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「Catch up Premier League」~アーセナル編~ 2025-26 season

アーセナル、25-26シーズンの歩み。

目次

第1節 マンチェスター・ユナイテッド戦(A)

もう一押しが足りずアーセナルが勝ち逃げ

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 開幕戦唯一のビッグ6同士の対戦はオールド・トラフォード。昨季は不振に喘いだユナイテッドが今年こそ雪辱に燃えるアーセナルを迎え撃つ一戦だ。

 意外にもボールを持つのはユナイテッド。ロングボールの使い方の巧みさが目立ち、ライン間のマウント、抜け出すブルーノやドルグなど複数のターゲット+受ける位置の工夫でアーセナルのバックラインに後手を踏ませていく。ギョケレシュ一辺倒のアーセナルに比べるとルートの多さが目についた。

 グラウンダーでのポゼッションでもユナイテッドは前進。アーセナルのハイプレスを自陣に引き寄せながらライン間のブルーノに縦パスを落とすなど、後方の移動と誘引からの長いレンジのパスを通すなど思うようにボールを前に進めていく。

 しかし、アーセナルは敵陣に運んだところからのポジトラで押し込むとセットプレーから先制ゴール。カラフィオーリがヘディングで押し込みリードを奪う。

 だが、この先制点がリズムの改善には至らず。ポゼッションでのパスはずれてしまい、カウンターではウーデゴールがリリースのタイミングを見失う。サカ、マルティネッリはカウンターで走るコースに迷いがあり、縦に速い攻撃を完結することができない。ファストブレイクもハイプレスもダメということでユナイテッドを押し返す手段はない状態。

 ユナイテッドはアーセナルのミスを咎めて右の大外のムベウモにつけることで攻勢に。しかし、ゴールは奪えず前半はアーセナルリードで折り返す。

 後半も流れは大きくは変わらず。アーセナルはややハイプレスをかけていくが、カウンターのシャープさはなかなか回復しないままだった。ユナイテッドの攻撃は前半よりは単調を増しており、アーセナルのバックスが対応しやすくなったという点では前半よりももっさりした展開だったと言えるだろう。

 中盤が間延びしたタイミングでユナイテッドは選手交代を実施。右に入ったディアロは個人の殺傷性では申し分ないが、ムベウモとの連携はイマイチ。オフザボールでの連携やレーンの棲み分けができればアーセナル相手によりクリーンな決定機を迎えたはず。中盤の運動量担保として入ったウガルテも雑なミドル、ファウルなどでリズムを掴む助けにはならなかった。

 結局試合はそのまま終了。終盤は再び押し込まれて苦しいアーセナルだったが、難所で勝ち点3を確保。難しい開幕戦を勝ち切った。

ひとこと

 難所で勝ち点3。それが全て。

試合結果

2025.8.17
プレミアリーグ 第1節
マンチェスター・ユナイテッド 0-1 アーセナル
オールド・トラフォード
【得点者】
ARS:13′ カラフィオーリ
主審:サイモン・フーパー

第2節 リーズ戦(H)

大得意のシチュエーションでのゴールラッシュ

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 ホーム開幕戦を迎えたアーセナル。ホームでは15年ほど負けていない昇格組との一戦で25-26シーズンの幕を上げることとなる。

 開幕戦ではエネルギッシュなプレスを仕掛けていったリーズに対して、まずはアーセナルは後方に人数をかけるポゼッションからの前進。ライス、ウーデゴールといった面々が下がって受けることでリーズにハイプレスを躊躇させる。

 下がるだけでなく上がるアクションも具備しているのがアーセナルのこの試合での良かったポイント。低い位置に下がって降りる動きと合わせて高い位置を取るカラフィオーリは特にリーズのプレッシングの牽制になっていたと言えるだろう。

 リーズはアーセナルのハイプレスに苦戦。高い位置から積極的に潰しにいくこの日のアーセナルにリーズはロングボールをカジュアルに蹴るが、ピルーではロングボールでガブリエウとサリバからアドバンテージを取るのは難しい。左右に揺さぶろうにも的確にボールをハントするスビメンディの山を越えることができず、カウンターのきっかけに。これが2点目のサカのゴールに繋がった。

