アストンビラ、25-26シーズンの歩み。
第1節 ニューカッスル戦(H)

2回来た流れをモノにできず
開幕初めての土日。ビラ・パークでのランチタイムキックオフはニューカッスルとの一戦。ここ数年は交互にCLに出場している実力者同士のチームの対決だ。
ニューカッスルのパリ式キックオフで幕を開けたこの試合。トランジッション色が強い展開の中で先にペースを掴んだ感があったのはニューカッスル。トナーリ→エランガの裏抜けのパスなど、いきなり大きなチャンスを呼び込むパスで決定機を演出する。
縦に速い攻撃に関してはアストンビラはあまり手応えがなかった。後方に枚数をかけようとするスタンスはあるものの、SBのところに追い込まれて蹴らされて回収というメカニズムから脱出することができず。新GKのビゾットのフィード精度もイマイチ。パウ・トーレスがいない影響が大きいのかもしれないが、ワトキンスへの裏抜け一辺倒になってしまっていたこの日のアストンビラは少し昨季までとのキャラクターの違いを感じるものだった。
相手がプレスに来ないこともあり、試合は徐々にニューカッスルがポゼッションで支配。左サイドを中心に枚数をかけた崩しにトライしていくが、ビラもきっちりとSHを下げた守備で対応。リトリートが間に合いさえすれば、アストンビラは余裕を持って守れる感があった。ニューカッスルは中盤で相手を追い込んでのトランジッションによりゴールの可能性を感じた前半だったと言えるだろう。
ハーフタイムはスコアレス。優勢なのはニューカッスルだが、スコアに反映される形では前半に差はつかなかった。
前半の終盤にややポゼッションが回復基調だったアストンビラは後半も同じ流れを踏襲。4-5-1でミドルブロックを構えるニューカッスルに対してボール保持率を高めていく。
保持率を高めるだけでなく、インサイドに楔を入れてからの裏抜けなどより前半よりも手応えのある攻撃の仕上げを行っていたビラ。先制点に徐々に近づいていく。
だが、そんなビラに落とし穴。コンサがDOGSOで退場となってしまい、終盤の30分余りを10人で過ごすこととなる。
この退場により再び保持の主導権はニューカッスル。左サイド、主にゴードンからの仕掛けてゴールに向かっていくが、クロスやシュートのピントが合わず、なかなかアストンビラのゴールを脅かすことができない。
結局試合はそのまま終了。前半と後半の2回主導権を握ったニューカッスルだが、最後までアストンビラのゴールを破ることができなかった。
ひとこと
前半のアストンビラのキャラ変疑惑はちょっと気になるところではある。
試合結果
2025.8.16
プレミアリーグ 第1節
アストンビラ 0-0 ニューカッスル
ビラ・パーク
主審:クレイグ・ポーソン
第2節 ブレントフォード戦(A)

内容良化で道筋通りのゲームクローズ
第1節はともに不甲斐ない内容に終始した両チーム。勝ちを逃しているので当然結果も大事なのだが、シーズンの序盤ということを踏まえるとまずはこういう戦い方をしたいという旗印をきっちりと打ち上げることも重要となる。
序盤はロングボールのやり合い。前線でボールを行ったり来たりという状況でまずは様子見の様相である。
よりわかりやすくシャープになっていたのはブレントフォード。前節はただただ構えてズルズルと下がってしまう場面が目立っていたが、この試合ではきっちりとハイプレスに出ていくエネルギーを見せることができていた。
ただただ前がかりにいくのではなくメリハリのある守り方ができるのもよかったポイント。自陣では4-4-2をベースにミドルブロックを組みつつ、右の大外のワッタラはアストンビラの高い位置を取るディーニュを捕まえるように5バックになるという形で落ち着いた対応を見せる。
ボールを奪ったところからはサイドの裏で素早くカウンター。特に右サイドのスピードを生かす形のファストブレイクで前節が見られなかった縦への鋭さを見せることができていた。
一方のビラは苦戦が続く印象。マルティネス、トーレスという保持ベースの流れに沿った人員はスターターに復帰した一方でモデルは成り立たなかった。トーレスの縦パスはブレントフォードの中盤に狙い撃ちされていたし、マルティネスの長いボールも精度を欠いていた。唯一前進の手段として機能していたのは右の大外のマッギンのポストくらいだろう。
互いのスタイルの手応えはスコアに直結。前半に唯一動いたスコアは11分のブレントフォードのゴール。チアゴへのロングボールを囮に抜け出したワッタラが先制ゴール。アストンビラのCB陣の甘い対応をついてそのままゴールを生み出す。
後半はいくばくかアストンビラの攻撃は良化した印象。引き続き高い位置から追いにいくブレントフォードに対して、アストンビラはまずは横幅を使いながらポゼッションをしつつ縦パスのルートを丁寧に作る。これによって、ポストからの前進は前半よりも明らかに安定するように。
ブレントフォードはカウンターからチャンスを作っていくが、アストンビラのカウンター対応も前半よりも安定。初めからミングスがこれくらい気合いが入っていれば前半の失点はなかったかもしれない。
しかしながら、スピードアップした後の仕上げのところでビラは精度を発揮できず。そうこうしているうちにブレントフォードは5バックシフトと塹壕を築くための面々の投入で自陣に壁を作っていく。
逃げ切りのメカニズムは崩れなかったブレントフォード。最小スコアでの逃げ切りに成功した。
ひとこと
開幕戦はどうなることかと思ったブレントフォード。それなりに持ち直した感がある。
試合結果
2025.8.23
プレミアリーグ 第2節
ブレントフォード 1-0 アストンビラ
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:12′ ワッタラ
主審:トニー・ハリントン
第3節 クリスタル・パレス戦(H)

