ブライトン、25-26シーズンの歩み。
第1節 フラム戦(H)

窮地を乗り越え1ポイントを掠め取る
長年すっかり安定して中位をキープしている両チーム。今季も例年の順位をキープしつつ、さらなる飛躍を狙いたいところだろう。
今年も保持時には4-1-2-3に変化するフラム。ベルゲをアンカーとしてトップ下のキングがIHの一角に入る。一方のブライトンは左のSBのデ・クーパーのポジションどりが印象的。インサイドに入り込む場合もありつつ、トランジッション時には大外に立つことでファストブレイクを狙っていく。
その、デ・クーパーのオーバーラップからブライトンは早々にネットを揺らす。だが、折り返しのミンテのところでエンドを割っており判定はノーゴール。フラムは失点のピンチをなんとか回避したこととなった。
ハイプレスの応酬の中でどちらかといえば手応えを得たのはフラムの方。左サイドのイウォビをボールの預けどころとして攻撃を進めていく。推進力を見せているのは左のIHのキング。ハーフスペースアタックから背後を取るアクションを見せており、ここからボックス内に迫っていく。
サイド攻撃といえばブライトンの自信がある場所でもあるが、この日はやや不発気味。右の大外のミンテが止められてしまった感があった。フラムのこの日の左のSBに起用されているバッシーはブライトンのWG対策なのかどうかは気になるところだ。
30分が過ぎると少しずつブライトンは保持率をアップ。右サイドから左サイドへの対角パスからチャンスを作っていこうとする。押し下げたところからジリっと前からのプレスに出ていくなどトランジッションを仕掛けていく。フラムは背後に引っ張る形からロングボールを引き出していくヒメネスが攻撃を牽引していく。
スコアレスで迎えた後半、試合はロングボールの応酬でスタート。そうした中でも目立ったのは後半もキング。押し込んでいくフラムの攻撃を牽引する。
しかし、ブライトンは速攻に活路。三笘、ミンテ、ラターの3人を軸とするファストブレイクが牙をむく。直前のシーンでデ・クーパーとのコンビでゴールを脅かした三笘の助けを借りたラターの猛進でPKを奪取。このPKをオライリーが仕留めて先制する。
追いかけることになったフラムは深い位置からのビルドアップで引き続き前進を狙う。ブライトンは引き続きプレスに出ていったが、やや空転気味である。だが、攻撃を牽引していたキングの交代でフラムはややトーンダウン。ブライトンのファストブレイクが刺さる時間が続く。
いつ失点するかわからない時間帯を乗り越えたフラム。後半ATに再び主導権を握ると、セットプレーからムニス。クラッチシューターぶりを遺憾なく発揮した9番の活躍でブライトンが掴みかけていた勝利を取り上げることに成功。試合はドローとなった。
ひとこと
フラムのキング、結構面白いかも。
試合結果
2025.8.16
プレミアリーグ 第1節
ブライトン 1-1 フラム
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:55′(PK) オライリー
FUL:90+7′ ムニス
主審:サム・バロット
第2節 エバートン戦(A)

終わりも始まりもエンジアイ
ヒル・ディッキンソン・スタジアムでの初のリーグ戦となる試合。ホームに迎えるのはブライトン。歴史の1ページを刻む試合に招かれたこととなる。
序盤は互いにオーソドックスなポゼッションからのスタート。ハイプレスに関しては様子見成分が強く、まずはゆったりとボールを持つ形から始まる。どちらも陣形はオーソドックスで2CB+2CHを軸にボールを動かしていく。シンプルな形の理由は強力なWGを互いに擁しているからだろう。ブライトンのWGも強力だが、先にシュートまで辿り着いたのはエンジアイだった。
決定機に先に辿り着いたのはブライトン。トランジッション成分の増加からチャンスを迎える。三笘のロングボールやミンテの突破からのウェルベックのシュートチャンスなどゴールに向かっていくプレーが続く。
