ウェストハム【19位】×チェルシー【11位】

守備の不具合を矮小化できるか?
ともに第1節は未勝利。フライデーナイトの一戦は今季の初勝利を狙うロンドン・ダービーとなる。
チェルシーは3-1型のビルドアップ。グスト以外の3人のDFが一番後ろに入り、アンカーのカイセドの相棒は流動的な形だ。ウェストハムは前線の3枚が1トップ+2シャドーのような形で守備に入る。ただし、CFのフュルクルクは守備の基準がカイセド。チェルシーのCBにプレスをかけるのはシャドーの役割だ。
カイセドの相棒を探りながら組み立てるチェルシーに対して、ウェストハムはおりていく選手を潰すことで攻撃に転じる。左サイドのパスカットからのファストブレイクでウェストハムは6分にパケタのゴールから先制する。
チェルシーは失点以降、低い位置でのプレーを志向するウェストハム相手に押し込んでいく。WG起点の大外からの攻撃でファーサイドへのクロスを狙う。
押し込む機会が増えたチェルシーはセットプレーから同点。ニアに入ったククレジャのフリックをジョアン・ペドロが押し込む。シンプルにニアとファーの2カ所で競り負けたウェストハムはボックス内のシンプルな対空性能の弱さという開幕戦の課題が再び露呈することとなった。
保持に回ればウェストハムも中盤に縦パスを通すことはできそうではあった。チェルシーの守備陣形は縦に間延びしたり、位置を下げてIH的に守ろうとするジョアン・ペドロが迷子になってしまったりなどやや混迷気味。ウェストハムの2列目への縦パスは開幕節よりも明らかに通しやすそうだった。
いい形で受けることができない陣形をフォローしたのはチャロバー。高い位置まで出ていって縦パスの受け手を潰す。この意識が奏功したのが逆転ゴールの場面。パケタを潰すトランジッションからカウンターに出ると、押し込んだ時の狙いとなっていたファーサイドのクロスをネトが沈めてゴールを決める。
勢いに乗るチェルシーは3点目。落ち着いた自陣でのポゼッションから降りるエステバンがアゲルドを外すことに成功。1点目のリベンジのような動きが起点となり、一気に攻撃を加速させるとそのままの勢いでエンソがゴールを仕留める。
こうなるとウェストハムは苦しい。中盤が守備の基準だったフュルクルクは前にスライドをしようとするが、背後との連動が甘くカイセドが浮いてしまったり、あるいはサンチェスのロングボールが刺さりやすくなったりなど、あまりメリットがない状態。
チェルシーの中盤の守備の甘さが残されている分、ウェストハムも長いレンジの縦パスから前進の余地はある。だが、チェルシーは前線のタメを享受する役割のワン=ビサカをネトが咎めることができていたので、対症療法的に解消はできていた。
後半、ウェストハムは選手交代に合わせてフォーメーション変更を実施。4-2-3-1にシフトすることで前からのプレスに行く準備をする。しかしながら、チェルシーはショートパスでこれを回避。インサイドに入り込む右のSBのグストという不確定要素への対応に迷いがあった分、マークが合わなくなってしまった。
進撃できたチェルシーはセットプレーからさらに2点追加。ハーマンセンの飛び出しのところの不安定さと競り合いの甘さを見逃さず、チェルシーはリードを広げる。ウェストハムはGKを妨害する相手の選手への妨害をかけなかったりなど、設計面での怪しさと個人の対応の怪しさの両面があった。
チェルシーは非保持でも4-5-1から4-4-2にマイナーチェンジすることでジョアン・ペドロの役割を明確化する。この後、サントスが入ってくると再び4-5-1に戻す。この辺りの柔軟さは個人的には好感触。引いて受けるシーンが終盤は続いたが、最終ラインとサイドのフォローをしつつ、隙があればラインアップも忘れないカイセドの器用さが光る展開だった。
後半も差を見せつけたロンドン・ダービー。ミスからの失点を昔話にしたチェルシーが逆転で今季初勝利を飾った。
ひとこと
不具合を相対的に矮小化できていたチェルシーに対して、芋蔓式にダメージを大きくしてしまったウェストハム。両チームのスコアはうまくいかなかった守備の状況への対応の差を反映しているように思える。
試合結果
2025.8.22
プレミアリーグ 第2節
ウェストハム 1-5 チェルシー
