リバプール×ボーンマス

陸続きの遠藤と手応えある攻撃陣のリレー
2025年のプレミアリーグがついに始まる。オープニングマッチを飾るのはアンフィールド。王者の本拠地で多くの痛みを伴う哀悼を試合前に捧げるところから今季のプレミアリーグは幕を開けることとなった。
序盤からボールを持つのはリバプール。大まかな攻め筋はコミュニティシールドの流れと同じだろう。主に左サイドのポジションに変化をつけながらインサイドとアウトサイドのバランスをとって勝負を仕掛けていく。ケルケズのCB色はやや減らしていたかもしれない。サラーへの対角は少なめで、インサイドを覗くアクションの方に注力していく。
相対するボーンマスの守備で特徴的だったのはセンターラインの前へのプッシュアップ。スコットは1列前に出ていき、さらにはCBまでプレッシャーをかけにいくなど、タヴァニアとフラットかそれ以上に高いポジションを取ることが多かった。
スコットが前に出ていく分、広いスペースをカバーしなければいけないアダムスにとっては難しい舵取り。だが、CB陣との連携もありうまくカバーリングはできていた印象。クックの離脱+CB陣の刷新の中で前から強い守備という昨季までの持ち味を引き継げる姿勢を見せたことは新しいチャプターの船出としては上々というところか。
カウンターにおいてもボーンマスは左右のSH、もしくはCFのエヴァニウソンのサイドへの流れからチャンスメイク。リバプールの両サイドのSBに対してはアドバンテージを取ることができていた。
ただし、押し込み切られたところからでも怖さを見せることができるのがリバプール。馬力のあるロングカウンターはあわや決定機阻止の場面も作り出すなどCSに引き続き見応えは抜群。押し込まれているところからでも得点を狙えることは開幕戦でも示すことができたと言っていいだろう。
それぞれの攻め筋があった中で変化をつけて主導権を引き寄せたのはリバプール。ボーンマスのセンターラインの守備に対して、ヴィルツの降りるアクションをトリガーとしてエキティケの列落ち、マック=アリスターの列上げを組み合わせることでアダムスの負荷を増大していく。
先制点はこのセンターラインの駆け引きから。降りるエキティケがセネシを交わして抜け出すと、そのまま1on1を制してゴール。セネシが入れ替わられたところは本来であればディアキテがいて欲しかったが、前向きにプレスをかけるところを体現するのであれば後方が余らないのは仕方がないところだろう。
ハイプレスの回避も安定したリバプールは以降は安定して時計の針を進めていく。前半の終盤には恐ろしいカウンターから相手を脅かすなど追加点の気配も見せた。
後半の入りもリバプールは快調。ハイプレスを回避しつつアリソン→エキティケ→ヴィルツの流れでひっくり返しての決定機を迎えるなど、敵陣に迫る機会を作り続ける。
なんとかこの時間帯を凌ぎたいボーンマスだったが、リバプールは容赦なく追加点。左サイドでエキティケとスイッチしたガクポがカットインから見事なシュート。ポジションの入れ替わりでボールサイドに寄せつつ、スライドしてきたタヴァニアを交わす冷静さを見せて巧みにシュートコースを作ってみせた。
CSで早い時間帯でガス欠したことを踏まえ、ポゼッション色の増加+SBの早めの交代で手当てを図るリバプール。フリンポン→遠藤の交代やカードをもらっているケルケズを下げる手立ては明確な意図があったように思えたが、それがうまく反映されていたかは微妙なところ。特に右サイドはそのカラーが強く、遠藤に代わってもガンガンオーバーラップをかますなど、キャラクターの変化に伴うポジションバランスの修正がなされなかった印象。
ボーンマスの反撃はその遠藤が高い位置をとるリバプールの右サイドから。バックドアで背後をとったブルックスがセメンヨに繋ぎ切ってゴール。1点差に迫るゴールを手にする。高い位置をとった遠藤とともに気になったのは単一ルートをカットできないファン・ダイク。背走で難しい対応だったのは理解できるが、この辺りの雲行きの見えなさはCSのPK献上から不調を引きずっているように思える。