しかし、先制したのはエバートン。右サイドでのためを左サイドに展開。繋いだデューズバリー=ホール、グリーリッシュ、そして沈めたエンジアイの技術の高さが詰まったシーンだった。エンジアイはグディソン・パーク最後のスコアラーであり、ヒル・ディッキンソン・スタジアムの最初のスコアラーとなった。
ブライトンの保持局面で以降の前半は進むが、カウンターの拙さとプレー選択の怪しさでチャンスをものにできず。前半の最後に迎えたターコウスキのバックパスから迎えた決定機もピックフォードの素早いリカバリーによって阻まれてしまう。
再三のピンチを凌いだエバートン。ハーフタイムはなんとかリードをキープした状態で迎える。
後半、立ち上がりからボールを持ったのはエバートン。前線のバリーを軽くwebで調べるとあまりロングボールの的っぽくないということだったので、後方で手数をかけながらサイドにつけれるところを探していくというアプローチは前線の人選に沿ったものなのかもしれない。
そのバリーが右サイドに流れるところからのチャンスでエバートンは追加点。左サイドからの二次攻撃を終わらせたのはガーナーのミドル。非常にシャープなシュートでフェルブルッヘンのニアを撃ち抜いて見せた。
押し込む機会を再び得たブライトンはハンドからPKを獲得するが、このPKはピックフォードがストップ。データと蹴り方をベースに先読みで動いたピックフォードの判断は奏功。ウェルベックのキックを完全にストップする。
終盤はファン・ヘッケの前線へのパワープレーを早めに解禁することでなんとかリカバリーを図りたいブライトン。だが、エバートンはファストブレイクをベースにファン・ヘッケがいない穴を突きにいくことでより得点の可能性が高いチャンスを手にする。
ひとこと
ピックフォード、円熟味を増すいいGKになったなと思う。
試合結果
2025.8.24
プレミアリーグ 第2節
エバートン 2-0 ブライトン
ヒル・ディッキンソン・スタジアム
【得点者】
EVE:23′ エンジアイ, 52′ ガーナー
主審:スチュアート・アットウェル
第3節 マンチェスター・シティ戦(H)

大物食いで今季初勝利達成
ここまで2試合でリーグ戦勝ちなし。ブライトンはなかなかリズムに乗れていない序盤戦となっている。ホームに迎えるシティを叩けなければ中断期間を未勝利で迎えることとなる。
積極的にハイプレスで出ていくスタートとなったブライトン。シティはそれを図ったかのようなプランで反撃。前節よりもさらに早くマルムシュとハーランドのロングボールでハイラインをつく形を使っていく。ブライトンのDFラインのアジリティであれば、ダイレクトにガンガン狙っていっていいという判断なのだろう。
押し上げる機会がない分、ブライトンに対してのプレスが重めのシティ。しかし、ブライトンはこの機会を活かすことができず、自陣での軽いパスミスでリズムを作れず。むしろ、ブライトンがリズムを作ったのはハイプレスの方で。2列目の献身的な守備から一気に加速していく。ボールの預けどころとしてウェルベックの機能性の高さは際立っていたし、三笘は前節と同じくカウンターからチャンスを迎えていた。
シティは徐々に保持からリズムを産んでいく。中央に立つベルナルドをブライトンが捕まえきれず。徐々にサイドへの展開がスムーズになっていく。ブライトンはなかなか脱出ができない状態となる。
すると、シティは先制点をゲット。マルムシュとハーランドのゴリ押しから中央をかち割るという強引さの塊のようなプレーから試合を動かす。ハーランドにとってはすでに2回あったチャンスを外していたため、待望のゴールとなった。
ブライトンはボールを奪う機会はあるが、そこからのクオリティがついてこず。ここは主にミンテの課題だろう。失点シーンでもミンテのリリースが遅れたところのカウンター返しがきっかけ。リードを許す形で後半を迎える責任の一端を負うこととなってしまった。
後半も前半の途中からのシティ優位の流れを引きずってのスタート。インサイドに絞るマルムシュ、ボブがラインデルス、ベルナルドを解放する形でポゼッションをキープ。ブライトンのプレスを鎮圧しながら前進。