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:6′ パケタ
CHE:15′ ペドロ, 23′ ネト, 34′ エンソ, 54′ カイセド, 58′ チャロバー
主審:マイケル・オリバー
マンチェスター・シティ【1位】×トッテナム【3位】

監督が代わっても天敵は健在
今季のエティハドの開幕戦はトッテナム。伝統的に相性が悪い宿敵との一戦からシティは本拠地でのシーズンの幕を上げることとなる。
まず、互いのポゼッションのスタンスを図るところから。ストーンズが右の大外に開くシティはルイスを自由化。右サイドは枚数をかけたポゼッションから抜け出す選手を作っていく。左サイドは逆にシンプル。マルムシュのスピードを例えばハーランドの落としのような他の武器を組み合わせて生かす形である。
裏を狙うマルムシュの存在は脅威。やや偶発的に抜け出す場面からもチャンスメイクができる怖さがある。ヴィカーリオのファインセーブでなんとかトッテナムが凌ぐ場面もあった。
一方のトッテナムもGKを絡めながら後方で枚数をかけての前進。GKがポゼッションに参加してなおパリーニャがサリーしてボールを動かしていく。降りる選手でフリーマンを作ると、前線はハイラインを破るような裏抜けを使う。一辺倒ではなくリシャルリソンのポストを織り交ぜていたのは個人的にポイントのように思う。
時間の経過とともにハイプレスを敢行する非保持側のスタンスが目立つ展開に。CFのプレスから片側に誘導しつつ、ボールを奪い取りにいくというところを両チームとも勇気を持って行うように。どちらかといえば手応えが良かったのはシティの方で、プレスから後方のボール奪取から素早く速攻に移行することができた。
しかし、トッテナムはこのハイプレスを掻い潜り先制。ギリギリの駆け引きを制して抜け出したリシャルリソンによって裏を取ると、ジョンソンにゴールをお膳立て。わずかなギャップをついてスコアを動かす。
このプレスでトッテナムは主導権を掌握。シティに自陣からの脱出を許さない。おそらくはチェルキにベルナルド役を託したのだと思うが、ややプレス回避のフリーマンとしては存在感が足りなかったように思う。
すると、ハイプレスからトッテナムは追加点。やや怪しいシーンがちらついていたトラフォードがついにパスミスを引き起こしてしまうことに。これでトッテナムは2点のリードでハーフタイムを迎えることとなった。
後半、リードをしているトッテナムはさらにハイプレスに出ていく。シティはまずはハイプレスの撃退を優先。後方に枚数をかけて、まずは相手のハイプレスを退かせることに専念する。
押し込むシティは右サイドからの攻撃にフォーカス。だが、トッテナムはサイドにスライドしながら対応し、シティに自由を許さず。特にチェルキに低い位置まで追い回すこともあったスペンスの守備は目を見張るものがあった。
シティはハイプレスからチャンスを作ることもあったが、トッテナムは右サイドのクドゥスを軸に陣地回復。前半ほどシャープではないものの、ボックス内へボールを運ぶところまでは安定してできていた。
ベルナルド、ロドリ、ドクといった面々の入れ替えで前進の安定化と敵陣でのサイドの崩しを狙っていくシティ。だが、最後までトッテナムのブロックを崩すことはできず。
フランクに代わっても天敵度合いは変わらず。トッテナムがシティを撃破し、開幕2連勝+2試合連続のクリーンシートを達成した。
ひとこと
トッテナム、ハイプレスへのコミット具合が昨季とは別次元。
試合結果
2025.8.23
プレミアリーグ 第2節
マンチェスター・シティ 0-2 トッテナム
エティハド・スタジアム
【得点者】
TOT:35′ ジョンソン, 45+2′ パリーニャ
主審:ピーター・バンクス
ボーンマス【16位】×ウォルバーハンプトン【20位】

最終的には数的優位を生かしたエネルギー差
ともに初戦はメガクラブ相手に敗戦。大量失点での負けとなったが、心機一転切り替えての第2節に臨むこととなる。
その意気込みを感じるようなアグレッシブさが全面的に出た立ち上がり。ペースを握ったのはボーンマス。リバプール戦と同じく高い位置からプレスに出ていくスタイルはこの試合でも健在。ボールロスト直後からすぐさま相手のバックラインやパスを出した先にプレッシャーをかけにいく。
