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「Catch up Premier League」~マンチェスター・シティ編~ 2025-26 season

マンチェスター・シティ、25-26シーズンの歩み。

目次

第1節 ウォルバーハンプトン戦(A)

モリニューで派手に暴れたシティの新戦力

 夏場もアメリカで忙しく働いたマンチェスター・シティ。選手たちにとってはあっという間の開幕のように感じられるかもしれないインターバルの短さかもしれない。

 モリニューでの開幕戦はまずはシティがボールを持つスタート。ルイスがインサイドに入り、中盤を前に押し上げる形から前に人をかけていく。

 押し下げていくとそのままハイプレスに流れるように移行するシティ。ウルブスは左サイドの背後を取るベルガルドからハイプレスを裏返す形でファストブレイクを狙っていく。CFのラーセンのポストがしっかりしている分、ポジトラには安定感があった。

 一方のシティは右サイドからファー寄りのクロスを狙う形で押し下げたところから勝負をかけていく。だが、クロスは流れるばかりでなかなかピンポイントで味方には合わなかった。

 前線と中盤の5枚でコンパクトな陣形をキープしつつ守っていたウルブス。しかし、シティは見事に打開策に到達。ラインダースのマークが遅れたところからずるずると押し下げることに成功すると、最後はハーランドが先制ゴールをゲット。

 さらにその4分後には自らが決めて追加点。後方からのスルーパスをコントロールしつつ、相手のGKの位置を把握したコントロールショットという認知と技術の合わせ技のようなゴールでさらに相手を突き放していく。

 ウルブスも右サイドの裏を狙うトランジッションからチャンスを作りにいくが、シティの方が一枚上手。抜群のラインコントロールできっちりオフサイドを取って攻撃を寸断する。

 後半の立ち上がりはウルブスが攻勢に。ドハーティが高い位置を取り、フーフェルを押し上げる形で前に出してラインブレイク。ラーセンが決定機を迎えるが、シュートは枠の外だった。

 幅を使いながらのポゼッションでボールを動かしていく分、押し下げに成功したウルブスだったが前に人数をかけたところからカウンターでシティは追加点。またしてもラインダースのキャリーから右サイドを突破し、たっぷりスペースをもらったハーランドのパワーショットで3点目を奪い取る。このシュートで試合は決着。

 さらにはチェルキがプレミアデビューで初ゴールとなる4点目を決める。新加入選手が派手に暴れたシティが開幕戦で大勝を飾った。

ひとこと

 ラインダースのキャリー、めっちゃいいねぇ。

試合結果

2025.8.16
プレミアリーグ 第1節
ウォルバーハンプトン 0-4 マンチェスター・シティ
モリニュー・スタジアム
【得点者】
Man City:33′ 61′ ハーランド, 37′ ラインダース, 81′ チェルキ
主審:ジャレット・ジレット

第2節 トッテナム戦(H)

監督が代わっても天敵は健在

 今季のエティハドの開幕戦はトッテナム。伝統的に相性が悪い宿敵との一戦からシティは本拠地でのシーズンの幕を上げることとなる。

 まず、互いのポゼッションのスタンスを図るところから。ストーンズが右の大外に開くシティはルイスを自由化。右サイドは枚数をかけたポゼッションから抜け出す選手を作っていく。左サイドは逆にシンプル。マルムシュのスピードを例えばハーランドの落としのような他の武器を組み合わせて生かす形である。

 裏を狙うマルムシュの存在は脅威。やや偶発的に抜け出す場面からもチャンスメイクができる怖さがある。ヴィカーリオのファインセーブでなんとかトッテナムが凌ぐ場面もあった。

 一方のトッテナムもGKを絡めながら後方で枚数をかけての前進。GKがポゼッションに参加してなおパリーニャがサリーしてボールを動かしていく。降りる選手でフリーマンを作ると、前線はハイラインを破るような裏抜けを使う。一辺倒ではなくリシャルリソンのポストを織り交ぜていたのは個人的にポイントのように思う。

 時間の経過とともにハイプレスを敢行する非保持側のスタンスが目立つ展開に。CFのプレスから片側に誘導しつつ、ボールを奪い取りにいくというところを両チームとも勇気を持って行うように。どちらかといえば手応えが良かったのはシティの方で、プレスから後方のボール奪取から素早く速攻に移行することができた。

