ブライトン、25-26シーズンの歩み。
第1節 フラム戦(H)

窮地を乗り越え1ポイントを掠め取る
長年すっかり安定して中位をキープしている両チーム。今季も例年の順位をキープしつつ、さらなる飛躍を狙いたいところだろう。
今年も保持時には4-1-2-3に変化するフラム。ベルゲをアンカーとしてトップ下のキングがIHの一角に入る。一方のブライトンは左のSBのデ・クーパーのポジションどりが印象的。インサイドに入り込む場合もありつつ、トランジッション時には大外に立つことでファストブレイクを狙っていく。
その、デ・クーパーのオーバーラップからブライトンは早々にネットを揺らす。だが、折り返しのミンテのところでエンドを割っており判定はノーゴール。フラムは失点のピンチをなんとか回避したこととなった。
ハイプレスの応酬の中でどちらかといえば手応えを得たのはフラムの方。左サイドのイウォビをボールの預けどころとして攻撃を進めていく。推進力を見せているのは左のIHのキング。ハーフスペースアタックから背後を取るアクションを見せており、ここからボックス内に迫っていく。
サイド攻撃といえばブライトンの自信がある場所でもあるが、この日はやや不発気味。右の大外のミンテが止められてしまった感があった。フラムのこの日の左のSBに起用されているバッシーはブライトンのWG対策なのかどうかは気になるところだ。
30分が過ぎると少しずつブライトンは保持率をアップ。右サイドから左サイドへの対角パスからチャンスを作っていこうとする。押し下げたところからジリっと前からのプレスに出ていくなどトランジッションを仕掛けていく。フラムは背後に引っ張る形からロングボールを引き出していくヒメネスが攻撃を牽引していく。
スコアレスで迎えた後半、試合はロングボールの応酬でスタート。そうした中でも目立ったのは後半もキング。押し込んでいくフラムの攻撃を牽引する。
しかし、ブライトンは速攻に活路。三笘、ミンテ、ラターの3人を軸とするファストブレイクが牙をむく。直前のシーンでデ・クーパーとのコンビでゴールを脅かした三笘の助けを借りたラターの猛進でPKを奪取。このPKをオライリーが仕留めて先制する。
追いかけることになったフラムは深い位置からのビルドアップで引き続き前進を狙う。ブライトンは引き続きプレスに出ていったが、やや空転気味である。だが、攻撃を牽引していたキングの交代でフラムはややトーンダウン。ブライトンのファストブレイクが刺さる時間が続く。
いつ失点するかわからない時間帯を乗り越えたフラム。後半ATに再び主導権を握ると、セットプレーからムニス。クラッチシューターぶりを遺憾なく発揮した9番の活躍でブライトンが掴みかけていた勝利を取り上げることに成功。試合はドローとなった。
ひとこと
フラムのキング、結構面白いかも。
試合結果
2025.8.16
プレミアリーグ 第1節
ブライトン 1-1 フラム
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:55′(PK) オライリー
FUL:90+7′ ムニス
主審:サム・バロット
第2節 エバートン戦(A)

終わりも始まりもエンジアイ
ヒル・ディッキンソン・スタジアムでの初のリーグ戦となる試合。ホームに迎えるのはブライトン。歴史の1ページを刻む試合に招かれたこととなる。
序盤は互いにオーソドックスなポゼッションからのスタート。ハイプレスに関しては様子見成分が強く、まずはゆったりとボールを持つ形から始まる。どちらも陣形はオーソドックスで2CB+2CHを軸にボールを動かしていく。シンプルな形の理由は強力なWGを互いに擁しているからだろう。ブライトンのWGも強力だが、先にシュートまで辿り着いたのはエンジアイだった。
決定機に先に辿り着いたのはブライトン。トランジッション成分の増加からチャンスを迎える。三笘のロングボールやミンテの突破からのウェルベックのシュートチャンスなどゴールに向かっていくプレーが続く。
しかし、先制したのはエバートン。右サイドでのためを左サイドに展開。繋いだデューズバリー=ホール、グリーリッシュ、そして沈めたエンジアイの技術の高さが詰まったシーンだった。エンジアイはグディソン・パーク最後のスコアラーであり、ヒル・ディッキンソン・スタジアムの最初のスコアラーとなった。
ブライトンの保持局面で以降の前半は進むが、カウンターの拙さとプレー選択の怪しさでチャンスをものにできず。前半の最後に迎えたターコウスキのバックパスから迎えた決定機もピックフォードの素早いリカバリーによって阻まれてしまう。
再三のピンチを凌いだエバートン。ハーフタイムはなんとかリードをキープした状態で迎える。
後半、立ち上がりからボールを持ったのはエバートン。前線のバリーを軽くwebで調べるとあまりロングボールの的っぽくないということだったので、後方で手数をかけながらサイドにつけれるところを探していくというアプローチは前線の人選に沿ったものなのかもしれない。
そのバリーが右サイドに流れるところからのチャンスでエバートンは追加点。左サイドからの二次攻撃を終わらせたのはガーナーのミドル。非常にシャープなシュートでフェルブルッヘンのニアを撃ち抜いて見せた。
押し込む機会を再び得たブライトンはハンドからPKを獲得するが、このPKはピックフォードがストップ。データと蹴り方をベースに先読みで動いたピックフォードの判断は奏功。ウェルベックのキックを完全にストップする。
終盤はファン・ヘッケの前線へのパワープレーを早めに解禁することでなんとかリカバリーを図りたいブライトン。だが、エバートンはファストブレイクをベースにファン・ヘッケがいない穴を突きにいくことでより得点の可能性が高いチャンスを手にする。
ひとこと
ピックフォード、円熟味を増すいいGKになったなと思う。
試合結果
2025.8.24
プレミアリーグ 第2節
エバートン 2-0 ブライトン
ヒル・ディッキンソン・スタジアム
【得点者】
EVE:23′ エンジアイ, 52′ ガーナー
主審:スチュアート・アットウェル
第3節 マンチェスター・シティ戦(H)