失点を受けてスロットは守備のユニットを再構築。ゴメスをサイドにおき、エンドウを中央にスライドさせる。だが、インサイドでも遠藤の登場はポジションバランスに反映されなかった印象。トップ下に移動したショボスライの降りるアクションに呼応して高い位置をとる遠藤はクローザーというよりも前半のリバプールの中盤と陸続きの仕事をしていたように見えた。
ボーンマスはまたしても遠藤のいないところから同点に。中盤でスピードに乗ったところからセメンヨがカウンターを完結。一気に試合を振り出しに戻す。
リバプールにとって救いだったのは終盤にもう一度ギアアップに成功したことだろう。サラーを軸とした攻撃が終盤は非常に輝いた。セットプレーからのリスタートでショボスライとのコンビネーションから88分のキエーザのゴールを演出すると、後半ATには自らが左サイドに流れて技ありのゴール。嫌なムードを一気に吹き飛ばした。
紆余曲折がありながらも最終的には本拠地で白星発進。ジョタへの祈りに勝利という最高の報告を添えることに成功した。
ひとこと
攻撃の出力維持はエキティケ+ヴィルツ→サラーのリレーである程度回答は見えた感。その一方で嫌な時間帯をどう安定させるかに関してはまだ模索中。後ろに枚数をかけて重くなりすぎたCSの反省を踏襲しているのだとしたら、普通の中盤仕事をしている遠藤も咎めにくいので難しいところでもある。
ボーンマスは新章の幕開けとしては上々。アグレッシブな前向きの守備と90分間出力を維持できるトランジッションを開幕戦で見せられた。あとは早めの成功体験でパフォーマンスが悪い方に引きずられないことだろう。
試合結果
2025.8.15
プレミアリーグ 第1節
リバプール 4-2 ボーンマス
アンフィールド
【得点者】
LIV:37′ エキティケ, 49′ ガクポ, 88′ キエーザ, 90+4′ サラー
BOU:64′ 76′ セメンヨ
主審:アンソニー・テイラー
アストンビラ×ニューカッスル

2回来た流れをモノにできず
開幕初めての土日。ビラ・パークでのランチタイムキックオフはニューカッスルとの一戦。ここ数年は交互にCLに出場している実力者同士のチームの対決だ。
ニューカッスルのパリ式キックオフで幕を開けたこの試合。トランジッション色が強い展開の中で先にペースを掴んだ感があったのはニューカッスル。トナーリ→エランガの裏抜けのパスなど、いきなり大きなチャンスを呼び込むパスで決定機を演出する。
縦に速い攻撃に関してはアストンビラはあまり手応えがなかった。後方に枚数をかけようとするスタンスはあるものの、SBのところに追い込まれて蹴らされて回収というメカニズムから脱出することができず。新GKのビゾットのフィード精度もイマイチ。パウ・トーレスがいない影響が大きいのかもしれないが、ワトキンスへの裏抜け一辺倒になってしまっていたこの日のアストンビラは少し昨季までとのキャラクターの違いを感じるものだった。
相手がプレスに来ないこともあり、試合は徐々にニューカッスルがポゼッションで支配。左サイドを中心に枚数をかけた崩しにトライしていくが、ビラもきっちりとSHを下げた守備で対応。リトリートが間に合いさえすれば、アストンビラは余裕を持って守れる感があった。ニューカッスルは中盤で相手を追い込んでのトランジッションによりゴールの可能性を感じた前半だったと言えるだろう。
ハーフタイムはスコアレス。優勢なのはニューカッスルだが、スコアに反映される形では前半に差はつかなかった。
前半の終盤にややポゼッションが回復基調だったアストンビラは後半も同じ流れを踏襲。4-5-1でミドルブロックを構えるニューカッスルに対してボール保持率を高めていく。
保持率を高めるだけでなく、インサイドに楔を入れてからの裏抜けなどより前半よりも手応えのある攻撃の仕上げを行っていたビラ。先制点に徐々に近づいていく。
だが、そんなビラに落とし穴。コンサがDOGSOで退場となってしまい、終盤の30分余りを10人で過ごすこととなる。
この退場により再び保持の主導権はニューカッスル。左サイド、主にゴードンからの仕掛けてゴールに向かっていくが、クロスやシュートのピントが合わず、なかなかアストンビラのゴールを脅かすことができない。
