
後半に見つけた決壊の兆し
開幕節ではバイエルンに大敗を喫し、苦しいスタートとなったオークランド。一発勝負ではない分、今回の形式であれば他の強豪の胸を借りることもできる。欧州で長年実績を持っているベンフィカとの一戦は彼らにとって貴重なものになるだろう。
第1節と同じく、オークランドは基本的には撤退第一の安全運転の仕様。ベンフィカにボールを動かされることを許容する立ち上がりとなる。ベンフィカはCB+CHでの組み立てが基本線。SBのアウトゥネスはほぼインサイドに絞って中盤仕事、逆のSBであるカレーラスとディ・マリアがそれぞれ大外での幅取り役を担う。
縦への突破が軸となるカレーラスとカットインから裏へのパスやクロスを狙うディ・マリアを軸に攻撃を組み立てていくベンフィカ。後方への人数の残し方や、ボックス内への雪崩れ込み方を見る限りはこういう試合は慣れているのだろう。ポルトガル勢は特に国内で下位チームと当たる時はこんな感じだ。
しかし、バイエルンに比べればオークランドは圧を感じなかったはず。バックラインにはプレスに来ない分、保持に回ればオークランドは呼吸をすることができていたし、右サイドに人を集めての定点攻撃を行うことも。CHもサイドにスライドすることで同サイドには4,5枚での崩しを行うこともあった。
だが、やはり優位なのはベンフィカ。前半の終盤は対角のパスを軸にオークランドのボックス内の守備を揺さぶっていく。オークランドのGKのギャロフはパンチングでミドルの跳ね返しに専念。キャッチングを諦める潔さは、詰められているベンフィカの人数の多さを考えれば仕方ないところだろう。
オークランドの人海戦術は前半終了間際に決壊。ラゴスがプレスティアーニを倒してしまってPKを献上。ディ・マリアのゴールでベンフィカが前に出る。
後半も引き続き圧をかけていくベンフィカ。前半はサイド攻撃が軸となっていたが、後半は中央をこじ開けたパウリディスのゴールで早々にオークランドを突き放す。
突破のことを考えるとここは勝利ではなく得失点差まで考えたいベンフィカはレナト・サンチェスの投入を合図にさらに強度をアップ。自陣でのホルダーへのプレスが甘くなってしまったオークランドにもはや抵抗の術はなく、失点を重ねていく形に。
ゴールラッシュの幕を閉じたのはまたしてもディ・マリアのPK。前半と同じくATに、今度は自らが得たPKを決めて最終的にゴールは6得点に。後半にようやく波に乗ったベンフィカがオークランドを大差で下した。
ひとこと
やはり、格の違いはプランの持続性に出やすい。
試合結果
2025.6.20
FIFA Club World Cup
グループC 第2節
ベンフィカ 6-0 オークランド・シティ
Inter&Coスタジアム
【得点者】
BEN:45+8′(PK) 90+8′(PK) ディ・マリア,53′ パウリディス, 63′ サンチェス, 76′ 78′ バレイロ
主審:サルマン・ファラヒ