Fixture
明治安田 J1リーグ 第19節
2025.5.31
サンフレッチェ広島(3位/10勝2分5敗/勝ち点32/得点19/失点12)
×
川崎フロンターレ(7位/6勝8分3敗/勝ち点26/得点28/失点18)
@エディオンピースウィング広島
戦績
近年の対戦成績

直近5年間の対戦で広島の1勝、川崎の5勝、引き分けが4つ。
ホームでの戦績

直近10戦で広島の3勝、川崎の5勝、引き分けが2つ。
Head-to-head
- 直近3試合の広島戦で川崎は勝ちなし。
- 直近8試合でアウェイチームは1勝のみ。
- 2022年のエディスタで川崎が0-2での勝利。
- しかし、川崎は直近5試合の広島アウェイで1敗のみ(W2,D2)
- 川崎は広島ホームで12試合連続得点中。
スカッド情報
- 中島洋太朗は左膝外側半月板の手術で離脱。
- 筋肉系の問題を抱えている田中聡はベンチ外が続く。
- イ・クンヒョンは長期離脱中。車屋紳太郎もベンチ外が続く。
- 三浦颯太はアル・アハリ戦で負傷交代。
- エリソンは右膝内側側副靱帯損傷で離脱。
- 大島僚太、ジェジエウ、宮城天は部分合流。
予想スタメン

Match facts
- リーグ戦は4連敗の後、5連勝を記録。
- 直近7試合で複数失点がない。直近4試合での合計失点は1。
- 11失点はリーグで最も少ない。被枠内シュート数が38で他のチームよりも少なくとも10以上低い。
- 逆転勝利は3つあり、京都と並んでリーグ最多。
- 引き分けは2つで鹿島に次いで少ない
- ジャーメイン良は今季のリーグ戦4得点のうち、3得点が関東勢相手
- 川崎相手に昨季4得点を記録。
- リーグ戦は直近6試合で1敗のみ。
- アウェイでのリーグ戦は4試合勝ちなしで連敗中。
- リードを奪われてから得た勝ち点は11で柏と並んでリーグ最多。
- ただし、リードから勝ち点を落とした回数は6回で新潟(7回)に次いで多い。
- 直近のリーグ戦の8得点のうち、5得点が75分以降に生まれている。
- 長谷部監督はミヒャエル・スキッベ監督相手に8試合未勝利。
- 勝利をしたことがない監督の中でもっとも多い対戦回数
予習
第16節 G大阪戦