結局試合はそのまま終了。前半と後半の2回主導権を握ったニューカッスルだが、最後までアストンビラのゴールを破ることができなかった。
ひとこと
前半のアストンビラのキャラ変疑惑はちょっと気になるところではある。
試合結果
2025.8.16
プレミアリーグ 第1節
アストンビラ 0-0 ニューカッスル
ビラ・パーク
主審:クレイグ・ポーソン
ブライトン×フラム

窮地を乗り越え1ポイントを掠め取る
長年すっかり安定して中位をキープしている両チーム。今季も例年の順位をキープしつつ、さらなる飛躍を狙いたいところだろう。
今年も保持時には4-1-2-3に変化するフラム。ベルゲをアンカーとしてトップ下のキングがIHの一角に入る。一方のブライトンは左のSBのデ・クーパーのポジションどりが印象的。インサイドに入り込む場合もありつつ、トランジッション時には大外に立つことでファストブレイクを狙っていく。
その、デ・クーパーのオーバーラップからブライトンは早々にネットを揺らす。だが、折り返しのミンテのところでエンドを割っており判定はノーゴール。フラムは失点のピンチをなんとか回避したこととなった。
ハイプレスの応酬の中でどちらかといえば手応えを得たのはフラムの方。左サイドのイウォビをボールの預けどころとして攻撃を進めていく。推進力を見せているのは左のIHのキング。ハーフスペースアタックから背後を取るアクションを見せており、ここからボックス内に迫っていく。
サイド攻撃といえばブライトンの自信がある場所でもあるが、この日はやや不発気味。右の大外のミンテが止められてしまった感があった。フラムのこの日の左のSBに起用されているバッシーはブライトンのWG対策なのかどうかは気になるところだ。
30分が過ぎると少しずつブライトンは保持率をアップ。右サイドから左サイドへの対角パスからチャンスを作っていこうとする。押し下げたところからジリっと前からのプレスに出ていくなどトランジッションを仕掛けていく。フラムは背後に引っ張る形からロングボールを引き出していくヒメネスが攻撃を牽引していく。
スコアレスで迎えた後半、試合はロングボールの応酬でスタート。そうした中でも目立ったのは後半もキング。押し込んでいくフラムの攻撃を牽引する。
しかし、ブライトンは速攻に活路。三笘、ミンテ、ラターの3人を軸とするファストブレイクが牙をむく。直前のシーンでデ・クーパーとのコンビでゴールを脅かした三笘の助けを借りたラターの猛進でPKを奪取。このPKをオライリーが仕留めて先制する。
追いかけることになったフラムは深い位置からのビルドアップで引き続き前進を狙う。ブライトンは引き続きプレスに出ていったが、やや空転気味である。だが、攻撃を牽引していたキングの交代でフラムはややトーンダウン。ブライトンのファストブレイクが刺さる時間が続く。
いつ失点するかわからない時間帯を乗り越えたフラム。後半ATに再び主導権を握ると、セットプレーからムニス。クラッチシューターぶりを遺憾なく発揮した9番の活躍でブライトンが掴みかけていた勝利を取り上げることに成功。試合はドローとなった。
ひとこと
フラムのキング、結構面白いかも。
試合結果
2025.8.16
プレミアリーグ 第1節
ブライトン 1-1 フラム
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:55′(PK) オライリー
FUL:90+7′ ムニス
主審:サム・バロット
サンダーランド×ウェストハム

帰還は華やかに3得点で祝う
ついにスタジアム・オブ・ライトにプレミアリーグが帰ってきた。北部の名物クラブが久々のプレミアで開幕戦に迎えるのはウェストハムだ。
どちらかといえばボールを持つのが多かったのはウェストハム。噛み合わないフォーメーションの中で後方から数的優位を使いながらボールを動かしていく。
