ボーンマス、25-26シーズンの歩み。
第1節 リバプール戦(A)

陸続きの遠藤と手応えある攻撃陣のリレー
2025年のプレミアリーグがついに始まる。オープニングマッチを飾るのはアンフィールド。王者の本拠地で多くの痛みを伴う哀悼を試合前に捧げるところから今季のプレミアリーグは幕を開けることとなった。
序盤からボールを持つのはリバプール。大まかな攻め筋はコミュニティシールドの流れと同じだろう。主に左サイドのポジションに変化をつけながらインサイドとアウトサイドのバランスをとって勝負を仕掛けていく。ケルケズのCB色はやや減らしていたかもしれない。サラーへの対角は少なめで、インサイドを覗くアクションの方に注力していく。
相対するボーンマスの守備で特徴的だったのはセンターラインの前へのプッシュアップ。スコットは1列前に出ていき、さらにはCBまでプレッシャーをかけにいくなど、タヴァニアとフラットかそれ以上に高いポジションを取ることが多かった。
スコットが前に出ていく分、広いスペースをカバーしなければいけないアダムスにとっては難しい舵取り。だが、CB陣との連携もありうまくカバーリングはできていた印象。クックの離脱+CB陣の刷新の中で前から強い守備という昨季までの持ち味を引き継げる姿勢を見せたことは新しいチャプターの船出としては上々というところか。
カウンターにおいてもボーンマスは左右のSH、もしくはCFのエヴァニウソンのサイドへの流れからチャンスメイク。リバプールの両サイドのSBに対してはアドバンテージを取ることができていた。
ただし、押し込み切られたところからでも怖さを見せることができるのがリバプール。馬力のあるロングカウンターはあわや決定機阻止の場面も作り出すなどCSに引き続き見応えは抜群。押し込まれているところからでも得点を狙えることは開幕戦でも示すことができたと言っていいだろう。
それぞれの攻め筋があった中で変化をつけて主導権を引き寄せたのはリバプール。ボーンマスのセンターラインの守備に対して、ヴィルツの降りるアクションをトリガーとしてエキティケの列落ち、マック=アリスターの列上げを組み合わせることでアダムスの負荷を増大していく。
先制点はこのセンターラインの駆け引きから。降りるエキティケがセネシを交わして抜け出すと、そのまま1on1を制してゴール。セネシが入れ替わられたところは本来であればディアキテがいて欲しかったが、前向きにプレスをかけるところを体現するのであれば後方が余らないのは仕方がないところだろう。
ハイプレスの回避も安定したリバプールは以降は安定して時計の針を進めていく。前半の終盤には恐ろしいカウンターから相手を脅かすなど追加点の気配も見せた。
後半の入りもリバプールは快調。ハイプレスを回避しつつアリソン→エキティケ→ヴィルツの流れでひっくり返しての決定機を迎えるなど、敵陣に迫る機会を作り続ける。
なんとかこの時間帯を凌ぎたいボーンマスだったが、リバプールは容赦なく追加点。左サイドでエキティケとスイッチしたガクポがカットインから見事なシュート。ポジションの入れ替わりでボールサイドに寄せつつ、スライドしてきたタヴァニアを交わす冷静さを見せて巧みにシュートコースを作ってみせた。
CSで早い時間帯でガス欠したことを踏まえ、ポゼッション色の増加+SBの早めの交代で手当てを図るリバプール。フリンポン→遠藤の交代やカードをもらっているケルケズを下げる手立ては明確な意図があったように思えたが、それがうまく反映されていたかは微妙なところ。特に右サイドはそのカラーが強く、遠藤に代わってもガンガンオーバーラップをかますなど、キャラクターの変化に伴うポジションバランスの修正がなされなかった印象。
ボーンマスの反撃はその遠藤が高い位置をとるリバプールの右サイドから。バックドアで背後をとったブルックスがセメンヨに繋ぎ切ってゴール。1点差に迫るゴールを手にする。高い位置をとった遠藤とともに気になったのは単一ルートをカットできないファン・ダイク。背走で難しい対応だったのは理解できるが、この辺りの雲行きの見えなさはCSのPK献上から不調を引きずっているように思える。