 その10分ほど前のセットプレーでのティンバーのゴールで2点のリードを得たアーセナル。ハーフタイムを余裕を持って迎えることに。

 後半、アーセナルはギョケレシュに早々にゴールが生まれる。プレスの切れ目を見逃さなかったカラフィオーリから裏抜けのパスを引き出すと馬力全開の形でゴールをゲット。ホームのファンにご挨拶をすることに成功する。

 さらにはセットプレーで2つ目のゴールを手にするアーセナル。混戦からティンバーが押し込むことでリードをさらに広げる。

 後半の頭にはハイプレスからチャンスを伺っていたリーズだったが、4点目が入ったところで意気消沈。少しずつ低い位置で構えるケースが増えてくるように。

 終盤の主役になったのはダウマン。30分ほどの残り時間をたっぷり与えられた15歳はプレシーズンでの好調さをそのままに右サイドで躍動。グドムンドソンだけでなくニョントが警戒するサイドの守備で見事に渡り合って見せる。

 後半の追加タイムにはPKも獲得。力強いシュートだけでなく、実際に得点につながるプレーを見せたのは素晴らしいの一言。このPKをギョケレシュが決めてゴールラッシュは締め。大量5得点で得意な昇格組に対してホーム開幕戦を勝利で飾った。

ひとこと

 この2節目に関しては2人の負傷者が唯一の懸念と言っていいアーセナルだった。

試合結果

2025.8.23
プレミアリーグ
第2節
アーセナル 5-0 リーズ
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:34′ 56′ ティンバー, 45+1′ サカ, 48′ 90+5′(PK) ギョケレシュ
主審:ジャレット・ジレット

第3節 リバプール戦(A)

一振りの魔法でテーブルのトップに

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 昨季の1位と2位対決であり、このタイミングでの唯一の全勝チームとなっている両軍。アーセナルにとっては鬼門となっているアンフィールドでの決戦となる。

 序盤はアーセナルの強気な守備が目立つ展開。中央を封鎖しつつ、高い位置までのプレスを両立。左右にボールを揺さぶりながらリバプールはこれを丁寧に回避。サリバがモスケラになっても中央のマークの受け渡しにはなかなかズレを作れなかったリバプールはサイドに早めにつけてボールを勝負をしたいのだが、ここのマッチアップもサラーをカラフィオーリが封殺。中央とサイドできっちりと要人を抑えたアーセナルがリバプールに主導権を与えない。

 一方のアーセナルは深い位置まで相手を引き込んでの前進を披露。ライスをスビメンディより深い位置まで下ろすことでヴィルツの守備の基準点を撹乱。中央の基準点を作る。

 ファストブレイクのチャンスメイクを担ったのは右サイドのマドゥエケ。オフザボールを含めて、対面のケルケズに完全に優位を取りセットプレーを生み出した。

 アーセナルにとって誤算だったのはそのセットプレーからゴールを奪いきれなかったことだろう。サリバが不在な影響からか、GKをマークする役がいなかったアーセナル。セカンド回収からゴールに向かうがいずれも不発。わずかな優位を先制ゴールに結びつけることができなかった。

 後半は徐々にリバプールがリカバリー。中盤の入れ替わりにさらなるバリエーションを持たせることで前進に成功する機会を増やしていく。ライン間に入るショボスライ、わずかなギャップに入り込むヴィルツなどに徐々にアーセナルは後手を踏む。プレスバックができなくなってくるギョケレシュ、メリーノにより、守備で走れるマルティネッリを代えることに二の足を踏む展開となった。

 アーセナルはウーデゴールとエゼを投入。ボールの落ち着かせどころをプレス強化の両面を図る。保持に転じれば彼ららしい攻め方も見られたが、ライン間への侵入を抑制しきることはできず。ライン間侵入から先がなかなか進めなかったリバプールだが、ショボスライの魔法の一振りからゴールを生み出す。

 チャンスが薄い展開を制したリバプール。唯一の開幕3連勝で首位で9月を迎えることとなった。

ひとこと

 久しぶりに見た魔法の一振りでビッグマッチの勝利を掴む仕草。守備やレシーバーとしてもショボスライはスーパーだった。

試合結果

2025.8.31
プレミアリーグ
第3節
リバプール 1-0 アーセナル
アンフィールド
【得点者】
LIV:82′ ショボスライ
主審:クリス・カヴァナー

第4節 ノッティンガム・フォレスト戦(H)