インサイドでは縦パスを受けるルートを探している感があった。パケタはライン間、ボーウェンはややサイドに流れつつ裏抜けを噛み合わせることで縦パスを出しにいく。だが、後方でボールを動かせない分、やや苦戦が目立った。
それでも徐々に後方での列移動を行うことでテンポを変えていく。アゲルトをSB位置に上げる4バック化だけなく、キルマンが中盤に上がるなど徐々に陣形を変えてサンダーランドの中盤を動かしながら縦パスのコースを探っていく。
一方のサンダーランドも保持に回ればゆったりと。隙あらばラインを上げていこうとするスタンスをウェストハムはサンダーランドほど見せなかったため、後方からボールを余裕を持って動かすことができた。
2トップの脇からの前進でサイドから進撃を狙っていく。ジャカを司令塔に枚数をかけて勝負をかけていく左と、ディアッラとマイェンダのコンビネーションから打開を図る右サイドでボックスに侵入していく。
どちらもゴールに向かうほどのクリティカルなボックス内への進撃は少なめ。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
迎えた後半。どちらのチームからもショートパスからのポゼッションでスタート。ポゼッションはサイドの取り合い。ウェストハムはサイドで深い位置を取りながらやり直しを繰り返し、サンダーランドはウェストハムの2トップ脇を起点に背後を取るアクションから一気に押し下げる。
拮抗した展開で先制ゴールを決めるのはサンダーランド。クロスからマイエンダがゴール。シンプルな対空性能の強さを生かしたヘディングでネットを揺らす。ウェストハムはクロス対応の甘さが出てしまった。
追加点もこの空中戦から。セットプレーの攻め残りのバラードに再びクロスが上がるとこれを押し込みリードをさらに広げる。
ウェストハムは以降はポゼッションで押し込んでいく。サンダーランドはジャカ、ディアッラが1つずつ後ろの列に押し下がるような後方の陣形の組み方で対応。自陣をきっちりと固めていく。
それでも次の点を決めたのは引いて受けたサンダーランド。後半追加タイムにイシドールのカウンターから前がかりなウェストハムにとどめをさす。
久しぶりのプレミア復帰戦を勝利で飾ったサンダーランド。残留という大目標に向けて幸先の良いスタートだった。
ひとこと
いい意味で普通に戦ってウェストハムを上回ったサンダーランドだった。
試合結果
2025.8.16
プレミアリーグ 第1節
サンダーランド 3-0 ウェストハム
スタジアム・オブ・ライト
【得点者】
SUN:61′ マイエンダ, 74′ バラード, 90+2′ イシドール
主審:ロベルト・ジョーンズ
トッテナム×バーンリー

昇格組に立ちはだかり新体制初勝利
トーマス・フランクのもと、CL参戦と国内リーグでの復権という2つのテーマに挑むトッテナム。開幕戦でホームに迎えるのは昇格組のバーンリー。3年ぶりの昇格組の残留に挑むシーズンとなる。
序盤からボールを持つのはトッテナム。5-4-1で構えるバーンリーに対して、サイドからチャンスメイクを敢行。左サイドという目新しいポジションでジョンソンが左足を懸命に使っている姿が印象的だった。
バーンリーは5-4-1からハンニバルがやや前向きのプレスを行うことで5-3-2にも見える守備体系。さらに流れの中で中盤を捕まえながら前に出ていく形でプレスラインを上げるアクションを見せていた。
このバーンリーの前向きのプレスへの意欲を逆手に取る形でトッテナムは先制点をゲット。間延びした状況を作り出すと、右サイドから奥行きを生み出したクドゥスがリシャルリソンのゴールをお膳立てする。
失点のきっかけになったとはいえ、ビハインドになってしまったことを踏まえるとバーンリーは前からのプレスは引き続き継続。トッテナムは中央のローテからリシャルリソンのポストでサイド勝負をかけていく。
この流れの作り方は悪くなかったトッテナムだが、少しずつバーンリーはハイプレスの距離感を掴めるように。リシャルリソンをはじめとして降りる選手たちへのアプローチが流れてからはトッテナムは前に起点を作れなかった。