失点を受けてスロットは守備のユニットを再構築。ゴメスをサイドにおき、エンドウを中央にスライドさせる。だが、インサイドでも遠藤の登場はポジションバランスに反映されなかった印象。トップ下に移動したショボスライの降りるアクションに呼応して高い位置をとる遠藤はクローザーというよりも前半のリバプールの中盤と陸続きの仕事をしていたように見えた。
ボーンマスはまたしても遠藤のいないところから同点に。中盤でスピードに乗ったところからセメンヨがカウンターを完結。一気に試合を振り出しに戻す。
リバプールにとって救いだったのは終盤にもう一度ギアアップに成功したことだろう。サラーを軸とした攻撃が終盤は非常に輝いた。セットプレーからのリスタートでショボスライとのコンビネーションから88分のキエーザのゴールを演出すると、後半ATには自らが左サイドに流れて技ありのゴール。嫌なムードを一気に吹き飛ばした。
紆余曲折がありながらも最終的には本拠地で白星発進。ジョタへの祈りに勝利という最高の報告を添えることに成功した。
ひとこと
攻撃の出力維持はエキティケ+ヴィルツ→サラーのリレーである程度回答は見えた感。その一方で嫌な時間帯をどう安定させるかに関してはまだ模索中。後ろに枚数をかけて重くなりすぎたCSの反省を踏襲しているのだとしたら、普通の中盤仕事をしている遠藤も咎めにくいので難しいところでもある。
ボーンマスは新章の幕開けとしては上々。アグレッシブな前向きの守備と90分間出力を維持できるトランジッションを開幕戦で見せられた。あとは早めの成功体験でパフォーマンスが悪い方に引きずられないことだろう。
試合結果
2025.8.15
プレミアリーグ 第1節
リバプール 4-2 ボーンマス
アンフィールド
【得点者】
LIV:37′ エキティケ, 49′ ガクポ, 88′ キエーザ, 90+4′ サラー
BOU:64′ 76′ セメンヨ
主審:アンソニー・テイラー
第2節 ウォルバーハンプトン戦(H)

最終的には数的優位を生かしたエネルギー差
ともに初戦はメガクラブ相手に敗戦。大量失点での負けとなったが、心機一転切り替えての第2節に臨むこととなる。
その意気込みを感じるようなアグレッシブさが全面的に出た立ち上がり。ペースを握ったのはボーンマス。リバプール戦と同じく高い位置からプレスに出ていくスタイルはこの試合でも健在。ボールロスト直後からすぐさま相手のバックラインやパスを出した先にプレッシャーをかけにいく。
この即時奪回に対してウルブスは困惑。奪った後の一つ目のプレーの質が低く、相手に簡単にボールを奪い返されてしまい、波状攻撃を食い止めることができない。雑に縦につけてしまったり、強引に奪いに行って交わされたりなど不用意なプレーが目についた。
先制点もまさしくこの形から。セメンヨのプレスバックから発生したボール奪取の応酬を制すると、タヴァニアが最後は仕留めてゴール。以降もこの即時奪回起点のトランジッションからボーンマスはチャンスメイク。ウルブスのバックラインを背走させながらシュートを打ち込んでいく。
ウルブスは試合が少し過ぎるとようやく落ち着いて前を向けるように。中央にいきなり刺して強引にカウンターに行くのではなく、サイドに迂回させながらボーンマスの4-4-2を撃退しに行く。
しかし、非保持においてはなかなかこのボーンマスの勢いを止める手立てが見つからなかった印象。前から捕まえに行くためのポイントを掴めず、こちらもサイドから押し下げていくポゼッションでやり返されるとずるずると自陣に下がってしまうように。ウルブスはボーンマスの圧力に屈するような場面が目立つような形で前半の多くの時間を過ごしてしまうこととなった。
ウルブスは2人の選手交代で反撃を狙う後半の立ち上がり。早々に左サイドから交代で入ったウーゴ・ブエノがクロスからチャンスを作るなど、悪くはない入りだった。
しかし、トティ・ゴメスが裏に抜け出した相手を引っ張り倒してしまい一発退場。11人でのプランは5分も立たないうちに崩壊することとなってしまう。
数的優位のボーンマスはじっくりと数の論理を使うというよりはプレスに出ていく強度勝負に出ていくことを選択。高い位置からのプレスで勝負を仕掛けていく。ウルブスはこの状況を利用する形で前進。オープンな展開から反撃の機会を伺うことで試合は比較的フラットな展開に突入していく。
