Fixture
明治安田 J1リーグ 第10節
2025.4.12
清水エスパルス(10位/3勝2分4敗/勝ち点11/得点10/失点9)
×
川崎フロンターレ(3位/4勝4分1敗/勝ち点16/得点17/失点8)
@IAIスタジアム日本平
戦績
近年の対戦成績

直近10回の対戦で清水の1勝、川崎の8勝、引き分けが1つ。
清水ホームでの戦績

直近10戦で清水の2勝、川崎の7勝、引き分けが1つ。
Head-to-head
- 川崎は直近13試合のリーグの清水戦で無敗(W10,D3)
- このカードにおける直近3試合の清水の勝利はいずれも3得点以上を記録したもの。
- 直近12試合の清水アウェイでの公式戦において川崎は全ての試合で複数得点を挙げている。
- 最後に清水がホームで川崎に勝利したのは2015年。枝村匠馬が1得点2アシストの活躍で5-2での勝利。
スカッド情報
- 齊藤聖七は半月板損傷で離脱中。
- 山原怜音は離脱が続いている。
- イ・クンヒョンは左膝離断性骨軟骨炎及び左膝内側半月板損傷で長期離脱中。
- 大島僚太、ジェジエウは肉離れ、橘田健人は捻挫で離脱中。
- セサル・アイダルは前節の横浜FM戦で負傷交代。
- 宮城天は前節のアップで負傷しメンバー外に。
予想スタメン

Match facts
- 公式戦は3連敗中。リーグ戦は直近5試合で4敗。
- ホームでのリーグ戦は4試合で1敗のみ。
- 今季のリーグ戦の勝利はいずれもクリーンシート。
- リーグでの川崎戦において直近19試合クリーンシートがない。
- 今季ここまで先制点を許した試合では引き分け以上の結果を得ていない。
- 今季公式戦で得点を挙げた選手は8名。うち3名がDF登録の選手。
- 北爪健吾、住吉ジェラニレショーン、高木践。
- 北川航也は今季ここまでリーグ戦で4得点。長谷川元希、西村拓真、北野颯太と並び日本人選手ではトップタイ。
- 公式戦6試合無敗(W3,D3)
- 直近2試合のリーグ戦で5失点。それ以前の11試合で喫した失点数よりも多い。
- 4月のリーグ戦では直近8試合で1勝のみ(D5,L2)
- 中2日で迎えるリーグ戦は直近5試合で勝利がない(D3,L2)
- 小林悠は清水戦で12得点を挙げておりこのカードにおける最多得点者。
- ここまでのリーグ戦でのプレータイムはチョン・ソンリョンが180分、山口瑠伊が630分。いずれも記録した失点は4つずつ。
- ソンリョンは8本の枠内シュートで4失点を喫しており、セーブ率は50%。リーグワーストタイ。
予習
第7節 湘南戦

