リバプール、25-26シーズンの歩み。
第1節 ボーンマス戦(H)

陸続きの遠藤と手応えある攻撃陣のリレー
2025年のプレミアリーグがついに始まる。オープニングマッチを飾るのはアンフィールド。王者の本拠地で多くの痛みを伴う哀悼を試合前に捧げるところから今季のプレミアリーグは幕を開けることとなった。
序盤からボールを持つのはリバプール。大まかな攻め筋はコミュニティシールドの流れと同じだろう。主に左サイドのポジションに変化をつけながらインサイドとアウトサイドのバランスをとって勝負を仕掛けていく。ケルケズのCB色はやや減らしていたかもしれない。サラーへの対角は少なめで、インサイドを覗くアクションの方に注力していく。
相対するボーンマスの守備で特徴的だったのはセンターラインの前へのプッシュアップ。スコットは1列前に出ていき、さらにはCBまでプレッシャーをかけにいくなど、タヴァニアとフラットかそれ以上に高いポジションを取ることが多かった。
スコットが前に出ていく分、広いスペースをカバーしなければいけないアダムスにとっては難しい舵取り。だが、CB陣との連携もありうまくカバーリングはできていた印象。クックの離脱+CB陣の刷新の中で前から強い守備という昨季までの持ち味を引き継げる姿勢を見せたことは新しいチャプターの船出としては上々というところか。
カウンターにおいてもボーンマスは左右のSH、もしくはCFのエヴァニウソンのサイドへの流れからチャンスメイク。リバプールの両サイドのSBに対してはアドバンテージを取ることができていた。
ただし、押し込み切られたところからでも怖さを見せることができるのがリバプール。馬力のあるロングカウンターはあわや決定機阻止の場面も作り出すなどCSに引き続き見応えは抜群。押し込まれているところからでも得点を狙えることは開幕戦でも示すことができたと言っていいだろう。
それぞれの攻め筋があった中で変化をつけて主導権を引き寄せたのはリバプール。ボーンマスのセンターラインの守備に対して、ヴィルツの降りるアクションをトリガーとしてエキティケの列落ち、マック=アリスターの列上げを組み合わせることでアダムスの負荷を増大していく。
先制点はこのセンターラインの駆け引きから。降りるエキティケがセネシを交わして抜け出すと、そのまま1on1を制してゴール。セネシが入れ替わられたところは本来であればディアキテがいて欲しかったが、前向きにプレスをかけるところを体現するのであれば後方が余らないのは仕方がないところだろう。
ハイプレスの回避も安定したリバプールは以降は安定して時計の針を進めていく。前半の終盤には恐ろしいカウンターから相手を脅かすなど追加点の気配も見せた。
後半の入りもリバプールは快調。ハイプレスを回避しつつアリソン→エキティケ→ヴィルツの流れでひっくり返しての決定機を迎えるなど、敵陣に迫る機会を作り続ける。
なんとかこの時間帯を凌ぎたいボーンマスだったが、リバプールは容赦なく追加点。左サイドでエキティケとスイッチしたガクポがカットインから見事なシュート。ポジションの入れ替わりでボールサイドに寄せつつ、スライドしてきたタヴァニアを交わす冷静さを見せて巧みにシュートコースを作ってみせた。
CSで早い時間帯でガス欠したことを踏まえ、ポゼッション色の増加+SBの早めの交代で手当てを図るリバプール。フリンポン→遠藤の交代やカードをもらっているケルケズを下げる手立ては明確な意図があったように思えたが、それがうまく反映されていたかは微妙なところ。特に右サイドはそのカラーが強く、遠藤に代わってもガンガンオーバーラップをかますなど、キャラクターの変化に伴うポジションバランスの修正がなされなかった印象。
ボーンマスの反撃はその遠藤が高い位置をとるリバプールの右サイドから。バックドアで背後をとったブルックスがセメンヨに繋ぎ切ってゴール。1点差に迫るゴールを手にする。高い位置をとった遠藤とともに気になったのは単一ルートをカットできないファン・ダイク。背走で難しい対応だったのは理解できるが、この辺りの雲行きの見えなさはCSのPK献上から不調を引きずっているように思える。
失点を受けてスロットは守備のユニットを再構築。ゴメスをサイドにおき、エンドウを中央にスライドさせる。だが、インサイドでも遠藤の登場はポジションバランスに反映されなかった印象。トップ下に移動したショボスライの降りるアクションに呼応して高い位置をとる遠藤はクローザーというよりも前半のリバプールの中盤と陸続きの仕事をしていたように見えた。
ボーンマスはまたしても遠藤のいないところから同点に。中盤でスピードに乗ったところからセメンヨがカウンターを完結。一気に試合を振り出しに戻す。
リバプールにとって救いだったのは終盤にもう一度ギアアップに成功したことだろう。サラーを軸とした攻撃が終盤は非常に輝いた。セットプレーからのリスタートでショボスライとのコンビネーションから88分のキエーザのゴールを演出すると、後半ATには自らが左サイドに流れて技ありのゴール。嫌なムードを一気に吹き飛ばした。
紆余曲折がありながらも最終的には本拠地で白星発進。ジョタへの祈りに勝利という最高の報告を添えることに成功した。
ひとこと
攻撃の出力維持はエキティケ+ヴィルツ→サラーのリレーである程度回答は見えた感。その一方で嫌な時間帯をどう安定させるかに関してはまだ模索中。後ろに枚数をかけて重くなりすぎたCSの反省を踏襲しているのだとしたら、普通の中盤仕事をしている遠藤も咎めにくいので難しいところでもある。
ボーンマスは新章の幕開けとしては上々。アグレッシブな前向きの守備と90分間出力を維持できるトランジッションを開幕戦で見せられた。あとは早めの成功体験でパフォーマンスが悪い方に引きずられないことだろう。
試合結果
2025.8.15
プレミアリーグ 第1節
リバプール 4-2 ボーンマス
アンフィールド
【得点者】
LIV:37′ エキティケ, 49′ ガクポ, 88′ キエーザ, 90+4′ サラー
BOU:64′ 76′ セメンヨ
主審:アンソニー・テイラー
第2節 ニューカッスル戦(A)