抵抗を続けてきたウルブスだが、75分が過ぎると徐々にボーンマスが保持の時間を増やしていくように。ウルブスはガス欠感が否めず、反撃の気概を削がれてしまう。
攻撃を続けながら時計の針を進めるボーンマスはそのまま試合をクローズ。最終的には数的優位を感じさせるエネルギーさでウルブスを封じ込めて最小得点差で逃げ切った。
ひとこと
反撃のタイミングでの退場はあまりにも痛過ぎる。
試合結果
2025.8.23
プレミアリーグ 第2節
ボーンマス 1-0 ウォルバーハンプトン
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:5′ タヴァニア
主審:トーマス・ブラモール
第3節 トッテナム戦(A)

一方的な時間帯を重ねたボーンマスが連勝をストップ
シティをハイプレスで潰し、開幕2連勝を飾ったトッテナム。トーマス・フランクの元、新しい船出は順調と言えるだろう。今節の相手はボーンマス。開幕からアウェイはアンフィールド、トッテナム・ホットスパー・スタジアムと難所が続く序盤戦となっている。
ともにトランジッションで勝負を仕掛けていくことに特色がある両チーム。トッテナムは立ち上がりにジョンソンからのコンビネーションでボックスに迫ることで先に主導権を握る。だが、押し込む形から早々にゴールに辿り着いたボーンマスが先制点。左サイドからセネシが斜めのパスを入れると、エヴァニウソンが見事なコントロールでゴールを奪う。
このゴールで流れは一気にボーンマスに。左サイドにフォーカスした攻撃から突破を図りつつ、トランジッションでは右サイドに展開し、ブルックスからボックスにゴールに迫る。サイドでも中央でも低い位置でもゴール前でも暴れることができるセメンヨは起点も終点もなんでもこなす大暴れぶりである。
一方のトッテナムは徐々にハイプレスに屈するように。特にタッチ側に追い込まれる形となったファン・デ・フェンが無理に縦パスを入れさせられて、ボールを回収するというメカニズムでボーンマスは再現性のあるボール奪取に成功。ここまで2試合では順調にボールをキープしていたリシャルリソンが完全に潰される展開となった。
トッテナムはゴールはおろかシュートも奪うことができず。トランジッションからゴールに迫りながらシュート数を重ねるボーンマスが明らかに優位に前半を進めたと言っていいだろう。
後半の頭のワンプレーは引き続きボーンマス優勢を印象付けるもの。セネシのフィードからタヴァニアのポストで抜け出したセメンヨも決定機。得点の可能性が高い形を作ったこともさることながら、ロメロがエヴァニウソン潰しに引き出されたところの背後を使われたという崩され方であることも大きい。トッテナムにとってハイプレスを牽制された格好となった。
この攻撃を皮切りに一方的な攻撃を続けるボーンマス。トランジッションからサイドを侵食し、一気にゴールに迫っていく。トッテナムはファン・デ・フェンのドリブルから強引に突破していく形を作っていくが、なかなか単発で攻撃が続かない。ヴィカーリオがなんとか希望を繋ぐ展開が続く。
80分を過ぎたところからはようやく押し込む機会を作ったトッテナムだが、15分余りでは試行回数が足りず。サイドからの攻撃を防ぎ切ったボーンマスが連勝中のトッテナムに土をつけることとなった。
ひとこと
ペースを取り戻すのがあまりにも遅かったトッテナムだった。
試合結果
2025.8.30
プレミアリーグ 第3節
トッテナム 0-1 ボーンマス
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
BOU:5’ エヴァニウソン
主審:サイモン・フーパー
第4節 ブライトン戦(H)

速攻の連打で後半の主導権を引き寄せる
いきなりヒンシェルウッドの負傷からスタートしたこの試合。ブライトンにとってはかなり幸先の悪いスタート。早々にアヤリがピッチに投入されることとなる。