大物食いで今季初勝利達成
ここまで2試合でリーグ戦勝ちなし。ブライトンはなかなかリズムに乗れていない序盤戦となっている。ホームに迎えるシティを叩けなければ中断期間を未勝利で迎えることとなる。
積極的にハイプレスで出ていくスタートとなったブライトン。シティはそれを図ったかのようなプランで反撃。前節よりもさらに早くマルムシュとハーランドのロングボールでハイラインをつく形を使っていく。ブライトンのDFラインのアジリティであれば、ダイレクトにガンガン狙っていっていいという判断なのだろう。
押し上げる機会がない分、ブライトンに対してのプレスが重めのシティ。しかし、ブライトンはこの機会を活かすことができず、自陣での軽いパスミスでリズムを作れず。むしろ、ブライトンがリズムを作ったのはハイプレスの方で。2列目の献身的な守備から一気に加速していく。ボールの預けどころとしてウェルベックの機能性の高さは際立っていたし、三笘は前節と同じくカウンターからチャンスを迎えていた。
シティは徐々に保持からリズムを産んでいく。中央に立つベルナルドをブライトンが捕まえきれず。徐々にサイドへの展開がスムーズになっていく。ブライトンはなかなか脱出ができない状態となる。
すると、シティは先制点をゲット。マルムシュとハーランドのゴリ押しから中央をかち割るという強引さの塊のようなプレーから試合を動かす。ハーランドにとってはすでに2回あったチャンスを外していたため、待望のゴールとなった。
ブライトンはボールを奪う機会はあるが、そこからのクオリティがついてこず。ここは主にミンテの課題だろう。失点シーンでもミンテのリリースが遅れたところのカウンター返しがきっかけ。リードを許す形で後半を迎える責任の一端を負うこととなってしまった。
後半も前半の途中からのシティ優位の流れを引きずってのスタート。インサイドに絞るマルムシュ、ボブがラインデルス、ベルナルドを解放する形でポゼッションをキープ。ブライトンのプレスを鎮圧しながら前進。
ブライトンも前半と流れは同じ。WGのプレーがやや速い攻撃のリズムに乗り切れず、なかなか効果的な前進ができない展開となる。
流れが変わったのは60分。4枚交代で中央の高い位置の選手たちを総入れ替えする。三笘→ミンテでようやく効果的なカウンターを打てるようになると、徐々に前進の推進力が復活。敵陣に侵攻していく。
その流れからブライトンは同点に。ヌネスの軽率なハンドからPKを献上すると、このPKをミルナーが仕留めて追いつく。
シティはこの失点で保持では追いつくようになり、またもプレスを回避していくように。それでもカウンターでのミンテやラターをフサノフ、アイト=ヌーリというシティの左サイドユニットで迎え撃つのはリスク。カウンターから引き続きブライトンが流れを掴んだと言っていい展開となった。
トラフォードの好セーブでなんとか粘りを見せていたシティだが、ブライトンはカウンターの嵐からついに勝ち越し。なかなかやり切るプレーを見せることができなかったグルダが相手を手玉に取り見事な追加点を決める。
交代選手でギアアップができないシティに対して、ブライトンは前線が時間を作りながら逃げ切り。大物食いに成功し、今季初勝利を手にした。
ひとこと
4枚交代で盛り上がった空気をハンドでのPKが確実なものにしてしまった感があった。
試合結果
2025.8.31
プレミアリーグ 第3節
ブライトン 2-1 マンチェスター・シティ
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:67′(PK) ミルナー, 89′ グルダ
Man City:34′ ハーランド
主審:ダレン・イングランド
第4節 ボーンマス戦(A)

速攻の連打で後半の主導権を引き寄せる
いきなりヒンシェルウッドの負傷からスタートしたこの試合。ブライトンにとってはかなり幸先の悪いスタート。早々にアヤリがピッチに投入されることとなる。
ボーンマスは今日も元気にハイプレスでスタート。敵陣からGKにまでプレッシャーをかけていく。ブライトンはCHとCBが連携しながらポゼッション。ミルナーが左右に動かしながらボーンマスのプレッシャーを回避していく。
高い位置でブライトンのパスを食い止めるとボーンマスはサイドから枚数をかけた攻撃を行うように。ドリブラーが中央につっかけながら横断する形でサイドにボールをつけるとCBも高い位置を取りながらクロスを上げていく。
押し込みながらプレーをするボーンマスはそのまま先制点をゲット。右サイドからのパスを受けたスコットが反転しながら左足でミドルシュート。見事に試合を動かす。ブライトンはCHがややサイドに流されすぎてしまったか。中央でスコットのマークが間に合わないこととなった。
一方のブライトンはデ・クーパーが負傷。前半のうちにすでに2枚をアクシデントで消化してしまうことに。それでも右サイドではミンテが奮闘。馬力のある陣地回復から少しずつリカバリーを図る。
ボールを持つ時間は少しずつ長くなっていくブライトンだが、なかなかインサイドに差し込むポイントを見つけられず。ボーンマスのCHの潰しによってボールを止められてしまう。アダムス、スコットの2人のフィルターを超えることができなかった。
迎えた後半、ブライトンは早々に同点ゴールをゲット。右サイドからのクロスを見事に沈めたのは三笘。ファーサイドで打点の高いヘディングでフィニッシャーとしての役割を果たす。
このゴールで攻める時間を長くしていくブライトン。前半は右サイドが目立っていたが、後半は左サイドからチャンスメイク。カディオグルが入って旋回要素も入ったことで神出鬼没のポジショニングでボーンマスを押し込んでいく。左右のWGを軸とした攻撃で流れを作っていく。
しかし、そうしたところでミスが出てしまうブライトン。ダンクのパスミスからカウンターを喰らうと、そこからの速攻でエヴァニウソンがファン・ヘッケに倒されてしまいPKを獲得。このPKをセメンヨが決めてリードを奪う。
このカウンターからボーンマスは速攻祭りを開催。中盤でブライトンのミスを咎めたところからエヴァニウソンとセメンヨを軸としたファストブレイクからブライトンの守備陣を背走させていく。
1点のリードではあるが、危なげなく逃げ切ったボーンマス。中盤できっちりとブライトンのチャンスを摘みながら時計の針を進めて試合をクローズ。見事に連勝を飾った。
ひとこと
ミロサヴリェヴィッチ、いい意味で目立たず普通にプレーしていた。末恐ろしい子。
試合結果
2025.9.13
プレミアリーグ 第4節
ボーンマス 2-1 ブライトン
ヴァイテリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:18′ スコット, 61′(PK) セメンヨ
BHA:48′ 三笘薫
主審:ピーター・バンクス
第5節 トッテナム戦(H)