16歳がスリリングな展開を制するマッチウィナーに
1人のストライカーをめぐり、熾烈な場外乱闘を繰り広げている両チーム。色んな意味でセント・ジェームズ・パークの一戦は負けられないものとなる。
意気込みをより強く感じたのはニューカッスル。強烈なタックルでリバプールに簡単に主導権を渡さない意思を早々に見せる。プランとしてもオールコートマンツーがベースとなる超強気のハイラインを強いたニューカッスル。中でもゴードンの存在感は別格でGKまでの二度追いと中盤をマークするプレスバックの両刀を使いながらマンツーマン守備の強度を高めていく。
リバプールの中盤はややバタバタ気味。ボールを奪われた後のニューカッスルのカウンターを止めるフェーズを含めて、序盤は後手となる展開が目立つように。保持においてもニューカッスルはサラー周辺でリヴラメントが浮くことでボールをスムーズに運ぶことができていた。
アリソンが間を作りたがるほど落ち着きができなかったリバプール。しかしながら30分を過ぎたところでようやく押し込むように。瞬間的にトナーリから浮くヴィルツはサイドの導線となっており、ニューカッスルはこういうギャップを埋めようと自陣側に4-5-1のブロックを敷くように。
押し込んだリバプールはフラフェンベルフのミドルから先制。狙い澄ました一撃で劣勢の中で先にスコアを動かす。このゴールですっかりペースはリバプールに。なかなかハマらなかったハイプレスでもニューカッスルを押し込んでいくと、左サイドのエキティケとガクポの連携から決定機を迎える。
悪い流れはいいプレーをしていた選手も飲み込んでしまうのだから恐ろしい。前半終了間際にはゴードンが一発退場。ニューカッスルは数的不利での戦いを余儀なくされる。
後半、リバプールは一手目で追加点。ガクポとエキティケの連携からエキティケがシュートを撃ち抜いてさらにリードを強固なものにする。
ニューカッスルの4-3-2に対して一方的な保持で試合を進めるリバプール。このまま試合をコントロールしながら進めるかと思われたが、ニューカッスルはここから数的不利をものとしない押し込み方を見せる。
一気に押し返すと左サイドからのクロスをギマランイスが押し込んで1点差に追いつく。以降もカウンターもプレスもなかなか冴えを取り戻すことができないリバプール。一方のニューカッスルも度重なる負傷によってなかなかリズムを掴めず、試合は一進一退の展開に持ち込まれる。
すると、ニューカッスルはセットプレーの流れから同点に。自陣からのFKで抜け出したオスラが貴重な同点弾を呼び込む。
勢いに乗るニューカッスルだが、最後の最後にドラマが。右サイドから奥を取ったリバプール。クロスは中央のショボスライを抜けてファーに待ち受けていたングモハの元に。試合を決めたのは16歳。久しぶりに見せた数的優位を生かした攻撃でリバプールは土壇場で勝ち越しに成功する。
どうなるかわからないシーソーゲームを制したのはリバプール。セント・ジェームズ・パークを黙らせる16歳の一撃で開幕連勝を飾った。
ひとこと
マンデーナイトには勿体無いくらいスリリングな展開となった一戦だった。
試合結果
2025.8.25
プレミアリーグ 第2節
ニューカッスル 2-3 リバプール
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:57′ ギマランイス, 88′ オスラ
LIV:35′ グラフェンベルフ, 46′ エキティケ, 90+10′ ングモハ
主審:サイモン・フーパー
第3節 アーセナル戦(H)

一振りの魔法でテーブルのトップに
レビューはこちら。

昨季の1位と2位対決であり、このタイミングでの唯一の全勝チームとなっている両軍。アーセナルにとっては鬼門となっているアンフィールドでの決戦となる。
序盤はアーセナルの強気な守備が目立つ展開。中央を封鎖しつつ、高い位置までのプレスを両立。左右にボールを揺さぶりながらリバプールはこれを丁寧に回避。サリバがモスケラになっても中央のマークの受け渡しにはなかなかズレを作れなかったリバプールはサイドに早めにつけてボールを勝負をしたいのだが、ここのマッチアップもサラーをカラフィオーリが封殺。中央とサイドできっちりと要人を抑えたアーセナルがリバプールに主導権を与えない。
一方のアーセナルは深い位置まで相手を引き込んでの前進を披露。ライスをスビメンディより深い位置まで下ろすことでヴィルツの守備の基準点を撹乱。中央の基準点を作る。
ファストブレイクのチャンスメイクを担ったのは右サイドのマドゥエケ。オフザボールを含めて、対面のケルケズに完全に優位を取りセットプレーを生み出した。
アーセナルにとって誤算だったのはそのセットプレーからゴールを奪いきれなかったことだろう。サリバが不在な影響からか、GKをマークする役がいなかったアーセナル。セカンド回収からゴールに向かうがいずれも不発。わずかな優位を先制ゴールに結びつけることができなかった。
後半は徐々にリバプールがリカバリー。中盤の入れ替わりにさらなるバリエーションを持たせることで前進に成功する機会を増やしていく。ライン間に入るショボスライ、わずかなギャップに入り込むヴィルツなどに徐々にアーセナルは後手を踏む。プレスバックができなくなってくるギョケレシュ、メリーノにより、守備で走れるマルティネッリを代えることに二の足を踏む展開となった。
アーセナルはウーデゴールとエゼを投入。ボールの落ち着かせどころをプレス強化の両面を図る。保持に転じれば彼ららしい攻め方も見られたが、ライン間への侵入を抑制しきることはできず。ライン間侵入から先がなかなか進めなかったリバプールだが、ショボスライの魔法の一振りからゴールを生み出す。
チャンスが薄い展開を制したリバプール。唯一の開幕3連勝で首位で9月を迎えることとなった。
ひとこと
久しぶりに見た魔法の一振りでビッグマッチの勝利を掴む仕草。守備やレシーバーとしてもショボスライはスーパーだった。
試合結果
2025.8.31
プレミアリーグ
第3節
リバプール 1-0 アーセナル
アンフィールド
【得点者】
LIV:82′ ショボスライ
主審:クリス・カヴァナー
第4節 バーンリー戦(A)