ボーンマスは今日も元気にハイプレスでスタート。敵陣からGKにまでプレッシャーをかけていく。ブライトンはCHとCBが連携しながらポゼッション。ミルナーが左右に動かしながらボーンマスのプレッシャーを回避していく。
高い位置でブライトンのパスを食い止めるとボーンマスはサイドから枚数をかけた攻撃を行うように。ドリブラーが中央につっかけながら横断する形でサイドにボールをつけるとCBも高い位置を取りながらクロスを上げていく。
押し込みながらプレーをするボーンマスはそのまま先制点をゲット。右サイドからのパスを受けたスコットが反転しながら左足でミドルシュート。見事に試合を動かす。ブライトンはCHがややサイドに流されすぎてしまったか。中央でスコットのマークが間に合わないこととなった。
一方のブライトンはデ・クーパーが負傷。前半のうちにすでに2枚をアクシデントで消化してしまうことに。それでも右サイドではミンテが奮闘。馬力のある陣地回復から少しずつリカバリーを図る。
ボールを持つ時間は少しずつ長くなっていくブライトンだが、なかなかインサイドに差し込むポイントを見つけられず。ボーンマスのCHの潰しによってボールを止められてしまう。アダムス、スコットの2人のフィルターを超えることができなかった。
迎えた後半、ブライトンは早々に同点ゴールをゲット。右サイドからのクロスを見事に沈めたのは三笘。ファーサイドで打点の高いヘディングでフィニッシャーとしての役割を果たす。
このゴールで攻める時間を長くしていくブライトン。前半は右サイドが目立っていたが、後半は左サイドからチャンスメイク。カディオグルが入って旋回要素も入ったことで神出鬼没のポジショニングでボーンマスを押し込んでいく。左右のWGを軸とした攻撃で流れを作っていく。
しかし、そうしたところでミスが出てしまうブライトン。ダンクのパスミスからカウンターを喰らうと、そこからの速攻でエヴァニウソンがファン・ヘッケに倒されてしまいPKを獲得。このPKをセメンヨが決めてリードを奪う。
このカウンターからボーンマスは速攻祭りを開催。中盤でブライトンのミスを咎めたところからエヴァニウソンとセメンヨを軸としたファストブレイクからブライトンの守備陣を背走させていく。
1点のリードではあるが、危なげなく逃げ切ったボーンマス。中盤できっちりとブライトンのチャンスを摘みながら時計の針を進めて試合をクローズ。見事に連勝を飾った。
ひとこと
ミロサヴリェヴィッチ、いい意味で目立たず普通にプレーしていた。末恐ろしい子。
試合結果
2025.9.13
プレミアリーグ 第4節
ボーンマス 2-1 ブライトン
ヴァイテリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:18′ スコット, 61′(PK) セメンヨ
BHA:48′ 三笘薫
主審:ピーター・バンクス
第5節 ニューカッスル戦(H)

アタッカーのシャープさが相手を上回れず
ここまでは上位との対戦でも臆せずに立ち向かうことができているボーンマス。バックラインを中心に主力の入れ替えが発生する難しいシーズンではあるが、新しいスカッドで前向きにチャレンジすることができている。特にアウェイで元気のないニューカッスル相手に今節も勝利を狙う。
ニューカッスルは5-4-1という背後重心のフォーメーション。バックラインにプレスをかけない選択を敢行する。ボーンマスはまずはエヴァニウソンのロングボールから前に進んでいく。背後重心のニューカッスルだが、2CHの場合はなかなか段差をうまく守れない印象。この試合でも例外ではなく、ギャップに入り込むタヴァニアを捕まえきれず。ゴールに迫られる危ういシーンも迎えることとなった。
保持に回るとヴォルテマーデのロングボールからチャンスを作りにいくニューカッスル。収まる率に関してはそこそこといったところだろうか。どちらかといえばショートパスからCH脇のトナーリから右サイドに侵入する形の方が有望だったと言えるだろうか。
ただ、アタッキングサードにおける攻略に関してはニューカッスルは苦戦。ドリブラーがいない分、縦に揺さぶる成分が明らかに普段よりも少なかった。
時間の経過とともにヴォルテマーデのマークは厳しくなっていく。SBのトリュフォーも含めて、後ろ向きの相手に厳しくアプローチをかけることで前線に起点作りを許さない。
