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「Catch up Premier League」~クリスタル・パレス編~ 2025-26 season

クリスタル・パレス、25-26シーズンの歩み。

目次

第1節 チェルシー戦(A)

交代選手で活性化もゴールには届かず

 CWCでは優勝を果たしたチェルシー。新フォーマット初の大陸王者として臨む新シーズンの開幕戦はコミュニティシールドを幸先抑制することに成功したパレスを迎えての一戦だ。

 序盤からボールを持つのはチェルシー。ククレジャがインサイドに絞る形で3-2-5に変形。パレスはバックラインにはプレスをかけず、中盤を消すことにフォーカスし、ミドルゾーンにブロックを組んでいく。

 インサイドがなかなか空かないチェルシーはペドロへのロングボールやWGにボールをつけるところから揺さぶっていく。ジリジリと押し下げてからニアを狙ったCKでセットプレーからゴールを窺う姿が目立ったチェルシーだった。

 一方のパレスはGKを絡めながらのポゼッションを敢行。チェルシーをハイプレスに誘い出す格好からロングボールを入れることで擬似カウンターのようなシーンを創出。収まるマテタをヘンダーソンが徹底的に狙っていく。

 収まる前線を生かしたロングボールから押し返したパレスはエゼのFKでネットを揺らす。だが、これは壁のコースをこじ開けたグエイがファウルを取られてしまいノーゴールに。チェルシーは肝を冷やした格好だ。

 それでも手応え良好なパレスは徐々に圧力を高めていく。時にはマテタからバックラインにプレスをかけるスイッチを入れてチェルシーのバックスにプレッシャー。裏に引っ張るランを挟み込むなどの工夫をしていたとはいえ、ロングボールの的としてはペドロはマテタほど存在感はなかったので、セカンド回収に持っていければパレスとしては十分に美味しい形となる。

 カイセドのパートナーをククレジャから降りるシャドー、WGに変更したりなどインサイドのマークをずらすトライもしたチェルシーだが、インサイドにパスコースが開通した頻度は数える程。WGの突破力を活かすこともできず、ジリジリとした展開に巻き込まれながら前半はスコアレスで過ごすこととなった。

 後半、再びチェルシーがボールを持つ展開でスタート。ロングボールのセカンド回収に出て行ったようにククレジャが前線に寄与する時間は前半以上に増えた。

 押し込みながら時間を作るチェルシーに対して、トランジッションを軸にパレスは反撃。全体的に前半と同じ様相を呈する後半となった。

 変化をつけたいチェルシーはエステバンを投入し、左右のWGからの攻撃を強化。左右のサイドからゴールに迫るクロスを入れていく。

 だが、パレスはこの流れを鎮静化するとマテタのロングボールから陣地回復。オープンな成分が増えて互角な撃ち合いに。チェルシーもこの状況に乗じて流れにフィットしそうなデラップを投入することで対抗する。サイドに揺さぶりながら機動力のあるパレスDFと渡り合うなど、存在感は十分見せたと言えるだろう。

 だが、終盤にチャンスを迎えたサントスが枠にシュートを飛ばせないなどチェルシーはゴールをこじ開けることはできず。試合はスコアレスで幕を閉じた。

ひとこと

 パレスはちょっとチェルシーとの相性は悪かったかもしれないし、対戦するタイミングも悪かったかもしれない。

試合結果

2025.8.17
プレミアリーグ 第1節
チェルシー 0-0 クリスタル・パレス
スタンフォード・ブリッジ
主審:ダレン・イングランド

第2節 ノッティンガム・フォレスト戦(H)

不可思議なフォレストのスタンス

 やや不思議な出方をしたのはフォレスト。ムリージョが左サイドに大きく開くビルドアップで3バックに変形する。この形がやや不可思議なのは相手のパレスの陣形との関係だ。

 3-4-2-1がナチュラルなポジションであるパレスにとって、3-2-5に変形するフォレストの立ち位置はハイプレスでハメやすいもの。高い位置からのプレスで相手のビルドアップを牽制する。