新戦力躍動のアーセナルがリスタートに成功

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 首位のリバプールに3ポイントのリードを許してしまったアーセナル。監督交代直後のフォレストをホームに迎え、なんとかリスタートを図りたいところだろう。

 まず、アーセナルは低い位置からのポゼッションで様子見をするスタート。CHがやや高い位置から追い回すなど前任者よりもプレスの意識が高まったフォレストのスタイルをまずは引き出させる。

 左サイドはエゼ、カラフィオーリ、メリーノといった面々がレーンを入れ替えながらポゼッションを敢行。マルティネッリやトロサールが出ている時とは異なるリズムのポゼッションを見せる。

 逆に右サイドではマドゥエケが対面するモラートを圧倒。利き足方向ではなく縦への突破を活用する形で右足でのクロスを生かしながら敵陣での攻め筋を作っていく。

 非保持でも前節と同じく高い機能性を見せるハイプレスでフォレストにチャンスを与えないアーセナル。一方的に押し込む展開を作ると、セットプレーから先制ゴールをゲット。スビメンディが豪快なミドルで移籍後初ゴールを決める。

 アーセナルの右サイドの進撃を止めていたムリージョが負傷してしまうなど、失点以外にも懸念材料が止まらないフォレスト。前半の終盤は押し込む機会を作るが、サイドからの枚数をかけた攻撃でアーセナルのバックラインを脅かすことはできず。アーセナルのリードでハーフタイムを迎える。

 後半、早々にアーセナルは追加点をゲット。左サイドから抜け出したエゼがギョケレシュにラストパス。本拠地での2試合連続となるゴールを見事にエスコートする。

 この場面以外にも左サイドからカウンターをテンポをコントロールしたエゼ。右サイドのマドゥエケとはまた異なった持ち味で存在感を示す。

 フォレストとしては苦しい展開。高い位置で強引においにいくが、逆にアーセナルに簡単にプレスを回避するきっかけを与えてしまった印象だ。オープンな展開からアーセナルに攻め込まれる場面を作る。数少ないチャンスもラヤやモスケラの落ち着いた対応で凌がれてしまう。

 アーセナルは80分手前に追加点。スビメンディがキャリア初となる1試合複数ゴールを達成し、アーセナルは完全にこの試合を決める。

 終盤は危なげなく3点のリードを使いながらフォレストの圧力を逃したアーセナル。リバウンドメンタリティが求められる試合できっちりと結果を残した。

ひとこと

 新戦力がきっちり結果を出したアーセナル。9月シリーズの幕をいい形であげた。

試合結果

2025.9.13
プレミアリーグ
第4節
アーセナル 3-0 ノッティンガム・フォレスト
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:32′ 79′ スビメンディ, 46′ ギョケレシュ
主審:ダレン・イングランド

第5節 マンチェスター・シティ戦(H)

またしても輝いた終盤のマルティネッリ

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 リバプールを追う両チームにとってはここは落とせない一番。首位を追走するチームとして勢いに乗り、連勝を続ける彼らについていきたいところだろう。

 序盤はシティがハイプレスでスタート。アーセナルがこのプレスを回避するところから始める。後ろに重めのポセッションをするところからシティの中盤を誘引し、縦にパスを差し込むことで一気に前進を図る。

 相手の背後を突く動きは悪くなかったアーセナルだが、一つのミスから失点。密集で囲まれたハーランドがボールを逃すことに成功すると、ラインダースからカウンターを発動。数的優位の状況を最大限に活かし、カウンターでハーランドが先制ゴールを生み出した。

 シティはこのゴールをきっかけに試合のリズムを掴むように。前に出ていってメリーノを潰したり、あるいは背後に走り抜けるトロサールへのパスをカットしたりなど、メリハリのある対応でアーセナルの保持に対抗していく。

 結局、CBは放置しラインを下げながら左サイドに流れるハーランドからのカウンターを主体としたロングカウンターで勝負することとしたシティ。ライン間にボールを入れることが難しくなったアーセナルは少しずつアバウトなロングボールが増える。右サイドのマドゥエケはそうした状況下でも踏ん張っていたが、CKも含めてクロスへの対応はドンナルンマが抜群。アーセナルの副産物と言えるセットプレーを封殺し続けてリードを守った。