ただし、ボーンマスの方もアタッカーのシャープさはここまでの試合に比べるとやや割引感があった。前半は互いにチャンスらしいチャンスを作れないままスコアレスでハーフタイムを迎えることとなる。
後半、ボーンマスはハイインテンシティの入り。敵陣深くまでニューカッスルにハイプレスをかけることでロングボールを蹴らせて回収。高い位置から人数をかけてのポゼッションから波状攻撃を図っていく。
中央のヴォルテマーデを封鎖されたニューカッスルは幅を広げながらサイドの裏をとることで陣地回復。しかし、ファストブレイクのシャープさはウィロックではなかなか出てこないのが難しいところ。ということでニューカッスルはアタッカーの入れ替えを敢行。ただし、バランスを大きく変えず、5バックはキープしたまま残り時間を過ごす選択を行う。
しかしながら、後半もアタッキングサードのもう一味が足りなかったボーンマス。ニューカッスルも含めて交代選手が試合を活性化させる動きはできずスコアレスドローのまま決着。互いに勝ち点1を分け合う結果となった。
ひとこと
アタッカーの精度が相手の守備ブロックを上回れなかった一戦だった。
試合結果
2025.9.20
プレミアリーグ 第5節
ボーンマス 0-0 ニューカッスル
ヴァイタリティ・スタジアム
主審:ロベルト・ジョーンズ
第6節 リーズ戦(A)

今日もホームで負けなし継続
前がかりに出ていく形で玉砕上等のスタンスで挑む試合もあれば、きっちりと固めて臨む試合もあるリーズ。どんな時も前がかりで向かっていくスタイルが信条のイラオラ率いるボーンマスの胸を借りる一戦となる。
いきなりチャンスを迎えたのはリーズ。抜け出しから決定機を見せたのはキャルバート=ルーウィン。完全にフリーなところだったが、ペドロヴィッチのセーブに阻まれてしまう。
キャルバート=ルーウィンはこのシーンに加えて、18分までにさらに2回の決定機があったがいずれも仕留めることができず。決定力に難が見えたエバートン時代の中盤を彷彿とさせる展開となってしまう。
常に前からフルスロットルのボーンマスに対して、リーズはメリハリのあるプレスで対応。ミドルゾーンでコンパクトな陣形を組みつつ、機を見てプレスに出ていく。コンパクトな中盤のデュエルは両チームとも激しいものがあった。
デュエルが激しい中央を避けてセメンヨ、トリュフォーの2人のいる左サイドからチャンスメイクを行っていく。押し込む状況を安定的に作っていくと、頻度が増えるのがセットプレー。CKを中心にチャンスを作る。
ボーンマスがこじ開けたのはセットプレーはセットプレーでも直接FK。セメンヨの強烈なキックで試合を動かす。
悪くないリズムの前半から失点でやや意気消沈気味だったリーズ。しかしながらセットプレーでこちらもやり返すことでエランド・ロードは再着火。完全にフリーだったロドンのゴールで再びリーズファンはボルテージが上がる。ハーフタイム前にリーズは追いつき前半をタイスコアで終える。
後半、リーズは勢いのいい立ち上がり。ボーンマスはそんなリーズを受け止めてポゼッションからボールを動かしていく。アダムスがサリーし、左の外に開くセネシから配球。徐々に安定して押し込んでいく。
しかし、リーズはセットプレーから反撃。二次攻撃で粘るオカフォー、グドムンドソンから左サイドでなんとかボックス内に入っていくと、このボールをロングスタッフが見事にミート。試合を動かす。
3人の選手交代を経て流れを変えようとするボーンマス。いつもよりもやや手数が多いサイド攻撃は引っ掛けることが多く、なかなか活性化まで持っていくことができない。押し込む時間は長くなるが、なかなかゴールは遠い展開だ。
そんな膠着している状況を救ったのはクルーピ。またしてもセットプレーから柔らかいボレーでネットを揺らす。副審のフラッグをきっちり確認してからユニフォームを脱ぐという微笑ましい光景が見られた。きっかけとなるファウルを犯してしまったとしては非常に悔しいものであった。
最後はボーンマスのラッシュという洗礼に何とか耐えたリーズ。こぼれ落ちた勝ち点から何とか1ポイントを死守した。
ひとこと
