
巧みな受けへの回り方でベンフィカが首位通過
両チームの置かれている立場が異なる最終節。すでに突破を決めているバイエルンは主力をベンチに置く形にした一方で、勝利しなければ他会場次第では敗退の可能性があるベンフィカはこの一線に注力する形になった。
序盤からボールを持つのはバイエルン。2CB、2CHの陣形を微妙に変えながらビルドアップの枚数調整を敢行。時にはパリーニャが最終ラインに落ちる3バックになることもあった。
バイエルンの狙い目となるのはサイド。ビルドアップ隊でフリーマンを作ると、サイドにボールをつけてSB+SHでの連携で勝負。同じレーンで重なりながら追い越していく右サイドと、レーンを分けながら攻めていく左サイドの攻め筋は対照的だった。
ベンフィカは深い位置からの攻撃のスタートとなるが、縦に鋭くというよりは左右に相手を揺さぶりながらという感覚。CHの展開力を生かしながらサイドで攻撃を仕掛けていく。
このスタイルが実ったベンフィカは先制点をゲット。レナト・サンチェスが導いた右サイド攻撃はディ・マリア、アウルスネスのコンビネーションで完結。クロスをシェルデルップが仕留めてリードを奪う。
以降も試合はバイエルンがポゼッション、ベンフィカが限られた機会をポゼッションで広く攻撃仕掛けていく形に。ベンフィカは右サイドのディ・マリアの切れ味が光る展開だった。
ややミドルゾーンで引っ掛けることが多かったバイエルンだったが、飲水タイム明けから少しずつテンポを掴めるように。活性化した左サイドのオフザボールから深さをとってボックスに迫るシーンを作り出す。
右サイドからはサネのクロスからミュラーの決定機。しかし、クロスの高さがやや半端で頭でも足でも合わせられなかった。
暑さもあり両チームとも前半から消耗戦の様相もちらほら見られたのも印象的。試合はベンフィカのリードでハーフタイムを迎える。
後半、バイエルンは3枚交代から流れを変えにいく。引き分けで首位通過は欲しいというのがコンパニの考え方なのか、あるいは短期決戦でこの90分の過ごし方はいただけないと思ったかのどちらかだろう。
交代選手で特に流れを変えた感があったのは中盤のキミッヒ。裏を正確に狙うパスの連打で一気にベンフィカを窮地に追い込む。
ベンフィカはこれに対して選手交代で2列目を変更。攻撃に出た時の勢いを高める方向性の傭兵を選択。アクチュルコールがすぐに決定機を迎えるなどそれなりに効果はあったし、5バックにしないという選択に応えるかのようなオフサイド奪取での粘りは印象的だった。
終盤はそんなベンフィカも5バックにシフトすることで自陣を固める選択。最後はターを前線に上げるパワープレーに出たバイエルンを退けて見事逃げ切りに成功。グループC首位通過を果たした。
ひとこと
受けに回る側のベンフィカの4バックで粘ったりとか、縦に鋭くなかったりとかの細かい芸当が面白かった。
試合結果
2025.6.24
FIFA Club World Cup
グループC 第3節
ベンフィカ 1-0 バイエルン
バンク・オブ・アメリカ・スタジアム
【得点者】
SLB:13′ シェルデルップ
主審:フランソワ・レティシエ