップ相手にも渡り合ったことを踏まえれば強度は十分。アグレッシブなスタイルを身の上とする中でバックスが力負けしないのは大きい。

 今季のハードなコンタクトな基準を利用しているというか、人を捕まえるときに激しいコンタクトをすること自体には躊躇がなく、ボディコンタクトはタフなチーム。はっきり言ってACLの後に当たるチームとしては少しやりにくいタイプに分類されると思う。

 チームとして気になるのは少しランアンドガン感が強いので、残留のキーポイントになりそうなのはこのスタイルで夏場を駆け抜けられるかどうか。強度勝負に持ち込みつつそこで勝ってなんぼというところはあるので、連戦や走り切れない環境においては持ち味は出しにくいかもしれない。そこをどう克服するかが年間のテーマになるのかなと今のところは思っている。

サイドでチェーンを切って背走させる

 上海申花戦ではプレスのスタイルを見ても結構高い位置から当たりに行くことで主導権を握ったが、個人的には岡山相手には別のアプローチが必要に思う。縦に早い展開をポンポン使うというのは基本的には岡山の土俵に乗っかる格好。1週間の休養を経てホームゲームを迎える岡山にACL明けで正面衝突するのは得策ではない。

 そういう意味では少なくとも保持ではゆったりと落ち着きたさはある。前線から追いかける場面はあるが、あくまで基準は人。GKを絡めれば数的優位を確保できるし、シャドーとWBのスペース管理が怪しく、バックラインから左右に揺さぶることであっさりと守備のチェーンが切れる場面がある。

 基本的に守備の狙い目になりそうなのはサイドの守備のギャップだと思う。とりわけWBの前と後ろ。シャドーが内側に絞るケースが多い環境でWBがかなり前方をカバーしなければいけないケースが増える。当然その状況を引き起こせばWBの後ろは空く。シャドーの背後にCHが流れつつ、その背後を狙うことで一気に陣地回復という形は狙ってもいいと思う。

 岡山は守備が堅いチームなので一発で解決を狙うのではなく、このようにサイドでのギャップをつくことでバックラインに背走を強いる場面を多く作り出すのが重要になるはずだ。ラインを破るためのボックス攻略の手前でどこまでできるかがポイントになるだろう。乗せると怖いブローダーセン相手には早い段階で穴を開けたい。

 守備においてはまずはアバウトでフィフティーなボールに屈しないことが大事。正直、ジェジエウのようなタイプがここで復帰してくれると助かる。丸山は特になんだかんだCFに収められることがある。丸山サイドに流れるルカオが起点として機能してしまうと、彼らの持ち味であるWBの攻撃参加がカジュアルにできてしまう。

 岡山はとにかく前にガンガン入れてくる数勝負なので、長いボールで前後に揺さぶられないこと、そしてファーサイドのSBもクロス対応できっちりと仕事をすることが求められるだろう。今年のテーマは我慢。長谷部スタイルを名に負うチームであるのならば、数勝負の我慢比べで負けるわけにはいかない。

 ACL明けのタフな試合だが、リーグで敗戦が続いてしまえばサウジアラビアに向けてもテンションは落ちてしまう。サウジアラビアまでいい流れをつなげるかという異なる物語がここから始めることになる。個人的な話をすれば今は寝台特急に乗って岡山に向かっており、テンションはマックス。今季初の現地観戦で是非とも素晴らしい試合を見せてほしい。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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