この即時奪回に対してウルブスは困惑。奪った後の一つ目のプレーの質が低く、相手に簡単にボールを奪い返されてしまい、波状攻撃を食い止めることができない。雑に縦につけてしまったり、強引に奪いに行って交わされたりなど不用意なプレーが目についた。
先制点もまさしくこの形から。セメンヨのプレスバックから発生したボール奪取の応酬を制すると、タヴァニアが最後は仕留めてゴール。以降もこの即時奪回起点のトランジッションからボーンマスはチャンスメイク。ウルブスのバックラインを背走させながらシュートを打ち込んでいく。
ウルブスは試合が少し過ぎるとようやく落ち着いて前を向けるように。中央にいきなり刺して強引にカウンターに行くのではなく、サイドに迂回させながらボーンマスの4-4-2を撃退しに行く。
しかし、非保持においてはなかなかこのボーンマスの勢いを止める手立てが見つからなかった印象。前から捕まえに行くためのポイントを掴めず、こちらもサイドから押し下げていくポゼッションでやり返されるとずるずると自陣に下がってしまうように。ウルブスはボーンマスの圧力に屈するような場面が目立つような形で前半の多くの時間を過ごしてしまうこととなった。
ウルブスは2人の選手交代で反撃を狙う後半の立ち上がり。早々に左サイドから交代で入ったウーゴ・ブエノがクロスからチャンスを作るなど、悪くはない入りだった。
しかし、トティ・ゴメスが裏に抜け出した相手を引っ張り倒してしまい一発退場。11人でのプランは5分も立たないうちに崩壊することとなってしまう。
数的優位のボーンマスはじっくりと数の論理を使うというよりはプレスに出ていく強度勝負に出ていくことを選択。高い位置からのプレスで勝負を仕掛けていく。ウルブスはこの状況を利用する形で前進。オープンな展開から反撃の機会を伺うことで試合は比較的フラットな展開に突入していく。
抵抗を続けてきたウルブスだが、75分が過ぎると徐々にボーンマスが保持の時間を増やしていくように。ウルブスはガス欠感が否めず、反撃の気概を削がれてしまう。
攻撃を続けながら時計の針を進めるボーンマスはそのまま試合をクローズ。最終的には数的優位を感じさせるエネルギーさでウルブスを封じ込めて最小得点差で逃げ切った。
ひとこと
反撃のタイミングでの退場はあまりにも痛過ぎる。
試合結果
2025.8.23
プレミアリーグ 第2節
ボーンマス 1-0 ウォルバーハンプトン
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:5′ タヴァニア
主審:トーマス・ブラモール
バーンリー【18位】×サンダーランド【2位】

第2節にして揃い踏み
開幕戦では明暗が分かれた昇格組同士の一戦。ターフ・ムーアでバーンリーがサンダーランドを迎え撃つ一戦だ。
先にチャンスを掴んだのは前節勝利しているサンダーランド。セットプレーからいきなり決定機を迎える。
それ以降はバーンリーの保持がベースとなる展開。3バックの構成の枚数を微妙に変えながらサイドからの前進を狙っていく。一方のサンダーランドはややカウンターフォーカス。マイェンダなど前を向けばシャープな選手からチャンスを作りにいく。
押し込むバーンリーは左サイドからやや発生したトランジッションに対して、フォスターが強引にネットを揺らすがこれは接触がファウルで認められず。試合はスコアレスのままだ。
サンダーランドの保持はサディキ、もしくはジャカが最終ライン付近からボールを引き出す形を狙う。最終ラインのサポートに行かないCHは前のフォローだ。左はアディングラ、右はディアッラとアイェンダが反転すれば勝負を仕掛けられる。
ボールを持つ機会が多かったバーンリーは押し込むことはできていたが、それ以上のところで苦戦。非保持では5バック気味になるサンダーランドに打開策をなかなか提示できない。
5バックになり膠着を生み出していたのはバーンリーも同じ。右サイドの守り方を中心に後方にスライドする。それでも要人が前を向いていた時のシャープさはサンダーランドの方が有望。だが、スコアは動かず、試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半はゴールから試合が始まる。左サイドの定点攻撃にアンソニーがフリックで変化を加えると、これをカレンが仕留めてバーンリーが先制。いきなり試合を動かす。