それぞれの一本足打法
CLでは見事に1点のリードを守り切ったトッテナム。CL直後の一戦はブライトンへの遠征。距離的には悪くはないが、今季シティをすでに撃破したアメックスは楽なスタジアムではない。
しかし、立ち上がりはスパーズペース。4-3-3らしいサイドの崩しから主導権。左サイドからの旋回をしながらブライトンの守備を後手においていく。アヤリを滑らせてウドジェが侵入したシーンが紛れもなく決定機であった。
押し込まれてしまい、苦しい状況の立ち上がりのブライトン。しかし、そうした状況をひっくり返せるWGがいるのが今の彼らの強み。ミンテのファストブレイクから一気にひっくり返すと、ヴィカーリオを交わして無人のゴールに押し込んだ。トッテナムとしてはうまくいっているサイドで事故を引き起こして失点という好事魔多し的な流れとなってしまった。
得点以降も基本的にはブライトンはファストブレイク一点突破主義。ビルドアップでのショートパスから押し返すことができるケースはあまりなく、トッテナムはサイドの打開から延々と速いクロスを入れていく。プレスでもトッテナムの流れは良好。縦パスのレシーバーをきっちりと潰すことでショートパスからの繋ぎを阻害していく。
展開は得点後も変わらなかったが、押し込まれているブライトンの方がシュートまで持っていけるという状況に。運んだところから左サイドで粘るとアヤリのスーパーシュートでさらに追加点を決める。
前半の追加タイムにようやくトランジッション成分からのファストブレイクでサイド攻撃を完結させたトッテナム。1点差に迫ったところでハーフタイムを迎える。
後半も流れは同じ。ボールを持つトッテナムは左サイドから一番前に立つ選手にひだすら速いクロスを入れていく。ブライトンのファストブレイク一本足打法も同じ。前半の途中からこちらも一番前の選手ばかり使っている影響でヴィカーリオとトッテナムのCBに流れを読まれてしまっていたので、やや単調なリズムであることは否めず。
かといって中盤にパスを差し込んでいくと、トッテナムにカットされてカウンターに晒されてしまう。ブライトンはなかなか厳しい舵取りとなった。というわけで引き続きファストブレイクからもチャンスがあるトッテナムだった。
コッポラの投入から5バックに移行するブライトン。しかし、シャビ・シモンズの投入からライン間の仕掛け役ができたトッテナムはここから突破口を探る。中央へのドリブル突破から右に展開すると、クドゥスのクロスはオウンゴールを誘発。ファン・ヘッケにとっては競り合いで触れずに入ってきたボールなので、どうしようもない部分があった。
そうなれば勢いづくはずのトッテナムだが、ここで元気になったブライトンはラインを高めて中盤でのボール奪取を敢行。高い位置からのプレスで流れを取り戻し、カウンターからのシュートチャンスを作っていく。
結局最後まで勢いを取り戻せなかったトッテナム。CL直後の一戦を勝利で飾ることはできなかった。
ひとこと
互いにそれぞれの一本足打法だった感がある。
試合結果
2025.9.20
プレミアリーグ 第5節
ブライトン 2-2 トッテナム
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:8′ ミンテ, 31′ アヤリ
TOT:43′ リシャルリソン, 82′ ファン・ヘッケ(OG)
主審:クリス・カヴァナー
第6節 チェルシー戦(A)

摩訶不思議ブライトンが10人のチェルシーを仕留める
今季はなかなか内容が良化しない一方で強豪相手にはきっちりと結果を出しているブライトン。今節もこの条件に該当するチームが相手。スタンフォード・ブリッジでのチェルシーとの一戦に挑む。
ブライトンは非常に強気のライン設定。マンツー気味に敵陣から捕まえにいく。だが、この姿勢をチェルシーはひっくり返して前進。エンソがいきなりゴールを強襲するFKを打つなど序盤からチャンスメイク。サイドではスピードの優位で対面を引きちぎり、中央では相手を捕まえきれずにファウルを犯してしまうということでガッツリハイプレスの副作用を食らうこととなる。
保持でもブライトンは苦戦。アバウトなロングボールはブライトンと同じく前がかりにプレスに来たチェルシーには通用せず。自陣での強引なバレバやアヤリのドリブルも引っ掛けてしまいロスト。空転するプレス、後手に回ってのファウル、収まらないロングボールなど苦しい要素が揃い続けたブライトンだった。
順当に先制したのはチェルシー。大外のグストのバックドアからエンソがミドルシュートを仕留めて先行する。
ポゼッションでゆったりとしたいチェルシーだが、ブライトンは依然としてハイプレスで息をつかせることを許さない。保持面でも両翼のファストブレイクで徐々にチャンスを作っていく。サイドでFKを得るとオフサイドトラップ狙いのチェルシーのDFラインを破ったりなど得点の匂いがするプレーも出てくるように。
リードをキープして迎えた後半、チェルシーはサントスのパスミスからチャロバーが退場。後半をまるっと数的不利で過ごすこととなる。
チェルシーは特別後ろを重くする訳ではなく普通のテンションで守るように。数的優位のブライトンは前半以上にサイドからスムーズに裏を取ることができる。すると77分にウェルベックが勝ち越しゴール。左サイドで後半は勝負したミンテのサイドからの打開で試合を振り出しに戻す。
同点になってから押し込まれることを許容したチェルシー。ブライトンはボックス内での時間を増やしていく。終盤はグストのハイキックが起因で大乱闘に。この大乱闘が開けたところからのデ・クーパーのゴールを見る限り、よほどブライトンの面々は鬱憤を溜めていたのだろう。
後半追加タイムにさらにもう1点を加えたブライトン。またしても大物食いを達成し、勝ち点3を敵地で掴み取った。
ひとこと
チェルシー、またしても10人。。
試合結果
2025.9.27
プレミアリーグ 第6節
チェルシー 1-3 ブライトン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:24′ エンソ
BHA:,77′ 90+10′ ウェルベック, 90+2′ デ・クーパー
主審:サイモン・フーパー
第7節 ウォルバーハンプトン戦(A)

