
オールドファッションな図式でボタフォゴが大奮闘
欧州王者のパリに今節対峙するのは好調のブラジル勢からボタフォゴ。クラブW杯の伝統的な対立構造である欧州王者×ブラジル勢というマッチアップだ。
序盤からボールを動かしていく両チーム。パリは3バックにシフトし、右の大外をハキミが取るという4バックがアシンメトリーな役割を担う3-2-5。バックスに強気に来ないボタフォゴを粘り強く釣り出そうと後方でポゼッションを横に頻繁に行き来させて、中盤でドリブル起点の横断を見せるように。
一方のボタフォゴの保持のショートパスが主体。バックスが幅を開きながらボールを動かしていく。パリのハイプレスはさすがにオフシーズンモード。前からの猛プレスは見られなかった。
攻撃の鍵を握っていたのはともにサイド。ボタフォゴは右の大外のアルトゥールをヴィチーニョが追い越すという縦の関係から勝負。オーバーラップを活用するだけでなく、囮に使ってのクロスも活用しながらボックスに入れていく。
一方のパリはクワラツヘリアの左サイドが軸。独力のドリブルからあわやPKという場所でファウルをもらうなどさすがの切れ味を見せる。
ポゼッションの仕上げとなるサイド攻撃が目立っている展開だったが流れを変えたのはカウンター。ロングカウンターを独力で完結させたイゴール・ジェズスが2人のCBをものともせずに放ったゴールが先制弾を呼び込む。
このゴールでややパリの尻には火がついた様子。ファストブレイクに対する潰しの強度が上がったように見受けられた。その中でロングボールの的となるイゴール・ジェズスは面白い存在だった。
後半もなかなか流れが良くならないパリ。サイドに流れたジェズスに陣地回復を許す一方で、敵陣ではなかなか攻撃の起点を作れずに苦戦。頼みのサイド攻撃も粘り強いボタフォゴの守備に止められてしまう。
60分を待たずにエンリケは4枚の選手交代を実施。これでチーム全体の強度を引き上げる。ここは狙い通りといったところだが、ジェズスとアルトゥールを軸としたボタフォゴのカウンターは粘り強く数的不利の局面を押し下げることでパリときっちり張り合っていた。
終盤はかなりゴール前で殺傷性が高い攻撃を放っていたパリだったが、最後までボタフォゴは意地の守備で我慢に成功。南米王者が欧州王者を下し、スタジアムはグループステージ随一の盛り上がりを見せた。
ひとこと
ボタフォゴの強度面はパリと十分互角に渡り合うクオリティだった。
試合結果
2025.6.19
FIFA Club World Cup
グループB 第2節
パリ・サンジェルマン 0-1 ボタフォゴ
ローズボウルスタジアム
【得点者】
BOT:36′ イゴール・ジェズス
主審:ドリュー・フィッシャー