 しかし、トッテナムはこのハイプレスを掻い潜り先制。ギリギリの駆け引きを制して抜け出したリシャルリソンによって裏を取ると、ジョンソンにゴールをお膳立て。わずかなギャップをついてスコアを動かす。

 このプレスでトッテナムは主導権を掌握。シティに自陣からの脱出を許さない。おそらくはチェルキにベルナルド役を託したのだと思うが、ややプレス回避のフリーマンとしては存在感が足りなかったように思う。

 すると、ハイプレスからトッテナムは追加点。やや怪しいシーンがちらついていたトラフォードがついにパスミスを引き起こしてしまうことに。これでトッテナムは2点のリードでハーフタイムを迎えることとなった。

 後半、リードをしているトッテナムはさらにハイプレスに出ていく。シティはまずはハイプレスの撃退を優先。後方に枚数をかけて、まずは相手のハイプレスを退かせることに専念する。

 押し込むシティは右サイドからの攻撃にフォーカス。だが、トッテナムはサイドにスライドしながら対応し、シティに自由を許さず。特にチェルキに低い位置まで追い回すこともあったスペンスの守備は目を見張るものがあった。

 シティはハイプレスからチャンスを作ることもあったが、トッテナムは右サイドのクドゥスを軸に陣地回復。前半ほどシャープではないものの、ボックス内へボールを運ぶところまでは安定してできていた。

 ベルナルド、ロドリ、ドクといった面々の入れ替えで前進の安定化と敵陣でのサイドの崩しを狙っていくシティ。だが、最後までトッテナムのブロックを崩すことはできず。

 フランクに代わっても天敵度合いは変わらず。トッテナムがシティを撃破し、開幕2連勝+2試合連続のクリーンシートを達成した。

ひとこと

 トッテナム、ハイプレスへのコミット具合が昨季とは別次元。

試合結果

2025.8.23
プレミアリーグ 第2節
マンチェスター・シティ 0-2 トッテナム
エティハド・スタジアム
【得点者】
TOT:35′ ジョンソン, 45+2′ パリーニャ
主審:ピーター・バンクス

第3節 ブライトン戦(A)

大物食いで今季初勝利達成

 ここまで2試合でリーグ戦勝ちなし。ブライトンはなかなかリズムに乗れていない序盤戦となっている。ホームに迎えるシティを叩けなければ中断期間を未勝利で迎えることとなる。

 積極的にハイプレスで出ていくスタートとなったブライトン。シティはそれを図ったかのようなプランで反撃。前節よりもさらに早くマルムシュとハーランドのロングボールでハイラインをつく形を使っていく。ブライトンのDFラインのアジリティであれば、ダイレクトにガンガン狙っていっていいという判断なのだろう。

 押し上げる機会がない分、ブライトンに対してのプレスが重めのシティ。しかし、ブライトンはこの機会を活かすことができず、自陣での軽いパスミスでリズムを作れず。むしろ、ブライトンがリズムを作ったのはハイプレスの方で。2列目の献身的な守備から一気に加速していく。ボールの預けどころとしてウェルベックの機能性の高さは際立っていたし、三笘は前節と同じくカウンターからチャンスを迎えていた。

 シティは徐々に保持からリズムを産んでいく。中央に立つベルナルドをブライトンが捕まえきれず。徐々にサイドへの展開がスムーズになっていく。ブライトンはなかなか脱出ができない状態となる。

 すると、シティは先制点をゲット。マルムシュとハーランドのゴリ押しから中央をかち割るという強引さの塊のようなプレーから試合を動かす。ハーランドにとってはすでに2回あったチャンスを外していたため、待望のゴールとなった。

 ブライトンはボールを奪う機会はあるが、そこからのクオリティがついてこず。ここは主にミンテの課題だろう。失点シーンでもミンテのリリースが遅れたところのカウンター返しがきっかけ。リードを許す形で後半を迎える責任の一端を負うこととなってしまった。

 後半も前半の途中からのシティ優位の流れを引きずってのスタート。インサイドに絞るマルムシュ、ボブがラインデルス、ベルナルドを解放する形でポゼッションをキープ。ブライトンのプレスを鎮圧しながら前進。