またしてもお預けを食らう
全勝だったリバプールのストップと足並みを揃えるように全敗を止めたウルブス。しかしながら、初日はまだ。ホームでなんとかブライトン相手に結果を出したいところだ。
互いにプレスの意識は高いが、枚数を完全に合わせるほどのハイプレスではない立ち上がり。ブライトンはファン・ヘッケがキャリーから相手にぶつけてカウンターの局面を迎えるなど、相変わらず保持局面のらしくなさが見える形に。
一方のウルブスは中盤の3枚のポジションチェンジが非常に活発。相手に基準点を定めさせないようにポジションチェンジを繰り返す。ボールを保持し続けるという点であれば文句はなかったこのプラン。だが、ゴールに向かうという観点で言えばやや物足りなさも残る。ボールを前に送った先に何が起きるのかは微妙なところであった。
環境に変化を引き起こしたのはトランジッション。ジョアン・ゴメスへのファウルが取られなかったところからざわつくモリニュー。一連のプレーはバレバのファウルとペレイラの退場で終幕するが、このセットプレーをウルブスは見事なミドルからオウンゴールに。ウェルベックの軽率なクリアがウルブスにセカンドチャンスを与えてしまった。
押し下げられてしまい、苦しい状況となったブライトン。ミンテは根性のロングカウンターに2人に囲まれての抵抗、そしてゴール前の飛び込みなど奮闘をしていたが、なかなか攻撃を形にするのに一苦労である。
ウルブスは左サイドのヒチャンからのクロスに飛び込む形が徐々にボックス内での約束事として定着するように。オープンな展開を防ごうとブライトンは前半だけで4回警告を受けてしまう。スピーディな展開でアドバンテージを取れず、ブライトンはビハインドのままハーフタイムを迎える。
後半も積極的に相手を前から捕まえにいく両チーム。だが、ホルダーがフリーになることが多く、守備側にとっては不利な状況も多々。ファン・ヒチャンのカウンター、ルターの中央のターンなどカラーが違う攻撃ながら確実に両チームとも敵陣に迫る武器があることを示している。
アンカー脇が空いてしまっているウルブスは5バックにシフト。ボールをブライトンに渡して試合をクローズしにかかる。流れの中からブライトンのチャンスは抑制できたが、ショートコーナーからファン・ヘッケのヘディングで同点に。この試合はあまりパフォーマンスは良くなかったが、味方ごと吹き飛ばすこのゴールには彼の気迫を感じた。
またしてもギリギリで勝利を逃したウルブス。今季初めての3ポイントはまたしてもお預けを食らうこととなった。
ひとこと
ジョンストンの絶叫がこの日のウルブスファンの気持ちを代弁しているかのようだった。
試合結果
2025.10.5
プレミアリーグ 第7節
ウォルバーハンプトン 1-1 ブライトン
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:21′ フェルブルッヘン(OG)
BHA:86′ ファン・ヘッケ
主審:ジャレット・ジレット
第8節 ニューカッスル戦(H)

またしてもCL狩り
今季、ここまでの2勝はチェルシーとマンチェスター・シティとどちらもCL出場チーム。大物に強いという実績がある今季のブライトンはイマイチ調子が上がりきらない今季のニューカッスルにとっては頭の痛い相手だろう。
序盤はハイテンポな立ち上がり。スピード勝負ができるアタッカーをサイドにそろえている両チームらしく、縦に速い展開の応酬となっていく。ゴードンのドリブルやエランガの突破などややこの点ではニューカッスルが前に出ているのかな?という感触もあった。
時間の経過とともにブライトンは列移動からのショートパスでの繋ぎを行うことでニューカッスルのプレスを撃退。ミドルブロックを組むように。ニューカッスルの4-5-1のミドルブロックはコンパクトではあるが、とにかくホルダーを放置する分、なかなか進むことができない。
特にインサイドのラターのところをどのように捕まえるかを整理できておらず、捕まえられないままずるずると下がるシーンも珍しくなかった。インサイドのラター、そしてトランジッションにおけるミンテという二本足からブライトンは徐々に攻勢を強めていく。
ライン間のラターと誰が繋がるか?というところが解決しなかったブライトンだったが、先制点の場面ではその解決策が。縦のウェルベックの抜け出しから1on1を作り、あっさりとゴールを陥れる。見事なパスワークであると同時に、ノープレッシャーのCBからの2本の縦パスであっさり崩壊する守備はやはりニューカッスルらしくないなと思ってしまう。
後半になっても流れを作ることはできないニューカッスル。マーフィーとマイリーを入れたところからリズムを変えに行きたいが、ブライトンは右サイドから機能的に進撃。ハーフスペースアタックやトランジッションのスピードを活かす形でミンテとバレバが躍動。
惜しむらくは左サイドが仕上がらなかったことだろう。もっとも、ゴメスが負傷してカディオグルが1列前に上がる状況ではシャープな仕上げを期待するのは少し難しい状況ではあったかと思うが。
決定機を逃し続けると、徐々にブライトンの馬力が落ちていく。右サイドから攻めるきっかけを掴んだニューカッスルはクロスをヴォルテマーデがおしゃれなクロスで仕留めることで同点に。試合を振り出しに戻す。
だが、最後に意地を見せたのはブライトン。後方から見事に列に潜入したウィーファーから再びシュートチャンスを得たウェルベックがこの日2得点目。エースの見事な2得点でまたしてもCLチーム相手に白星を挙げたブライトンだった。
ひとこと
ニューカッスル、コンパクトだけども相手に与える圧迫感が薄い守備だなという感じ。
試合結果
2025.10.18
プレミアリーグ 第8節
ブライトン 2-1 ニューカッスル
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:41′ 84′ ウェルベック
NEW:77′ ヴォルテマーデ
主審:クレイグ・ポーソン
第9節 マンチェスター・ユナイテッド戦(A)

