
コントラストくっきりの痛み分け
ドルトムントの保持局面は3-2-5。LSBのスヴェンソンがインサイドに絞る形だ。ミドルゾーンに構えるリールはトップ下のムカウがIHの一角となり、4-5-1気味に構える。対角に振っていく保持だが、リールの守備ブロックはついていく形。
リールの保持はCBが大きく開くショートパスベース。こちらも対角でなるべく広くピッチを使いたいスタンスだ。ドルトムントのプレスはより深追いをするスタンスでボールを追いかけ回していく。トランジッションであればドルトムントのチャンスはさらに広がる。バイノー=ギッテンスにボールが入れば攻撃は一気に加速する。
押し込むフェーズはドルトムントが増やす展開に。リールは自陣から脱出するためのパスをドルトムントの高い位置からの守備にカットされるシーンが続くことになる。安定した保持の局面が増えると、セットプレーからバイタルのミドルでアデイェミがドルトムントに先制点をもたらす。
先制点を機にプレスの押し引きは逆転。ドルトムントはブロックで構える場面が増え、逆にリールは前からのチェイシングが増える。そのため、ドルトムントの保持の支配感は減ったが、相手を動かしながら前進するという保持でいなす場面は増加したと言えるだろう。
前半の終盤のセットプレーでのチャンスはオフサイドでノーゴール。だが、ドルトムント優勢の前半を印象付けるには十分な締めくくりとなった。
後半は展開が一変。ボールを持つのはリール。広くバックラインからボールを動かしつつ、アンカー役のブアディが列移動で保持の枚数をコントロールする。
インサイドに差し込んでいくことでデイヴィットの存在感も増加。アウトサイドだけでなく、内側につけていく動きも増やしていく。するとこのインサイドからこじ開けに成功。デイヴィッドのポストから抜け出したハラルドソンが同点ゴールをもたらす。
以降もオープンな展開の中でリールがほんのり優位をキープする形。前線を交代してもドルトムントはなかなかリカバリーが効かない。
前半はドルトムント、後半はリールというコントラストがくっきりだったこの試合。内容通り、スコアもきっちりと痛み分けで1週間後の再戦に臨むこととなった。
ひとこと
リール、かなり前半から修正できた。最近見た中では相当ハーフタイムをうまく使ったチームだなと思った。
試合結果
2025.3.4
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 1st leg
ドルトムント 1-1 リール
シュタディオン・BVBドルトムント
【得点者】
BVB:22′ アデイェミ
LOSC:68′ ハラルドソン
主審:ホセ・マリア・サンチェス・マルティネス