 後半、アーセナルは選手交代でリズム変更。ライン間に入る選手をエゼ、スビメンディ(これに伴いライスが後方移動)などに変更することで、縦パスのレシーブから左右に揺さぶることでチャンスを作っていく。右サイドのサカもマドゥエケよりも選択肢豊富な攻撃を見せていく。

 押し込まれる局面が増えてきたシティだが、ハーランドとドク、ラインダースの速攻からチャンスは構築。特にドクはここ数試合の好調を維持し、反転しながら高い位置に出ていくことも少なくなかった。

 前にプレスにいく頻度を減らしたシティは徐々に後方を手厚く5バックにシフト。DFでエリア内を埋めて1点差を守りに行く。ハーランド、ドクも最終盤にはいなかったので文字通りの虎の子の1点である。

 相手に合わせて高い位置の選手を増やしていたアーセナルだが、なかなかパワープレーは機能せず。焦りが募る中で冷静だったのはエゼ。無意味に高い位置をとってしまっていたシティのバックラインのギャップをついたマルティネッリに素晴らしいロブパス。ドンナルンマの飛び出しをよく見ていたマルティネッリがループで押し込んで土壇場で同点に追いつく。

 最悪の事態は免れたアーセナル。CLにつづきまたしても交代のマルティネッリが勝ち点に関与する重要なゴールをあげた。

ひとこと

 1失点目が少しもったいなかったアーセナル。数的不利を作られた時点でやや詰みだった。

試合結果

2025.9.21
プレミアリーグ
第5節
アーセナル 1-1 マンチェスター・シティ
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:90+2′ マルティネッリ
Man City:9′ ハーランド
主審:スチュアート・アットウェル

第6節 ニューカッスル戦(A)

7%の難関をくぐり抜ける

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 直近28試合で先制したチームが勝利したのは実に25勝。スコアレスドローの1試合を除けば、先制したチームが勝利をしているカード。先制点を得たチームは93%の勝率を誇っている対戦だ。

 公式戦3試合連続でこのスタジアムで得点を取ることができていないアーセナル。この試合は積極的にハイプレスから出ていく対応であるが、アーセナルはいつも通り低い位置に下がってパスコースを作ることでこのハイプレスを回避。前節の後半からトップ下に入ったエゼはうまく段差を作り、前進に寄与する。

 アーセナルはサカとギョケレシュが前線を牽引。ポストプレーで味方に時間を配ったギョケレシュと前を向いた時にさすがのテクニックを見せるサカの2人でアーセナルの右サイドを牽引する。この2人が完結させたファストブレイクからアーセナルはPKを獲得するが、これはOFRで取り消し。明らかにギョケレシュにボールを触られた後に足がかかっていたように見えたが、ダレン・イングランドのレコメンドに従ったジャレット・ジレットはドロップボールでの再開を指示した。

 ニューカッスルは徐々に左サイドに流れるヴォルテマーデからチャンスメイク。モスケラ相手に背負うアクションを続けながらサイド攻撃を押し上げていく。

 そのモスケラが処理ミスしたところから生まれたCKからニューカッスルは先制。ヴォルテマーデのヘディングがニューカッスルに勝率93%の武器をもたらすこととなった。

 アーセナルはアタッキングサードまで運べれば面白いのだが、運ぶ過程でややつまる機会が多く、序盤ほど力を見せられない展開に。試合はニューカッスルのリードでハーフタイムを迎える。

 後半もアーセナルは保持から崩しにいく。中盤のターンから前半に効いていた右サイドへの展開からチャンスを作っていく。押し込むアーセナルに対して、ニューカッスルは徐々に5バックにシフト。自陣に引きこもることでブロック守備を強化する。

 アーセナルもカラフィオーリを下げて前線の選手を入れることでパワープレー寄りにシフト。サイドだけでなく中央をこじ開けようというアクションも見られたのはこの試合のアーセナルの特徴と言えるだろう。