刺さり続けた3トップの連携
前節はマグワイア砲でアンフィールドを制圧。順位もジリジリ上がってきたユナイテッド。今節はホームにブライトンを迎えての一戦に臨む。
序盤からリズムを得たのはユナイテッド。幅を使いながらの攻撃でブライトンを押し込んでいく。ブライトンの守備は一言で言えば対面の選手との距離が遠い。簡単に振りぬかれてしまう距離で守っており、早々にエンベウモからブルーノのクロスでチャンスを迎える。
人基準で守っているブライトンだが、どこかちぐはぐさは否めない。バックスにはプレスは強くいかないが、かといって後方が余るわけではないというマンツーのよくないところだけを抽出したかのような守り方でユナイテッドにプレッシャーをかけることができない。
とりわけ良くなかったのは後方の1on1を許容したことだろう。反転の自由度が増すマンツーはマッチアップで有利に立てばクーニャ、エンベウモが大暴れできる土壌。ピッチ中央でボールを引き取りながら加速していく。
同じくラターが中央に降りることで起点を作りたいブライトンだが、ビルドアップの軽いミスが出てしまいなかなかリズムを作ることができず。攻撃でもリズムが良かったユナイテッドの圧に負けている印象だった。
リズムが良かったユナイテッドは順当に先制。ぽっかり空いたクーニャがためらいなく放ったミドルが先制ゴールとなる。ブライトンは守備のタイトさが薄く、相手の警戒するポイントもあまり絞れていないような守り方に。
シューターへの寄せの甘さは2失点目においても。カゼミーロのミドルからさらにリードを広げる。この場面では背負っている相手につける爆弾ビルドアップをファン・ヘッケがしてしまったことで、ユナイテッドのカウンターを受けてしまっていた。
後半も同じ文脈が続く試合に。前線3人のスペースがある状態での連携が刺さり続けるユナイテッドが主導権。流れるような攻撃から加速する。さらには相手の攻撃の核であるラターを咎めたところからゴールを決めてリードを3点に広げる。
保持に回れば大外から相手のシャドーの背後で受けるアクションを狙うブライトン。もっとも爆発力のあるミンテを左から右に変えるなど試行錯誤が続く。
ハイプレスに出て行くユナイテッドには後半も手を焼いたブライトン。しかし、ミンテがハイラインを破るワンマン速攻からファウルを奪取。最後のコントロールが流れた分、DOGSOにはならなかったが、このファウルで得たFKをウェルベックが仕留めて2点差に詰め寄る。
一方的なイケイケムードにはならなかったブライトンだが、セットプレーからコストゥラスがゴールを決めて1点差に詰め寄る。だが、この日は最後までエンベウモを止められなかったブライトン。高い位置でボールを奪ったヘヴンからのダイナミックな縦パスを奪うと、そこから一気にゴールまで。決定的な4点目を奪う。
失点のシーンはやや甘さが出たがいい流れを続けたユナイテッド。アモリム政権初の連勝を3に伸ばすことに成功した。
ひとこと
ユナイテッド、自信ついてきたかもね。
試合結果
2025.10.25
プレミアリーグ 第9節
マンチェスター・ユナイテッド 4-2 ブライトン
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:24′ クーニャ, 34′ カゼミーロ, 61′ 90+7′ エンベウモ
BHA:74′ ウェルベック, 90+2′ コストゥラス
主審:アンソニー・テイラー
第10節 リーズ戦(H)

相性がダイレクトに出るワンサイド決着
プレミアリーグでの過去6回の対戦においてブライトンはリーズに対して無敗。ホームチームが一方的に好相性というカードだ。
互いにバックラインにはプレスをかけずにポゼッションを行う立ち上がり。先にポゼッション色を強めたのはブライトン。外につけてSHにまずはボールを預けて、そこからボールを入れることができるかどうかを探る立ち上がりに。
一方のリーズはバックラインのパス交換からプレスを引き寄せつつ、前線へのロングボールを狙っていく。惹きつけてキャルバート=ルーウィンにスペースを与える形からの組み立てを作っていく。
互いに保持のカラーが強い展開の中で違いを見せたのはブライトンの右サイド。ラターをフェイクにハーフスペースに飛び出したウィーファーのラストパスから折り返しをウェルベックがゴール。好調のストライカーが連続得点記録を伸ばす一撃から試合を動かす。
失点した後もリーズはなかなかプレスに出ていくことができずに強度を上げることができない。田中はキャルバート=ルーウィンに並ぶ形で前に出ていくが、ファン・ヘッケとバレバとの駆け引きの中でなかなかプレスのきっかけを掴めない。
非保持ではなかなかテンポをつかめない中で保持の機会を増やしながらリーズはリカバリーを図っていく。田中、ロングスタッフ、アンパドゥが位置を変えながら相手のプレスを回避していく。アンカーの位置に入っていく田中は大きな展開からチャンスを作っていく場面もあったが、逆にバレバに潰されてピンチを迎える場面も。一進一退の攻防のままスコアはなかなか動かずにハーフタイムを迎える。
劣勢のリーズは前半にはあまり見られなかったハイプレスで後半をスタート。しかし、ブライトンはこのプレスをあっという間に打ち破る。ラターからの横断でチャンスを作るなど、保持からプレスを平定。右サイドのミンテからのはーフスペースアタックや、左サイドのカディオグルの飛び出しなど工夫を入れることでサイドアタックを仕上げに行く。
リーズはキャルバート=ルーウィンへのロングボールからなんとか陣地回復を行っていこうとするがなかなか前に進めず。一方的に攻めるブライトンは両サイドからそれぞれ追加点。右サイドからのミンテの突破で2点目、左サイドからのウェルベックのはーフスペースアタックで3点目。どちらもゴメスが仕上げることで試合を決める。
リーズの反撃をいなしながら残りの時間は追加点をのんびり狙うブライトン。リーズは相性の悪さを露呈する完敗だった。
ひとこと
サイドから深さをとる→折り返しで無限に攻撃を仕掛けられていた。
試合結果
2025.11.1
プレミアリーグ 第10節
ブライトン 3-0 リーズ
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:11′ ウェルベック, 64′ 70′ ゴメス
主審:マイケル・オリバー
第11節 クリスタル・パレス戦(A)