 そうした中でもフォレストはなんとか前進を狙っていく。左サイドでは表と裏を狙いながらボールを受けるハドソン・オドイ、右サイドではライン間を狙うギブス=ホワイトの2人が縦パスのレシーバーに。しかしながら、ホルダーがプレッシャーがかかっていることが多いため、なかなか受け手にはハードな状況。それでもなんとかするのが今のパレスの能力の高さと言えるかもしれないが。

 フォレストが不思議だったのは非保持ではいつもの4-4-2に戻っていたからでもある。非保持で相手をはめるための変形なら理解できるのだが、そういうわけではなく相手がズレを作りやすい4-4-2に戻す。

 そのため、パレスは左右に揺さぶりながら深いところまで侵攻することに安定感があった。特に大外のミッチェルは中央のマテタやサールのポストから浮いた大外でボールを受けて、クロスからチャンスを作っていた。

 押し込む頻度が高いパレスはそのまま先制。左右に揺さぶることで中央で浮いたサールが先制ゴールを奪う。陣形の噛み合わせがそのまま戦況につながり、さらにはスコアの差になった印象だ。

 後半もロングボールの応酬となったこの試合。ボールがポンポンと飛び交う立ち上がりとなる。

 時間の経過とともにボールを持つようになるのはフォレスト。パレスが組むブロックの外からのポゼッションからボールを動かしていく。

 これではまずいということで少しずつ受け手に厳しいプレッシャーを変えていくパレス。だが、この状況をひっくり返したのはエンドイェ。背負ったところからのスーパーパスで抜け出したハドソン・オドイ。素晴らしいハイライン破りから一気にゴールに辿り着く。

 以降はやや両チームとも停滞があった印象。サイドに狭く閉じ込められるパレスはレシーバーが辛い状態になっていたし、フォレストは左サイドを軸としたハイライン破りを試みるが打開することはできず。多くの交代選手も実らないまま試合はドロー決着となった。

ひとこと

 決め手に欠いた終盤戦だった。

試合結果

2025.8.24
プレミアリーグ 第2節
クリスタル・パレス 1-1 ノッティンガム・フォレスト
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:37′ サール
NFO:57′ ハドソン=オドイ
主審:アンソニー・テイラー

第3節 アストンビラ戦(A)

ラストマッチ「風」の試合は完勝で

 ここまでなかなか思うように成績を出すことができていないアストンビラ。ここで対戦するのはクリスタル・パレス。この時点ではこの試合がラストマッチになると思われていたグエイを送り出すという意味合いで彼らにとっても重要な一戦だと思われていた。

 ポゼッションからチャンスを作ったのはアストンビラ。押し込むところからのCKからチャンスを作っていく。4-2-3-1をベースとしたポゼッションからパレスの5-4-1のローブロックに対抗していく。

 パレスは前の5枚がややナロー気味のポジション取り。そのため、幅をカバーするのはWB。ムニョスやミッチェルが前にスライドする形で封鎖を挑んでいく。逆に言えば、そのスライドが保持側のアストンビラにとっては狙い目となる。

 このギャップを使われたくないパレスはローブロックに終始する。しかしながら、そうなるとパレスは延々とボールを奪うことができない。奪えなくても危うい場面は多くはないので、悩ましいところではあるが、保持に回ればパレスもビラの守備に対して時間を作れる手応えがあったため、奪い返しにいくスタンスを少しずつ出ていく。

 先制点は盛り返したパレスから。マテタのポストから抜け出した鎌田がPKを獲得。CBに対するマテタのアプローチの甘さから失点に繋がってしまう。

 失点したアストンビラは再び押し返しながらポゼッションを敢行。ワトキンスのポストからサイドを使うことで徐々に深さを作っていく。押し込むフェーズに移行するアストンビラだが、マテタを活かすお手軽な陣地回復からパレスも反撃。一回押し下げたところから幅を広げるポゼッションでビラを押し込んでいく。

 ハーフタイムにビラは交代を実施。ブエンディアの投入でライン間のレシーブ役を投入。ティーレマンスとともに狭いライン間のスペースで勝負ができる選手を増やし、徐々に手応えがある形を作っていく。

