
夢の劇場で握りつぶされた希望
まだCL出場権のチャンスは残されているが、現在の順位は6位。CL出場権争いで言えばフォロワーの位置付けのアストンビラは最終節で勝利が必要となる。対するのは最終節直前に行われたEL決勝で敗れ、一足先にCL出場権の望みが絶たれてしまったユナイテッドだ。
普通に考えればモチベーションが高いのはアストンビラ。しかしながら、この試合の立ち上がりのスタンスだけを見ればCL出場権の可能性が残されているのはユナイテッドの方だと思うだろう。吹っ切れたのか前から絶え間なく相手のバックラインにプレスをかけ続け、ロングボールを蹴らせて回収。アストンビラはペナ角に追い込まれたパウ・トーレスの選択肢はマッギンのポストしかなく苦しいものだった。
一方でユナイテッドの保持の局面ではアストンビラが前からプレスをかけることができず。ユナイテッドの保持に対しては持たせてOKというスタンスだった。
それでコンパクトな陣形を維持することができるのならば問題ないが、ユナイテッドのバックラインのキャリーにあたふたしているうちに、ライン間と背後への対応に後手になってしまい、一気にシュートまで持っていかれる。慎重というよりは及び腰と言っていいだろう。
ロジャーズやアセンシオといった選手たちがインサイドで起点を作れる場面も少しずつ出てきており、そういう意味では巻き返しの跡が出てくるアストンビラ。ただし、前プレのギアアップができないという問題点は変わらず。基本的にはライン間と大外からあっさりと侵入することでユナイテッドがシュートの数を重ねていくという展開だった。
プレスのギアアップを図った前半の終盤、ビラにミスが出るように。プレスに屈したキャッシュが雑なバックパスからマルティネスが退場に。前半終了間際にビラは10人に追い込まれる。
迎えた後半は想像通り、ユナイテッドは前半以上に押し込んでいく。ワイドのCBの攻撃参加から人数をかけて勝負をしていく。
こうなると、もはやユナイテッドがいつ点を決めるのかというところにフォーカスされた展開に。しかし、オルセンの正面や、枠をとらえなかったりなどユナイテッドのシュート精度に難が出てくる。
ユナイテッドがモタモタしているうちにビラはワンチャンスからロジャースがゴールをこじ開けたかに見えたが、ファウル判定で取り消し。リプレイで見ると、バユンドゥルから綺麗にボールだけを突っついているので、個人的にはノーファウルかと思う。
このファウル判定が最後のビラの希望を潰した格好に。ファークロスに飛び込んだディアロがこのプレーの後にビラのゴールをこじ開けると、ここからはユナイテッドが完全に制圧。PKからの追加点も奪い、ビラの希望を握りつぶした。
ひとこと
あのゴール取り消し判定は問題だなぁ。
試合結果
2025.5.25
プレミアリーグ 第38節
マンチェスター・ユナイテッド 2-0 アストンビラ
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:76′ ディアロ,87′(PK) エリクセン
主審:トーマス・ブラモール