ダービーらしいスコアレス
ともに長い期間プレミアに定着し、当事者だけでなく他チームのファンにとってもお馴染みになってきたM23ダービー。こういう呼称はない説もあるが、個人的には楽しみにしているマッチアップの一つである。
観る側がどう捉えるかは別として立ち上がりから繰り広げられた光景はダービーらしい激しさそのもの。立ち上がりだろうと構えて受けることが多いパレスが右サイドを軸に片上げの形から前プレスに出て行ったことがこの試合を特別なものとして捉えている何よりの証拠だろう。
ただ、積極的な守備を攻撃は上回った感がある立ち上がり。ブライトンは好調のラターとウェルベックがライン間に陣取って起点となり、一気に畳み掛け。前進に成功したところからゴメスが決定機を作り出す。
一方のパレスの保持でも攻撃優位の構図は同じ。表に裏にボールを引き出すサールを起点に縦に速い攻撃に右の大外のムニスが絡むいつもの形からゴールを捉えるシュートを打つ。
だが、両軍のGKはともに枠内シュートをシャットアウト。チャンスが多く縦に速い展開をGKが堰き止めるという見応え十分な立ち上がりとなった。
時間経過とともに優位に立ったのはどちらかといえばパレス。高い位置で止めることに成功しつつ、敵陣でのプレータイムを増やしていく。
押し下げる局面が安定しなかったブライトンはゴメスが奮闘。相手に体を当てながらライン間でボールをキープしつつ、展開を前に押し進めていく。
後半の頭はややオープン。右サイドからのクロスにゴメスが合わせる形を狙っていたブライトンが先にチャンスを迎える。
対するパレスはゴリゴリと前進。前半同様に前線のキープ力を活かす形で時間を作っていく。ブライトンもゴリゴリしていたが、パレスの左サイドはミンテとラターのコンボによく我慢していた感がある。カンヴォはプレミア初先発の重圧を見事に跳ね返すプレーだったと言えるだろう。
終盤は体力面でややパレスが優位。ピノが入った左サイドが活性化すると、大外のミッチェルを活用したクロスからボックス内に迫っていく。
しかし、どちらもゴールをこじ開けることはできず。試合はスコアレスのまま幕を閉じることとなった。
ひとこと
スコアレスだけども見応えのあるいいダービーだった。
試合結果
2025.11.9
プレミアリーグ 第11節
クリスタル・パレス 0-0 ブライトン
セルハースト・パーク
主審:ティム・ロビンソン
第12節 ブレントフォード戦(H)

水際の逆転勝利
序盤からボールを持つのはブライトン。前がかりにプレスに来るブレントフォードと真っ向勝負。右サイドにボールを逃しながらフリーの選手を使ってボールを運んでいく。
攻撃の起点となっていたのは右サイド。ミンテにボールを渡しつつ、インサイドに入っていく動きに対して大外をウィーファーが追い越すことでチャンスを作っていく。
一方のブレントフォードはチアゴへのロングボールからチャンスメイク。この日がデビュー戦となったボスカリにとってはハードな試験と立ち向かうこととなる。ここにボールが収まれば左右のWGからスピード勝負を挑むことも。試合はポゼッションのブライトン、カウンターとブレントフォードとコントラストがくっきりした展開となった。
そうした状況において試合を動かしたのはブレントフォード。カウンターからボスカリの背後を取る形で縦に速い攻撃に成功すると、そのままPKを獲得。このPKを仕留めたチアゴが先制ゴールを決める。
以降はブライトンがポゼッションベースで試合を動かしにいく。だが、試合は膠着。あと一歩剥がすためのきっかけが掴めない状態が続き、スコアを動かせないままハーフタイムを迎えてしまう。
後半、ブライトンは2枚の選手交代を敢行。ダンク、デ・クーパーという交代した選手をおいた左サイドからブライトンはポゼッションを敢行。大外にカディオールを起きつつ、インサイドにゴメスとデ・クーパー、アヤリなどが左サイドから試合を作っていく。
詰まったと判断した場合は左に入ったダンクから大きなサイドチェンジから展開。右サイドからミンテ、ウィーファーがスペースがある状態でボックスに入っていくことで前半よりはブレントフォードのゴールに迫るシーンを少しずつ作っていく。
ブレントフォードは後半は自陣に釘付け。裏抜けの動きがない分、ブライトンの攻撃は受けきれそうな気もしないでもなかったがサイドからシャーデやワッタラがドリブルで進んでいくシーンはあまり多くはなかった。
ブライトンは突っかかりながら進んでいくラターによるチャンスメイクか、もしくは右サイドに展開するミンテからの1on1で勝負を仕掛けていく。回数を重ねながらミンテからの仕掛けで強引に同点ゴールを切り拓く。好調のウェルベックがこれに合わせてゴール。試合を振り出しに戻す。
ブレントフォードはチアゴのキープから左サイドのルイス-ポッターでチャンスを作っていく。だが、機会という面でブレントフォードはブライトンになかなか及ばない。押し込むブライトンは再びミンテのソロ活からヒンシェルウッドのミドルで勝ち越し。逆転に成功する。
ブレントフォードはクロスからホールディングでPKを獲得するが、これをフェルブルッヘンがストップ。水際でリードを守ったブライトンが逆転勝利を決めた。
ひとこと
フェルブルッヘン、紛れもなくヒーロー。
試合結果
2025.11.22
プレミアリーグ 第12節
ブライトン 2-1 ブレントフォード
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:71’ ウェルベック, 84‘ ヒンシェルウッド
BRE:29‘(PK) チアゴ
主審:ジョン・ブルックス
第13節 ノッティンガム・フォレスト戦(A)

悪い流れに逆らっての先制ゴール
序盤は縦に速い展開からスタート。シャープな形で進んでいくフォレストに対して、ブライトンもミンテの突破から縦へのシャープさを出していく。
展開が落ち着くと、ボールを持つのはブライトン。前節のハーフタイムから採用し出した左サイドにデ・クーパーとカディオールを並べる形から可変成分を増やして勝負。詰まりそうになったらダンクの大きな展開から右のミンテで仕掛けるという形でボールを動かしていく。
押し込むところまでは安定したブライトン。敵陣では数で勝負。SBは高い位置を取って厚みを出して、早めのクロスから処理ミスを誘うようなボールを入れる。セットプレーからもガンガン攻め立てて15分ほどでかなりの数のシュートを浴びせていく。
フォレストにとってこの展開が許容範囲内だったかは微妙なところ。少なくともいい奪い方はできていなかったのでめっちゃ良かったということはないのだろう。実際、フォレストは徐々にラインを上げながらサイドの高い位置でボールを止めてカウンターを発動。ギブス=ホワイトがチャンスを迎える。
保持で攻めあぐねつつ、奪われる位置が下がっていくという流れは完全にブライトンにとってはまずい流れ。しかし、そうした中でゴールを決めることができたのがこの日のブライトン。ウェルベックのフリーランを活用したデ・クーパーのゴールでハーフタイム前に先行する。
リードを奪う形で前半を終えることができたブライトン。前半よりは受けに回る展開が出てきてはいたが、後半は余裕を持って受けることができたおそらくスコア的な優位が成せる業だろう。瞬間的な隙を見せて敵陣に入っていけるギブス=ホワイトはそうした中でもチャンスを探って行けたが、フォレストにとってはなかなかに難儀な展開となった。
サイドから追い込んでいくブライトンは保持でも良好な流れ。いつ追加点が入ってもおかしくない状況を繋ぎ止めたのがGKのセルス。ファインセーブにハイラインのケア、さらにはハッチンソンまでのフィードと自陣を固めて敵陣に素早く出ていくところまでの指揮を取る。
しかし、そんなセルスの奮闘も虚しくフォレストは失点。直前から怪しさがあったモラートのバックパスを狙い撃ちし、そのままブライトンは追加点奪取に成功。追加タイム前の失点で意気消沈をしたフォレストはそのままブライトンに逃げ切り勝利を許すこととなった。
ひとこと
ブライトン、悪い流れに逆らった先制ゴールが見事だった。
試合結果
2025.11.30
プレミアリーグ 第13節
ノッティンガム・フォレスト 0-2 ブライトン
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
BHA:45+1′ デ・クーパー, 88′ ツィマス
主審:マイケル・オリバー
第14節 アストンビラ戦(H)