先制点の流れに乗じて、バーンリーは一方的に押し込んでいく後半。左右のサイドから押し下げつつサンダーランドに反撃を許さない。
流れが悪いサンダーランドは前線のメンバーを一気に3枚入れ替えることでリカバリー。これで押し込むことはできたが、そこから先の仕上げの丁寧さはイマイチ。選手交代で一気にゴールまで迫ることはできない。
サンダーランドが攻めあぐねていると、バーンリーはカウンターから追加点。1点目をお膳立てしたアンソニーのゴールで試合を決定づける。
昨年は11節まで待たなくてはいけなかった昇格組3チームの勝利を今年は第2節で達成。昇格組同士の一戦をホームのバーンリーが制した。
ひとこと
後半の頭からバーンリーがうまく流れに乗っていった。
試合結果
2025.8.23
プレミアリーグ 第2節
バーンリー 2-0 サンダーランド
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:47′ カレン, 88′ アンソニー
主審:マイケル・サリスベリー
ブレントフォード【17位】×アストンビラ【10位】

内容良化で道筋通りのゲームクローズ
第1節はともに不甲斐ない内容に終始した両チーム。勝ちを逃しているので当然結果も大事なのだが、シーズンの序盤ということを踏まえるとまずはこういう戦い方をしたいという旗印をきっちりと打ち上げることも重要となる。
序盤はロングボールのやり合い。前線でボールを行ったり来たりという状況でまずは様子見の様相である。
よりわかりやすくシャープになっていたのはブレントフォード。前節はただただ構えてズルズルと下がってしまう場面が目立っていたが、この試合ではきっちりとハイプレスに出ていくエネルギーを見せることができていた。
ただただ前がかりにいくのではなくメリハリのある守り方ができるのもよかったポイント。自陣では4-4-2をベースにミドルブロックを組みつつ、右の大外のワッタラはアストンビラの高い位置を取るディーニュを捕まえるように5バックになるという形で落ち着いた対応を見せる。
ボールを奪ったところからはサイドの裏で素早くカウンター。特に右サイドのスピードを生かす形のファストブレイクで前節が見られなかった縦への鋭さを見せることができていた。
一方のビラは苦戦が続く印象。マルティネス、トーレスという保持ベースの流れに沿った人員はスターターに復帰した一方でモデルは成り立たなかった。トーレスの縦パスはブレントフォードの中盤に狙い撃ちされていたし、マルティネスの長いボールも精度を欠いていた。唯一前進の手段として機能していたのは右の大外のマッギンのポストくらいだろう。
互いのスタイルの手応えはスコアに直結。前半に唯一動いたスコアは11分のブレントフォードのゴール。チアゴへのロングボールを囮に抜け出したワッタラが先制ゴール。アストンビラのCB陣の甘い対応をついてそのままゴールを生み出す。
後半はいくばくかアストンビラの攻撃は良化した印象。引き続き高い位置から追いにいくブレントフォードに対して、アストンビラはまずは横幅を使いながらポゼッションをしつつ縦パスのルートを丁寧に作る。これによって、ポストからの前進は前半よりも明らかに安定するように。
ブレントフォードはカウンターからチャンスを作っていくが、アストンビラのカウンター対応も前半よりも安定。初めからミングスがこれくらい気合いが入っていれば前半の失点はなかったかもしれない。
しかしながら、スピードアップした後の仕上げのところでビラは精度を発揮できず。そうこうしているうちにブレントフォードは5バックシフトと塹壕を築くための面々の投入で自陣に壁を作っていく。
逃げ切りのメカニズムは崩れなかったブレントフォード。最小スコアでの逃げ切りに成功した。
ひとこと
開幕戦はどうなることかと思ったブレントフォード。それなりに持ち直した感がある。
試合結果
2025.8.23
プレミアリーグ 第2節
ブレントフォード 1-0 アストンビラ