ただ、バーンリーは奪い切った後の攻撃の完結のさせ方が課題。手数をかけ切らないまま無闇にシュートにいくなど、やや勿体無い感があった。抜け切るところが決まれば!というフォスターの裏抜けの方が手応えがある形だった。
リシャルリソンのポストを封じられて以降はやや元気がなかったトッテナムだが、再び40分前後からリシャルリソンのポストが復活。試合を落ち着いて進められるように。トッテナムはリードでハーフタイムを迎える。
後半の立ち上がりは再びトッテナムが支配的なスタート。人についていくことで穴を開ける傾向が強いバーンリーの守備に対して先手を打つ形で敵陣に迫っていく。バーンリーは再び前進の手段が見える迷子になってしまうように。
流れに乗ったトッテナムは順当に追加点をゲット。前半と同じく静的な状況から相手を剥がしたクドゥスによって、もらった深さを再びリシャルリソンが叩き込んだ。前半のゴールと異なったのはフィニッシュがアクロバティックなバイシクルだったこと。その分インサイドでの対応ではどうにもならなかった。
さらにはリシャルリソンのポストからラインブレイクに成功したジョンソンが3点目。このゴールで試合は完全決着。以降もバーンリーはチャンスを作るが、仕上げのクオリティは最後まで伴わず。昇格組の壁となったトッテナムが新監督の元、公式戦初勝利を挙げた。
ひとこと
割と良くも悪くもリシャルリソン次第な試合だった。
試合結果
2025.8.16
プレミアリーグ 第1節
トッテナム 3-0 バーンリー
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:10′ 60′ リシャルリソン, 65′ ジョンソン
主審:マイケル・オリバー
ウォルバーハンプトン×マンチェスター・シティ

モリニューで派手に暴れたシティの新戦力
夏場もアメリカで忙しく働いたマンチェスター・シティ。選手たちにとってはあっという間の開幕のように感じられるかもしれないインターバルの短さかもしれない。
モリニューでの開幕戦はまずはシティがボールを持つスタート。ルイスがインサイドに入り、中盤を前に押し上げる形から前に人をかけていく。
押し下げていくとそのままハイプレスに流れるように移行するシティ。ウルブスは左サイドの背後を取るベルガルドからハイプレスを裏返す形でファストブレイクを狙っていく。CFのラーセンのポストがしっかりしている分、ポジトラには安定感があった。
一方のシティは右サイドからファー寄りのクロスを狙う形で押し下げたところから勝負をかけていく。だが、クロスは流れるばかりでなかなかピンポイントで味方には合わなかった。
前線と中盤の5枚でコンパクトな陣形をキープしつつ守っていたウルブス。しかし、シティは見事に打開策に到達。ラインダースのマークが遅れたところからずるずると押し下げることに成功すると、最後はハーランドが先制ゴールをゲット。
さらにその4分後には自らが決めて追加点。後方からのスルーパスをコントロールしつつ、相手のGKの位置を把握したコントロールショットという認知と技術の合わせ技のようなゴールでさらに相手を突き放していく。
ウルブスも右サイドの裏を狙うトランジッションからチャンスを作りにいくが、シティの方が一枚上手。抜群のラインコントロールできっちりオフサイドを取って攻撃を寸断する。
後半の立ち上がりはウルブスが攻勢に。ドハーティが高い位置を取り、フーフェルを押し上げる形で前に出してラインブレイク。ラーセンが決定機を迎えるが、シュートは枠の外だった。
幅を使いながらのポゼッションでボールを動かしていく分、押し下げに成功したウルブスだったが前に人数をかけたところからカウンターでシティは追加点。またしてもラインダースのキャリーから右サイドを突破し、たっぷりスペースをもらったハーランドのパワーショットで3点目を奪い取る。このシュートで試合は決着。
さらにはチェルキがプレミアデビューで初ゴールとなる4点目を決める。新加入選手が派手に暴れたシティが開幕戦で大勝を飾った。
ひとこと
ラインダースのキャリー、めっちゃいいねぇ。
試合結果
2025.8.16
プレミアリーグ 第1節
