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「優勝争いに登っていけるか?」~2025.6.21 J1 第21節 川崎フロンターレ×ヴィッセル神戸 プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第21節
2025.6.21
川崎フロンターレ(7位/8勝8分3敗/勝ち点32/得点31/失点19)
×
ヴィッセル神戸(6位/10勝3分6敗/勝ち点33/得点25/失点20)
@Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦で川崎は7勝、神戸の2勝、引き分けが3つ。

川崎ホームでの戦績

過去10戦で川崎の7勝、神戸の2勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近の公式戦7試合で連勝も連敗もないカード。
  • ここ3試合はホーム側が3連勝中。
  • ここ6試合の川崎戦で神戸は無得点試合がない。
  • しかし、川崎はホームの神戸戦において直近9戦で7勝。うち6勝は3得点以上を挙げている。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • イ・クンヒョンは長期離脱中。
  • エリソンは右膝内側側副靱帯損傷で離脱。
  • ジェジエウは部分合流。
ヴィッセル神戸
  • 武藤嘉紀は腰椎椎間孔狭窄で3ヶ月の離脱中。
  • 冨永虹七は左第5中足骨骨折で3ヶ月の離脱中。
  • 濱﨑健斗は右反復性肩関節脱臼で6ヶ月の離脱中。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • 直近7戦の公式戦で無敗(W5,D2)。
  • 敗れれば2011年以来初の神戸戦シーズンダブル。
  • ホームでの公式戦は直近9試合で無敗(W5,D4)
  • 直近6試合のリーグ戦のうち、5試合で複数得点。
  • 小林悠はこのカードで11得点を挙げており最多得点者。
  • 公式戦における後半の得点はここまで34点で前半(16)の倍以上。
ヴィッセル神戸
  • 公式戦直近6試合で5勝。
  • 直近6試合ですべて複数得点を挙げているが、いずれの試合でも失点をしている。
  • 直近19試合の公式戦でドローがない。
  • 先制された試合における勝利はここまで公式戦11試合で0。
  • 宮代大聖は直近のリーグ戦8試合で5得点。
    • 今季ここまで関東のチーム相手には得点を決めていない。
  • 宮代は神戸所属において公式戦63試合で23得点を挙げている。
    • 川崎時代は66試合で14得点。

予習

第18節 清水戦

第19節 柏戦

第20節 名古屋戦

展望

大黒柱不在を補う得点源

 広島、横浜FCと連勝を重ねる川崎。ACLも終わり、リーグ戦では少しずつ波に乗ってきている。週末の一戦は順位表ではすぐ上にいる神戸。川崎は週1のリズムが整ってきたこの時期に巻き返しを図りたいと思っているだろうが、後半の時期にもACLが絡んでくる神戸にとっては川崎以上にリーグ戦にフォーカスできる時期の戦績は重要なものになるはずだ。

 神戸のスタイルは従来と同じ。ソリッドなブロックを組みつつ、保持においてはシンプルさが優先。ロングボールを前線に当てて起点を作り、そこからサイドに展開し手早くクロスを上げる形が吉田監督の神戸の一貫した姿である。

 ただ、このスタイルを支え続けていた経験豊富なベテランは不在の時期が増えてきた感がある。神戸での川崎戦でいなかった武藤はこの試合でも欠場。今季はなかなかピッチ上の戦力としての力を発揮することができない苦しいシーズンである。

 大迫も武藤ほどではないにせよ、ここまでプレータイムに制限があったりなど従来のように支配的な立ち位置にはなれていない。フルタイムでの試合数はガクッと減っており、昨年に比べるとコンディションが整っていない印象だ。もちろん、リードしている試合の采配など戦略的にプレータイムを制限している場合もあるだろうが、ビハインドの試合でも下げられる光景は珍しくないものとなっている。

 逆に言えば前線にはそういった不在を埋めることができるタレントが台頭しているということでもある。宮代、佐々木といった面々は大迫のサポートキャストから前線のメインキャストに変貌し、泥臭い起点となる仕事をこなしつつ、スコアラーとしても躍動をすることができる。

 ただ、流れの中でも影響力という点では牽引してリーグ優勝をした大迫と武藤と比べるとやや見劣りしてしまうのは否めず。枠組み勝負というよりは中身の勝負というチームなので前線が強引に起点を作り、クロスを捩じ込むという点が見劣りしてしまうと苦しいところがある。

 近頃の神戸でこの部分を補っているのがセットプレーでの得点力。予習した3試合ではいずれもセットプレーで得点を決めている。スコアラーはフリーで走り込む宮代と競り合いから正確にコースを狙ったシュートを打ち込むことができているトゥーレル、そして直接FKを叩き込んだ扇原だ。

