ノッティンガム・フォレスト、25-26シーズンの歩み。
第1節 ブレントフォード戦(H)

新章開始は厳しい船出に
プレミアに定着させた名伯楽のトーマス・フランクと別れたブレントフォード。新たな指揮官として招き入れたのはキース・アンドリュース。セットプレーコーチの引き上げという非常に前衛的な配置変換を行った。
序盤からロングボールが飛び交う一戦。第1節のどの試合よりもロングボール爆撃の応酬でスタートした試合となった。
爆撃がひと段落するとボールを持つのはフォレスト。やたらと低い位置に構えるブレントフォードに対して、サイドにボールをつけながら押し込んでいく。
押し込む流れで得たセットプレーからフォレストは先制。円熟のストライカーのウッドが今年も得点の安定供給を予感させる先制ゴールを生み出す。
先制して以降も一方的に押し込むフォレスト。戦力の入れ替えの影響もあって仕方ないところもあるかもしれないが、ブレントフォードは怪しさ満点。前線からプレスに行くポイントが定まらず、1人ずつが遠い位置から捕まえにいっては簡単にリリースされてしまう。連動の甘さ、相手との距離の遠さ等ズルズルと押し下げられる要素が満載であった。
フォレストの非保持にも苦戦していたブレントフォード。サイドにスライドしつつ、前から枚数を合わせるプレスを披露したフォレストに対して蹴り出してしまう場面も少なくなかった。前半の終盤にはピンポイントで押し下げられる時間帯もあったが、すぐにフォレストは保持を回復。またも押し込んでいく場面を増やしていく。
なす術のないブレントフォードにフォレストは容赦なく襲いかかる。追加点は左サイドから。ペナ角からのクロスにファーで待ち構えていたエンドイェが嬉しいゴールを決める。
極め付けはATの3点目。ブレントフォードのパスミスを中盤で奪取するとそのまま一気にトランジッション。ウッドが一発の抜け出しを落ち着いて沈めて勝負あり。前半のうちにフォレストが完全に試合を決めてしまう。
後半の頭からミランボに代えてシャーデを入れたブレントフォード。流れを変えたいところではあるが、後半もボールを持つのはフォレスト。サイドから安定した供給でゴールに迫る。左サイドのハドソン=オドイのクロスからチャンスを迎えるなど、後半もゴールに近づく。
一方のブレントフォードは前線へのボールが繋がらない。長いボールはフォレストに狙いを定められてしまっておりインターセプト。奪い返すフェーズの手応えのなさも前半のままだ。
セットプレーのハンドから1点を返したブレントフォードだが、反撃もここまで。ホームチームの軍門に降り、開幕戦を勝利で飾ることはできなかった。
ひとこと
トッテナム×バーンリーと同じくらい両チームの実力差があったカードだった。戻ってきたSB陣が光明になればいいが。
試合結果
2025.8.17
プレミアリーグ 第1節
ノッティンガム・フォレスト 3-1 ブレントフォード
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:6′ 45+3′ ウッド, 42′ エンドイェ
BRE:78′(PK) チアゴ
主審:ピーター・バンクス
第2節 クリスタル・パレス戦(A)

不可思議なフォレストのスタンス
やや不思議な出方をしたのはフォレスト。ムリージョが左サイドに大きく開くビルドアップで3バックに変形する。この形がやや不可思議なのは相手のパレスの陣形との関係だ。
3-4-2-1がナチュラルなポジションであるパレスにとって、3-2-5に変形するフォレストの立ち位置はハイプレスでハメやすいもの。高い位置からのプレスで相手のビルドアップを牽制する。
そうした中でもフォレストはなんとか前進を狙っていく。左サイドでは表と裏を狙いながらボールを受けるハドソン・オドイ、右サイドではライン間を狙うギブス=ホワイトの2人が縦パスのレシーバーに。しかしながら、ホルダーがプレッシャーがかかっていることが多いため、なかなか受け手にはハードな状況。それでもなんとかするのが今のパレスの能力の高さと言えるかもしれないが。
フォレストが不思議だったのは非保持ではいつもの4-4-2に戻っていたからでもある。非保持で相手をはめるための変形なら理解できるのだが、そういうわけではなく相手がズレを作りやすい4-4-2に戻す。
そのため、パレスは左右に揺さぶりながら深いところまで侵攻することに安定感があった。特に大外のミッチェルは中央のマテタやサールのポストから浮いた大外でボールを受けて、クロスからチャンスを作っていた。
押し込む頻度が高いパレスはそのまま先制。左右に揺さぶることで中央で浮いたサールが先制ゴールを奪う。陣形の噛み合わせがそのまま戦況につながり、さらにはスコアの差になった印象だ。
後半もロングボールの応酬となったこの試合。ボールがポンポンと飛び交う立ち上がりとなる。
時間の経過とともにボールを持つようになるのはフォレスト。パレスが組むブロックの外からのポゼッションからボールを動かしていく。
これではまずいということで少しずつ受け手に厳しいプレッシャーを変えていくパレス。だが、この状況をひっくり返したのはエンドイェ。背負ったところからのスーパーパスで抜け出したハドソン・オドイ。素晴らしいハイライン破りから一気にゴールに辿り着く。
以降はやや両チームとも停滞があった印象。サイドに狭く閉じ込められるパレスはレシーバーが辛い状態になっていたし、フォレストは左サイドを軸としたハイライン破りを試みるが打開することはできず。多くの交代選手も実らないまま試合はドロー決着となった。
ひとこと
決め手に欠いた終盤戦だった。
試合結果
2025.8.24
プレミアリーグ 第2節
クリスタル・パレス 1-1 ノッティンガム・フォレスト
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:37′ サール
NFO:57′ ハドソン=オドイ
主審:アンソニー・テイラー
第3節 ウェストハム戦(H)