 一歩出足が遅れてのファウルから警告を受ける場面が少しずつ出てきたぱれす。やや苦しい展開となったが、一発のミスを咎めてのカウンターから追加点。グエイの見事な美しいミドルでさらにビラを突き放す。

 終盤にはさらにロングスローをから3点目。ビラのボックス内の脆い守備を攻略したパレスが非保持の時間が多いながらも試合を支配し、ビラ・パークを制圧した。

ひとこと

 ビラ、CBの迎撃のフィーリングが開幕から少しおかしい気がする。

試合結果

2025.8.31
プレミアリーグ 第3節
アストンビラ 0-3 クリスタル・パレス
ビラ・パーク
【得点者】
CRY:21′(PK) マテタ, 68′ グエイ, 78′ サール
主審:スチュアート・アットウェル

第4節 サンダーランド戦(H)

手に汗握るスコアレスドロー

 ともに序盤戦から好調をキープ。トップハーフにいるチーム同士の対戦だ。どちらもまずはショートパスを中心としたポゼッションでスタート。しかしながら、非保持における両チームのスタンスにはやや違いが。高い位置から出ていって同サイドに圧縮してボールを囲う意識が強かったサンダーランドに対して、パレスはプレスのスタート位置を中盤に設定。マテタがジャカを見る形で高さを決める。

 というわけでプレスの緩いサンダーランドがポゼッションが高い状態に。立ち上がりのディアッラのように、3-4-3に対して中盤のスペースを繋ぐようなパスワークからボックス内に侵入していく。しかしながら、ボックスの中で待ち受けるパレスの守備陣は間に合わせており、決定的なチャンスにはならなかった。

 パレスは大きな展開からのチャンスメイク。右サイドでオーバーラップするムニョスがサンダーランドのマーカーから抜け出す形で敵陣に一気に押し下げていく。目新しかったのは大外のレーンのムニョスだけでなく、ややインサイドよりのピノがハーフレーンを抜け出す形で決定機を作ったこと。抜け出すオフザボールのしたたかさもなかなかだが、見逃さなかったヒューズのスキルも素晴らしかった。

 押し込む頻度は少なかったパレスだが、この左から右に貫くようなパスワークからチャンスメイク。一撃の重さで頻度の少なさをカバーする。だが、どちらのチームもスコアを動かせず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。

 後半も荒天の中で熱い一進一退の攻防。パレスは後半にピノが躍動。ライン間での狭いスペースの反転だけでなく、大きく左右に揺さぶるパレスの広い攻撃の中でボックス内に侵入するという形からシュート機会を作っていく。惜しくもチャンスは作れなかったが、細かいパスワークにも違和感なく馴染んでおり、フィットは問題なさそうだ。

 サンダーランドは立ち上がりのアルデレーテのボール奪取から右サイドへの展開が好印象。開幕から好プレーを続けているCBが後半立ち上がりにいいプレーを見せる。

 押し込まれる機会が多かったサンダーランドはファストブレイクからチャンスを作っていこうとリスタートを早くする。だが、パレスの快足守備陣によって、このチャンスメイクは封殺されてしまう。

 終盤はパレスが一方的にサンダーランドを押し込む展開。鎌田のミドル、マテタの決定機など多くのチャンスを迎えたパレスだが、全てレフスがシャットアウトする。

 ゴールを死守する守護神の活躍により、サンダーランドは勝ち点1を確保。残留に向けて押し込まれる展開で結果を残したのは個人的に大きいと思う。

ひとこと

 スコアレスドローではあったが爽やかで見応えのある試合。

試合結果

2025.9.13
プレミアリーグ 第4節
クリスタル・パレス 0-0 サンダーランド
セルハースト・パーク
主審:トーマス・ブラモール

第5節 ウェストハム戦(A)