ウォルバーハンプトン 0-4 マンチェスター・シティ
モリニュー・スタジアム
【得点者】
Man City:33′ 61′ ハーランド, 37′ ラインダース, 81′ チェルキ
主審:ジャレット・ジレット
チェルシー×クリスタル・パレス

交代選手で活性化もゴールには届かず
CWCでは優勝を果たしたチェルシー。新フォーマット初の大陸王者として臨む新シーズンの開幕戦はコミュニティシールドを幸先抑制することに成功したパレスを迎えての一戦だ。
序盤からボールを持つのはチェルシー。ククレジャがインサイドに絞る形で3-2-5に変形。パレスはバックラインにはプレスをかけず、中盤を消すことにフォーカスし、ミドルゾーンにブロックを組んでいく。
インサイドがなかなか空かないチェルシーはペドロへのロングボールやWGにボールをつけるところから揺さぶっていく。ジリジリと押し下げてからニアを狙ったCKでセットプレーからゴールを窺う姿が目立ったチェルシーだった。
一方のパレスはGKを絡めながらのポゼッションを敢行。チェルシーをハイプレスに誘い出す格好からロングボールを入れることで擬似カウンターのようなシーンを創出。収まるマテタをヘンダーソンが徹底的に狙っていく。
収まる前線を生かしたロングボールから押し返したパレスはエゼのFKでネットを揺らす。だが、これは壁のコースをこじ開けたグエイがファウルを取られてしまいノーゴールに。チェルシーは肝を冷やした格好だ。
それでも手応え良好なパレスは徐々に圧力を高めていく。時にはマテタからバックラインにプレスをかけるスイッチを入れてチェルシーのバックスにプレッシャー。裏に引っ張るランを挟み込むなどの工夫をしていたとはいえ、ロングボールの的としてはペドロはマテタほど存在感はなかったので、セカンド回収に持っていければパレスとしては十分に美味しい形となる。
カイセドのパートナーをククレジャから降りるシャドー、WGに変更したりなどインサイドのマークをずらすトライもしたチェルシーだが、インサイドにパスコースが開通した頻度は数える程。WGの突破力を活かすこともできず、ジリジリとした展開に巻き込まれながら前半はスコアレスで過ごすこととなった。
後半、再びチェルシーがボールを持つ展開でスタート。ロングボールのセカンド回収に出て行ったようにククレジャが前線に寄与する時間は前半以上に増えた。
押し込みながら時間を作るチェルシーに対して、トランジッションを軸にパレスは反撃。全体的に前半と同じ様相を呈する後半となった。
変化をつけたいチェルシーはエステバンを投入し、左右のWGからの攻撃を強化。左右のサイドからゴールに迫るクロスを入れていく。
だが、パレスはこの流れを鎮静化するとマテタのロングボールから陣地回復。オープンな成分が増えて互角な撃ち合いに。チェルシーもこの状況に乗じて流れにフィットしそうなデラップを投入することで対抗する。サイドに揺さぶりながら機動力のあるパレスDFと渡り合うなど、存在感は十分見せたと言えるだろう。
だが、終盤にチャンスを迎えたサントスが枠にシュートを飛ばせないなどチェルシーはゴールをこじ開けることはできず。試合はスコアレスで幕を閉じた。
ひとこと
パレスはちょっとチェルシーとの相性は悪かったかもしれないし、対戦するタイミングも悪かったかもしれない。
試合結果
2025.8.17
プレミアリーグ 第1節
チェルシー 0-0 クリスタル・パレス
スタンフォード・ブリッジ
主審:ダレン・イングランド
ノッティンガム・フォレスト×ブレントフォード

新章開始は厳しい船出に
プレミアに定着させた名伯楽のトーマス・フランクと別れたブレントフォード。新たな指揮官として招き入れたのはキース・アンドリュース。セットプレーコーチの引き上げという非常に前衛的な配置変換を行った。
序盤からロングボールが飛び交う一戦。第1節のどの試合よりもロングボール爆撃の応酬でスタートした試合となった。
爆撃がひと段落するとボールを持つのはフォレスト。やたらと低い位置に構えるブレントフォードに対して、サイドにボールをつけながら押し込んでいく。