押し込むご褒美で連勝を4に伸ばす
第3節を終えて唯一全勝となっているリバプール。連勝を伸ばし、過密日程に向けて後続に対する貯金を作っておきたいところだろう。ホーム開幕節では白星をあげているバーンリーの本拠地に乗り込んでの一戦だ。
バーンリーのフォーメーションは5-4-1。ローブロックで後方を埋めることは視野に入れつつ、ハイプレスで敵陣から追いかけにいく時は背中を向けて受ける選手にとにかく前を向かせないという意識が見える。保持で明確な陣地回復の手法がない分、非保持でその根性を見せようという立ち上がりだった。カレンのボール奪取からのカウンターからのチャンスはそうした意識がもたらした一端だろう。
しかしながら、時間の経過とともにミドルゾーンからリトリート気味の対応が増えてくるバーンリー。リバプールは左サイドを軸にライン間の攻略を探っていく。だが、この日はレシーバーのエキティケとヴィルツがいい関係性を見つけるのに苦労。そもそもスペースが狭いのも当然あるが、マック=アリスターがやや迷う場面もあった。
そうした中で違いを見せたのはグラフェンベルフ。反転やファーストタッチで寄ってくるマーカーを剥がして攻撃に推進力をもたらす。前半にアタッキングサードに入り込む原動力となったのは間違いなく彼であった。
ライン間がナローであるならば右のサラーでゴリ押しというプランもある気もするが使う頻度は控えめ。サポートも手薄で対面の選手に時折サラーが孤軍奮闘する形が多かった。
一方の左もケルケズが早々に交代。シミュレーションによる余計なイエローカードの影響もあったかもしれないが、ロバートソンの方がインサイドレーンでのドリブルでの侵入は板についていた。ここまでのリバプールの闘い方の中ではこの試合のケルケズは高い位置を取れた展開だとは思うが、もう少し大外を追い越すアクションの方が得意なのかもしれない。
そんなこんなでリバプールが一番ゴールに近づいたのはセットプレー。GK周辺に立つコナテをめがけたプレーが一番刺さっていた感があった。しかし、ドゥブラーフカにキャッチされたしまった場合はそこからバーンリーはカウンターを発動。左サイドに流れるアンソニーとフォスターからのファストブレイクを狙っていく。だが、これもファン・ダイクやコナテを脅かすには至らず、試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半、リバプールは右サイドにブラッドリーを投入。サラーの相棒として必要な推進力があるだけでなく、逆サイドのクロスのターゲットとしても躍動し、前半以上に攻撃に可能性を感じる展開に。ただ、推進力を与えた一方でボックス内でのプレーの精度は他の選手に比べても落ちていたし、不用意なドリブルでつっかけてカウンターの機会を呼び込んでしまったシーンもあった。課題も出てきたパフォーマンスだとも言える。
左サイドでは大外でロバートソンが出ていく形からチャンスを作っており、前半とはややポジションバランスを変えた感。これならばケルケズでもよかったかもしれない。いずれにしても交代で入った両SBからチャンスを作っていったことは確かだ。
左右で押し下げが効くようになったことで中央ではミドルシュートのために足を振るスペースができるように。アーセナル戦でマッチウィナーとなったショボスライのミドルはこの日も枠をとらえていたが、ややコースが甘い分ドゥブラーフカに弾かれてしまった。
押し込むリバプールはウゴチュクの退場により、さらに一方的なポゼッションモード。大外の仕掛け役をフリンポンとングモハにスイッチし、ボックス内にガクポ、サラー、キエーザを置く形にシフトする。
すると、その大外のフリンポンからのクロスが決勝点を呼び込むことに。体を捻った際に不用意に腕を上げてしまったハンニバルがPKを献上。このPKをサラーが仕留めてリバプールはまたしても劇的な勝利。4試合連続で80分以降に決勝点を手にする4連勝を飾った。
ひとこと
1つのミスで壊れてしまうのは引いて受けるチームの宿命だし、ウゴチュクの退場はそれを呼び込んでしまった感があったし、カレンを下げて彼を残した交代策も含めてバーンリーは甘さを残してしまったかなという感があった。
試合結果
2025.9.14
プレミアリーグ 第4節
バーンリー 0-1 リバプール
ターフ・ムーア
【得点者】
LIV:90+5′(PK) サラー
主審:マイケル・オリバー
第5節 エバートン戦(H)

躍動する中盤で連勝をキープする
国内だけでなくCLでも劇的な勝利を手にしたリバプール。相変わらずカロリーの高い展開で連勝を伸ばしていく。今節の相手はローカルライバル。例年よりは仕上がっている隣人をホームに迎え、連勝をさらに伸ばす試みをすることとなる。
保持ベースでボールを動かして浮く位置を探していくリバプール。後方はCB-CHに託し、早々にケルケズは高い位置に出ていく。まずは大外からサラーを使った右サイドからの攻撃を軸につっつけるポイント探しである。
ただ、この日のリバプールは中央とサイドを攻めるバランスが良好。インサイドの3枚は互いの関係性を生かしながら1つ前の列にガンガン侵入していく。サイドから押し下げることに成功し、エバートンのローブロック攻略ゲーになりつつある状況で、見事にボックス内に入り込んだのはグラフェンベルフ。1人目が入っていくアクションから送らせて抜け出すことでエバートンのブロックは完全に後手に。見事なフリーランでの破壊で先制する。
エバートンは陣地回復が苦しい展開に。お手軽にベトに当てるタイプのロングボールはリバプールのCB陣が貫禄の無効化。かつ、相手が攻め込んできてくれればカウンターを打つことができるというリバプールにとってはもってこいの状況に。
背負っている状況であれば頼りになるのはCFのベトではなく、サイドのグリーリッシュの方。ロングボールでも明確に時間を使って回復ができるし、周囲にはオフザボールで動き回るデューズバリー=ホールもいる。サイドから素早く押し下げて数少ないチャンスに繋げていく。
非保持でも気合を入れて失点後に勝負を仕掛けるエバートン。高い位置に追い込んで冷や汗をかかせる場面もなくはなかったが、中盤が広いスペースの状況になっているのはリバプールの中盤からすると好都合。CH中心に縦に出し入れを続けると、またしても躍動した中盤のお膳立てで最後はエキティケが追加点を決める。
2点のビハインドになった後は保持の時間が増えるエバートンだが、単純なロングボールも含めて高さ勝負でなんとかなるケースは稀。押し込んだところからのもうひと工夫が欲しい状況だ。
後半はそのもうひと工夫がロングボールに表れていた。CFの影から相手の背中を取る形で侵入するデューズバリー=ホールがターゲットになる形は個人的には面白かった。それでも左右からきっちりと押し下げるリバプールはオープンな状況でも引き続き優位を取る後半。エバートンのCBはあまり揺さぶられる状況は得意ではないが、そうしたシチュエーションでも体を投げ出しながら回避をしていた。時間経過とともにリバプールはポジトラでの速攻にシフトしていく。
押し込むエバートンはやはり左サイドから追撃弾をゲット。サイドからのスマートな突破をファーでエンジアイが柔らかくおとし、最後はゲイェが素晴らしいシュートを決めた。
同点にするために最後まで押し込むエバートン。ギリギリのところでリバプールのカウンターに対応し続ける。勝ち点1の希望は持ち続けたエバートンだが、最後はリバプールの防衛を破ることはできず。マージーサイドダービーを制したリバプールが開幕5連勝を飾った。
ひとこと
中盤の機能性が今季観たどのリバプールよりも良かった。
試合結果
2025.9.20
プレミアリーグ 第5節
リバプール 2-1 エバートン
アンフィールド
【得点者】
LIV:10′ グラフェンベルフ, 29′ エキティケ
EVE:58′ ゲイェ
主審:ダレン・イングランド
第6節 クリスタル・パレス戦(A)