第8節 浦和戦
準備中
第9節 横浜FC戦
準備中
展望
同じ昇格組との共通点
ACLの影響を受けての7連戦は山場に入った感がある。長谷部監督がいくらコンディション重視のメンバーを組もうと、そろそろ週2日の試合のダメージは確実に出てきている。目に見えている部分でも橘田、ジェジエウ、大島、宮城が離脱。アイダルもこの試合にフィットするかはわからない。
正直なところ、レビュワー的にも(そして読む人にとっても)かなりハード。ただ、家で見たことを書いているだけの人間ですらしんどいのだから、実際にプレーしたりチームをマネジメントする側のハードさは想像を絶するものがある。
リーグの7連戦は日程的に最もきついところに差し掛かっている。中2日の2セット目、そして遠征連戦の1試合目となるのは日本平における清水との一戦だ。
清水はここまではトップハーフをキープ。上にあげたように直近のチームは連敗中ではあるが、それでも10位につけているということは序盤戦でかなりいいスタートを切ったということになる。
メンバーは固定気味だ。GKの沖、DFラインの高木、住吉、高橋、WBの北爪、吉田、そしてCHの宇野とブエノ。この7枚は直近3試合のリーグ戦ではいずれもスターターを飾っている。ここにあげたメンバーは(ミッドウィークのルヴァンカップの静岡ダービーでは高橋以外は入れ替えたが)リーグ戦では先発が続いている状態だ。
前線はミッドウィークの試合を挟むところでは入れ替えを敢行。おそらく1stセットである北川、乾、松崎がスターターを務めることが多いが、浦和戦ではこの3枚は総入れ替え。中原、西原、アフメドフが11人に名前を連ねている。ただし、前半ビハインドで終わったこの試合ではこの3人はハーフタイムに1stセットに総入れ替えを敢行したことを踏まえると、現状では前線の序列にも差があると踏まえるのが妥当なように思える。
清水は個人的には岡山に似ていると思う。一番の持ち味は局面のせめぎ合いで負けないこと。快勝だった湘南戦は強度での勝負で立ち位置勝負のポゼッションに圧し勝った印象があり、スライドしながらパスの受け手を延々と潰すことができている。
ただし、岡山ほど極端ではないのはフォーメーションが噛み合わない相手に対して前からプレスに無理にはいかないこと。浦和戦などはまずはプレスに行かずに様子見など慎重な姿勢が垣間見えていた。ただ、失点してからはプレスを強めていたので、どちらにしても前からプレスに出ていくのが持ち味のように思える。CBは前に出ていく潰しが強みなので、チームの守備の持ち味とCBのスタイルが噛み合っているのではないか。
保持においては自陣からGKを絡めたゆったりなポゼッションをしつつ、長いボールを縦につけて前進。そこで時間を作りつつ、左右のWBのオーバーラップを誘発し、サイドから攻撃を仕上げる。右のCBの高木も思い切った攻め上がりで敵陣でプレーすることが多い。セットプレーはもちろんのこと、CBの攻撃参加は魅力の1つ。ちなみに高木と住吉は左右を試合の中で入れ替えることがある。規則性はつかめなかったが、川崎戦においても同様の変更が試合の中で取られる可能性があるということは頭に入れておきたい。
長いボールをつけての前進→WBの攻撃参加という流れも岡山に似ているが、決定的に異なるのはインサイドのパス交換からのチャンスメイクが期待できること。細やかなショートパスの交換は岡山のアタッカー陣にはないもの。中央の狭いスペースにおけるパス交換はリスクも伴うものだが、ルカオというフィジカルモンスターで時間を作れる岡山とはその点が異なるということだろう。
シャドーアタッカーが独力でチャンスメイクができるのも清水の特筆すべきところ。乾、松崎といったカットインアタッカーの破壊力は十分でアタッキングサードでもう一押しの武器があるのも大きなポイントだろう。
メンバー固定によって成り立っている側面はあるので、夏を超えてクオリティを維持できるかが中長期的に見た課題のように思える。それでも局面で負けない強度がここまでのトップハーフの戦績を支えているのは間違いないだろう。
中盤中央の持ち味を引き出せるのは
長谷部監督は神奈川ダービーで大幅なメンバーの入れ替えを敢行。激闘な終盤戦を踏まえると、どこまで後半のメンバーが休めたかはわからないが、連戦が続いているメンバーは多くとも45分のプレーに止めて、体力面でのマネジメントに努めた。そういう点ではこの試合はミッドウィークにカップ戦があった敵軍と近いものに近づけようと努力したのかもしれない。
というわけでこの試合は再び連戦メンバーを軸にメンバーを組み直すことになるだろう。ただし、いくつか怪我人の影響からマネジメントがハードなポジションはある。大島と橘田の離脱が発表されたCHは基本的には山本と河原のプレータイムが長くなるだろうし、CBは水曜の試合中に痙攣を起こしたアイダルは容態が不明。
いくら入れ替え前提とはいえ、プレータイムが特に嵩んでいない車屋が土屋に取って代わられたのも、本人の負傷履歴を考えれば不安が残ってしまう。SBの佐々木のコンバート(このポジションも余裕があるわけじゃないけども)も踏まえて、ジェジエウが再び離脱したCB陣は再考を求められる可能性がある。
ここまでの4試合は2勝2分。個々の試合においてはもっとできる側面があるという感覚はあるが、それでも新チームがいきなり迎えた山場をこの勝ち点勘定で迎えているのは悪くないように思う。混戦のJリーグでひとまずACLまでにタイトルを見据えた勝ち点推移をキープするのであれば、残り3試合で少なくとも2勝が必要になるだろう。この試合は非常に苦手な昇格組相手だが、チームとしては得意な清水という非常にジンクス的にはあべこべな一戦となっている。
ただ、従来の4-4-2の清水と比べるとこの清水はやりにくさがあるように思う。まずは前からの強気のプレスにどのように排除するか。浦和のように4バックを組んでいるチームに対しては、前の5枚が片側サイドにグッと圧縮して一気に狭いサイドに捕まえにいく。
仕組みとしてはFC東京とかと近いイメージだが、1人の選手に呼応するプレスの連動性という観点では清水の方が力は上。この圧縮から脱し、逆サイドにボールを逃がせるかがポイント。例えば、横浜FM戦で見られた下のようなシーンとかが再現できれば清水相手にも通用すると思う。

あるいはCB陣は前への矢印は強いが、奥行きを使った攻め筋には前向きなプレスほどの強みを感じない側面がある。横浜FC戦ではサイドの深い位置に流れる前線に対して後手に回ったところからクロスで失点。サイドに揺さぶられた分、ボックス内の守備も乱れたのか、本来の高さを考えるとあっさりと失点をしてしまった印象だ。前線には山田かエリソンが入ると考えられるが、中央でガッチリ持ち場をキープする形ではなく、左右に流れながら駆け引きをしたい。特に清水がハイプレスモードの時には。
守備においては中央の細かいパス交換を咎められるかが大きな要素。ここは清水の持ち味である一方で、川崎にとってはボールを奪ったところからカウンターに移行できる局面。河原のボールハント力を生かしたポゼッションから一気に攻撃に転じたい。
逆に、河原をどかされてしまい、カットインのミドルのスペースが空いてしまったりすると、川崎はピンチに追い込まれる。中央での持ち味をどちらのチームが発揮できるかは試合の優劣を左右する可能性がある。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)