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:12′ ワッタラ
主審:トニー・ハリントン
アーセナル【6位】×リーズ【7位】

大得意のシチュエーションでのゴールラッシュ
レビューはこちら。

ホーム開幕戦を迎えたアーセナル。ホームでは15年ほど負けていない昇格組との一戦で25-26シーズンの幕を上げることとなる。
開幕戦ではエネルギッシュなプレスを仕掛けていったリーズに対して、まずはアーセナルは後方に人数をかけるポゼッションからの前進。ライス、ウーデゴールといった面々が下がって受けることでリーズにハイプレスを躊躇させる。
下がるだけでなく上がるアクションも具備しているのがアーセナルのこの試合での良かったポイント。低い位置に下がって降りる動きと合わせて高い位置を取るカラフィオーリは特にリーズのプレッシングの牽制になっていたと言えるだろう。
リーズはアーセナルのハイプレスに苦戦。高い位置から積極的に潰しにいくこの日のアーセナルにリーズはロングボールをカジュアルに蹴るが、ピルーではロングボールでガブリエウとサリバからアドバンテージを取るのは難しい。左右に揺さぶろうにも的確にボールをハントするスビメンディの山を越えることができず、カウンターのきっかけに。これが2点目のサカのゴールに繋がった。
その10分ほど前のセットプレーでのティンバーのゴールで2点のリードを得たアーセナル。ハーフタイムを余裕を持って迎えることに。
後半、アーセナルはギョケレシュに早々にゴールが生まれる。プレスの切れ目を見逃さなかったカラフィオーリから裏抜けのパスを引き出すと馬力全開の形でゴールをゲット。ホームのファンにご挨拶をすることに成功する。
さらにはセットプレーで2つ目のゴールを手にするアーセナル。混戦からティンバーが押し込むことでリードをさらに広げる。
後半の頭にはハイプレスからチャンスを伺っていたリーズだったが、4点目が入ったところで意気消沈。少しずつ低い位置で構えるケースが増えてくるように。
終盤の主役になったのはダウマン。30分ほどの残り時間をたっぷり与えられた15歳はプレシーズンでの好調さをそのままに右サイドで躍動。グドムンドソンだけでなくニョントが警戒するサイドの守備で見事に渡り合って見せる。
後半の追加タイムにはPKも獲得。力強いシュートだけでなく、実際に得点につながるプレーを見せたのは素晴らしいの一言。このPKをギョケレシュが決めてゴールラッシュは締め。大量5得点で得意な昇格組に対してホーム開幕戦を勝利で飾った。
ひとこと
この2節目に関しては2人の負傷者が唯一の懸念と言っていいアーセナルだった。
試合結果
2025.8.23
プレミアリーグ
第2節
アーセナル 5-0 リーズ
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:34′ 56′ ティンバー, 45+1′ サカ, 48′ 90+5′(PK) ギョケレシュ
主審:ジャレット・ジレット
クリスタル・パレス【12位】×ノッティンガム・フォレスト【5位】

不可思議なフォレストのスタンス
やや不思議な出方をしたのはフォレスト。ムリージョが左サイドに大きく開くビルドアップで3バックに変形する。この形がやや不可思議なのは相手のパレスの陣形との関係だ。
3-4-2-1がナチュラルなポジションであるパレスにとって、3-2-5に変形するフォレストの立ち位置はハイプレスでハメやすいもの。高い位置からのプレスで相手のビルドアップを牽制する。
そうした中でもフォレストはなんとか前進を狙っていく。左サイドでは表と裏を狙いながらボールを受けるハドソン・オドイ、右サイドではライン間を狙うギブス=ホワイトの2人が縦パスのレシーバーに。しかしながら、ホルダーがプレッシャーがかかっていることが多いため、なかなか受け手にはハードな状況。それでもなんとかするのが今のパレスの能力の高さと言えるかもしれないが。
フォレストが不思議だったのは非保持ではいつもの4-4-2に戻っていたからでもある。非保持で相手をはめるための変形なら理解できるのだが、そういうわけではなく相手がズレを作りやすい4-4-2に戻す。