劇的な幕切れでパレスが歓喜をあげる
リーグで唯一の無敗の両チームの対戦。コミュニティ・シールドの再戦となったカードであり、未来の話をすればカラバオカップ4回戦の組み合わせでもあるカード。そして、試合前には当然グエイがカメラで抜かれるカードでもある。
まずはリバプールがボールを持つスタート。パレスがきっちりと中盤に構える形で対応。リバプールは前節フィーリングが良かった中盤の形を維持しつつ、ヴィルツを左に押し出すフォーメーションでこのブロック攻略に挑む。プレスに関してはあまりリバプールは積極的ではなく中央の封鎖を優先。左のSHは絞って中盤をケア。中盤っぽい守備の強度を要求するにもヴィルツの左サイドはうってつけだったのかもしれない。
パレスはサイドを軸にしたカウンターで対応。構えたところからのロングカウンターでリバプールをファストブレイクで壊しにいく。どちらの攻撃も一進一退の立ち上がりの中で試合はセットプレーで動く。ファーサイドのCKをグラフェンベルフが目測を誤って折り返し。フリーのサールがこれを押し込む。
観客席のトラブルがあり、試合が中断をしてもなおパレスのペースは続く。ファストブレイクを軸に量産されるチャンスをアリソンがことごとくセーブ。3回の決定機を防ぎ、ビハインドを最小得点差に留める。パレスはコナテに警告を引き出させたが、なかなか追加点には結びつかない。
カウンターの精度もなかなか上がってこないリバプール。パレスがWB→WBなど幅を使った攻撃を繰り出している分、サイドからボールを運べそうだったが、運んだ後のプレーの質が低くゴールまで迫ることができない。
ヴィルツを中盤に絞らせて、ケルケズを大外の高い位置に置くポゼッションでの工夫もわかるのだが、インサイドのスペースを消して、相手を外に締め出すパレスのアプローチはきっちり機能。なかなか守備の誘導を裏切ることができなかった。
それでも押し込む意義があるのはパレスのセットプレーの守備が危ういから。ウェストハム戦でも失点に繋がったニアに人を多く配置するゾーンのCK守備は今節も機能不全。コナテにフリーでヘディングを許すが、なんとか事なきを得る。
同点にできなくともリバプールサポーターは幸運に感じるスコアであることは確かだろう。たりないカウンターでの仕上げの精度と、ヴィルツの4枚目の中盤起用のハマらなさなどどことなくやりきれない内容の前半をアリソンが繋ぎ止めた45分だった。
後半、リバプールはガクポを投入してショボスライをSBに。よりこれまでに近いバランスに修正してポゼッション時のバランスの調整を図る。右サイドでは前半はあまり見られなかった旋回が出てくるように。特にショボスライの流れの中からの攻撃参加は効いていた。
逆に流れに乗り切れなかったのはイサクとヴィルツ。めちゃくちゃ悪いというわけではないのだけども、おそらくはまだリーグ戦でゴールが出ていない上での硬さのようなものを感じる流れではあった。
パレスのカウンターもさすがに出力が落ちてきた後半。攻め立てる時間が多くなってきたリバプールはお馴染みのパワープレーでストライカーを複数人ボックス内に配置。その状況を得点に結びつけたのはキエーザ。今季の伝統芸能というべき80分台のゴールで試合を振り出しに戻す。
勢いをつけてゴールに迫りたいリバプールだが、この日はなかなかボックスに迫る試行回数が積み上がらずに苦戦。すると、陣地回復に成功したパレスがロングスローの機会を活かして勝ち越し。ニアで仲間が粘ったボールをゴールに繋げたのはエンケティアだった。
劇的な勝利でリーグ唯一の無敗をキープしたパレス。リバプールが開幕から積み上げた連勝は開幕前に敗れたパレスによって止められることとなった。
ひとこと
チャンスの数的には妥当な結果ではあるが、スコア的に押し返された状況からリバプール相手にひっくり返すパレスの胆力は素直にすごい。
試合結果
2025.9.27
プレミアリーグ 第6節
クリスタル・パレス 2-1 リバプール
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:9′ サール, 90+7′ エンケティア
LIV:85′ キエーザ
主審:クリス・カヴァナー
第7節 チェルシー戦(A)