第17節 東京V戦

第18節 FC東京戦

展望
ミドル精度向上をどう捉える?
川崎がここまでのホーム4連戦で積んだ勝ち点は8。悪くはないが、手放しで喜べるほどでもないというのがこの勝ち点の推移だろう。少なくとも、ACLまでのドロー沼を清算して上位争いに食い込めるというところまではたどり着けていない。
そうした中で広島との一戦は非常に重要になる。自分たちより上のチームにきっちりと食らいついていけるかはモチベーションの観点でも大事なファクターとなるだろう。
広島のフォーメーションはいつも通りの3-4-3。スキッベ政権で一貫しているフォーメーションは今年も健在。この試合もほぼ間違いなくこの布陣で臨むこととなるだろう。
バックラインは左右にボールを動かしながら縦パスを入れ込む隙を狙っていく形。中央で切れ目をベースにつないでいくというよりは、幅を使いながら角度を付けつつインサイドに縦パスを入れるコースを探しているイメージである。縦パスのレシーブ役としてはジャーメインのポストが多く、ここから攻めるサイドを変えることが出来る。
WBは攻撃的なカラーは相変わらずでギャップが出来ればサイドの奥を素早く抉ることが可能だ。右サイドの中野は単独でのフリーランでも抜け出しからのチャンスメイクができており、大外からの打開策として効果的な手段となっている。
サイドから上げるクロスに枚数をかけることに関してはこのチームはとても優秀。中盤も入ってきて厚みを増すことが出来るし、ジェルマンを入れて2トップのような形に移行することもある。
何より怖いのはミドルゾーンのシュート精度が上がっていること。従来の広島はシュートをとにかく乱れ打つ一方で、確率の低い位置からのシュートを割と早い段階でチョイスするケースが多かったのだが、直近の試合では川辺やジェルマンなどが長いレンジのシュートを沈めている。
この2つのゴールはいずれもセットプレーのこぼれ球を拾ってのシュートとなっている。クロスの圧力を含めると押し込まれる展開を作られてしまうと、守備側としては少し厳しいところがある。ただし、シーズンを通してのシュートのオンターゲット率は依然として低い(リーグワースト3位)ので、この傾向は一過性のものである可能性もある。
一方でファストブレイクに関してはやや精度が落ちているようにも見える。ボールのレシーバーがバタバタしていることが多いし、かつ息を入れられるようなタメを作れるタイプもいない。直線的に急ぐプレーにおいては少なくともここ3試合は精度不足を感じるところがある。
非保持においてはマンツーで前からハメていくスタイルが基本だが、相手に持たせてもOKと判断すればスムーズにリトリートに移行してブロックを構築。東京V戦などでは相手にボールを持たせつつ、自分たちは引いて受けるような場面もあった。
特筆すべきは縦パスのカット能力の高さだろう。収まりさえすれば一番簡単に前進できる縦のルートを咎めるのは非常にうまく、圧力で敵陣に押し返すという点ではもしかするとJ1では一番かもしれない。広島の圧力の高さは保持だけではなく、非保持でもだ。
伊藤達哉を生かすためには・・・
広島攻略のプラン提示の前に勝ち点勘定の話をしよう。もうすでにシーズンの半分は過ぎている。ACL出場権~優勝争いに食い込むには少なく見積もっても勝ち点70は欲しいところ。川崎は残り試合は21試合で44ポイント必要になる。それが出来なければ他チームの勝ち点なんて気にしてる間もなく、優勝争いから足切りを食らうことになるだろう。
つまり、ここから勝ち点を積み重ねるペースはホーム4連戦での勝ち点ペースでは足りない。4試合中3試合に勝つというサイクルを繰り返せるかがボーダー。週1というスケジュールに戻るという川崎なりの利点をきっちり上積みにする必要がある。
加えて、上位勢の勝ち点を削ることが出来るかは優勝のボーダーを下げるという意味合いでも重要になる。よって、優勝争いへの参戦という目標を掲げるのであれば、この広島戦の結果は勝利以外失敗と受け止めていいだろう。
とはいえ、広島はやはり非常に強力な相手。まずはソリッドな守備に風穴を開ける必要がある。ポイントとなるのは縦への長いボールだろう。先ほど「縦パスを咎めるのは得意」と書いた広島の守備だが、仮に縦パスを収められてしまった際のリトリートへの切り替えは少し遅い節がある。
ラインを整え直し、陣形を組んでもう一度迎撃するまでの準備には少し時間がかかる。すなわち、縦パスを通してしまえば広島の弱い状況をあぶり出せる可能性があるということだ。
相手が最も得意な迎撃パターンが川崎にとっての大きな得点のチャンスになるというのがここ数試合を見た個人的な見解。虎穴に入らずんば虎子を得ずという状態である。
ボールを確実に収めることを前提とするのであれば、サイドに張った家長が最も確実な収めどころになるだろう。川崎でもっとも相手を背負える家長を相対的にデュエルに劣る相手のWBに当てるのが一番話が早い。
しかし、スピーディに敵陣を攻略するのであれば家長よりも伊藤を優先したいところ。そのためには伊藤が前を向いて勝負ができるポイントをほかに用意したい。そうなるとキーマンは山田。直近では不調であるが、広島戦では昨季どちらも活躍を見せた。オフザボールで影響を与える範囲の広さを考えれば、個人的には小林よりも山田の方が高い適性のように思える。
守備においてはサイドからの裏抜けをどの段階で咎められるか。とりわけ気にしたいのは中野のフリーラン。ここを苦し紛れでも上げさせてしまうと、川崎としては押し下げられた状態で広島の圧力をモロに受けてしまうことになる。ボールを受けた時点では少なくともプレッシャーをきっちりとかけたい。
最後に勝ち点換算の話に戻るが、川崎は勝ち点の割に得失点差が高い。要は勝った試合のスコアは大量得点差だが、勝ち切れていないということである。ただ、長谷部フロンターレのスタイルを考えると、そもそもしぶとく逃げ切る展開での勝ち点を伸ばす必要がある。間違いなく楽な展開にならない相手なだけに、ここで競り勝つ成功体験をなんとか手にしたいところだが。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)