クロス対応が明暗を分ける

 互いにゆったりとしたポゼッションからスタートするロンドンダービー。先に前進のきっかけを掴んだのはウェストハム。右サイドのウォーカー=ピータースからパス交換で縦に進んでいく。逆サイドのサマーフィルは相手のWB-CB間の受け渡しのギャップを利用して前を向いて前進。右サイドとは異なる加速の仕方を見せていく。

 パレスの前進はまずはロングボールから。SHがプレスのスイッチを入れるところに対抗する形でマテタに長いボールを入れていく。しかしながら、少しずつウィルソンが背後に隠していたウォートンから縦パスを入れることができるように。ライン間で躍動するのは前節活躍を見せていたピノ。ここから左右のWBを活用する形でゴールに迫っていく。

 前進の手段はあるものの、なかなかボックス付近でのチャンスメイクが実らない両チーム。ジリジリとした展開の中で徐々にパレスが後方からの対角パスでウェストハムのDFを置いていくように。押し込む状況を増やすと、セットプレーから先制。スクリーンで大外から抜けたグエヒからの混戦を最後はマテタが制して試合を動かす。

 前半の終盤は互いにセットプレーを軸としたチャンスメイクを披露する両チーム。ウェストハムのFKはあっさりとパレスにひっくり返されていたが、ラストプレーとなるサマーフィルからの加速→ウィルソンの攻撃というカウンターからチャンスメイク。だが、パレスのプレスバックが間に合ってしまいシュートまでは至らず。試合はパレスのリードでハーフタイムを迎える。

 後半、ウェストハムは保持からスタート。左サイドを主体に攻撃を仕掛けていく。ウェストハムの左サイドのユニットはディウフも含めて見どころがある状況だった。

 押し込むウェストハムはセットプレーから同点。ドフリーになったボーウェンから追いつく。ファーサイドで完全にフリーだったボーウェンに全く対応できなかったのはパレスのセットプレーの守備の欠点だったと言えるだろう。

 同点になってからさらにウェストハムは圧力を増していく。中央でパケタが起点になり、左右に振りながら奥を抉ってのクロスの連打。ヘンダーソンはひたすらクロスカットに追われる展開となる。

 だが、そうした苦しい展開においてパレスは勝ち越しゴールをゲット。右サイドからのウォートンのクロスに鎌田が粘り、ファーサイドのミッチェルが最終的に仕留めて勝ち越す。まさしくワンチャンスのゴールだ。

 ウェストハムは引き続き左サイドからの攻撃を強めることで対応していく。しかしながら、カウンターからうまく反撃していくパレスは最後の時間をうまく消費。リードを守り、勝利を手にした。

ひとこと

 セットプレーというかクロス対応が明暗を分ける試合だった。

試合結果

2025.9.20
プレミアリーグ 第5節
ウェストハム 1-2 クリスタル・パレス
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:49′ ボーウェン
CRY:37′ マテタ, 68′ ミッチェル
主審:トニー・ハリントン

第6節 リバプール戦(H)

劇的な幕切れでパレスが歓喜をあげる

 リーグで唯一の無敗の両チームの対戦。コミュニティ・シールドの再戦となったカードであり、未来の話をすればカラバオカップ4回戦の組み合わせでもあるカード。そして、試合前には当然グエイがカメラで抜かれるカードでもある。

 まずはリバプールがボールを持つスタート。パレスがきっちりと中盤に構える形で対応。リバプールは前節フィーリングが良かった中盤の形を維持しつつ、ヴィルツを左に押し出すフォーメーションでこのブロック攻略に挑む。プレスに関してはあまりリバプールは積極的ではなく中央の封鎖を優先。左のSHは絞って中盤をケア。中盤っぽい守備の強度を要求するにもヴィルツの左サイドはうってつけだったのかもしれない。

 パレスはサイドを軸にしたカウンターで対応。構えたところからのロングカウンターでリバプールをファストブレイクで壊しにいく。どちらの攻撃も一進一退の立ち上がりの中で試合はセットプレーで動く。ファーサイドのCKをグラフェンベルフが目測を誤って折り返し。フリーのサールがこれを押し込む。