CB負傷でも勇敢だったチェルシーが首位狩り
連戦連勝からここに来て連敗。トルコとロンドンという異なる2つのアウェイゲームで勝ち点を落としたリバプールの中断期間直前の一戦はチェルシーとの対戦となる。
チェルシーはかなりメリハリのあるプレスを敢行。ガルナチョがバックラインに入り、ククレジャも縦にスライド。サラーはバディアシルが監視する形でマンツー色の強い陣形で守っていく。
デビュー戦とママルタシュヴィリにとってはなかなか出す場所がない状況。こうなった場合は前線に起点を作りたいところだが、サラーやガクポと言った両翼は対面に苦戦する。ハイプレスを解除した際のチェルシーはオーソドックスな4-2-3-1にSHが下がって守備をしていたが、ガルナチョの助けを得たククレジャは難なくサラーを抑えていた。サラーが時間を作ればブラットリーが攻め上がれそうな感じはあったが、なかなかそうした場面は作れなかった。
チェルシーの保持に対して、リバプールは外切りでハイプレスにいこうとするが、逆にサラーの背後のククレジャからのキャリーで問題なく前進。カバーに来るグラフェンベルフやコナテもフィルターになりきれなかった感があった。
ショボスライは前、そしてグラフェンベルフがサイドのフォローとなると、中盤はやや人手不足。チェルシーはカイセド、エンソ、グストの3人で数的優位を使いながら中央で浮くと、最後はカイセドが思い切り振ったミドルでスーパーゴールをゲット。ホームチームが先制点を手にする。
先制点は流れを特に変えず。リバプールはトランジッションでの鋭さを出すことができず、前がかりの際は人を捕まえて、自陣に運ばれた時はきっちりスペースを埋めるというギアチェンジの間をつくことができず。43分のサラー→イサクの攻撃は受け渡しのギャップをついた攻撃ではあったが、イサクはワンチャンスを仕留められなかった。
一方のチェルシーはサイド攻撃に活路。相変わらず浮いているククレジャに加えて、ロングカウンターではネトとガルナチョが躍動。ショボスライがガルナチョを潰したシーンはファウルの有無は別としてリバプールにとって危険な侵入のされ方であったことは確かだろう。
後半、チェルシーはバックパスミスからリバプールにシュートチャンスを許す。アチェンボン、ジェームズの雑なパスワークは前節チャロバーが退場したシーンを彷彿をさせるものだった。
後半も互いにプレスをどう掻い潜ろうかを保持から解決していくスタート。リバプールはケルケスをインサイドに置くなどチェルシーのハイプレスの基準点に迷いを与えにいく。
チェルシーにとってはバディアシルの負傷が分水嶺。緊急事態への対応もそろそろ慣れてきたマレスカは本日はラヴィアをCHに入れて、ジェームズとアチェンボンをCBで組ませる形を作る。非保持においてはカイセドが最終ラインに吸収される形でフォローをしていたが、保持面でも時間を作りつつチェルシーらしいWG→WGの攻撃を見せることができていた。
しかし、リバプールはボックス内からミクロなスペースを作って同点。イサクの柔らかいエスコートにより、ガクポが同点ゴールを決める。このゴールで勢いに乗ったリバプールはトランジッションから縦に鋭い攻撃もようやく出てくるように。ただし、フィニッシャーのサラーが湿っていたのは相変わらずである。
チェルシーはさらにアチェンポンも負傷で失い、緊急事態感はさらに増していく。それでもギッテンス、エステバンなどサイドにアタッカーを投入することで勢いをさらに活性化していく。
オープンになった終盤戦を制したのはチェルシー。左サイドから抜け出したククレジャがファーのエステバンのゴールをアシスト。最終ラインに残ったグラフェンベルフとロバートソンはそれぞれ出し手と受け手にアプローチをすることができなかった。
前節に続き、劇的な決着での敗北となったリバプール。アウェイでの公式戦3連敗で中断期間を迎えることとなった。
ひとこと
そもそも人がいないCBに負傷者が出ても普通にリバプールと組み合った勇気に最後はご褒美が来たかなという感じ。
試合結果
2025.10.4
プレミアリーグ 第7節
チェルシー – リバプール
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:14′ カイセド, 90+5′ エステバン
LIV:63′ ガクポ
主審:アンソニー・テイラー
第8節 マンチェスター・ユナイテッド戦(H)

アンフィールドを黙らせたマグワイア
続いていた連勝がピタッと止まり、立て続けに負けが混んでいるリバプール。公式戦の連敗を止めたい今節はホームに宿敵のマンチェスター・ユナイテッドを迎えての一戦に挑む。
立ち上がりはロングボールの応酬。様子見のフェーズかと思いきや、そのロングボールのところからユナイテッドがあっさりと先制。ファン・ダイクの雑な競り合いと戻りきれないミスをついたのはユナイテッドの右サイド。ディアロとエンベウモのコンビネーションから一気にママルダシュヴィリの守るゴールマウスに穴をあける。
先制を許したリバプールは以降はポゼッションからユナイテッドの5-4-1を壊しにいく。ローからミドルブロックにコンパクトに陣形をキープするユナイテッドに対して、リバプールはCHを縦関係にする形でビルドアップ。中盤はマック=アリスターが前に張り、グラフェンベルフが後ろになるという前後分断の形で組んでいく。
ボールホルダーにプレスをかけにくい重心だったこともあり、リバプールは裏パス一撃からチャンスメイク。イサクは右のハーフスペースからの抜け出しを行っていく。
だが、こうした縦パス一撃以外ではなかなかチャンスを作れないリバプール。中盤の列の入れ替わりも少なく、ユナイテッドの守備ブロックを揺さぶりきれない状態が続く。
非保持でもイマイチリズムを作ることができないリバプール。綺麗に繋がれ続けるとまでは言わないまでも、ロングボールで逃げられたり、あるいは横断からサイドを自在に使われたりなどリズムを作れず。先制点をもたらした右サイドのコンビは引き続き攻撃の脅威になっていた。
単騎突破と縦パスだけでは仕留めきれなかったリバプール。前半はビハインドでハーフタイムを迎える。
引き続き保持からチャンスを作りにいくリバプール。SHとSBの二人称から一気に押し下げていく。しかしながら、もう一人がなかなか絡んでこれず、どこか力技感が否めない。相手のセットプレーのミスから鋭いカウンターを放つ場面もあるが、連携不足と決定力不足でこちらもゴールに届かず。ガクポのシュートは前半に続き、ポストに阻まれてしまう。
15分でスコアが動かなかったことを踏まえて、スロットは3枚交代で一気に攻撃的な布陣にギアチェンジ。カウンターから前がかりに人数をかける形から一気に敵陣に入り込んでいく。
前傾姿勢が実ったのは78分。左サイドからの仕掛けを仕留めたのはガクポ。なかなか試合を動かせなかったストライカーの一撃で試合は振り出しに戻る。
燃え上がるアンフィールドの興奮を鎮めたのはセットプレーのマグワイア。ブルーノの見事な導きから勝ち越しのゴールを挙げる。リバプールはややラインコントロールが不安定だったところから与えたセットプレーが致命傷になってしまった。
リバプールの残り時間の猛攻を凌ぎ切ったユナイテッドはアンフィールドで勝利。アモリム体制初のプレミア連勝を決めた。
ひとこと
サラーの不調は相当深刻なように見える。
試合結果
2025.10.19
プレミアリーグ 第8節
リバプール 1-2 マンチェスター・ユナイテッド
アンフィールド
【得点者】
LIV:78′ ガクポ
Man Utd:2′ エンベウモ, 84′ マグワイア
主審:マイケル・オリバー
第9節 ブレントフォード戦(A)