掴んだ流れを離さない逆転勝利
立ち上がりからハイプレスに出ていくアストンビラ。しかし、バックラインにタイトにプレスにかけるところまではいかなかったため、ダンクから大きい展開を活かすことができたブライトン。ハイプレスを交わすことに成功すると、セットプレーから先制点。CKからファン・ヘッケが押し込む。
この場面ではビゾットが痛恨のエラー。この日、マルティネスのアクシデントで緊急スタメンとなったGKにとっては厳しい試合の立ち上がりとなった。
アストンビラはハイプレスでサイドから追い込むことをより徹底。保持においてもGK込みの3-2型のビルドアップをマルティネスがいなくても実施。右サイドから背後を取るようなアクションで奥行きを作っていく。左サイドでもパウ・トーレスから形を作っていく。
しかしながら、スコアを動かしたのはまたしてもブライトン。左サイドからのファストブレイクが発動すると、駆け上がったヒンシェルウッドがオウンゴールを誘発。リードをさらに広げる。
2点差をつけたことで自陣に押し下げられる展開に追い込まれてしまうブライトン。左サイドから押し下げることができたアストンビラはこちらのサイドからのクロスを仕留めたワトキンスによって1点差。ファーに構えていたところにクロスが抜けてきてリードを縮める。
追い上げられるブライトンはミンテがトーレスをケアする意識を強めるなど、ハイプレスを強化。しかし、ボールを奪う位置が高くはならず。逆にHT前に同点に。CKからのバタバタの流れからロジャーズのタッチダウンパスから抜け出したワトキンスがゴール。振り出しに戻して前半を終える。
ハーフタイムを挟んでもアストンビラのペースは止まらず。引き続きワトキンスへの裏からのランで陣形を引き延ばす。引き延ばした陣形は中盤が活用。カマラの列上げからセンターラインのスペースに侵入すると、スピードに乗った状態で敵陣に侵入する。
保持でイニシアチブを取る後半のアストンビラ。勢いそのままにセットプレーで勝ち越し。高さを生かしたオナナによって逆転に成功する。
ウェルベックを交代で投入することで流れを掴みたいブライトン。だが、それでも流れは変わらず。中央を突破していくロジャーズの脅威は相変わらずであった。
アストンビラの4点目はマレン。交代からの1stプレーであっさりとリードを広げるゴールを奪う。右サイドからのクロスを仕留めたブライトンは3点目を決めてリードを再び1点差に。最後は5-4-1で受ける形で逃げるアストンビラが再逆転を許さず、連勝を4に伸ばした。
ひとこと
流れを掴んでからの畳み掛けの強度が調子がいいチームのそれ。
試合結果
2025.12.3
プレミアリーグ 第14節
ブライトン 3-4 アストンビラ
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:9′ 83′ ファン・ヘッケ, 29′ トーレス(OG)
AVL:37′ 45+7′ ワトキンス, 60′ オナナ, 78′ マレン
主審:アンディ・マドレー
第15節 ウェストハム戦(H)

またしてもクローズに失敗
序盤からボールを持つのはブライトン。ウェストハムの3-4-1-2型の守備はブライトンにとってはやや想定外だったかもしれないが、ゆったりとボールを持ちながら対抗。中央を固める分、サイドは浮きやすいという構造の3-4-1-2に対して、最近のブライトンのトレンドであるカディオールとデ・クーパーを併用する左サイドの攻めはカジュアルに利用できていた。
ウェストハムの守備は全体的に僅かに距離が遠め。本来閉じたい中央もラターに前を向かれるなどあまり閉じきれないいないのは気になった部分ではある。
ウェストハムの保持は基本的にはボーウェンとサマーフィルのスピード勝負。ライン間でパケタがフリーになれば、そこから背後を狙うことができる。実際、そういう場面は稀でなかなか前進に苦労。15分が過ぎたあたりからはボールをゆったり持てるようにはなるが、ゆったり持ちながら押し下げても崩しのところで解決策が見出せないという苦しい展開になった。
ブライトンも右サイドのミンテからファーへのクロスを狙うが、人が多いウェストハムの守備に対してニアで陣形を動かせずに苦戦。やや単調さが目につく。同様にサマーフィル、ボーウェンで背後を狙うウェストハムもシンプルさゆえに相手の守備に先読みされてしまい、なかなか先回りすることができなかった。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半も前半と陸続き。その中でやや変化があったのはウェストハムの方。定点攻撃においては2トップがサイドに流れることで攻撃の指揮を取るなど、前半と異なる傾向もちらほら。
それでも楽に攻撃に打って出ることができるのはカウンター。サマーフィルとボーウェンからファストブレイクでブライトンのバックラインにスピード勝負を挑んでいく。
ゴールを決めた73分の速攻は見事の一言。やや外に流れたように見えたボールだが、先に触ってそのまま素晴らしいコースに流し込む。
左右のサイドから攻勢を強めるブライトン。押し込むところからハーフスペースアタックなどでさらにチャンスを広げていく。
きっちりと5-4-1で構え直したウェストハムの守備ブロックを切り崩したのは後半追加タイム。ラターのシュートで水際で試合を振り出しに戻す。またしてもクローズに失敗したウェストハム。目の前に勝ち点3を落とすこととなった。
ひとこと
今節は若干仕方ない感があるとはいえ、またしてもクローズに失敗した感があるウェストハム。
試合結果
2025.12.7
プレミアリーグ 第15節
ブライトン 1-1 ウェストハム
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:90+1′ ラター
WHU:73′ ボーウェン
主審:サイモン・フーパー
第16節 リバプール戦(A)