 押し込むアーセナルの努力が実ったのが84分。メリーノがショートコーナーからの見事なヘディングを決めて先制。試合を振り出しに戻す。

 さらにアーセナルは後半追加タイムにCKからのヘディングからガブリエウがゴール。7%の逆転勝利という難しいミッションを達成したアーセナルが鬼門を克服した。

ひとこと

 サイドだけでなく中央をこじ開けるためのアクションが見られたことは個人的には良かったと思う。

試合結果

2025.9.28
プレミアリーグ
第6節
ニューカッスル 1-2 アーセナル
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:34′ ヴォルテマーデ
ARS:84′ メリーノ, 90+6′ ガブリエウ
主審:ジャレット・ジレット

第7節 ウェストハム戦(H)

負け筋がほぼない完勝

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 粛々と安定感がある試合運びを見せているこの秋のアーセナル。第4節で当たるはずが目の前で消えたヌーノが第7節の相手として目の前に立ちはだかるという展開はどこかゲームっぽさがある。

 立ち上がり、不安定なセットプレー対応を見せて冷や汗をかいたアーセナルだが、すぐにポゼッションからリカバリー。ライス、ウーデゴール、カラフィオーリがインサイドに入ることでビルドアップの安定化を図り、前にボールを進めていく。

 押し込むことに成功したアーセナルはサイドから進撃。主に右サイドでのローテで相手を動かしていく。動く相手に対して、なるべくデフォルトのポジションを崩さずに捕まえたいウェストハムだが、サカを放って置けないディウフがウーデゴールを浮かせてしまうなど、ギャップが多かった。

 マークが乱れがちなアーセナルの右サイドに対して、ウェストハムはパケタがサイドにフォローに入ることで枚数を担保。乱れを整えにいく。しかしながら、ウーデゴールの負傷によって登場したスビメンディにより、パケタが放置していたアンカーからアーセナルは進撃。スビメンディから背後を取るパスを受けたエゼがボックス内に入ると、最後はライスが古巣相手のゴールを決める。

 逆にウェストハムの前進の手段はほぼ完全に封じたアーセナル。前半をリードでハーフタイムを迎える。

 後半は左サイドからもバランスよく攻めていくアーセナル。ボーウェンを押し下げるという副産物も込みで、ウェストハムは左右から押し下げていく。

 順調に試合を進めるアーセナルは前半と同じく右サイドから追加点。前半に与えた先制点と全く同じ形からPKを献上してしまったことはウェストハムにとっては反省材料。またしてもスビメンディから裏へのパスを止めることができないまま失点に繋げてしまった。

 このPKでアーセナルは試合を完全にコントロール。後半ATの直前に押し込んでのセットプレーのチャンスもあったウェストハムだが、逆に言えばこの前もこの後ろもアーセナルのゴールに迫るチャンスを作ることはできず。ほとんとの時間でアーセナルの守備を前にシャットアウトをされることとなった。

 試合はアーセナルの完勝。点差こそ派手に開かなかったものの、確実な力の差を見せたアーセナルが連勝で10月の代表ウィークに向かうこととなった。

ひとこと

 アーセナルからすれば負け筋がほとんどなかった試合のように思う。

試合結果

2025.10.4
プレミアリーグ
第7節
アーセナル 2-0 ウェストハム
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:38′ ライス, 67′(PK) サカ
主審:ジョン・ブルックス

第8節 フラム戦(A)

負け筋なしの安定感

 レビューはこちら。

 昨年はここで勝ち点を落としているアーセナル。首位で10月の代表ウィークを迎えた状態をキープするために、昨季は超えることができなかった難所を超えたいところだろう。

 しかし、立ち上がりはむしろ相手に難所であることを痛感させられる立ち上がり。4-4-2のミドルブロックで勝負したフラムの守備は非常にコンパクト。中央にパスを誘導されるところから、カウンターで一気に敵陣に進んでいく。

 アーセナルはミスから被カウンターを連発。降りて受けるエゼはプレスの脱出役ではなく、むしろプレスを引き寄せてカウンターのきっかけを生み出してしまうような展開だった。それでもバックラインはなんとか粘りを見せて攻撃を遅らせる。フラムは縦に早く進みきれればチャンスになりそうだったが、相手がブロックが整ってしまうと苦しい状況になっていたし、早く攻め切れる鋭さもなかった。