畳みかけきれずに逃げ切りを許す
ミッドウィークにフランクフルトに勝利したことでようやく公式戦の連敗を止めたリバプール。次に止めるべきはプレミアリーグの連敗。難所であるブレントフォードのホームスタジアムでミッションに挑むこととなる。
試合はリバプールの保持からスタート。低い位置で相手を動かしていくというよりは立ち上がりは右サイドへのフィードを軸とした縦に早い展開から仕掛けていく。しかしながら、ややママルダシュヴィリのフィードの質がついてこずにイマイチ刺さりきらない。
一方のブレントフォードはアバウトに裏にボールを蹴りつつ、敵陣で奪ったスローインからカヨーデのロングスローで一気にボックス内に迫っていく。この攻撃は早々に刺さり先制点。ミドルゾーンから一気にボックス内を覗く形を作ると、ワッタラがゴールを仕留めて先制する。
以降はリバプールの保持と軸として試合は展開。ブレントフォードはきっちりと低い位置で組むことで中央にもサイドにも枚数をかけながらリバプールの攻撃を封鎖する。
スモールスペースの攻略を余儀なくされたリバプール。CFのエキティケの柔らかいポストから決定機を迎えたヴィルツというシーンは試合を振り出しに戻すチャンスだったが、このシュートは枠外。ようやく辿り着いた機会をものにすることができない。
逆に30分前後からはブレントフォードが力を握る。チアゴという囮を活用したシャーデのロングボールの引き出し方など、前進は多様化。押し込んだところからダムズゴー起点の崩しやミドルなどから敵陣に迫っていく。リバプールの守備はやや場当たり的で後手に回るシーンが目立つ。
押し込む機会が多くなったリバプールとカウンターのシャープさで勝負するブレントフォード。前半のうちにスコアに繋がったのはブレントフォード。ダムズゴーのタメから抜け出したシャーデが完全にコナテを置いていき、ママルダシュヴィリとの1on1を制した。
しかし、リバプールはHT前に一点差に。右サイドをあっさりと破ると、エキティケを隠れ蓑としてボックス内に飛び込んだケルケズが丁寧にボックス内に押し込みHT直前ラストプレーで点差を縮めた。
後半、リバプールは選手交代に踏み切らない選択。3トップがナローに絞り、大外をSBにまかせる形でボックス内に人を手厚く用意する。だが、リバプールは自陣でのファン・ダイクの軽率なPK献上でリードを広げられることに。2点を負う状況に逆戻りしてしまう。
3枚の交代で押し込むフェーズに入るリバプール。押し込むところまではいくのだが、その先がアバウトなクロスなど成功率が低いプレーに終始してしまっている感があり、なかなかゴールに近づく動きが出てこない。
89分にサラーが1点を掴んだのはハイプレスから。ここから畳み掛けていきたいところだったが、むしろそこから近かったのはブレントフォードの4点目。追加の追加、100分に近づいてから再び人数をかけて勝負をしていくが、なかなか仕留めきれない。
試合はそのまま終了。前半のように追加タイムにネットを揺らすことは許さなかったブレントフォードが逃げ切りを決めた。
ひとこと
ガップリ組んでブレントフォードの方が上だったかなという試合だった。
試合結果
2025.10.25
プレミアリーグ 第9節
ブレントフォード 3-2 リバプール
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:5′ ワッタラ, 45′ シャーデ, 60′(PK) チアゴ
LIV:45+5′ ケルケズ, 89′ サラー
主審:サイモン・フーパー→ティム・ロビンソン
第10節 アストンビラ戦(H)

リスクはリスク
第5節の時点では全勝のリバプールと未勝利のアストンビラという構図だったが、そこから前者は4連敗、後者は4連勝。第10節での対戦では同じ勝ち点で並ぶという驚きの展開で迎える対決となった。
勢いよくハイプレスに出ていくアストンビラに対して、リバプールはゆったりとしたポゼッションでスタート。右に流れるショボスライがサラーとブラッドリーというデュオを支えに行く形からフォローしていく。逆に左のガクポは孤立気味にボールを受けることが多かった。ただ、ロングキックの精度が怪しかった分、少し幅を使う攻撃の精度は怪しいところがあった。
むしろ、インサイドに入っていくガクポ、ショボスライへの縦パスの方が有力。大外への長いボールではなく、インサイドに差し込んでいく形の方がベターな感じはした。
アストンビラは保持においても彼ららしさをキープ。GKにギリギリまで寄せられても構わずに繋ぐというスタンスを維持し、リバプールのハイプレスと渡り合う。実際に引き寄せた分、ロジャースが浮くシーンなどもあり、リスクをとった際のリターンは示せていたように思う。
しかし、やはりリスクはリスク。23分のプレゼントパスはリバプールの温情によりお目溢しをいただいたが、2回目は同じような温情をかけてもらえず。サラーのゴールで先制点を奪い取る。ややアタッキングサードの淡白さが目立っていた展開だっただけに、リバプールは前半終了間際に美味しいゴールを手にすることとなった。
後半もリバプールはポゼッションからテンポを整えていく。アストンビラの縦に急いでいきたい攻撃に対して、保持からリズムを制御していく格好だ。
リバプールは主導権を握りながら順当に追加点。久しぶりのインサイドの好連携。1つ前の列に入り込んだフラフェンベルフが追加点を奪い取ることに。
この後半のゴールで試合は決着。残りの時間は追い縋るビラを振り切り、リーグ戦では連敗を4で止める勝利を挙げた。
ひとこと
ビラ、らしさを体現するためとはいえやや勿体無い感じが先行する。
試合結果
2025.11.1
プレミアリーグ 第10節
リバプール 2-0 アストンビラ
アンフィールド
【得点者】
LIV:45+1′ サラー, 58′ フラフェンベルフ
主審:スチュアート・アットウェル
第11節 マンチェスター・シティ戦(A)

