
奇策を咎めたマドリーが難なく宿敵を下す
マンチェスターではマドリーが土壇場で強さを発揮しアドバンテージを獲得。追い込まれたシティは魔境で勝利を手にすることが突破に向けた最低条件ということとなる。
シティのフォーメーションはやや奇策寄り。ハーランドを先発で使えなかった影響からか、マルムシュとサヴィーニョが2トップのように振る舞いつつ、トップ下にギュンドアンが入るようなやり方であった。
この奇策はどちらかといえば守備を軸に組んだもののように見える。2トップでCBを抑え、追い込んだサイドのCHをギュンドアンがスライドして抑える形。高い位置からのプレスでマドリー陣内でボールを奪おうという算段なのだろう。
しかしながら、端的に言えばこのハイプレスは通用せず。アセンシオがキャリーと裏へのパスでシティの守備をあっさりと揺さぶると、エムバペの抜け出しからマドリーは4分に先制。
確かにエムバペの抜け出しからの決定力は異常ではあったが、そもそもアセンシオが捕まらない状態がシティの守備がうまくいっていない証左なので、どちらにしてもという感じだろうか。セバージョス、チュアメニが距離をとって組み立てるのも、この2人を監視したいギュンドアンにとっては辛いところである。シティはストーンズが8分に負傷交代するなど踏んだり蹴ったりなスタートとなった。
先制点でさらに優位を強めたマドリーは4-4-2のミドルブロックで迎撃。シティのフォーメーションは保持ではあまり狙いも効果も見えず。トップがセンターラインに立たないことで移動を増やすというのはわかったが、互いがどのように動くかをあまり把握できていない感があり、どうにもならなかった。スペースレスの状態を攻略する術はなく、ハイプレスをひっくり返す形を作ってもマルムシュの抜け出しはアセンシオに止められてしまった。
ちなみにシティも同じくプレスラインを下げたので、試合は一気にゆったりとした展開に。ヴィニシウスは保持時はWGロールに移行し、3トップのような振る舞いを見せており、シティと違って遅攻においてもマドリーは攻略の余地が十分にありそうな風情であった。
なかなかブロックを攻略できないシティをよそにマドリーは追加点。チュアメニの対角パスから右サイドにボールを逃すと、ヴィニシウスの裏抜けからエムバペがゴール。この時点でほぼ勝ち抜けは確定と言っていいだろう。
シティは後半に4-4-2フラットにシフト。おそらくはよりシンプルにマンツーで潰しに行こうという算段なのだろう。バックスはマドリーのアタッカーになんとか食らいついていく形。それでも開始直後からゴンサレスのミスから警告を受けるなどあまりうまくいっていない感は継続である。前半の勘案だった保持面でも明快な解決策も特になさそうだった。
活性化しないシティを前にエムバペはブロックの外からの左足で追加点。ハットトリックでシティに引導を渡す。
シティは終了間際に1点を返すがこれがいっぱい。CLにおいて宿敵という立場で近年は激戦を繰り広げてきた両軍だが、今年はあっさりと決着がついた印象だ。
ひとこと
リーグを見ていてシティはハイプレスを武器に仕上げられなかったことがCLでは苦しそうだなと思ったけども、予想通りだったかな。
試合結果
2025.2.19
UEFAチャンピオンズリーグ
プレーオフ 2nd leg
レアル・マドリー 3-1(AGG:6-3) マンチェスター・シティ
エスタディオ・サンチャゴ・ベルナベウ
【得点者】
RMA:4′ 33′ 61′ エムバペ
Man City:90+2′ ゴンザレス
主審:イシュトヴァン・コヴァーチ