 ブライトンも前半と流れは同じ。WGのプレーがやや速い攻撃のリズムに乗り切れず、なかなか効果的な前進ができない展開となる。

 流れが変わったのは60分。4枚交代で中央の高い位置の選手たちを総入れ替えする。三笘→ミンテでようやく効果的なカウンターを打てるようになると、徐々に前進の推進力が復活。敵陣に侵攻していく。

 その流れからブライトンは同点に。ヌネスの軽率なハンドからPKを献上すると、このPKをミルナーが仕留めて追いつく。

 シティはこの失点で保持では追いつくようになり、またもプレスを回避していくように。それでもカウンターでのミンテやラターをフサノフ、アイト=ヌーリというシティの左サイドユニットで迎え撃つのはリスク。カウンターから引き続きブライトンが流れを掴んだと言っていい展開となった。

 トラフォードの好セーブでなんとか粘りを見せていたシティだが、ブライトンはカウンターの嵐からついに勝ち越し。なかなかやり切るプレーを見せることができなかったグルダが相手を手玉に取り見事な追加点を決める。

 交代選手でギアアップができないシティに対して、ブライトンは前線が時間を作りながら逃げ切り。大物食いに成功し、今季初勝利を手にした。

ひとこと

 4枚交代で盛り上がった空気をハンドでのPKが確実なものにしてしまった感があった。

試合結果

2025.8.31
プレミアリーグ 第3節
ブライトン 2-1 マンチェスター・シティ
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:67′(PK) ミルナー, 89′ グルダ
Man City:34′ ハーランド
主審:ダレン・イングランド

第4節 マンチェスター・ユナイテッド戦(H)

全く異なる悩みの深さ

 3試合を終えて両チームはいまだにここまで1勝。なかなか波に乗れない両雄にとってはチーム状況を上向かせる絶好のチャンスでもある。

 そんな状況であることをよく理解しているかのように高い位置からプレスをかける両チーム。互いにGKを絡めてのビルドアップはバタバタとしており両軍にとってはプレスをかける意義は感じられるスタートだった。

 そうした中で異彩を放っていたのはドク。左サイドの低い位置に降りてハイプレスようの逃げどころとなるロングボールのターゲットとして機能を果たそうとしていた。

 そのドクは右のハーフスペースの突撃で先制点に絡む。神出鬼没な場所での登場に加えて、突破と粘りから勝負を仕掛けてフォーデンのゴールをアシストする。

 仮説の域を出ないところではあるが、シティはやや右のハーフスペースでショウとのマッチアップを狙い撃ちにしていた節がある。ハーランドの反転なども含めて、マッチアップとしてここを狙っていく姿勢はそれなりに見られたといいっていいだろう。

 ユナイテッドはハイライン破りから反撃に行けるルート自体は見えていたように思う。ムベウモの背後を取るアクションやシェシュコのポストなどはそのルートを作り出すきっかけにはなっていた。ただ、ユナイテッドのカウンターは最短ルートで突き抜けようとする分、単調だったことでシティにはやや対応しやすさも生まれていたように見えた。

 それでも前半の終盤の押し込むことができた時間帯はユナイテッドが優位。だが、この時間に追いつくことができず、試合はシティのリードでハーフタイムを迎える。

 後半は前半の頭の焼き直し。ハイプレスの応酬から主導権を争う流れに。そうした中でまたしても局面を切り開いたのはドク。半身で背負いながら受けた状態からハーランドにラストパス。ヨロがなぜあのコースを開けてしまう守り方を選択したのかはよくわからなかったが、いずれにしてもドクは1点目に続いて状況がよく見えていたなと感じる場面だった。

 これで完全に試合はシティのラインブレイクゲームに突入。保持において前に人数をかけるユナイテッドに対して、ハーランドを中心にシティは延々と裏に独走する形を狙っていく。3点目をとって、その後にラインダースが決定機を外して以降はやや展開が落ち着いたが、ユナイテッドは反撃のきっかけを掴むことはできないまま終了。3点差をキープしたシティが連敗を2で止めた。

ひとこと

 どちらのチームもこの試合前まではそれぞれの悩みがあったと思うけども、悩みの深さが全然違うことがよくわかる試合だった。

試合結果

2025.9.14
プレミアリーグ 第4節
マンチェスター・シティ 3-0 マンチェスター・ユナイテッド
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:18′ フォーデン, 53′ 68′ ハーランド
主審:アンソニー・テイラー

第5節 アーセナル戦(A)