リーズ、シャープで内容がとても良かったと思う。
試合結果
2025.9.27
プレミアリーグ 第6節
リーズ 2-2 ボーンマス
エランド・ロード
【得点者】
LEE:37′ ロドン, 54′ ロングスタッフ
BOU:26′ セメンヨ, 90+3′ クルーピ
主審:マイケル・オリバー
第7節 フラム戦(H)

努力を無にする逆転劇
ヒメネスの負傷によりCFが不在。試行錯誤が続く状態のフラム。勢いが売りのボーンマス相手に非常に悩ましい陣容で挑むこととなる。
マルコ・シウバの選択は5バック。5-3-2と5-4-1のハーフのような形で試合をスタートする。序盤はウィルソンをキングと並べる5-3-2のような形が主流。中盤をケアする形でボーンマスのバックスには自由にボールを持たせる格好だ。
しかし、ボーンマスはウィルソンとカスターニュの間のスペースが空くところから前進。高い位置を取るトリューフォーが左サイドに起点を作ることで前進する。同サイドにフォーカスするだけでなく、横を揺さぶっていくボーンマス。バックラインからの対角のパスからチャンスを作ったかと思えば、縦に早くエヴァニウソンへのパスをつけるなどあらゆる形でフラムを攻め立てていく。
フラムは保持にまわればボールを大事にするスタート。3バックが広がりながら幅をとってマンツー気味に入ってくるボーンマスに対抗する。しかしながら、ボーンマスの圧には相当苦戦。単発でキングの反転から加速することはできてはいたが、自陣側でボーンマスのプレスに外されてしまう場面も少なくなかった。
仮に押し込むことができたとしてもフォーメーションの違いもあってか敵陣でのパスワークはいつも通り行かない感が出てきてしまう。フラムはなかなか難しい舵取りだった。
それでも徐々にウィルソンのポジションをSH寄りに修正することでフラムはボーンマスの左サイドの進撃を食い止める。前半の中盤はボーンマスのボール奪取能力がいつものように出せない分、徐々にフラットに試合展開がシフトしていく。
後半も互いにポゼッションからスタート。幅広く使っていくボーンマスに対して、フラムは左に流れるキングによってサイド攻撃を整理。逆サイドに飛び込むように促す形で攻撃を作っていく。
その左サイドからフラムは先制。ディアキテの足を完全に止めたチュクウェゼとセセニョンのコンビで一気にゴールまでの道を切り開く。
このゴールで勢いに乗りたいフラムだが、引いて受ける選択をすると、左サイドからセメンヨの突撃を喰らって失点。チュクウェゼがフォローに来ていたことを考えると、カスターニュは意地でも縦を切りたかった。
同点で流れを一気に引き寄せたボーンマス。途中交代のクライファートが脱力した素晴らしいミドルで試合をひっくり返すと、さらにセメンヨで追加点。ようやく切り拓いたフラムの努力を無に返す逆転劇でボーンマスが勝ち点3を積み上げた。
ひとこと
セメンヨとクライファートで終盤の空気を支配してしまった感。
試合結果
2025.10.3
プレミアリーグ 第7節
ボーンマス 3-1 フラム
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:78′ 90+6′ セメンヨ, 84′ クライファート
FUL:70′ セセニョン
主審:サイモン・フーパー
第8節 クリスタル・パレス戦(A)

愛すべきオープン合戦は痛み分け
ともに前への推進力を持ちながら今季のプレミアでは素晴らしいスタートを決めている伏兵同士の一戦。まずはボールを持つのはボーンマス。バックラインにプレスに来ないパレスの守備陣に対して、自由にボールを持てるボーンマスのDFが配球を行っていく。
押し込むボーンマスはセットプレーから先制。ニアフリックをファーに詰めたクルーピが先発起用に応えたゴールを奪う。先制点の前にパレスは得意のカウンターからシュートチャンスを迎えていたが、先にスコアを動かしたのはボーンマスだった。
ややカウンターのシャープさが欠けてしまっていた失点後のパレス。前からのプレスに来るボーンマスに対して、左右に揺さぶるポゼッションから少しずつ押し返していく。サイドからのシンプルなクロスからマテタをいかす形や、サールでサイドをえぐる形でゴールに向かっていく。彼らをハンドリングするために降りてボールを受ける鎌田やピノを潰せるかがボーンマスの守備がうまくいっているかどうか?の指標だったと言えるだろう。