ラストマッチ「風」の試合は完勝で
ここまでなかなか思うように成績を出すことができていないアストンビラ。ここで対戦するのはクリスタル・パレス。この時点ではこの試合がラストマッチになると思われていたグエイを送り出すという意味合いで彼らにとっても重要な一戦だと思われていた。
ポゼッションからチャンスを作ったのはアストンビラ。押し込むところからのCKからチャンスを作っていく。4-2-3-1をベースとしたポゼッションからパレスの5-4-1のローブロックに対抗していく。
パレスは前の5枚がややナロー気味のポジション取り。そのため、幅をカバーするのはWB。ムニョスやミッチェルが前にスライドする形で封鎖を挑んでいく。逆に言えば、そのスライドが保持側のアストンビラにとっては狙い目となる。
このギャップを使われたくないパレスはローブロックに終始する。しかしながら、そうなるとパレスは延々とボールを奪うことができない。奪えなくても危うい場面は多くはないので、悩ましいところではあるが、保持に回ればパレスもビラの守備に対して時間を作れる手応えがあったため、奪い返しにいくスタンスを少しずつ出ていく。
先制点は盛り返したパレスから。マテタのポストから抜け出した鎌田がPKを獲得。CBに対するマテタのアプローチの甘さから失点に繋がってしまう。
失点したアストンビラは再び押し返しながらポゼッションを敢行。ワトキンスのポストからサイドを使うことで徐々に深さを作っていく。押し込むフェーズに移行するアストンビラだが、マテタを活かすお手軽な陣地回復からパレスも反撃。一回押し下げたところから幅を広げるポゼッションでビラを押し込んでいく。
ハーフタイムにビラは交代を実施。ブエンディアの投入でライン間のレシーブ役を投入。ティーレマンスとともに狭いライン間のスペースで勝負ができる選手を増やし、徐々に手応えがある形を作っていく。
一歩出足が遅れてのファウルから警告を受ける場面が少しずつ出てきたぱれす。やや苦しい展開となったが、一発のミスを咎めてのカウンターから追加点。グエイの見事な美しいミドルでさらにビラを突き放す。
終盤にはさらにロングスローをから3点目。ビラのボックス内の脆い守備を攻略したパレスが非保持の時間が多いながらも試合を支配し、ビラ・パークを制圧した。
ひとこと
ビラ、CBの迎撃のフィーリングが開幕から少しおかしい気がする。
試合結果
2025.8.31
プレミアリーグ 第3節
アストンビラ 0-3 クリスタル・パレス
ビラ・パーク
【得点者】
CRY:21′(PK) マテタ, 68′ グエイ, 78′ サール
主審:スチュアート・アットウェル
第4節 エバートン戦(A)