 観客席のトラブルがあり、試合が中断をしてもなおパレスのペースは続く。ファストブレイクを軸に量産されるチャンスをアリソンがことごとくセーブ。3回の決定機を防ぎ、ビハインドを最小得点差に留める。パレスはコナテに警告を引き出させたが、なかなか追加点には結びつかない。

 カウンターの精度もなかなか上がってこないリバプール。パレスがWB→WBなど幅を使った攻撃を繰り出している分、サイドからボールを運べそうだったが、運んだ後のプレーの質が低くゴールまで迫ることができない。

 ヴィルツを中盤に絞らせて、ケルケズを大外の高い位置に置くポゼッションでの工夫もわかるのだが、インサイドのスペースを消して、相手を外に締め出すパレスのアプローチはきっちり機能。なかなか守備の誘導を裏切ることができなかった。

 それでも押し込む意義があるのはパレスのセットプレーの守備が危ういから。ウェストハム戦でも失点に繋がったニアに人を多く配置するゾーンのCK守備は今節も機能不全。コナテにフリーでヘディングを許すが、なんとか事なきを得る。

 同点にできなくともリバプールサポーターは幸運に感じるスコアであることは確かだろう。たりないカウンターでの仕上げの精度と、ヴィルツの4枚目の中盤起用のハマらなさなどどことなくやりきれない内容の前半をアリソンが繋ぎ止めた45分だった。

 後半、リバプールはガクポを投入してショボスライをSBに。よりこれまでに近いバランスに修正してポゼッション時のバランスの調整を図る。右サイドでは前半はあまり見られなかった旋回が出てくるように。特にショボスライの流れの中からの攻撃参加は効いていた。

 逆に流れに乗り切れなかったのはイサクとヴィルツ。めちゃくちゃ悪いというわけではないのだけども、おそらくはまだリーグ戦でゴールが出ていない上での硬さのようなものを感じる流れではあった。

 パレスのカウンターもさすがに出力が落ちてきた後半。攻め立てる時間が多くなってきたリバプールはお馴染みのパワープレーでストライカーを複数人ボックス内に配置。その状況を得点に結びつけたのはキエーザ。今季の伝統芸能というべき80分台のゴールで試合を振り出しに戻す。

 勢いをつけてゴールに迫りたいリバプールだが、この日はなかなかボックスに迫る試行回数が積み上がらずに苦戦。すると、陣地回復に成功したパレスがロングスローの機会を活かして勝ち越し。ニアで仲間が粘ったボールをゴールに繋げたのはエンケティアだった。

 劇的な勝利でリーグ唯一の無敗をキープしたパレス。リバプールが開幕から積み上げた連勝は開幕前に敗れたパレスによって止められることとなった。

ひとこと

 チャンスの数的には妥当な結果ではあるが、スコア的に押し返された状況からリバプール相手にひっくり返すパレスの胆力は素直にすごい。

試合結果

2025.9.27
プレミアリーグ 第6節
クリスタル・パレス 2-1 リバプール
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:9′ サール, 90+7′ エンケティア
LIV:85′ キエーザ
主審:クリス・カヴァナー

第7節 エバートン戦(A)

マージーサイドで無敗チームが消滅

 自らの手でリバプールに土をつけ、ついにリーグ唯一の無敗となったクリスタル・パレス。今節の相手はこちらも例年よりも状態がいいエバートン。マージーサイド勢との連戦となる。

 序盤の空中戦デュエルが落ち着くと、高い位置からジリっとハイプレスに出ていくエバートン。パレスはビルドアップからこのプレスを回避。フォーメーションの噛み合わせの悪さを活用し、鎌田やマテタなど中央の面々が降りて受けることでセンターラインに起点を作っていく。

 ややプレスは空転気味だったエバートンだが、ボールを奪った後のシャープなカウンターは好調を感じさせる。特に左サイドはグリーリッシュが牽引するカウンターがチャンスを作っていく。

 高い位置でボールを止めて、ポゼッションの時間を増やしてサイドからのクロスでゴールに迫っていくエバートン。左サイドからのクロスにバリーが決定機を迎えるシーンもあった。