膠着を打破したジョーカーが完勝を引き寄せる
序盤からゆったりとボールを持つのはフォレスト。中盤を守備の開始位置としたウェストハム。プレスの開始位置を低く設定することでフォレストにある程度ボールを持たせていく。
CHのサリーから列落ちのアクションを見せていくフォレスト。ウェストハムはパケタがジリっと前にスライドする形で前から追う姿勢もチラ見せしてはいた。
一方のフォレストはマンツー気味のハイプレスでウェストハムを高い位置から追い回す。4-2-3-1の保持からパケタがおりながら動かしていく。ウェストハムがいつもと異なったのはやり直しを繰り返してハイプレスを撃退していたところ。CFからの誘導を外し、狙い通りの回収ルートに入り込まないように警戒していた。
というわけで試合は徐々にポゼッションベースの試合に移行。停滞した展開においては左右のサイドから突破ができるかが重要になるが、サイドの対人守備ではいずれも守備側が有利。多少行かれてしまったかな?というシーンでも容赦なく止めることができるという割り切り方を見せていたことから、保持側にとってはタイトな展開が続いてしまったように見えた。
押し込んだところは即時奪回も含めてなかなか効果的な攻撃に繋げることはできず。デュウフ→フェルナンデスのポケ凸やハーフスペース裏を狙うギブス=ホワイトなど工夫は見えたが、どちらのチームもその先がなかったように見えた。
後半もフォレストは3バックからの保持でスタート。しかし、パケタのプレスバックやフェルナンデスの即時奪回などウェストハムの守備のシャープさが光り、なかなか中盤をスマートに超えることができない。
ボールを奪い取ったウェストハムはトランジッションから右サイドの打開を図る。詰まってしまったと思ったらパケタがサイドを変えることで対応する形。後半もなかなかチャンスが多い展開とはならなかったが、主にウェストハムがトランジッション色の増加で徐々にスペースが出てくる。
しかし、試合はもう1回落ち着きを見せてこう着状態に。押し込むフォレストに対して、ウェストハムはこれまで不安定だったクロスの迎撃も安定した姿を見せることができていた。フォレストは前線の選手を入れ替えながら攻撃を続ける展開。しかしながら、ハーフスペース侵入後の設計が見えて来ず、もう一歩を踏み込むことができない。
そうした流れを変えたのが交代で入ったサマーフィル。敵陣でボールを奪い返すちょっとしたトランジッション成分を利用したところから先制。ミレンコヴィッチの周辺のスペースを攻略し、最後はボーウェンが仕留めた。
さらにサマーフィルはドリブルでの打開でPKを獲得。見事に流れを一変させて勝利を確実とするゴールを引き寄せた。最後はウィルソンが完勝に花を添える一撃でタイムアップ。終盤の雪崩れるような得点でウェストハムが点差をつけた勝利を手にした。
ひとこと
パケタのゴールパフォーマンス、名場面。
試合結果
2025.8.31
プレミアリーグ 第3節
ノッティンガム・フォレスト 0-3 ウェストハム
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
WHU:84′ ボーウェン, 88′(PK) パケタ, 90+1′ ウィルソン
主審:クレイグ・ポーソン