そのため、パレスは左右に揺さぶりながら深いところまで侵攻することに安定感があった。特に大外のミッチェルは中央のマテタやサールのポストから浮いた大外でボールを受けて、クロスからチャンスを作っていた。
押し込む頻度が高いパレスはそのまま先制。左右に揺さぶることで中央で浮いたサールが先制ゴールを奪う。陣形の噛み合わせがそのまま戦況につながり、さらにはスコアの差になった印象だ。
後半もロングボールの応酬となったこの試合。ボールがポンポンと飛び交う立ち上がりとなる。
時間の経過とともにボールを持つようになるのはフォレスト。パレスが組むブロックの外からのポゼッションからボールを動かしていく。
これではまずいということで少しずつ受け手に厳しいプレッシャーを変えていくパレス。だが、この状況をひっくり返したのはエンドイェ。背負ったところからのスーパーパスで抜け出したハドソン・オドイ。素晴らしいハイライン破りから一気にゴールに辿り着く。
以降はやや両チームとも停滞があった印象。サイドに狭く閉じ込められるパレスはレシーバーが辛い状態になっていたし、フォレストは左サイドを軸としたハイライン破りを試みるが打開することはできず。多くの交代選手も実らないまま試合はドロー決着となった。
ひとこと
決め手に欠いた終盤戦だった。
試合結果
2025.8.24
プレミアリーグ 第2節
クリスタル・パレス 1-1 ノッティンガム・フォレスト
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:37′ サール
NFO:57′ ハドソン=オドイ
主審:アンソニー・テイラー
エバートン【14位】×ブライトン【8位】

終わりも始まりもエンジアイ
ヒル・ディッキンソン・スタジアムでの初のリーグ戦となる試合。ホームに迎えるのはブライトン。歴史の1ページを刻む試合に招かれたこととなる。
序盤は互いにオーソドックスなポゼッションからのスタート。ハイプレスに関しては様子見成分が強く、まずはゆったりとボールを持つ形から始まる。どちらも陣形はオーソドックスで2CB+2CHを軸にボールを動かしていく。シンプルな形の理由は強力なWGを互いに擁しているからだろう。ブライトンのWGも強力だが、先にシュートまで辿り着いたのはエンジアイだった。
決定機に先に辿り着いたのはブライトン。トランジッション成分の増加からチャンスを迎える。三笘のロングボールやミンテの突破からのウェルベックのシュートチャンスなどゴールに向かっていくプレーが続く。
しかし、先制したのはエバートン。右サイドでのためを左サイドに展開。繋いだデューズバリー=ホール、グリーリッシュ、そして沈めたエンジアイの技術の高さが詰まったシーンだった。エンジアイはグディソン・パーク最後のスコアラーであり、ヒル・ディッキンソン・スタジアムの最初のスコアラーとなった。
ブライトンの保持局面で以降の前半は進むが、カウンターの拙さとプレー選択の怪しさでチャンスをものにできず。前半の最後に迎えたターコウスキのバックパスから迎えた決定機もピックフォードの素早いリカバリーによって阻まれてしまう。
再三のピンチを凌いだエバートン。ハーフタイムはなんとかリードをキープした状態で迎える。
後半、立ち上がりからボールを持ったのはエバートン。前線のバリーを軽くwebで調べるとあまりロングボールの的っぽくないということだったので、後方で手数をかけながらサイドにつけれるところを探していくというアプローチは前線の人選に沿ったものなのかもしれない。
そのバリーが右サイドに流れるところからのチャンスでエバートンは追加点。左サイドからの二次攻撃を終わらせたのはガーナーのミドル。非常にシャープなシュートでフェルブルッヘンのニアを撃ち抜いて見せた。
押し込む機会を再び得たブライトンはハンドからPKを獲得するが、このPKはピックフォードがストップ。データと蹴り方をベースに先読みで動いたピックフォードの判断は奏功。ウェルベックのキックを完全にストップする。
終盤はファン・ヘッケの前線へのパワープレーを早めに解禁することでなんとかリカバリーを図りたいブライトン。だが、エバートンはファストブレイクをベースにファン・ヘッケがいない穴を突きにいくことでより得点の可能性が高いチャンスを手にする。
ひとこと