 やや押し込まれている時間が多くなったパレスだが、カウンターから一撃必殺。サールのキャリーからオーバーラップしたムニョスが見事なフィニッシュで先制ゴールを決めた。悪くない時間を過ごしていたエバートンだが、瞬間的に空いた守備の穴を突かれる形での失点。エバートンは優勢を活かせないままハーフタイムを迎えることとなった。

 後半、エバートンは2枚の交代を実施。存在感を出せていなかったディブリングと前線で決定機を活かせなかったバリーを同じポジションの選手と入れ替えていく。

 後半のエバートンもきっちりと幅を使っての攻撃を敢行。WGの突破力を活かしてのクロスからチャンスを作っていく。

 しかしながら、パレスはカウンターから反撃。得点シーンのようなクリティカルなチャンスに拍車をかけていたのはピックフォードの不安定な飛び出し。後方をぽっかりと開けてしまうことで、大きなピンチを迎えていたが、オブライエンのライン上でのクリアなどなんとか追加点を許さない。マテタ、サールといった面々は決定機を仕留めきれなかった。

 エバートンは交代選手で流れを変える。ベトの背後を取るように入っていったイロエブナムにラクロワが対応を誤ってPKを献上。非常に見事なオフザボールからエバートンはタイスコアに戻す。

 さらには後半追加タイムに勝ち越しゴールを決めたエバートン。ベトが仕留めきれなかったボールを押し込んだのはグリーリッシュ。好調のWGの決勝点により、パレスの開幕からの無敗記録は6で止まることとなった。

ひとこと

 ソリッドでシャープな見応えのある試合だった。

試合結果

2025.10.5
プレミアリーグ 第7節
エバートン 2-1 クリスタル・パレス
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:76′(PK) エンジアイ, 90+3′ グリーリッシュ
CRY:37′ ムニョス
主審:マイケル・サリスベリー

第8節 ボーンマス戦(H)

愛すべきオープン合戦は痛み分け

 ともに前への推進力を持ちながら今季のプレミアでは素晴らしいスタートを決めている伏兵同士の一戦。まずはボールを持つのはボーンマス。バックラインにプレスに来ないパレスの守備陣に対して、自由にボールを持てるボーンマスのDFが配球を行っていく。

 押し込むボーンマスはセットプレーから先制。ニアフリックをファーに詰めたクルーピが先発起用に応えたゴールを奪う。先制点の前にパレスは得意のカウンターからシュートチャンスを迎えていたが、先にスコアを動かしたのはボーンマスだった。

 ややカウンターのシャープさが欠けてしまっていた失点後のパレス。前からのプレスに来るボーンマスに対して、左右に揺さぶるポゼッションから少しずつ押し返していく。サイドからのシンプルなクロスからマテタをいかす形や、サールでサイドをえぐる形でゴールに向かっていく。彼らをハンドリングするために降りてボールを受ける鎌田やピノを潰せるかがボーンマスの守備がうまくいっているかどうか?の指標だったと言えるだろう。

 それでもパレスの一番の脅威であったファストブレイクにボーンマスの守備陣は難なく対応。パレスは何か1つ上乗せする必要があるという状況だった。

 そんなパレスをよそにボーンマスは追加点。左サイドのセメンヨの馬力をいかす形で対面のリチャーズを置いていくと、またしても仕留めたのはクルーピ。前半だけで2得点。見事な活躍でチームを牽引する。

 終盤のパレスはひたすらプレスで押し込んでいくが、そこから生まれたチャンスを仕留めることはできず。リードを2点許す形でハーフタイムを迎える。

 後半、追いかけるパレスはチェイシングをスタート。ボーンマスはゆったりとボールを動かすことでまずはこのプレスをスローダウンしにかかる。

 テンポの駆け引きで勝利した感があったのはパレス。アップテンポな状況は一度はOFRによって阻まれたが、徐々に行ったり来たり感を復活させる。すると、右サイドのムニョスの暗躍でマテタがついにゴールをゲット。