 中央に起点を作る、そして左右に振ってクロスを叩き込むというこれまでの攻撃のフレームは少し迫力は落ちているとは思う。その一方で押し込むこと自体で機会が担保されているセットプレーで得点力をキープしているのが直近の神戸だ。

 守備においては押し込まれるフェーズにおける耐性は高く、左右のCBのスライドで相手を片側に閉じ込めてクロスの状況をよくしないことは意識されている。雑にロングボールや中盤の縦パスを入れてくる相手を咎めるのはめっぽう得意で、その上で相手を前から制限する術も持っている。

 攻撃に繋げるという意味では中盤の扇原のボール奪取からのポジトラが機能すれば神戸にとっては大きな助けとなる。奪った後にすぐにフリーの味方に展開できる視野は動き出しをサボらない神戸の前線との相性が非常にいい。

セットプレーで描きたい青写真

 優勝争いという観点から見ると川崎と神戸は現状はフォロワー。ただし、川崎に関してはミッドウィークに延期分の消化があるので、ここで連勝をすれば自力で3位までは登ることができる。神戸を蹴落として鹿島のチェイサーとなるのがこの2連戦の目標ということになるだろう。

 当然、神戸は強敵なので紙一重の戦いになるだろう。展開的にやや例外と位置付けることができる昨年の等々力を除けば、一方的な展開になることは珍しく、僅差での勝敗決着が増えている。

 そうした均衡したカードにおいて重要なのはセットプレーだろう。神戸はセットプレーでの得点も多いが、直近の清水戦では2失点を喫するなどやや粗が目立つ。シーズンを通しての失点数は多くはないが、川崎のセットプレーでの得点数を考えるのであれば、ここは狙い目になる。

 清水戦の失点ではファーサイドに構える高木が完全にフリーになったことで2得点に繋がった。この試合以降は前川がファーサイドへのクロス対応を意識して行っているケースが見受けられる。

 なので、川崎としてはファーサイドの処理に動く前川の動きをファウルにならない範囲で制限できるかどうか。CKをファーに落としつつ、前川が触れない状態で飛び出してしまい、無人のゴールを狙う。そんな青写真のセットプレーを狙うのもいいかもしれない。

 オープンプレーにおいては中盤をどのように超えるかがポイントだろう。扇原のボール奪取は確かに脅威だが、可動範囲自体は広くないので、プレスを自陣に引き寄せてFW-MFのカバー範囲を間延びさせて扇原がカバーする範囲を広くすることでパンクさせたいところ。押し込み切るとCBのカバー範囲の広さが効いてくるので、中盤が攻撃の方向を制限できないまま攻め切る形ができれば川崎にとっては理想的だ。

 ビルドアップに関しては今のバックラインであれば信頼をおくことができるので、この点では神戸の前線と積極的に駆け引きをしていきたい。逆に安易にロングボールに逃げてしまうと、神戸はあっさりと回収することができる。ノエスタの一戦では特に山口のロングキックの精度の低さが相手にかかってしまった感がある。間延びした状況から縦に速い攻撃を仕掛ける術を神戸に与えるのは絶対に避けたい。

 ロングボールを蹴るな!ということを言いたいのではない。武器にする必要はある。ロングボールという逃げ場がないショートパス主体のビルドアップは脆い。人の入れ替え、気候、試合展開などショートパスで繋ぎきれない試合はJ1だとどうしても出てくる。相手を引き寄せながら長いボールを効果的に使うことができれば、景色は変わってくる。

 正直に思っていることを話すと、川崎が優勝争いを目指す上で一番懸念があるポジションはGKである。山口にはセービングの準備不足、ロングボールの活用と精度という面で課題がある。逆に言えば、この部分でGKが強みを見せることができれば、今の川崎はJリーグで優勝を争う力は十分にあると思う。ミスった時にしっぺ返しがキツい神戸戦でのロングボールの活用の仕方は非常に注目度が高いポイントだ。

 守備においてはロングボールの的をきっちりと中盤とDFで挟むこと。大迫がいなかろうが関係なく、神戸はロングボールを当てに行く。前線は走力があるのでパトリッキやエリキといった選手たちの裏抜けからぶっちぎるという新しいオプションもある。

 ただ、裏抜けの長いパスは大迫へのロングボールほどはアバウトな設計が許されないもの。きっちりと制限をかけて完璧な場所に通すパスに制限をかけ続けたい。裏抜けパスの怖いところは一度でも対応をミスれば退場のリスクと背中合わせであるということ。川崎も今季何回か冷や汗をかいた試合があるだけに、紙一重の展開になるであろう神戸戦でその展開を引いてしまうことだけは避けたい。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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