ライバルを蹴落として首位追走
アーセナルを追う格好となっている優勝候補の両チーム。首位が躓いた今節は絶対3ポイントを積み上げたいところ。代表ウィーク前の最後の試合としてふさわしい大一番だ。
序盤から保持でペースを握ったのはシティ。際立ったのは2列目がかなり自由を与えられたレーン移動。ドクを始めとして多くの2列目の選手がインサイドに絞る自由を与えられながら縦パスを受ける。
ただ、時間の経過とともにドクは左サイドに固定する割合を増やす方が手ごたえがあると思ったのだろう。対面のブラッドリー相手に優位を取れるドクは10分にPKを獲得。カバーに入ったコナテの処理が跳ね返り、再びドクに収まってしまい、ママルダシュヴィリがPKを献上する。
しかし、このPKをママルダシュヴィリは見事にストップ。ハーランドに先制点を許さない。
ここまではシャープさのないカウンターからの簡単なボールロストを繰り返してきたリバプール。ママルダシュヴィリのPKストップで流れを引き戻したいところだが、どうもギアが上がらず。プランがどうこう、布陣がどうこう以前にフィフティーの体の入れあいでほぼ完ぺきにシティに軍配が上がるというフィジカルコンディションではなかなか反撃もままならなかった。
唯一といえる通用する武器のセットプレーではファン・ダイクがネットを揺らすが、これはロバートソンがオフサイド。きわどい判定ではあるが、ゴールは認められなかった。
デュエルに敗れてズルズルと下がるが、最後のところでも踏ん張り切れないのがこの日のリバプール。ドクはどうやっても止められないし、リリースした際のインサイドのパスコースもとがめられず。ラインを上げ損ねた緩さを見逃さなかったニコ・ゴンサレスによって、シティは追加点を奪う。
後がなくなったリバプールは後半にプレスから猛チャージ。ボールを奪い取ったとっころから一気に裏抜けを進めて敵陣に入り込んでいく。サラーは裏抜けから決定機を迎えたが、ドンナルンマは落ち着いて対応するなど反撃のきっかけを与えない。
そして、何よりリバプールがペースを握り切れなかったのはシティの攻撃を止められなかったから。今日はこの人!という感じの一撃をドクが披露し、試合を完全に決める。
試合はこの3点目で完全にトーンダウン。終盤には押し込んだリバプールが左右のサイドからのクロスで惜しい場面を作り出すが、完全に焼け石に水という状態だった。
タレントが躍動して暴れまわったシティ。アーセナルの追って対決を制して2位浮上に成功した。
ひとこと
ちょっとリバプールには勝ち筋が見えなかった。
試合結果
2025.11.9
プレミアリーグ 第11節
マンチェスター・シティ 3-0 リバプール
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:29‘ ハーランド, 45+3‘ ゴンサレス, 63’ ドク
主審:クリス・カヴァナー
第12節 ノッティンガム・フォレスト戦(H)

2年連続で難攻不落を陥落させる
難攻不落のスタジアムとして知られているアンフィールド。しかし、昨年この舞台でフォレストは勝利を上げている。あれから監督人事を軸に大きな変化があったフォレストだが、相性の良さは生きているかは気になるところだろう。
序盤は相性の良さを全面に生かすような形でハイプレスに出るフォレスト。リバプールはこのハイプレスを掻い潜り、サイドからキャリー。ガクポは1枚剥がすことができていたし、サラーは縦突破からマイナスの折り返しで決定機。早々に押し込まれてボックス内の緊急対応に追われるフォレストだった。
特にサラーは今季の中では相当上位のパフォーマンス。突破までのキレと突破した後のリリース後のプレーの選択にはきれが見られた。
ボールを奪ってもローブロックのため反撃のきっかけを掴むことができないフォレスト。前進が上手くいかない状況の中でひたすら受ける展開が続く。しかし、そうした最中でジェズスが粘りからCKを獲得。このCKをムリージョが叩き込んで先制。コナテ、できればこのCKに続くボールはキープしたいところであった。
直後もコナテは淡白なプレーでジェズスにネットを揺らされてしまう。このプレー自体はハンドが取られて許されることとなったが、結局のところボックス内での対応のゆるさは彼らしくなかったのは心配である。
ゴール取り消しで2点目が入らなかったところで試合のテンポは沈静化。リバプールはサイドからの攻撃を再開するが、追いつくことはできず。試合はフォレストのリードでハーフタイムを迎える。
後半、フォレストはいきなり追加点。左サイドからのクロスを仕留めてさらにリードを広げる。得点の型としては前半にリバプールが取れなかったシーンにとてもよく似ている。そういう意味も含めてリバプールにとっては悔いが残る失点だったと言えるだろう。
一方的に押し込みつつサイド攻撃に徹しているリバプール。しかし、なかなか得点を掴むことができず、カウンターからサイドでボールを運ばれてしまう。スロットはファイアーフォーメーションに移行するが、グラフェンベルフが最終ラインにスライドした結果、中盤の構成力をカバーすることはできなかった。
そんなリバプールを尻目にフォレストは追加点。右サイドからハッチンソンが相手の守備を手玉に取ると、ギブス=ホワイトがゴール。これで完全に相手の心を折る。
アンフィールドはまたしてもフォレストを前に沈黙。監督が変わってもジンクスは変わらず、フォレストはアンフィールドでの連勝を果たした。
ひとこと
撤退守備の攻略は正直なんとかなるかなと思ったが、カウンターから失点を繰り返す形は想定外と言えるだろう。
試合結果
2025.11.22
プレミアリーグ 第12節
リバプール 0-3 ノッティンガム・フォレスト
アンフィールド
【得点者】
NFO:33′ ムリージョ, 46′ サヴォーナ, 78′ ギブス=ホワイト
主審:アンディ・マドレー
第13節 ウェストハム戦(A)

ついに目覚めの時が
ついにスロット監督に解任を見据えた話が出るようになったリバプール。ここから数試合はより結果にシビアな状況が続くことになる。
ヌーノに監督が代わって軌道に乗ってきたウェストハムはこの試合では好調の3センターにマガッサを加えるという守備的な形からスタート。4-2-3-1で縦関係をキープしながら、リバプールにボールを持たせるスタートとなる。
重心が低めのウェストハムは中盤でパケタが時間を作れるかが鍵。右サイドの攻め上がりを促す時間を作れるか次第で攻撃に出ていくことができるかが決まるといった風情だった。
押し込むことには成功しているリバプール。だが、ウェストハムは押し込まれながらもボックス内ではきっちりとした跳ね返しに成功。なかなか簡単にチャンスを渡さない。
ファストブレイクのような相手の中盤のスペースが空いた状況であればオープンな環境自体はできているのだが、ヴィルツやイサクといったボックス付近に陣取る選手たちのフィニッシュのタッチはなかなか戻ってこないまま。GKを脅かすような形を作ることができない。
試合はスコアレスのままハーフタイムに。決定機を作り合うというよりは重さが目立つ展開という時点で試合はややウェストハムの思うように進んだと言える前半だったかもしれない。
後半もポゼッションはリバプール。しかしながら、なかなか決め手となる一手が出てこない状況は前半と同じ。しばらくすると逆にウェストハムにボールを持たれてしまうなど、雲行きが怪しくなっていく。
その状況を打開したのはイサク。相手の陣形が下がる中で動かないことによってフリーを手繰り寄せて狭いところをコントロールショット。悪い流れのチームと彼自身に取っては待望のゴールとなった。
ウェストハムは失点以降もギアが上がらず淡々と試合を続けてリバプールを苦しめることができず。挙げ句の果てにはパケタが執拗な抗議で不可解な退場をすることで勝手に数的不利を持ってきてしまう。
リバプールは退場直後はややお付き合いムードだったが、ガクポの後半ATの一撃で試合は完全決着。ようやく目覚めたエースの一撃で勝ち点3を積み上げた。
ひとこと
イサク、浮上のきっかけになればいいが。
試合結果
2025.11.30
プレミアリーグ 第13節
ウェストハム 0-2 リバプール
ロンドン・スタジアム
【得点者】
LIV:60′ イサク, 90+2′ ガクポ
主審:ダレン・イングランド
第14節 サンダーランド戦(H)