 徐々にアーセナルはフラムの守備ブロックを押し込んでいくように。フラムはSHが自陣の大外を埋める6バックのような形からスペースを埋めていく。CBが攻撃に参加することができたアーセナルは厚みをもたらすことはできていたものの、なかなかシュートコースを見つけるためのパスワークができずに苦戦。コースが空いても後ろからシュートブロックが飛んでくるような人口密度ではなかなかにクリーンな状況を作ることができない。

 そうした中で後方から攻撃参加をする両方のSBは攻撃のキーマン。右のティンバーがサカの作ったスペースを使い、左サイドから飛び込むカラフィオーリに合わせるという形から徐々に勢いを掴んでいく。

 後半、ティンバーの対策としてフラムはイウォビをマンツー気味にケア。しかし、これによってサカのダブルチームが緩和されたことにより、アーセナルは右サイドから異なる攻め筋を見せつけるように。

 アーセナルは押し込む状況を安定させるとセットプレーからゴール。ファーサイドに余ったトロサールがガブリエウのすらしに合わせて先制。ようやく試合を動かす。

 押し返したいフラムだが、縦に速い攻撃もアーセナルのDFのカットの邪魔が入ることでなかなか前に進めることができず。特にティンバーの存在は邪魔になっていたはずだ。

 問題なく試合を運んだアーセナルは最小失点差ながら安定してゲームクローズ。中断明けでも連勝とクリーンシートを継続する形となった。

ひとこと

 勝ち筋はなんとかこじ開けたが、負け筋はあまり見えなかった試合だったと思う。

試合結果

2025.10.18
プレミアリーグ
第8節
フラム 0-1 アーセナル
クレイヴン・コテージ
【得点者】
ARS:58′ トロサール
主審:アンソニー・テイラー

第9節 クリスタル・パレス戦(H)

動けぬ時のセットプレー

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 終わってみれば大量得点を決めて余裕の展開となったが、アトレティコのCLは先制点に時間がかかったし、タフなコンディション調整も行った来たはず。必然的に難しくなるのはその後ろの試合の今節。ホームに曲者のクリスタル・パレスを迎えての一戦だ。

 まずは控えて中盤をプロテクトするパレスに対して、アーセナルはあえて3バック化を行い、パレスの3トップと噛み合わせる陣形としてプレスにおびき寄せる。アーセナルから見て右サイド、鎌田を手前に引き出すことでパレスの陣形に穴を空けてライン間のエゼの縦パスを差し込んでいく。

 しかし、パレスもすぐにバランスを修正。むやみに穴を空けずにプレスを自重し、アーセナルのマイナスパスに合わせてラインを上げることで少しずつ列を上げていきミスを誘発。ここから一気にカウンターでアーセナルのゴールに迫る。

 だが、アーセナルのパスワークが乱れたところを咎めたいパレスのパスワークも乱れてしまうというジレンマが発生する。パレスもアーセナルのミスを突き切れない。

 すると、手を変え品を変え前進のきっかけをつかんだアーセナルが先制点をゲット。右サイドでわずかなギャップからファウルを獲得したのはサカ。このFKをライスが蹴ると、こぼれたところをエゼが押し込んで先制点を奪う。苦しい流れであったが何とか得意分野で試合を動かすことに成功する。

 後半もアーセナルはポゼッションからスタート。左右に相手を振りながらズレを作るポイントを探していく。サイドに大きくスビメンディが流れるなど、自由度を増やしながらゴールに向かう手段を探っていた印象だ。

 パレスもマテタのポストからの加速でスピードアップを狙う。だが、こちらは中盤のパスワークの不安定さがなかなか改善されず。抜け出すアクションを作れても一つ遅れてしまえば、アーセナルの中盤より前の素早いプレスバックで潰されてしまう。

 終盤はラインを下げての防衛に転じたアーセナルだったが、局所的に前進の先導役となるギョケレシュの活躍により、一方的に押し込まれる展開にはならず。交代で前線に入ったパレスの面々もクオリティを発揮することができないまま時間だけが過ぎていく。

 結局試合はそのまま終了。フラム戦同様、切迫したスコアながらも余裕を持って逃げ切ったアーセナルが首位の座をキープした。

ひとこと

 どちらも欧州の疲れを感じる試合だったのでセットプレーで動かせる力のある方が上に行くというのは納得感があった。

試合結果

2025.10.26
プレミアリーグ
第9節
アーセナル 1-0 クリスタル・パレス
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:39′ エゼ
主審:トーマス・ブラモール

