■押し込んでも押し込めなくても決め手がない
前節、レスターとの逆天王山に敗れ最下位に転落してしまったノッティンガム・フォレスト。しかしながら、クラブはスティーブ・クーパー監督と2025年まで契約延長を発表。最下位でも信頼感を示してこのスカッドを託す形となった。今節の対戦相手は中盤での守備で防波堤を気づくことで徐々に波に乗ってきたアストンビラである。
4-3-3で組み合った両チームの一戦は非常に慎重なものになった。トップのプレス位置はアンカー。かなり低い位置でブロックを敷くことになった。
というわけでボールを持つことを許された両チームのバックライン。フォレストはCBがGKを挟む形でポジションをとり、低い位置からのパス交換を志向する。IHが降りる動きを見せることもあり、短いパスからの組み立てを行う。
ビラのプレスを徐々に手前に引き出すと、フォレストの前線は裏を狙う。ジョンソン、デニスは共に右サイドから裏を狙い、ビラの陣形を縦に引き伸ばしていく。先制点はデニスの裏抜けで得たFKからである。決めたのもデニス自身。今季ここまで途中交代で振るわないパフォーマンスが続いていたが、ようやくここでゴールを決めて貢献することができた。
だが、ボールを持つ局面がより多かったのはビラである。フォレストはSHの意識が後ろに入るなど、ビラよりもさらにプレスの重心が低い状態に。ビラは左サイドを軸にコンビネーションから崩しを狙っていく。
ビラが両サイドから押し込んだことでフォレストはエリア内などの低い位置で受ける時間が長くなってくる。同点ゴールを決めたのはヤング。自然な流れでバイタルに入ってきたヤングがヘンダーソンも反応することができないミドルを打ち込んで同点に追いつく。
以降も試合はトランジッションが少ない我慢比べのような展開に。どちらかといえば優勢なのはビラ。フォレストはライン間のギブス=ホワイトに縦パスを受けてターンして前を向くことができればチャンスにはなるが、サイドの崩しがSBとWGの2人の形になりやすく、ビラのサイドはそこまで守ることに苦労しなかった。
それに比べればIHがうまく攻撃に絡んできたビラは3人目の動き出しから奥行きを作ることができる。ボールを持つ時間は長く、後半の深い時間になるとビラが押し込む一方的な展開になる。
イングスの投入でFWを実質2枚体制にしたり、4-2-3-1に変更して前がかりになる人数を増やすなど人員で工夫を見せるビラ。だが、最後までアタッキングサードの破壊力が高まることはなかった。
押し込んでも決め手がないビラとそもそも押し込めないフォレスト。どちらもチャンスらしいチャンスがないまま後半は経過し、互いに勝ち点を分け合うドローとなった。フォレストはこのドローで最下位脱出に成功している。
試合結果
2022.10.10
プレミアリーグ 第10節
ノッティンガム・フォレスト 1-1 アストンビラ
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:15’ デニス
AVL:22‘ ヤング
主審:アンソニー・テイラー