押し込む流れで得たセットプレーからフォレストは先制。円熟のストライカーのウッドが今年も得点の安定供給を予感させる先制ゴールを生み出す。
先制して以降も一方的に押し込むフォレスト。戦力の入れ替えの影響もあって仕方ないところもあるかもしれないが、ブレントフォードは怪しさ満点。前線からプレスに行くポイントが定まらず、1人ずつが遠い位置から捕まえにいっては簡単にリリースされてしまう。連動の甘さ、相手との距離の遠さ等ズルズルと押し下げられる要素が満載であった。
フォレストの非保持にも苦戦していたブレントフォード。サイドにスライドしつつ、前から枚数を合わせるプレスを披露したフォレストに対して蹴り出してしまう場面も少なくなかった。前半の終盤にはピンポイントで押し下げられる時間帯もあったが、すぐにフォレストは保持を回復。またも押し込んでいく場面を増やしていく。
なす術のないブレントフォードにフォレストは容赦なく襲いかかる。追加点は左サイドから。ペナ角からのクロスにファーで待ち構えていたエンドイェが嬉しいゴールを決める。
極め付けはATの3点目。ブレントフォードのパスミスを中盤で奪取するとそのまま一気にトランジッション。ウッドが一発の抜け出しを落ち着いて沈めて勝負あり。前半のうちにフォレストが完全に試合を決めてしまう。
後半の頭からミランボに代えてシャーデを入れたブレントフォード。流れを変えたいところではあるが、後半もボールを持つのはフォレスト。サイドから安定した供給でゴールに迫る。左サイドのハドソン=オドイのクロスからチャンスを迎えるなど、後半もゴールに近づく。
一方のブレントフォードは前線へのボールが繋がらない。長いボールはフォレストに狙いを定められてしまっておりインターセプト。奪い返すフェーズの手応えのなさも前半のままだ。
セットプレーのハンドから1点を返したブレントフォードだが、反撃もここまで。ホームチームの軍門に降り、開幕戦を勝利で飾ることはできなかった。
ひとこと
トッテナム×バーンリーと同じくらい両チームの実力差があったカードだった。戻ってきたSB陣が光明になればいいが。
試合結果
2025.8.17
プレミアリーグ 第1節
ノッティンガム・フォレスト 3-1 ブレントフォード
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:6′ 45+3′ ウッド, 42′ エンドイェ
BRE:78′(PK) チアゴ
主審:ピーター・バンクス
マンチェスター・ユナイテッド×アーセナル

もう一押しが足りずアーセナルが勝ち逃げ
レビューはこちら。

開幕戦唯一のビッグ6同士の対戦はオールド・トラフォード。昨季は不振に喘いだユナイテッドが今年こそ雪辱に燃えるアーセナルを迎え撃つ一戦だ。
意外にもボールを持つのはユナイテッド。ロングボールの使い方の巧みさが目立ち、ライン間のマウント、抜け出すブルーノやドルグなど複数のターゲット+受ける位置の工夫でアーセナルのバックラインに後手を踏ませていく。ギョケレシュ一辺倒のアーセナルに比べるとルートの多さが目についた。
グラウンダーでのポゼッションでもユナイテッドは前進。アーセナルのハイプレスを自陣に引き寄せながらライン間のブルーノに縦パスを落とすなど、後方の移動と誘引からの長いレンジのパスを通すなど思うようにボールを前に進めていく。
しかし、アーセナルは敵陣に運んだところからのポジトラで押し込むとセットプレーから先制ゴール。カラフィオーリがヘディングで押し込みリードを奪う。
だが、この先制点がリズムの改善には至らず。ポゼッションでのパスはずれてしまい、カウンターではウーデゴールがリリースのタイミングを見失う。サカ、マルティネッリはカウンターで走るコースに迷いがあり、縦に速い攻撃を完結することができない。ファストブレイクもハイプレスもダメということでユナイテッドを押し返す手段はない状態。
ユナイテッドはアーセナルのミスを咎めて右の大外のムベウモにつけることで攻勢に。しかし、ゴールは奪えず前半はアーセナルリードで折り返す。