締まらないカウンター対応で連勝を逃す
前節はウェストハムに勝利し、一時的には雑音を鎮静化することができたリバプール。休む間もなくやってくる次のリーグ戦はサンダーランド。アンフィールドとはいえ楽には勝たせてくれないチームとの一戦だ。
強豪相手にはお馴染みの5-4-1を組んできたサンダーランド。それでもベタ引きではなく、ジリっと前から追っていくスタンスを見せるサンダーランド。リバプールは中盤の配置交換から打開策を探っていく。
試合はリバプールの一極保持というよりはサンダーランドと組み合うような展開。リバプールのプレスラインは低く、ミドルブロックに構えたところに、サンダーランドがいつも通りの左右に揺さぶるポゼッションからボールを動かしていくスタートとなった。サンダーランドはサイドにボールをつけつつ、枚数をかけたアタックから壊しにいく。
どちらも前半は保持側が苦しむ形だった。サンダーランドは前線に残したブロビーがなかなかポイントになりきれず、シャープな攻撃を挟めないのが誤算。多少時間がかかったとしても前線にバラードを置くなど身長のあるバックラインの選手を押し上げる形の方が有望だった。
リバプールも中盤のパスミスから奥に入っていけない時間が続く。一時的にはカットからリズムを生み出すことができる時間もあったが、前半の終盤には再び萎んでしまった印象。サイドからサンダーランドに押し下げる時間をまたも作られてしまい、ジリジリとラインを押し下げられる形で前半の幕を引く。
試合はスコアレスのままハーフタイムに。なかなかチャンスの少ない展開だった。
後半、リバプールはサラーが登場。右サイドから軸にポゼッションを強めながら押し込む形を作っていく。サンダーランドは左サイドからのシャープなカウンターにシフト。リバプールはややバックラインからのフィードが不安定なこともあり、カウンターの攻撃をカットされたところにも即時奪回に深追いすることでチャンスを作っていく。
長いボールへの雑な対応はリバプールにとってはついに致命傷に。ファン・ダイクの意図の見えない縦パスから波状攻撃を仕掛けたサンダーランドはこのボールをタルビの素晴らしいゴールに繋げる。
失点以降はゆったりとポゼッションをしていく流れに。右サイドからは途中交代で入ったカーティスが活性化する材料となり、細かいスペースの攻略に挑んでいく。
するとその右サイドから状況を切り拓いたのはヴィルツ。リプレイを見ると跳ね返りに大いに助けられたことは否めないが、試合を動かす一振りを見せたのは事実。大きな仕事で試合をフラットに戻す。
以降も押し込むリバプールだが、勝ち切るまではいかず。試合はドロー決着となり、リバプールの連勝はならなかった。
ひとこと
後ろの締まらなさがもったいなかったリバプール。自分たち次第で無失点で進められる内容だったように思える。
試合結果
2025.12.3
プレミアリーグ 第14節
リバプール 1-1 サンダーランド
アンフィールド
【得点者】
LIV:81′ ムキエレ(OG)
SUN:67′ タルビ
主審:スチュアート・アットウェル
第15節 リーズ戦(A)

またしても大仕事を果たした田中碧
アンフィールドでの連勝を逃してしまったリバプール。試練が続く今節の舞台はエランド・ロード。昇格組との一戦とはいえ、熱狂が渦巻くホームサポーターが作り出す雰囲気は今のナイーブなリバプールにとっては大きな不安要素と言えるだろう。
序盤はロングカウンターの応酬。リーズはGKまでプレスを引き込むところから一気に長いレンジのパスを入れることで前進。セカンド回収から左右に展開すると、そこからのクロスでチャンスを作っていく。
一方のリバプールも縦に速い攻撃からスタート。シャープなロングカウンターでアグレッシブなリーズのプレスに対応していく。
10分が過ぎると少しずつリバプールがポゼッションに移行。左サイドにケルケズやジョーンズといった選手が立つことでリーズの2トップの脇に起点を作っていく。この左サイドからの枚数をかけた攻撃で敵陣に。ローテーションの一角としてもフリーになった時の働きとしてもジョーンズのこの日の働きは上々のものだったと言えるだろう。押し込んでのセットプレーからのファン・ダイクはリーズにとって脅威だった。
ただ、あらゆる局面を見てみればリーズはきっちりとリバプールと組み合うことができたと言えるだろう。前に当てるところからデュエル勝負に持ち込むことができれば、中盤では当たり負けをしないし、何よりワンプレーごとにスタジアムが着火したように盛り上がる。剛の強さだけでなく、柔らかなアンパドゥの身のこなしなどポゼッションからも前進することができていた。
後半も展開はキープ。だが、組み合うリーズに痛恨のミス。ロドンのパスミスをさらったエキティケがゴールを仕留めてアウェイチームが先制する。さらに間髪入れない時間帯でエキティケがさらに追加点。リードを広げていく。
だが、ここからでも諦めないのがエランド・ロードのリーズ。ボックス内でキャルバート=ルーウィンが空中戦で粘りつつ、組み立てではアンパドゥが躍動。4バックにシフトして攻撃の枚数を増やしてさらに攻撃を増やしていくと、ニョントの突破がPKを呼び込むことに。
1点差となったリーズは立て続けにゴール。今度は背中背中を取るプレーの連続で最後はシュタハがゴールを決める。
追いつかれたリバプールだが、非常に冷静に追加点。抜け出したショボスライが強かにゴールを決めて再びリードを奪う。ゴールの決め方的にはもうこれで決まりか?と思われたが、勝ち逃げムードを台無しにしたのは田中碧。セットプレーからの2試合連続ゴールで後半ATにリーズが再び同点に追いつく。
ギリギリで勝利を逃したリバプール。試合後の大騒動を踏まえればこの試合で失ったものは2ポイント以上に大きかったかもしれない。
ひとこと
田中碧、大舞台になればなるほどバフがかかる仕組みなのは相変わらず。
試合結果
2025.12.6
プレミアリーグ 第15節
リーズ 3-3 リバプール
エランド・ロード
【得点者】
LEE:73′(PK) キャルバート=ルーウィン, 75′ シュタッハ, 90+6′ 田中碧
LIV:48′ 50′ エキティケ, 80′ ショボスライ
主審:アンソニー・テイラー