またしても輝いた終盤のマルティネッリ

 レビューはこちら。

 リバプールを追う両チームにとってはここは落とせない一番。首位を追走するチームとして勢いに乗り、連勝を続ける彼らについていきたいところだろう。

 序盤はシティがハイプレスでスタート。アーセナルがこのプレスを回避するところから始める。後ろに重めのポセッションをするところからシティの中盤を誘引し、縦にパスを差し込むことで一気に前進を図る。

 相手の背後を突く動きは悪くなかったアーセナルだが、一つのミスから失点。密集で囲まれたハーランドがボールを逃すことに成功すると、ラインダースからカウンターを発動。数的優位の状況を最大限に活かし、カウンターでハーランドが先制ゴールを生み出した。

 シティはこのゴールをきっかけに試合のリズムを掴むように。前に出ていってメリーノを潰したり、あるいは背後に走り抜けるトロサールへのパスをカットしたりなど、メリハリのある対応でアーセナルの保持に対抗していく。

 結局、CBは放置しラインを下げながら左サイドに流れるハーランドからのカウンターを主体としたロングカウンターで勝負することとしたシティ。ライン間にボールを入れることが難しくなったアーセナルは少しずつアバウトなロングボールが増える。右サイドのマドゥエケはそうした状況下でも踏ん張っていたが、CKも含めてクロスへの対応はドンナルンマが抜群。アーセナルの副産物と言えるセットプレーを封殺し続けてリードを守った。

 後半、アーセナルは選手交代でリズム変更。ライン間に入る選手をエゼ、スビメンディ(これに伴いライスが後方移動)などに変更することで、縦パスのレシーブから左右に揺さぶることでチャンスを作っていく。右サイドのサカもマドゥエケよりも選択肢豊富な攻撃を見せていく。

 押し込まれる局面が増えてきたシティだが、ハーランドとドク、ラインダースの速攻からチャンスは構築。特にドクはここ数試合の好調を維持し、反転しながら高い位置に出ていくことも少なくなかった。

 前にプレスにいく頻度を減らしたシティは徐々に後方を手厚く5バックにシフト。DFでエリア内を埋めて1点差を守りに行く。ハーランド、ドクも最終盤にはいなかったので文字通りの虎の子の1点である。

 相手に合わせて高い位置の選手を増やしていたアーセナルだが、なかなかパワープレーは機能せず。焦りが募る中で冷静だったのはエゼ。無意味に高い位置をとってしまっていたシティのバックラインのギャップをついたマルティネッリに素晴らしいロブパス。ドンナルンマの飛び出しをよく見ていたマルティネッリがループで押し込んで土壇場で同点に追いつく。

 最悪の事態は免れたアーセナル。CLにつづきまたしても交代のマルティネッリが勝ち点に関与する重要なゴールをあげた。

ひとこと

 1失点目が少しもったいなかったアーセナル。数的不利を作られた時点でやや詰みだった。

試合結果

2025.9.21
プレミアリーグ
第5節
アーセナル 1-1 マンチェスター・シティ
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:90+2′ マルティネッリ
Man City:9′ ハーランド
主審:スチュアート・アットウェル

第6節 バーンリー戦(H)

引いて受け続ける相手には問題なし

 要所でなかなか勝ちきれずに順位を上げられないシティ。ホームできっちりと昇格組のバーンリーを叩き、上位に顔を覗かせたいところだ。

 バーンリーはここ数試合と同じくきっちりと5-4-1でプロテクトしていく形。バックラインにプレスをかけずにシティの保持を許容していく形である。

 相手が突きつける脅威がない分、シティは伸び伸びと人数をかけての攻撃に打って出ることができていた。こうした撤退守備の攻撃において最近のシティを牽引しているのがドク。カットインからの侵入でオウンゴールを誘発。相手にあたって不規則に跳ねたボールに対するリアクションの早さはいかにもドクらしい長所である。

 失点しても試合の展開はなかなか変わらず。シティのポゼッションに対してプレスのポイントを見つけることができずにゆったりとボールを持つことを許す。

 そんなシティにおける隙はプレッシング。前から捕まえにいく強度に関してはやや控え気味。その分、バーンリーは左サイドから長いレンジのボールを入れることができるように。バーンリーの保持の局面において、シティがボールを奪回するのにやたら時間がかかったところがこの試合のバーンリーの突破口だった。

