
ルイス=スケリーの号砲でトゥヘル政権の幕が上がる
3月シリーズは主要コンペでの目標があるクラブに所属している選手にとってはなかなか代表活動に身が入らない時期。それでも今回のイングランドに注目が集まる理由はなんといってもトゥヘルの初陣だからだろう。W杯予選とともに幕開けするトゥヘルのスリーライオンズはホームでアルバニアを迎える試合からスタートする。
試合は一方的にイングランドがボールを持つ展開に。アルバニアはCFのウズニを中盤に残しつつ、今時珍しいくらいに中盤とバックラインを自陣に下げながらブロックを組んでいく。
というわけでイングランドは保持から壊すことが求められる展開。SBが絞る形を基本線として2-3-5の陣形をキープ。前線の選手が降りてくるアクションで人を入れ替えながら構造を維持する形でボールを動かしていく。ルイス=スケリーにとっては比較的クラブと同じ役割を託された形と捉えていいだろう。
人の入れ替わりは相当流動性を持たせていたイングランド。トップのケイン、ラッシュフォードなどもかなり自在にポジションを入れ替えていた。立ち位置をキープするきらいがあったのは右のWGのフォーデンが一番だっただろうか。
対角パス、トランジッションなど復帰したラッシュフォードのパフォーマンスも際立っていたが、試合を動かしたのはルイス=スケリー。中盤におりたベリンガムからのバックドアで抜け出し、ストラコジャの股の下を抜いて先制点を奪い取った。
先制点が入るまではロングボールからの反撃も通らなかったアルバニア。サイドからの陣地回復は失点後にほんのりできるように。高い位置からのプレスもそこそこに、試合は少しずつオープンにシフトしていく。
イングランドが強引にプレスに行かなかったこともあり、展開的にはフラットに。サイドから押し返す機会も作っていたアルバニアだったが、決定機を迎えたのはイングランド。ケイン、ラッシュフォードにはゴールを決める機会が与えられたが、どちらもこれを活かせず。試合はイングランドの1点のリードでハーフタイムを迎える。
後半の展開も前半の終盤と同じ。序盤ほどのイングランドの支配力は感じないながらも、まったりとした展開の中で時折イングランドが決定機を迎えるという流れとなっている。
先に仕掛けたのはアルバニア。ロングボールのターゲットとなれるブロヤが入ったことで少ない人数での攻撃が通るようになったアルバニア。ロングボールからチャンスを作ることでイングランドのバックラインを脅かす。
明らかにクリティカルにゴールに近寄られる機会が増えたイングランドはこちらも交代選手から流れを変えにいく。だが、試合を決めたのは変えずに残ったエース。ファーサイドでライスのクロスを引き取ったケインは対面の相手を外して見事にゴールをゲットする。
2点のセーフティリードできっちりゲームをクローズしたイングランド。トゥヘルの初陣を見事に飾った。
ひとこと
相手の強度には疑問があるが、まずは順調な船出を果たしたという印象だ。
試合結果
2025.3.21
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
欧州予選 グループK 第1節
イングランド 2-0 アルバニア
ウェンブリー・スタジアム
【得点者】
ENG:19′ ルイス=スケリー, 77′ ケイン
主審:アレハンドロ・エルナンデス