Fixture
天皇杯 2回戦
2025.6.11
川崎フロンターレ
×
福島ユナイテッドFC
@等々力陸上競技場
予想スタメン

予習
第13節 鹿児島戦

第14節 相模原戦

第15節 松本戦

展望
パブリックイメージに反して…
ACLに向けて突っ走り続けた前半戦はここで一息。高井、神田、大関、土屋といった代表遠征組以外は一旦リフレッシュしてリスタートを図ることとなる。
代表ウィーク中に行われる天皇杯2回戦の相手は縁の深い福島ユナイテッド。相手チームを率いるのはあの寺田周平である。川崎レンタル組は契約条項により出場不可となる。
福島は土曜にリーグ戦を戦っており、川崎としては日程的には優位な立場で迎える久しぶりの試合となる。もっとも、その試合では勝利を挙げており勢いに乗っている状態となっているかもしれないが。
福島は現在J3では7位。尖っているのは得失点のスタッツで得点はリーグで2番目に多い一方で、失点はリーグワースト。非常に出入りが多いシーズンを送っているのが特徴ということとなる。
スタイル的には4-3-3が基本線。保持においてはバックラインが開きながらCBとGKを軸にボールを動かしていく。ショートパスを起点にする場合はアンカー役の針谷をフリーにすることが目標の一つとなる。左右への展開や裏抜け一発のタッチダウンパスを繋げることができるこの司令塔にボールを渡すことがチームの組み立て成立の第一要件ということとなる。
CHは降りるアクションを見せながら針谷をフリーにするための手段を模索。ポストからの落としでアンカーに前を向かせるイメージ。それだけ針谷の展開力を信用しているとも言えるだろう。
前線はナローに絞るケースが多く、インサイドで距離感を近くパスワークを敢行する。サイドにボールがある時も人数を同サイドにかける形が主流で狭いゾーンに多くの選手を絡めたパスワークからゴールを生み出す。直近の松本戦の決勝ゴールとなった矢島の得点もこのパターンからだ。この辺りは寺田監督就任以降のパブリックイメージと一致する部分だろう。
だが、ショートパスに傾倒しているチームかと言われるとそういうわけではない。特に松本戦ではロングボールも非常に多く、CFの樋口をターゲットとした形も多く見られた。相手の前線からプレスに来られた場合は特に躊躇なくボールを前に蹴り出す。決してつなぎとともに心中するタイプのチームではない。
ファストブレイクにおいては森のドリブルが光る。やや強引な嫌いもあるがファストブレイクにおける相手を置いていくことができる武器としてはここが一番と言っていいだろう。
守備は前からの意識は低くはないがややプレスは単発。前線から中盤のコンパクトネスには欠ける部分がある。この2つの要素が少なくない失点の引き金になっていることは正直想像しやすい。この部分のコンパクトさを維持し、ボールを取り返す局面をスマートにすることが今後順位を上げるための要素となるだろう。
強みは狙い目でもある
まずはビルドアップ。自軍のCBに相手のWGを食いつかせる形はきっちりと作りたい。特に左WGに入ることが多い森は前残りすることが多く、ここをCBで釣ることができれば簡単にSBからキャリーをすることができる。
福島は守備においてもWGはナロー気味なので高い位置をとるSBのケアができないということに関しては結構致命的な弱点になっている。川崎のように攻撃において極力なSBを持っているチームとしては持ち味が発揮しやすいチームと言えるだろう。
問題は高井が不在の右のCBで相手のWGをひきつけることができるかどうか?ジェジエウはこうした駆け引きを好んでトライする傾向がある。他の左が主戦場の選手に比べればまだ期待はできるかもしれない。ただ、ハードなのは間違いないだろう。
基本的にはこうした引き付けてリリースという形をピッチの各所でできれば福島のプレスを分断することは難しくはない。バックスがスキル的に難しいのであれば、サリーする中盤にこうした駆け引きを任せても問題はないように思う。中盤が最終ラインに落ちることで相手を引き付け、CBが広がればWGは引きつけやすくなる。福島のプレスの連動性を考えると、後ろが重くなるお釣りは返ってくるように思える。
敵陣まで運ぶことができればクロス対応からチャンスを作ることは難しくはなさそう。押し込まれた時の守備対応に追い込まれるとJ3最多失点の脆さが垣間見えることとなる。
非保持においては狙い済ました強気のプレスに出ていきたいところ。ショートパスでのパスワークは強みである反面、この部分でのミスが失点や退場につながっているのも事実だ。
狙い目は相手の強みでもある針谷周辺。「針谷に前を向かせる」という目的がはっきりしている分、パスのルートは非常に見えやすい。特に降りていくIHについていく形で針谷にもそのままプレッシャーをかけることができれば、ハイプレスからショートカウンターでの得点も見えてくる。
ハイプレスに出ていく時に怖いのはロングボールだが、樋口へのロングボールに関しては負けたくないところ。ここは誰が出たとしてもバックラインのデュエル強度を信頼したい。もう1つ、ハイプレスに出ていく時の懸念は体力だろうが、個人的にはここの部分がカテゴリーの差を一番感じる部分。強度面できっちりと相手に差があることを示したい。
選手主導か、チーム主導かは見えてこないところではあるがこの市場で川崎のスカッドのスリム化は進んでいる。5月の連戦から強調しているが、リーグ戦の間隔が空いてくれば今まで以上に出番のない選手のチャンスの可能性は狭まっていく。そういう選手にとってこの福島戦は重要な位置付けになるだろう。
例年、このラウンドは苦しむことが多く、川崎的には願わない展開で試合としての盛り上がりを見せることも少なくない。今年こそつまらない2回戦で川崎だけが得をする結果をきっちりと掴み切って欲しい。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)