 バーンリーはその突破口から同点ゴールをゲット。カレンのトランジッションから左サイドに展開すると、ハートマンからのクロスをアンソニーが仕留めてワンチャンスを生かす。わずかな糸口をきっかけにバーンリーはハーフタイム前に試合を振り出しに戻した。

 後半、シティはボール保持から巻き直し。後半の軸足となるのは左サイド。大外に出ることが多かったオライリーからのクロスでシンプルにボックス内に放り込む形で勝負をしていく。

 バーンリーはカウンターにフォーカス。フォスターのキープ力を活かした長いレンジのボールから左サイドのアンソニー、ハートマンを生かしてボックス内に迫っていく。

 しかし、チャンスを活かしたのはやはり試行回数に勝るシティ。左サイドからの攻撃を仕上げたヌネスが見事なゴールでこじ開けに成功。試合を動かす。

 4分後にシティは更なるゴールでリードを広げる。左右に広げた攻撃にバーンリーは対応することができず、エステーヴがこの日2回目のオウンゴールを喫してしまう。

 一方的なポゼッションで試合を進めるシティはATに更なる2得点で終わってみれば5得点。2点目で入れた亀裂を利用し、大差でホームゲームを制した。

ひとこと

 昨季の悪い時期は引いて受け続ける相手に苦労した時もあったが、すでにその時期は脱したことを証明する大勝だった。

試合結果

2025.9.27
プレミアリーグ 第6節
マンチェスター・シティ 5-1 バーンリー
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:12′ 65′ エステーヴ(OG), 61′ ヌネス, 90′ 90+3′ ハーランド
BUR:38′ アンソニー
主審:ロベルト・ジョーンズ

第7節 ブレントフォード戦(A)

「責任」とは別の解決策

 前節はマンチェスター・ユナイテッドにダメ押しの一撃をお見舞いする完勝を果たしたブレントフォード。今節も相手はマンチェスター。今季初の連勝を目指すシティをホームに迎えての一戦だ。

 ブレントフォードはきっちりと後ろを固めるスタート。基本的には左右の揺さぶりに対して3CHがスライドし、WBは大外を埋める形に固定。5バックの陣形を維持することでシティのパスワークに対応していく。

 ボールを持つことを許容されたシティはまずはショートパスから前進。3CHの誘導を割けるような動きから少しずつ相手を押し下げていく。

 前節も5バックのバーンリーを押し込んで壊したシティ。しかし、前節のキーマンとなったドクは今節ベンチスタート。そうした中で誰かが責任を取るのか?というのが立ち上がりのシティのテーマであった。

 あらゆる選手がドリブルを敢行することで変化を付けるというシティの回答はそれなりに好感が持てるもの。強いて言えば率先してドリブルを行っていたラインダースが牽引する形になった攻撃だったが、ヌネスなど彼以外にもドライブから斜めに切り込んでいくドリブルで打開をしようという姿勢が見えた。

 しかし、得点は全く別の切り口から。グバルディオルからハーランドのロングボールでファン・デン・ベルフの位置に穴を空けることに成功したシティ。ややラインが高く浮いたブレントフォードを文字通りぶっ壊すことで先制点を手にした。

 先制を許したブレントフォードはロングボールベースにひっくり返す形にトライするも、再びのチアゴは不発。シティのプレスの強度がそうでもないところに乗っかり、ショートパスから左右を揺さぶっていく。

 だが、脱出口がなかなか見つからないと再び30分からはシティがポゼッションを強める。ロドリがいなくなってもニコ・ゴンサレスをアンカーに置いたシティは延々とサイドに配球しながらドライブが仕掛けやすい状況を整えていった。

 後半はハイテンポなスタート。ボブの仕掛けを咎めた直後にチアゴが抜け出しから決定機。だが、これはドンナルンマがストップ。さすがといえばさすがだが、駆け引きに惨敗しすぎな感もあった。

 ゆったりと押し込むシティだが後半は押しこむ割に得点の匂いがせず。ブレントフォードにも同じように保持の機会が与えられていたが、こちらも押し込んだ先にカヨーデのロングスロー以外の活路が見えないまま時間が過ぎていく。

 主力を入れてもなお得点のチャンスが増えなかったり、ドンナルンマが危ういミスキックをしたりなど、咎められそうな雰囲気もなくはなかったシティ。だが、危うい空気をクリーンシートでシャットアウトに成功。今季初の連勝を見事に手にした。