欲しいものを取り戻したアンフィールド
インテルに勝利を挙げてまたしても首の皮がつながった感があるスロットのリバプール。不振の本拠地でも勝利を挙げて上昇気流に乗っていきたいところだろう。
そんな願いをかなえるかのようにリバプールは早々にゴール。立ち合いの流れの中から行ったハイプレスから引き出したバタバタとしたプレーを見逃さず。エキティケが1分も経たないうちに先制点を仕留める。
早々に先制点が入ったことにより試合は沈静化する。リバプールは特にバックスへのプレスに行かず、列落ちをする前線や中盤にはあまり興味のない様子。インサイドのレシーバーには時折絞ってボールを受けるウィーファーも参加。浮いた選手に縦パスをつけることができればここから右のミンテにボールを展開し、1on1で攻撃を仕掛けていく。
一方のリバプールの保持もカーティスの左落ちなど中盤の降りるアクションから。ブライトンはリバプールと異なり、降りる選手に対してはハイプレスに出ていく姿勢だったが、単発である上にリアクションなのでかなりの頻度で後手に回る。
中央で時間が作れるリバプールはビルドアップが免除されたSBへの展開から前進。特に右サイドはSHのショボスライのオフザボールの動きが秀逸で奥を取ることができた。逆のSHのヴィルツは中央に加わってむしろズレを作る側であった。
保持局面が安定していたリバプールはゴメスの負傷にも冷静に対応。サラーが入ってからは右の大外をサラーに託す形に変更し、引き続き浮いた中央からチャンスを作っていく。ヴィルツのアクションは板についており、ほかの選手が上がるアクションと噛み合わせて中央突破ができるなど、少しずつなじんでいく様子を見せた。
ボールを奪い返せないブライトンはセットプレーに対するカウンターからミンテの一本足打法に。しかし、これはコナテを軸としたバックラインに落ち着いていなされてしまう。サラーがいるサイドから突っつくことはもっと狙いたかったが、あまりそういう素振りは見られなかった。
後半もペースを握ったのはリバプール。右サイドからのファストブレイクでゴメスが決定機を迎えたシーンもあったが、基本的には単発。ダンクの不安定さを突くようなエキティケを終点としたロングカウンターからチャンスを作っていく。
するとセットプレーから追加点を得るリバプール。驚くくらいドフリーのエキティケからゴールを決める。
ブライトンは三笘を投入することで左サイドにテコ入れ。ワンツーからごりっと侵入するシーンを見せるなど見せ場はあったが、反撃の決め手まではいかなかった印象。三笘個人にスポットを当てるのであれば、復帰戦なのでこんなものかなという感じもする。
最後にサラーの決定機が決まらなかったのはご愛敬ではあるが、リバプールはアンフィールドでようやく完勝。欲しかった本拠地での笑顔のフルタイムを迎えることとなった。
ひとこと
ブライトン、好調の流れをせき止めてしまう内容の負け方だった。
試合結果
2025.12.13
プレミアリーグ 第16節
リバプール 2-0 ブライトン
アンフィールド
【得点者】
LIV:1′ 60′ エキティケ
主審:クレイグ・ポーソン
第17節 サンダーランド戦(H)

死の連戦はドロースタート
AFCONでは大量7人が離脱。プレミアで最も大きな影響を受けることとなっているサンダーランド。ここからの1ヶ月弱は文字通りの踏ん張りどころ。ブライトンのホームから死の日程が開幕することとなる。
一方のブライトンにもこの試合では懸念が。ファン・ヘッケが負傷、ダンクが出場停止ということでこの試合ではボスカリとコッポラという新CBコンビを組むこととなった。
CBコンビのうち、先に存在感を出したのはボスカリ。後方からの長く正確なフィードから攻撃の起点としての才能をアピールする。ただ、この日のブライトンの陣容だと浮き玉の長いボールを活かせるタイプの選手がいなかったのが痛恨。序盤はセットプレーから決定機を迎えたブライトンだったが、サンダーランドの強靭なバックラインに跳ね返されるケースが少しずつ出てくる。
だんだんとボールを持つようになったのはサンダーランド。右サイドは枚数をかけた崩し、左サイドではアディングラのアイソレーションからチャンスを作りにいく。序盤に限ってはブロビーへのゴリゴリのパワープレーも効いていたが総じてブライトンのCBは落ち着いて対応。徐々に潰せるようになっていた。
それでもサイドからきっちりと押し込むことができたサンダーランド。ヒンシェルウッドのハンドやコッポラの強引なタックルなど不用意にセットプレーのチャンスを与えてしまったこともあり、ここからサンダーランドはバラードのようなパワーヘッダーからチャンスを作っていく。
ブライトンは前半の終盤は自陣から脱出することができずに苦戦。押し込まれる状況を跳ね返せるチャンスがない状況。苦しいながらもスコアレスをキープした状態でハーフタイムを迎える。
後半早々にセットプレーからチャンスを迎えたサンダーランド。しかし、これをフェルブルッヘンのファインセーブで凌いだブライトン。少しずつポゼッションからリズムを取り戻していく。
ブライトンはサイドから斜めに中央に差し込むことでアヤリのミドルシュートを放つなどインサイドをこじ開けられるように。サンダーランドの命綱になったのはミンテを対面のヒュームが抑えていたこと。サイド攻撃に関してはむしろ左側のデ・クーパーとカディオグルのシンプルな縦への進撃からのチャンスが多かった。
サイドハーフを入れ替えることでリカバリーを図るサンダーランドだが、効果は瞬間的。三笘を使ってサイドの攻撃の形を変えたブライトンの方が終盤は敵陣でのプレータイムを増やしていく。一方的に押し込むもサンダーランドをこじ開けることはできず。試合はスコアレスで幕を閉じることとなった。
ひとこと
前後半で完全に主導権が入れ替わった試合だった。
試合結果
2025.12.20
プレミアリーグ 第17節
ブライトン 0-0 サンダーランド
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
主審:ダレン・イングランド
