
歴史に名を刻む完勝
雨天の関係でKOが大幅に遅れたこの試合。南アフリカの雄であるマメロティに挑むのは我らが川崎との縁が深い蔚山である。
序盤からボールの所有権は非常にはっきりしていたこの試合。蔚山は5-4-1を組み、バックラインにはプレッシャーをかけずに相手にボールを持たれることを許容する。
マメロディは左SBのルンガが大外に張る形でビルドアップに関与せず。CHはアジェンデとモコエナの2人が軸となり、残った3人のDFラインとともにボールを動かしていく。前線の3枚は非常にナローでポジションを変えながらのコンビネーションを狙っていく形だ。
マメロディのパスワークのスピード感は天気通りに雨上がりの気だるさを引きずっているかのようなスローリーな形。敵陣で何もかもを押さえ込みにいく凄みのようなものは感じなかった。
蔚山はボールを奪うと、マンツーで前から潰しにくるマメロディのハイプレスを回避しにいく。WBのウォンサングのスピードを生かして右サイドの奥をとるか、もしくは逆サイドに広げてポゼッションをするか。前線自体はキープ力があるので、まずは前の3枚にボールを当てて時間を作ってもらい、その間に中盤やワイドが突撃できれば厚みはできそうな蔚山の攻撃だった。
ただ、蔚山で気になるのは中央の守備。2CHが管理できるスペースが狭く、CBの迎撃もイマイチ。動き回るマメロディの前線を捕まえることができず、ライン間で反転からラストパスという形を許してしまい、あわやというシーンを作り出せず。1人少なかった混乱からCKでネットを揺らされたシーンもあり、守備は割と混乱気味。この場面はハンドで救われたが、結局はライン間からの加速を食い止めることはできず、レイナーズに先制ゴールを許してしまう。
失点してもテンポを変えることができない蔚山。ボールを奪いにいくところからリズムを作ることができない。終盤は相手のGKの飛び出しミスからチャンスを迎えるが、これも相手のDFのクリアに阻まれてノーゴール。ハーフタイムをビハインドで迎える。
後半、蔚山はハイプレスで敵陣でのプレータイム増加を狙う。立ち上がりはその成果もあり、サイドでの人数をかけた攻撃が見られるなど多少の効果はあった。
しかし、徐々にこの状況にマメロディは対応。GKと2CBで蔚山のハイプレスを外すと、長いレンジのパスを前線に当ててのポストから加速するなどの前進で差を見せつける。時間の経過とともに前半のようなマメロディのまったりとしたポゼッションが続くようになっていく。
手詰まりになった蔚山は交代で打開を図る。トップに入ったラカバが馬力を出した蔚山は4-4-2へのシフトでオープンな展開を誘発しつつチャンスを狙っていく。
だが、最後まで馬力を失わなかったマメロディ。1点のリードを凌ぎきりチーム史上初のクラブW杯勝利を決めた。
ひとこと
ギアアップの引き出しの数が足りなかった感がある蔚山。
試合結果
2025.6.17
FIFA Club World Cup
グループF 第1節
蔚山HD 0-1 マメロディ・サンダウンズ
Inter&Coスタジアム
【得点者】
MSU:36′ レイナーズ
主審:クレマン・トゥルパン