対照的なスコアレスドロー
開幕戦こそ敗れたものの、そこから2連勝。ここ数年は苦しむことの多いエバートンだが今季は好調な幕開けを飾っている。対照的なのは対戦相手のアストンビラ。CL争いではすっかり常連の近年だが、今季はここまで勝利どころか得点がない苦しい立ち上がりとなっている。
基本的にはこの両チームの勢いがそのまま出ている展開となったと言えるだろう。エバートンのボール保持は後方から幅を使いながらゆったりとポゼッションを進めていく。アストンビラの2列目は交代。下がって受ける選択をする相手に対して、エバートンはグリーリッシュを軸として左サイドから攻撃を仕掛けていく。よりダイレクトな展開ではベトの抜け出す形からもチャンスを作るケースも。緩急を織り交ぜたポゼッションから動かしていく。
一方のアストンビラはボバルテが右のサイドにサリーする格好でこちらもポゼッション勝負。しかしながら、スイッチを入れてサイドに追い込んでいくエバートンに対してなかなかチャンスを作ることができない。
保持、非保持ともに良好なのはエバートン。ハイプレスでボールを奪い、追い詰めて敵陣でまた回収するメカニズムが機能する。一方のアストンビラは仮に押し下げることができたとしてもボックス内への侵入に苦戦。ミドルゾーンでもボールを簡単に奪われてしまうなど、あまり彼ららしからぬ試合運びを見せてしまった印象だ。
敵陣に入ったところでもブエンディアがハーフスペースアタックを敢行するが有効打にはならず。すでに先回りしていたエバートンの守備陣が余裕を持って封鎖する展開となった。
後半、アストンビラはグザンを投入。外のレーンにターゲットを作ることでロングボールの預けどころを作る。ブエンディアとロジャーズはインサイドに専念。ライン間から前を向ける機会は前半よりも多く、攻撃の精度は前半よりも上がっていく。
一方のエバートンも引き続きグリーリッシュのサイドアタックが軸。サイドの起点になりそうなグザンを押し下げることで保持の支配権を徐々に取り戻していく。しかし、この日はストライカーが決めきれず。ベトには大チャンスがあったが、シュートを仕留めることができない。
押し込むことで試合を支配するエバートンだが、ストライカーが仕留めることができないという構図はバリーが入ってきても同じ。多くのシュートを浴びせながらもアストンビラを破ることはできず、試合はスコアレスドローで決着をすることとなった。
ひとこと
アストンビラ、なかなか得点のきっかけが見えてこない。
試合結果
2025.9.13
プレミアリーグ 第4節
エバートン 0-0 アストンビラ
ヒル・デッキンソン・スタジアム
主審:サイモン・フーパー
第5節 サンダーランド戦(A)

初ゴール確保も初勝利はお預け
初勝利どころかここまで得点がないアストンビラ。上位争いが定位置だったここ数シーズンから今季は正念場。昇格組のサンダーランド相手になんとか今季初勝利をあげたいところだろう。
序盤はボールが行き来するバタバタとしたスタート。試合が落ち着くとボールを互いに持ち合う展開に。サンダーランドの保持は4-4-2でローブロックのアストンビラに対して、幅を使いながらボールを動かしていく。
可変多めの左サイドにはジャカのフィードでボールを供給。サディクが低い位置を取るアクションに呼応するように高い位置をとるヘイニウドがル・フェーをフォローする。右サイドはライン間のリグにボールが入ると、そこから奥に侵入を狙う。イシドールやル・フェーの裏へのパスからチャンスを作っていく。
一方のアストンビラは3-2-5のポゼッション。非保持4-4-2で組むサンダーランドはワンサイドカットで相手のビルドアップを片側のサイドに追い込んでいく。グザンやブエンディアなどドリブルで加速したところから前がかりなサンダーランドの守備を壊しに行きたいところだが、ドリブルのリリースのタイミングを掴めずにロストしてしまうなどリズムを握りきれない。
主導権の握り合いの状況で試合に変化をもたらしたのはヘイニウドの退場。試合にあまり関係ないところでの小競り合いからの一発退場で数的不利に。この退場でサンダーランドは5-3-1にシフト。イシドールにロングボールを当てての一撃狙いに変更する。
保持率を上げていくアストンビラだが前半には仕留めきれず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半、アストンビラはボールを持ちながら押し下げていく形でスタート。しかしながら、サンダーランドも反撃に出ていく。1トップのイシドールがミングスに引っ掛ける形から一気に前進。
前進のきっかけを掴んだサンダーランドはひたすらここからセットプレー。相手に簡単にクリアを許さずに延々とセットプレーを重ねる粘り強さでチャンスを積んでいく。
しかしながら、セットプレーからスコアを動かしたのはアストンビラ。豪快なキャッシュのシュートで試合を動かす。
それならばハイプレス!というサンダーランド。このハイプレスをうまくいなすことができないアストンビラはまたしても押し込まれてしまうと、イシドールにゴールを許してしまうことに。
慌てて押し込むアストンビラだが最後まで勝ち越しゴールを生み出すことができず。試合はドローで決着となった。
ひとこと
武闘派のサンダーランド、セットプレーでの割り切りはなかなかめんどくさそうだった。
試合結果
2025.9.21
プレミアリーグ 第5節
サンダーランド 1-1 アストンビラ
スタジアム・オブ・ライト
【得点者】
SUN:75′ イシドール
AVL:67′ キャッシュ
主審:サム・バロット