ブライトンも前半と流れは同じ。WGのプレーがやや速い攻撃のリズムに乗り切れず、なかなか効果的な前進ができない展開となる。
流れが変わったのは60分。4枚交代で中央の高い位置の選手たちを総入れ替えする。三笘→ミンテでようやく効果的なカウンターを打てるようになると、徐々に前進の推進力が復活。敵陣に侵攻していく。
その流れからブライトンは同点に。ヌネスの軽率なハンドからPKを献上すると、このPKをミルナーが仕留めて追いつく。
シティはこの失点で保持では追いつくようになり、またもプレスを回避していくように。それでもカウンターでのミンテやラターをフサノフ、アイト=ヌーリというシティの左サイドユニットで迎え撃つのはリスク。カウンターから引き続きブライトンが流れを掴んだと言っていい展開となった。
トラフォードの好セーブでなんとか粘りを見せていたシティだが、ブライトンはカウンターの嵐からついに勝ち越し。なかなかやり切るプレーを見せることができなかったグルダが相手を手玉に取り見事な追加点を決める。
交代選手でギアアップができないシティに対して、ブライトンは前線が時間を作りながら逃げ切り。大物食いに成功し、今季初勝利を手にした。
ひとこと
4枚交代で盛り上がった空気をハンドでのPKが確実なものにしてしまった感があった。
試合結果
2025.8.31
プレミアリーグ 第3節
ブライトン 2-1 マンチェスター・シティ
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:67′(PK) ミルナー, 89′ グルダ
Man City:34′ ハーランド
主審:ダレン・イングランド
第4節 ボーンマス戦(A)

速攻の連打で後半の主導権を引き寄せる
いきなりヒンシェルウッドの負傷からスタートしたこの試合。ブライトンにとってはかなり幸先の悪いスタート。早々にアヤリがピッチに投入されることとなる。
ボーンマスは今日も元気にハイプレスでスタート。敵陣からGKにまでプレッシャーをかけていく。ブライトンはCHとCBが連携しながらポゼッション。ミルナーが左右に動かしながらボーンマスのプレッシャーを回避していく。
高い位置でブライトンのパスを食い止めるとボーンマスはサイドから枚数をかけた攻撃を行うように。ドリブラーが中央につっかけながら横断する形でサイドにボールをつけるとCBも高い位置を取りながらクロスを上げていく。
押し込みながらプレーをするボーンマスはそのまま先制点をゲット。右サイドからのパスを受けたスコットが反転しながら左足でミドルシュート。見事に試合を動かす。ブライトンはCHがややサイドに流されすぎてしまったか。中央でスコットのマークが間に合わないこととなった。
一方のブライトンはデ・クーパーが負傷。前半のうちにすでに2枚をアクシデントで消化してしまうことに。それでも右サイドではミンテが奮闘。馬力のある陣地回復から少しずつリカバリーを図る。
ボールを持つ時間は少しずつ長くなっていくブライトンだが、なかなかインサイドに差し込むポイントを見つけられず。ボーンマスのCHの潰しによってボールを止められてしまう。アダムス、スコットの2人のフィルターを超えることができなかった。
迎えた後半、ブライトンは早々に同点ゴールをゲット。右サイドからのクロスを見事に沈めたのは三笘。ファーサイドで打点の高いヘディングでフィニッシャーとしての役割を果たす。
このゴールで攻める時間を長くしていくブライトン。前半は右サイドが目立っていたが、後半は左サイドからチャンスメイク。カディオグルが入って旋回要素も入ったことで神出鬼没のポジショニングでボーンマスを押し込んでいく。左右のWGを軸とした攻撃で流れを作っていく。
しかし、そうしたところでミスが出てしまうブライトン。ダンクのパスミスからカウンターを喰らうと、そこからの速攻でエヴァニウソンがファン・ヘッケに倒されてしまいPKを獲得。このPKをセメンヨが決めてリードを奪う。
このカウンターからボーンマスは速攻祭りを開催。中盤でブライトンのミスを咎めたところからエヴァニウソンとセメンヨを軸としたファストブレイクからブライトンの守備陣を背走させていく。