後半も流れは大きくは変わらず。アーセナルはややハイプレスをかけていくが、カウンターのシャープさはなかなか回復しないままだった。ユナイテッドの攻撃は前半よりは単調を増しており、アーセナルのバックスが対応しやすくなったという点では前半よりももっさりした展開だったと言えるだろう。
中盤が間延びしたタイミングでユナイテッドは選手交代を実施。右に入ったディアロは個人の殺傷性では申し分ないが、ムベウモとの連携はイマイチ。オフザボールでの連携やレーンの棲み分けができればアーセナル相手によりクリーンな決定機を迎えたはず。中盤の運動量担保として入ったウガルテも雑なミドル、ファウルなどでリズムを掴む助けにはならなかった。
結局試合はそのまま終了。終盤は再び押し込まれて苦しいアーセナルだったが、難所で勝ち点3を確保。難しい開幕戦を勝ち切った。
ひとこと
難所で勝ち点3。それが全て。
試合結果
2025.8.17
プレミアリーグ 第1節
マンチェスター・ユナイテッド 0-1 アーセナル
オールド・トラフォード
【得点者】
ARS:13′ カラフィオーリ
主審:サイモン・フーパー
リーズ×エバートン

3シーズンぶりのプレミア復帰を勝利で祝う
第1節のトリを飾るのはプレミアに帰還したエランド・ロード。モイーズ率いるエバートンを本拠地に招いてのプレミア復帰戦である。
序盤から積極策を見せるのはリーズ。人を追い回す中盤より前の守備はアグレッシブそのもの。列を超えて相手のバックラインをチェイスすることを許容されている田中を筆頭に強度満点の守備を行っていく。
エバートンはCBが開きながらのポゼッションで後方でフリーマンを作りにいくが、出口となるのは前線へのロングボール。ベトをターゲットとした空中戦で陣地回復を狙っていく。しかしながら、これは単発。セカンドボール回収も含めてリーズに対してあまり効果的な攻撃とはならなかった。
エバートンの非保持はかなり背後へ重心を傾ける形。降りるアクションに対して無頓着で、リーズのホルダーに対しては中盤の手前であれば自由にボールを持たせてOKという姿勢だ。
田中がややアンカー気味の位置にスライドすることで左サイドを押し上げるのがリーズのビルドアップ。ニョント、シュタハ、グドムンドソンの3人を軸にクロスを上げていく。
右サイドは逆にシンプルに2人での崩し。ジェームズ、ボーグルの2人で素早く攻め切る。逆サイドからのクロスに実直に飛び込んでいくジェームズを見ると、リーズの攻撃は左で作って右で仕上げる形がメインなのかもしれない。
しかしながら、エバートンは最後のところが固くなかなかこじ開けることができない。一方的にリーズがポゼッションを高めながらシュートを積み上げていくが試合を動かせず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半、リーズは前半と変わらないポゼッションからスタート。しかし、エバートンもハイプレスに出ていくことで前半と同じペースにはしない意識を見せる。
というわけで試合はテンポを上げてオープンに。リーズはプレッシャーがかかると割と簡単に蹴っていくことで試合のテンションが上がる格好に。互いに一気に中盤での奪い合いから勝負を仕掛けていく。
強度が落ち着くと交互のポゼッションによるターン制のバトルに。そうなると互いのブロックを崩すための決め手がなかなか出てこない。
膠着した試合において決め手になったのは再び強度。田中の二度追いがリーズのプレスを起動するとここから得た攻撃の機会でハンドによるPKを獲得。ターコウスキにとってはやや厳しい判定となったが、リーズはこのチャンスを仕留めて貴重な先制ゴールを決める。
長かった7分の追加タイムを凌ぎ切ったリーズ。3シーズンぶりのエランド・ロードのプレミア復帰戦を見事に白星で飾った。
ひとこと
リーズ、流石に後半はトーンダウン。前半でスコアを動かしたいチームのように見えた。
試合結果
2025.8.18
プレミアリーグ 第1節
リーズ 1-0 エバートン
エランド・ロード
【得点者】
LEE:84′(PK) ヌメチャ
主審:クリス・カヴァナー
今節のベストイレブン
