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「へし折られた二本柱」~2025.2.5 カラバオカップ 準決勝 2nd leg ニューカッスル×アーセナル レビュー

プレビュー記事

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レビュー

積極策で「与えられたチャンス」を活かせず

 1st legのスコアは0-2。アウェイで2点差を確保したニューカッスルにとっては悲願のカラバオカップの初タイトルに向けてまずは決勝に王手というところだろう。

 ニューカッスルのこの試合のテーマは「2点リードを守るという命題をジョエリントン抜きでどのようにクリアするか?」にある。ジョエリントンは保持時のIHから非保持時は大外のWBの両面で存在感を生み出すことができる選手。守備における高い位置と低い位置の使い分けにおけるキーマンといってもいい。

 プレスとリトリートのキーマンを失ったニューカッスル。メンバー的には5-4-1での撤退を匂わせるものではあったが、蓋を開けてみればルイス・ホールを左のSHに置く4-4-2がメインストリーム。後ろ寄りと思われた布陣はむしろ前がかりであり、中盤のトナーリとギマランイスはトーマスとウーデゴールを高い位置から潰し続ける展開を作り出す。それだけでなくシェアがライスを潰しに出てくる場面も。バックスを削ってでも中盤で枚数を合わせることを意識しているのがこの日のニューカッスルだった。

 アーセナルとしてはニューカッスルがこの布陣で向かってきてくれたことは本来はチャンスだったように思う。ニューカッスル戦でいつも苦しむのはリトリートへの切り替えに対して、攻撃を完結することができず、ブロック守備を超えることができない展開。特にアーセナルの攻撃の肝であるサイドからの攻撃の動かし方に対して、WGとIHの献身的な守備で封じてくるというニューカッスルのスタンスを苦手としている。

 そういう意味ではハイプレスさえ超えてしまえば一気に攻め切ることができるチャンスはあるのがこの日のニューカッスルの守備。5バックをベースにしなかったことから、敵陣に押し込んでからも相手にハーフスペースをどのように封鎖するのか?という問いを投げかけることができる。

 だが、アーセナルはこのニューカッスルがくれたチャンスを活かすことができなかった。パスワークが遅く、ニューカッスルの中盤の前がかりなプレスには屈してしまい、引っ掛ける場面もちらほらあった。

 敵陣では「早く攻め切らなくては!」という意識があるのだろう。WGをはじめとするアタッカーが淡白な仕掛けからあっさりと攻撃を終わらせることもしばしば。トロサールのファークロスはニューカッスルには有効ではないし、ヌワネリの縦への仕掛けも孤立気味。この辺りはニューカッスルの4-4-2に対して、自陣での迎撃性能を聞いてみるように人数をかけた攻撃に移行しても良かったように思う。

前提が成り立たないハイプレス

 もう1つ、アーセナルにとって誤算だったのはハイプレスが機能しなかったことだろう。もっと詳しく言えば、寄せても長いボールで逃げられてしまい、縦に速い攻撃に移行されてしまったこと。同数でも受けることができるというのが、アーセナルのDF陣の強みであるが、この日はその前提が成り立たなかった。

 具体的にはイサクとゴードンの2トップが捕まえられなかった。ややサイドに流れて抜け出すパターンに加えて、イサクはサリバを背負って収めるパターンも。手前と背後を使い分けつつ、味方を生かして少人数で攻撃を完結させるというオーダーに見事に応えてみせた。

 イサクに関しては特にアーセナルは苦戦。序盤の抜け出しこそオフサイドでノーゴールとなったが、ウーデゴールが決定機を逃した直後にはついに長いボールからの攻撃が完結。サリバを背負って収めつつ、ゴードンとのワンツーでイサクが抜け出し、シュートの跳ね返りをマーフィーが押し込んでこの試合の先制点を奪う。これでトータルスコアは3-0だ。

 後半の頭にはハイプレスからニューカッスルが追加点。ラヤのパスを中盤で仕留め、この試合で狙っていた中盤での枚数合わせからトータルスコアが4点目となるゴールを決める。

 あとはいつものニューカッスル戦だ。時には5バックへの移行というリトリート成分を高める施策を打ちつつ、前へのプレスを忘れないという形でアーセナルを最後まで翻弄したニューカッスル。鬼門となるセント・ジェームズ・パークで沈黙したアーセナルは、ホームと同じく0-2というスコアで完敗。カラバオカップは準決勝で姿を消すこととなった。

あとがき

 いつものニューカッスル戦だったら、アドバンテージを握られた時点(この日は試合の頭からトータルスコアでの優位という観点でニューカッスルはアドバンテージがあった)で、リトリートをベースに逃げ切られるというのがお決まりのパターン。

 そういう意味ではこの日のニューカッスルはそのお決まりのパターンにはハマらなかった。そういう意味ではニューカッスルは積極策によってアーセナルにチャンスを与えてくれたと取ることもできたと思う。しかしながら、その機会をアーセナルは活かすことができなかった。

 2つの失点は前がかりな守備を少ない人数でひっくり返されたものと、ビルドアップをハイプレスで捕まえられたもの。ハイプレスによる主導権奪取とビルドアップによるプレス回避というのは今のアーセナルの強みの二本柱。個人的には4-0というトータルスコアよりも、後半の2つのゴールの奪われ方の方がダメージが大きいように思う。ここで歯が立たなければ、今のアーセナルには試合の勝ち目がない。

試合結果

2025.2.5
カラバオカップ
準決勝 2nd leg
ニューカッスル 2-0(AGG:4-0) アーセナル
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:19′ マーフィー, 52′ ゴードン
主審:サイモン・フーパー

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