
2nd legはドンナルンマの夜
アリソンの鬼神のような活躍で1st legで敵地でアドバンテージを得たリバプール。アンフィールドという心強い舞台で戦う上で非常に前向きな材料を持ち帰ったこととなる。
序盤はリードしているリバプールがハイプレスに出るスタート。ボールを奪ったら縦に早くのカウンターを仕掛ける。1st legと異なっていたのはプランではなく切れ味。同じことをやっても空転してしまった感のあるパルク・デ・フランスの試合とは異なり、アンフィールドでのリバプールは全てがシャープ。サラーが左サイドに出て行ったり、マック=アリスターが1列前に向かって行ったりなどいつも以上に枚数をかけたハイプレスでパリを苦しめる。
保持では後方から縦に速いパスを出すリバプール。そのまま攻め切れればそれでもいいし、そうでないのであればハイプレスに素早く移行。リーグでの2位以下との勝ち点差的に「ここにエネルギーを全て置いていける!」というような思い切った出力のプランとなった。
その甲斐あって、リバプールには序盤から決定機が。サラーに2つ、セットプレーからファン・ダイクが1つチャンスを迎えるが、いずれも枠には届かず阻まれてしまう。
ピンチを凌いだパリはプレス回避から一発回答。追い込まれていた右サイド側とは逆のメンデスから一気にデンベレに縦パスが通る。バルコラのバックドアからもう一度折り返しを受けたデンベレが強引にゴールをこじ開けてパリがトータルスコアで追いつく。
この先制点を境にリバプールのハイプレスには鈍りが出てくるように。パリは少しずつこのハイテンポに慣れていなしていく。特にメンデスが前を向いてキャリーできるようになった時はクリティカルな前進を見せることができる。先制点と同じようにバルコラのバックドアからのチャンスも出るなど少しずつ試合の構図は変化を見せる。アリソンの存在感は少しずつ高まっていく。
リバプールが敵陣でプレーするケースもあるのだけども、敵陣でのプレー精度がほんのり下がっていたのは気になるところ。またしてもサラーの前に立ちはだかるメンデスは2nd legでも脅威となっていたし、ドンナルンマのクロス対応の安定感が光る。保持でもう少し繋げればいうことはないのだけども、ドンナルンマなのだから仕方がない。
それでもパリは優勢のままハーフタイムに。トータルスコアはタイの状態で前半を終える。
迎えた後半、リバプールはセットプレーから先にチャンスを得るが、これを活かせずに終わるとほんのりと前半と同じくパリのポゼッションに移行。ただ、ボールを奪った後のトランジッションの強度で主導権を握ったこともあり、後半はリバプールが徐々に圧力を高めていく展開となる。
パリはボックス内での粘りが光る。ドンナルンマのファインセーブももちろんだが、体を投げ出すパチョのプレーも見逃せない。
ラッシュからのチャンスを仕留めきれない展開が続いたリバプールはアレクサンダー=アーノルドが負傷。これで試合の展開はやや落ち着く。ただ、落ち着いた展開で自分たちのリズムに引き寄せられるほど、パリは反転攻勢には出ることができず。カウンターの目を潰すことで敵陣での圧力を高めていく。
誤算だったのは前線の連携がやや噛み合わなかったこと。特に交代で入ったヌニェスは味方とのフィーリングが合わないハズレの日を引いてしまった感が強く、オフザボールの動き出しを生かすことができていなかった。
試合は90分で決着がつかず。延長戦に突入する。延長はまずはパリがチャンスを掴む。ドゥエ、ベラウドとゴールに迫ったのは途中出場組だった。総じて、パリの方がゴールに迫る機会は多かったがミドルをミートし切ることはできず。アリソンの正面が多かった。
リバプールはサラーを軸とした攻撃から敵陣に入っていくが、なかなかゴールに向かうことができない。試合は両軍攻め手を欠いてしまいPK戦に突入。ドンナルンマが2本のPKを止めたパリが次のラウンドへの進出を決めた。
ひとこと
プレス回避が鬼のパリ。本意気のリバプールのプレスを15分くらいでいなせるようになるのはさすがであった。
試合結果
2025.3.11
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 2nd leg
リバプール 0-1(PK:1-4) パリ・サンジェルマン
アンフィールド
【得点者】
PSG:12′ デンベレ
主審:イシュトヴァン・コヴァーチ