 さらには直後にも鎌田のサイドチェンジを引き取ったところからムニョスが再びアシスト。マテタの2ランで試合はタイスコアに。

 一気に攻め立てたいパレスだが、ややアップテンポな展開はボーンマスとしては受けて立つのは臨むところ。試合は段々とオープンな流れに推移する。

 殴り合いで先にチャンスを掴んだのはボーンマス。再三チャンスを作っていた左サイドからの折り返しをクリスティーが仕留めて前に出る。

 この終盤のゴールで決着かと思われたが、後半ATにセットプレーのホールディングでPKを獲得。マテタがハットトリックを決めてパレスが同点に追いつく。

 そのマテタは終了間際に絶好期を迎えるがまさかの枠外。チームを勝利に持たせなかったエースはハットトリックを決めながら頭をかかえる幕切れとなった。

ひとこと

 愛すべきオープン合戦が見られた終盤戦だった。

試合結果

2025.10.18
プレミアリーグ 第8節
クリスタル・パレス 3-3 ボーンマス
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:64′ 69′ 90+7(PK) サール
BOU:7′ 38′ クルーピ, 89′ クリスティー
主審:ジャレット・ジレット

第9節 アーセナル戦(A)

動けぬ時のセットプレー

 レビューはこちら。

 終わってみれば大量得点を決めて余裕の展開となったが、アトレティコのCLは先制点に時間がかかったし、タフなコンディション調整も行った来たはず。必然的に難しくなるのはその後ろの試合の今節。ホームに曲者のクリスタル・パレスを迎えての一戦だ。

 まずは控えて中盤をプロテクトするパレスに対して、アーセナルはあえて3バック化を行い、パレスの3トップと噛み合わせる陣形としてプレスにおびき寄せる。アーセナルから見て右サイド、鎌田を手前に引き出すことでパレスの陣形に穴を空けてライン間のエゼの縦パスを差し込んでいく。

 しかし、パレスもすぐにバランスを修正。むやみに穴を空けずにプレスを自重し、アーセナルのマイナスパスに合わせてラインを上げることで少しずつ列を上げていきミスを誘発。ここから一気にカウンターでアーセナルのゴールに迫る。

 だが、アーセナルのパスワークが乱れたところを咎めたいパレスのパスワークも乱れてしまうというジレンマが発生する。パレスもアーセナルのミスを突き切れない。

 すると、手を変え品を変え前進のきっかけをつかんだアーセナルが先制点をゲット。右サイドでわずかなギャップからファウルを獲得したのはサカ。このFKをライスが蹴ると、こぼれたところをエゼが押し込んで先制点を奪う。苦しい流れであったが何とか得意分野で試合を動かすことに成功する。

 後半もアーセナルはポゼッションからスタート。左右に相手を振りながらズレを作るポイントを探していく。サイドに大きくスビメンディが流れるなど、自由度を増やしながらゴールに向かう手段を探っていた印象だ。

 パレスもマテタのポストからの加速でスピードアップを狙う。だが、こちらは中盤のパスワークの不安定さがなかなか改善されず。抜け出すアクションを作れても一つ遅れてしまえば、アーセナルの中盤より前の素早いプレスバックで潰されてしまう。

 終盤はラインを下げての防衛に転じたアーセナルだったが、局所的に前進の先導役となるギョケレシュの活躍により、一方的に押し込まれる展開にはならず。交代で前線に入ったパレスの面々もクオリティを発揮することができないまま時間だけが過ぎていく。

 結局試合はそのまま終了。フラム戦同様、切迫したスコアながらも余裕を持って逃げ切ったアーセナルが首位の座をキープした。

ひとこと

 どちらも欧州の疲れを感じる試合だったのでセットプレーで動かせる力のある方が上に行くというのは納得感があった。

試合結果

2025.10.26
プレミアリーグ
第9節
アーセナル 1-0 クリスタル・パレス
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:39′ エゼ
主審:トーマス・ブラモール

第10節 ブレントフォード戦(H)