ひとこと

 押し込むところからの打開のされ方がもったいなかった感があるブレントフォード。重く受けるならば徹底的にやった方がよかったかもしれない。

試合結果

2025.10.5
プレミアリーグ 第7節
ブレントフォード 0-1 マンチェスター・シティ
オールド・トラフォード
【得点者】
Man City:9′ ハーランド
主審:ダレン・イングランド

第8節 エバートン戦(H)

左サイドがやり遂げたミッション

 徐々に攻守にクオリティが安定してきたように見えるシティ。少し足踏みをしているリバプールを今のうちに捉えるためにもここで3ポイントを稼いでおきたいところだろう。

 ボールを持つのはシティ。バックラインにボールを持たれることは許容する形の様子。まずは後ろが重めのポゼッションからシティは後方からサイドを迂回しつつ、ハーフスペースアタックとそこから生み出されたマイナススペースを狙うという非常にオーソドックスな入りであった。

 時間の経過とともに押し下げられたエバートン。高さを微妙に変えるパスの連続で徐々にシティのバイタルに圧力がかからなくなるように。ミドルから少しずつチャンスを作っていく。

 エバートンは反撃に出たいところだが、グリーリッシュの不在が響いているのが難しい。アルカラスが悪いというよりはいつもは絶大なグリーリッシュがいないなというニュアンスの方が強い。それでもシティはボールを無理には追いかけまわさかったので、それなりに保持の時間ができる。

 CFのベトは前進のポイントとしては機能するが、やはり課題はゴール前。序盤の10分過ぎの絶好の決定機は是非とも決めて欲しかったところでもある。

 苦しむエバートンだが、右サイドのエンジアイの馬力が冴え渡っていたのは印象的。左サイドに足りないキャリーの要素を含ませながら右サイドからチャンスを作っていく。ネガトラではこちらもアタッキングサードのキーマンになっていたドクを止める役割も。バチバチ火花が散るようないいマッチアップだった。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。

 迎えた後半。前半の終盤と同じく、互いにゆったりと敵陣を攻めていくスタート。前半と同じくドクとエンジアイのマッチアップの激しさが見られる展開だった。

 そうした中で違いを見せたのはシティのもう1人の左サイド。オライリーの巧みなランで完全にエバートンのDFラインをおいていくことに成功すると、折り返しをハーランドが仕留めてゴール。シティがリードを得る。

 このゴールで試合を完全に掌握したシティ。引き続き、左サイドから攻め続けると1点目と同じような左サイドの攻撃を完結することでハーランドが追加点をもたらす。

 やや崩しの局面では苦戦したシティだったが、最後は左サイドが違いを見せることに成功。エバートンのブロック攻略というミッションを見事にやり遂げた。

ひとこと

 仕方のないことだが、今のエバートンにグリーリッシュがいないというのはあまりに重たすぎるように思う。

試合結果

2025.10.18
プレミアリーグ 第8節
マンチェスター・シティ 2-0 エバートン
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:58′ 63′ ハーランド
主審:トニー・ハリントン

第9節 アストンビラ戦(A)

第10節 ボーンマス戦(H)

第11節 リバプール戦(H)

第12節 ニューカッスル戦(A)

第13節 リーズ戦(H)

第14節 フラム戦(A)

第15節 サンダーランド戦(H)

第16節 クリスタル・パレス戦(A)

第17節 ウェストハム戦(H)

第18節 ノッティンガム・フォレスト戦(A)

第19節 サンダーランド戦(A)

第20節 チェルシー戦(H)

第21節 ブライトン戦(H)

第22節 マンチェスター・ユナイテッド戦(A)

第23節 ウォルバーハンプトン戦(H)

第24節 トッテナム戦(A)

第25節 リバプール戦(A)

第26節 フラム戦(H)

第27節 ニューカッスル戦(H)

第28節 リーズ戦(A)

第29節 ノッティンガム・フォレスト戦(H)

第30節 ウェストハム戦(A)

第31節 クリスタル・パレス戦(H)

第32節 チェルシー戦(A)

第33節 アーセナル戦(H)

第34節 バーンリー戦(A)

第35節 エバートン戦(A)

第36節 ブレントフォード戦(H)

第37節 ボーンマス戦(A)

第38節 アストンビラ戦(H)

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