1点のリードではあるが、危なげなく逃げ切ったボーンマス。中盤できっちりとブライトンのチャンスを摘みながら時計の針を進めて試合をクローズ。見事に連勝を飾った。
ひとこと
ミロサヴリェヴィッチ、いい意味で目立たず普通にプレーしていた。末恐ろしい子。
試合結果
2025.9.13
プレミアリーグ 第4節
ボーンマス 2-1 ブライトン
ヴァイテリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:18′ スコット, 61′(PK) セメンヨ
BHA:48′ 三笘薫
主審:ピーター・バンクス
第5節 トッテナム戦(H)

それぞれの一本足打法
CLでは見事に1点のリードを守り切ったトッテナム。CL直後の一戦はブライトンへの遠征。距離的には悪くはないが、今季シティをすでに撃破したアメックスは楽なスタジアムではない。
しかし、立ち上がりはスパーズペース。4-3-3らしいサイドの崩しから主導権。左サイドからの旋回をしながらブライトンの守備を後手においていく。アヤリを滑らせてウドジェが侵入したシーンが紛れもなく決定機であった。
押し込まれてしまい、苦しい状況の立ち上がりのブライトン。しかし、そうした状況をひっくり返せるWGがいるのが今の彼らの強み。ミンテのファストブレイクから一気にひっくり返すと、ヴィカーリオを交わして無人のゴールに押し込んだ。トッテナムとしてはうまくいっているサイドで事故を引き起こして失点という好事魔多し的な流れとなってしまった。
得点以降も基本的にはブライトンはファストブレイク一点突破主義。ビルドアップでのショートパスから押し返すことができるケースはあまりなく、トッテナムはサイドの打開から延々と速いクロスを入れていく。プレスでもトッテナムの流れは良好。縦パスのレシーバーをきっちりと潰すことでショートパスからの繋ぎを阻害していく。
展開は得点後も変わらなかったが、押し込まれているブライトンの方がシュートまで持っていけるという状況に。運んだところから左サイドで粘るとアヤリのスーパーシュートでさらに追加点を決める。
前半の追加タイムにようやくトランジッション成分からのファストブレイクでサイド攻撃を完結させたトッテナム。1点差に迫ったところでハーフタイムを迎える。
後半も流れは同じ。ボールを持つトッテナムは左サイドから一番前に立つ選手にひだすら速いクロスを入れていく。ブライトンのファストブレイク一本足打法も同じ。前半の途中からこちらも一番前の選手ばかり使っている影響でヴィカーリオとトッテナムのCBに流れを読まれてしまっていたので、やや単調なリズムであることは否めず。
かといって中盤にパスを差し込んでいくと、トッテナムにカットされてカウンターに晒されてしまう。ブライトンはなかなか厳しい舵取りとなった。というわけで引き続きファストブレイクからもチャンスがあるトッテナムだった。
コッポラの投入から5バックに移行するブライトン。しかし、シャビ・シモンズの投入からライン間の仕掛け役ができたトッテナムはここから突破口を探る。中央へのドリブル突破から右に展開すると、クドゥスのクロスはオウンゴールを誘発。ファン・ヘッケにとっては競り合いで触れずに入ってきたボールなので、どうしようもない部分があった。
そうなれば勢いづくはずのトッテナムだが、ここで元気になったブライトンはラインを高めて中盤でのボール奪取を敢行。高い位置からのプレスで流れを取り戻し、カウンターからのシュートチャンスを作っていく。
結局最後まで勢いを取り戻せなかったトッテナム。CL直後の一戦を勝利で飾ることはできなかった。
ひとこと
互いにそれぞれの一本足打法だった感がある。
試合結果
2025.9.20
プレミアリーグ 第5節
ブライトン 2-2 トッテナム
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:8′ ミンテ, 31′ アヤリ
TOT:43′ リシャルリソン, 82′ ファン・ヘッケ(OG)
主審:クリス・カヴァナー