それでもパレスの一番の脅威であったファストブレイクにボーンマスの守備陣は難なく対応。パレスは何か1つ上乗せする必要があるという状況だった。
そんなパレスをよそにボーンマスは追加点。左サイドのセメンヨの馬力をいかす形で対面のリチャーズを置いていくと、またしても仕留めたのはクルーピ。前半だけで2得点。見事な活躍でチームを牽引する。
終盤のパレスはひたすらプレスで押し込んでいくが、そこから生まれたチャンスを仕留めることはできず。リードを2点許す形でハーフタイムを迎える。
後半、追いかけるパレスはチェイシングをスタート。ボーンマスはゆったりとボールを動かすことでまずはこのプレスをスローダウンしにかかる。
テンポの駆け引きで勝利した感があったのはパレス。アップテンポな状況は一度はOFRによって阻まれたが、徐々に行ったり来たり感を復活させる。すると、右サイドのムニョスの暗躍でマテタがついにゴールをゲット。
さらには直後にも鎌田のサイドチェンジを引き取ったところからムニョスが再びアシスト。マテタの2ランで試合はタイスコアに。
一気に攻め立てたいパレスだが、ややアップテンポな展開はボーンマスとしては受けて立つのは臨むところ。試合は段々とオープンな流れに推移する。
殴り合いで先にチャンスを掴んだのはボーンマス。再三チャンスを作っていた左サイドからの折り返しをクリスティーが仕留めて前に出る。
この終盤のゴールで決着かと思われたが、後半ATにセットプレーのホールディングでPKを獲得。マテタがハットトリックを決めてパレスが同点に追いつく。
そのマテタは終了間際に絶好期を迎えるがまさかの枠外。チームを勝利に持たせなかったエースはハットトリックを決めながら頭をかかえる幕切れとなった。
ひとこと
愛すべきオープン合戦が見られた終盤戦だった。
試合結果
2025.10.18
プレミアリーグ 第8節
クリスタル・パレス 3-3 ボーンマス
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:64′ 69′ 90+7(PK) サール
BOU:7′ 38′ クルーピ, 89′ クリスティー
主審:ジャレット・ジレット
第9節 ノッティンガム・フォレスト戦(H)

雑な悪癖も問題なし
早くも今季3人目のフォレストの指揮官となったダイチは早々に欧州カップ戦で勝利。ポステコグルーが喉から手が出るほど欲しかった1勝をなんとか手にした。
好調のボーンマスはシンプルに圧力を出していくスタート。セメンヨからの仕掛けていきなりボックス内に迫ると、そこからの流れで強引なハイプレスからフォレストを苦しめていく。フォレストは降りるアクションから個人がキープして行くど根性の流れ。ギブス=ホワイトがターンをしながらなんとかキープして時間を作る。
前線が個人の力でキープできる状況をより意図的に整えられればという感じだろう。前がかりに相手を引き寄せたところにムリージョのフィードが刺さればより効率的に時間を作ることができる。
控えめなプレスのフォレストに対して、ボーンマスはゆったりとポゼッション。2人のCBに合わせてアダムスが右サイドに列落ちをすることで3-1型のポゼッション。左サイドは大外に立つセメンヨをやや内側に絞るトリューフォーがサポートする形となっていく。
一進一退の状況を動かしたのはボーンマス。CKを直接タヴァニアが打ち込むという意外性のある形で試合を動かす。このゴールで試合の流れはボーンマスに。やや縦に差し込むパスに対するアプローチが遅れるようになるフォレストに対して、ボーンマスはガンガン縦に急いで行くように。
スペースがある状況の中から縦に早いカウンターで追加点を奪ったボーンマス。ドリブルで運んだクルーピのミドルからリードを広げる。
2点のリードを得たボーンマスに対して、フォレストは右サイドからの連打で強襲するスタート。やり直しを絡めつつ幅を使った攻撃で進撃していく。アウォニィへのロングボールを使うアクションもあったが、収める過程で位置を下げてしまうことも多かったので、あまり効果的とは言えなかったのが正直なところだろう。