それぞれの形での均衡をセットプレーで解決

 今季、開幕からの最長無敗記録を達成したパレス。だが、そこからはなかなか勝ち点3を積み上げられずに苦戦している。対照的にコンディションを上げてきている印象のブレントフォードとの一戦に挑む。

 どちらのチームもらしい立ち上がり。パレスは前の3枚のタレントを生かす形。特に相手を背負うポストから時間を作り、シャドーやWBの攻めあがる時間を作っていくところからチャンスメイク。押し込んだ先のセットプレーでも惜しいシーンが見受けられた。

 やや縦に速い展開を好むパレスに対して、ブレントフォードはプレスに来ないパレスに対してDFのキャリーで勝負。アイエルのキャリーやそれに合わせるサイドフローのヘンダーソンからのチャンスメイクで少しずつ敵陣に進んでいく。

 ヘンダーソンのゲームメイク力はさすが。列を細かく変えながら幅を使いながらの攻撃でパレスのWB周辺を攻め込むことができていた。中盤の新しい核として攻撃を作っていく。

 それぞれの形からチャンスを作る両チームだが、先制したのはパレス。ロングカウンターから得たセットプレーの機会を生かし、マテタが先制ゴールを叩き込んで見せた。

 ブレントフォードは失点以降に一方的なポゼッションを敢行。後方を任意の3枚でメンバーを入れ替えながら進めることで、保持に変化を加えていく。

 パレスは得点シーンと同じくセットプレーからチャンスメイク。ライン間からのピノからの対角のクロスでWBを生かす形を作っていく。

 後半もブレントフォードはボールを持つスタート。前半よりもさらに対角のパスを増やして幅を使った攻撃を使っていく。パレスも前半と同じく縦にシャープなロングカウンターで勝負をする。同じ土俵でのスタートとなった後半だった。

 異なる均衡で勝負する展開の中で再びセットプレーから違いを見せたのはパレス。ロングスローからオウンゴールを誘い、リードを広げることに成功。動揺が見られるブレントフォードの守備陣は直後にロストから決定的なピンチを迎える。パレスはこれを仕留めればこの時点で試合は完全に決着がつくはずだった。

 だが、このゴールは仕留められず試合は続行。ブレントフォードはパレスの前線の脇に起点を作る形でショートパスからの組み立てで引き続きの解決を狙っていく。パレスはきっちりとローブロックで組んで跳ね返す形で対抗する。

 選手交代でネルソンとルイス-ポッターを投入した左サイドを活性化しゴールに向かうブレントフォード。だが、最後までこじ開けることはできず。セットプレー2発でこじ開けに成功したパレスが勝利を飾った。

ひとこと

 拮抗している流れの中でパレスがしたたかにチャンスをつかみ取った印象だ。

試合結果

2025.11.1
プレミアリーグ 第10節
クリスタル・パレス 2-0 ブレントフォード
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:30‘ マテタ, 51’ コリンズ(OG)
主審:ピーター・バンクス

第11節 ブライトン戦(H)

第12節 ウォルバーハンプトン戦(A)

第13節 マンチェスター・ユナイテッド戦(H)

第14節 バーンリー戦(A)

第15節 フラム戦(A)

第16節 マンチェスター・シティ戦(H)

第17節 リーズ戦(A)

第18節 トッテナム戦(H)

第19節 フラム戦(H)

第20節 ニューカッスル戦(A)

第21節 アストンビラ戦(H)

第22節 サンダーランド戦(A)

第23節 チェルシー戦(H)

第24節 ノッティンガム・フォレスト戦(A)

第25節 ブライトン戦(A)

第26節 バーンリー戦(H)

第27節 ウォルバーハンプトン戦(H)

第28節 マンチェスター・ユナイテッド戦(A)

第29節 トッテナム戦(A)

第30節 リーズ戦(H)

第31節 マンチェスター・シティ戦(A)

第32節 ニューカッスル戦(H)

第33節 ウェストハム戦(H)

第34節 リバプール戦(A)

第35節 ボーンマス戦(A)

第36節 エバートン戦(H)

第37節 ブレントフォード戦(A)

第38節 アーセナル戦(H)

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