第10節 バーンリー戦(A)

苦手な11月を素晴らしい幕開けで

 レビューはこちら。

 前節は劇的な形でウルブスに競り勝ったバーンリー。これで連勝を達成したようだが、その前節で活用した4バックのシステムはこの試合においてはひとまず脇に置いておく形。5バックで首位のアーセナルを迎え撃つ格好である。

 ボールを持つ側となったアーセナル。序盤はサイドからカラフィオーリが抜け出す形からチャンスを作りに行く。左のハーフスペースはギョケレシュが抜け出す場面もあったため、アーセナルとしてはやや狙っていた部分なのだろう。

 バーンリーからすると中央を割られて失点するよりはいいが、陣地回復に手間がかかるチームである分、サイドの奥を取られてしまう時点でやや分が悪くなってしまう。なるべくならば前向きにボールを奪って少ない手数で攻め切りたいバーンリー。ウォーカーが前向きの矢印で止める場面はあったが、そこから少ない手数で攻め切るというところまではたどり着かず、チャンスはなかなか見えてこない。

 よって、相対的に優勢だったのはアーセナル。保持で押し込む機会を確保すると、セットプレーから先制点をゲット。ファーに走りこんだガブリエウを囮に折り返しをギョケレシュが仕留める。

 反撃に出たいバーンリーだが、強まるアーセナルのプレスに苦戦。ポゼッション志向はわからなくはないのだが、ショートパスでの繋ぎではパススピードが上がらず、前線と中盤のプレスからアーセナルにとがめられる場面が増えていく。

 なかなかボックス内に迫れずに苦戦するバーンリーはロングスローを多用。だが、これをひっくり返したところからのカウンターで先制。スローワ―のウォーカーのいなかったところから攻め込んだトロサールのラストパスをライスが仕留めてリードをさらに広げる。

 迎えた後半、アーセナルはやや苦戦。CFがギョケレシュ→メリーノに変わった影響でお手軽なロングボールでの前進が見られないように。バーンリーとしては前向きの圧力が刺さるという理想的な展開だった。

 それでも我慢することができるのが今のアーセナルの強み。バーンリーに先回りされるようなクロスを上げられ方がしていないのはさすがのひとこと。粘り強いサイドの封鎖、ボックス内での体の寄せをCB以外の選手もきっちりやっており、なかなかバーンリーの選手がフリーでシュートを振り抜ける場面が出てこない。

 後半の追加タイムにはエドワーズがクロスバーを叩く場面もあったが、反撃はここまで。アーセナルはプレミア4試合連続のクリーンシートを達成。苦手な11月を白星でスタートした。

ひとこと

 苦しい後半になったが、それでも粘れるのが今季のアーセナル。

試合結果

2025.11.1
プレミアリーグ
第10節
バーンリー 0-2 アーセナル
ターフ・ムーア
【得点者】
ARS:14′ ギョケレシュ, 35′ ライス
主審:クリス・カヴァナー

第11節 サンダーランド戦(A)

第12節 トッテナム戦(H)

第13節 チェルシー戦(A)

第14節 ブレントフォード戦(H)

第15節 アストンビラ戦(A)

第16節 ウォルバーハンプトン戦(H)

第17節 エバートン戦(A)

第18節 ブライトン戦(H)

第19節 アストンビラ戦(H)

第20節 ボーンマス戦(A)

第21節 リバプール戦(H)

第22節 ノッティンガム・フォレスト戦(A)

第23節 マンチェスター・ユナイテッド戦(H)

第24節 リーズ戦(A)

第25節 サンダーランド戦(H)

第26節 ブレントフォード戦(A)

第27節 トッテナム戦(A)

第28節 チェルシー戦(H)

第29節 ブライトン戦(A)

第30節 エバートン戦(H)

第31節 ウォルバーハンプトン戦(A)

第32節 ボーンマス戦(H)

第33節 マンチェスター・シティ戦(A)

第34節 ニューカッスル戦(H)

第35節 フラム戦(H)

第36節 ウェストハム戦(A)

第37節 バーンリー戦(H)

第38節 クリスタル・パレス戦(A)

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