プレスをいなす手段が物足りなかったフォレストに対して、ボーンマスは中盤でボールを奪う機会が出てくる。しかしながら、この試合の後半はたまに最近見られるカウンターがやたらと雑モードに入り込んでしまうボーンマス。後半はどちらもシュート数が積み上がらない展開となった。
もっとも、リードをしているボーンマスにとっては理想的ではないながらも時間を消化していく展開は悪くはない。要人であるムリージョ、ギブス=ホワイトにミスが続くフォレストは焦る一方だ。結局試合はそのまま終了。ダイチもまたフォレストの未勝利記録を簡単に止めることはできないようだった。
ひとこと
フォレストは後半にバタバタとしたボーンマスの隙をつける状態ではなかった。
試合結果
2025.10.26
プレミアリーグ 第9節
ボーンマス 2-0 ノッティンガム・フォレスト
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:25′ タヴァニア, 40′ クルーピ
主審:サム・バロット
第10節 マンチェスター・シティ戦(A)

真っ向勝負を制して「元に戻る」
首位のアーセナルを追うポールポジションに立っているのは現在ボーンマス。彼らがここに立っているのは前の週にシティが勝ち点を落としたから。シティにとってこの試合はそのポールポジションを取り返すための一戦ということとなる。
ボーンマスはいつも通りに高い位置からのプレスでスタート。敵陣でのボール奪回に成功すると、そのまま横断からいきなりクルーピがネットを揺らすがこれはオフサイド。それでも攻守に積極性を出し続けて、シティのビルドアップを阻害する。
シティはこのハイプレスをどのようにいなせるかの勝負。左サイドのドクとオライリーはレーンを細かく変えながら敵陣に。高さも微妙に捕まえにくい形でボーンマスのSHを翻弄する。
もう1つの武器になるのは当然ハイラインを一発で破れるハーランド。先制ゴールはこちらの攻略法をベースにしたもの。引く位置まで下がるアクションを釣りとして使い、。一気にゴールまで。降りるアクションの状態で「出る!」というタイミングを対面のディアキテに先手を打って敢行することで一手先に前に出ることができたシーンだった。
この場面のように前に出ていく意識の強いボーンマスに対して、ハーランドの一撃というのは致命的になりかねない。セットプレーで追いついたボーンマスだったが、シティは直後にも早い展開から延々とチャンスを作り出していくこととなった。
一時期は追いついたボーンマスだったが、すぐにシティは勝ち越しに成功。前半の内にシティは強気のボーンマスの姿勢を打ち砕くことでリードを生み出し、ハーフタイムを2-1で折り返すことに。
後半も試合の展開は変わらず。主導権を握っているのはシティ。速い攻撃においてはハイライン破りのハーランド、ゆったりとした展開においてはSHのファジーなポジショニングから相手にズレるギャップを埋める作業を押し付けることで、緩急を付けながら主導権を握っていく。
後半15分のオライリーのゴールは試合を決着させる一撃。相手が捕まえるのを遅れたタイミングを逃さず、ボールをコントロールしながら足を広げさせてシュートを仕留めるコースを見つけるという形で見事に打ち抜いて見せた。グバルディオル然り、シティのレフトバックは非常にフィニッシュの精度が高いことを示す得点だった。
真っ向から向かってくるボーンマスを見事に撃退したシティ。2位の座に戻り、首位のフォロワーとして立場を見事に取り戻した。
ひとこと
こういう向かってくる相手を吹き飛ばせるだけの馬力がきっちりと備わっていることを感じさせる勝利だった。
試合結果
2025.11.2
プレミアリーグ 第10節
マンチェスター・シティ 3-1 ボーンマス
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:17‘ 33’ ハーランド, 60‘ オライリー
BOU:25’ アダムス
主審:アンソニー・テイラー