ピックフォード、円熟味を増すいいGKになったなと思う。
試合結果
2025.8.24
プレミアリーグ 第2節
エバートン 2-0 ブライトン
ヒル・ディッキンソン・スタジアム
【得点者】
EVE:23′ エンジアイ, 52′ ガーナー
主審:スチュアート・アットウェル
フラム【9位】×マンチェスター・ユナイテッド【15位】

セットプレーフォーカスも今季初勝利はお預け
驚きがあったのはフラムのフォーメーション。ユナイテッドの陣形に噛み合わせるように5バックを採用。お馴染みの形を崩してきた。
しかし、合わせてくるということは逆側からも合わせやすいということ。ハイプレスでユナイテッドはフラムを捕まえて、トランジッションからチャンスを作っていく立ち上がりとなる。クーニャのインサイドを切っての外誘導がプレスを効かせるためのいい手段となっていた。
キングの飛び出しから反撃を狙うフラムだが、すぐにクーニャが決定機でお返し。アーセナル戦では前半からムベウモが目立っていたが、この試合では中央のクーニャがアンデルセンとやり合うシーンが非常に目立った。
一方のフラムもセットプレーから反撃。おそらくアーセナルを参考にしたであろうバユンドゥルの行動範囲制限からチャンスを作っていく。
序盤はユナイテッドが優位な入りではあったが、フラムは時間経過とともにポゼッションが安定。インサイドにイウォビ、キングといった面々を縦パスのレシーバーとすることで中央に起点を作っていく。
しかし、先制点のチャンスを掴んだのはユナイテッド。バッシーがマウントとの競り合いの中でPKを取られることに。だが、このPKをブルーノは大幅に枠外にかっ飛ばしてしまう。芝を抉った様子もなく、軸足を取られた様子もなかったので大変珍しい光景のように思えた。
PK失敗の流れから敵陣に押し込んでいくフラム。セットプレーでの手応えもあり得点の期待感は高い状態に。だが、CKを触れないバユンドゥルのプレーをゴールに繋げることはできず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半は互いにボールをゆったりと持つ展開に。そうした中でも前半をいいペースで終えたフラムが徐々に優勢に。押し込みつつ、ファストブレイク気味にキングの抜け出しを見せるなどゴールに迫っていく。
だが、先制点はユナイテッド。フラムの方が手応えのあったセットプレーで先制。マーカーに競り勝ったヨロのボールがムニスに当たってゴールイン。意外な形からスコアを動かす。
フラムは交代で選手を入れ替え。前線にエネルギーを注入すると、交代選手からゴールに。左サイドからのクロスに飛び込んだのは交代で入ったヒメネスとスミス・ロウ。ニアでさわれなかったヒメネスが囮となり、スミス・ロウがネットを揺らす。フラムは見事に終盤に同点にしてみせた。
最終盤はセットプレーを中心としたチャンスの応酬。オープンプレーにおいてはサイドからの横パスをうまく使っていたフラムの方が攻撃の勘所を押さえている感じがした。ユナイテッドはマグワイアを入れてセットプレーフォーカスの構えとなった。
しかし、最後まで決勝点は入らず。試合はドロー決着。両チームの今季初勝利はお預けとなった。
ひとこと
交代で入ったシェシュコをどう生かすか?のところをもう少し見てみたかった感じ。
試合結果
2025.8.24
プレミアリーグ 第2節
フラム 1-1 マンチェスター・ユナイテッド
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:73′ スミス・ロウ
Man Utd:58′ ムニス(OG)
主審:クリス・カヴァナー
ニューカッスル【13位】×リバプール【4位】

16歳がスリリングな展開を制するマッチウィナーに
1人のストライカーをめぐり、熾烈な場外乱闘を繰り広げている両チーム。色んな意味でセント・ジェームズ・パークの一戦は負けられないものとなる。
意気込みをより強く感じたのはニューカッスル。強烈なタックルでリバプールに簡単に主導権を渡さない意思を早々に見せる。プランとしてもオールコートマンツーがベースとなる超強気のハイラインを強いたニューカッスル。中でもゴードンの存在感は別格でGKまでの二度追いと中盤をマークするプレスバックの両刀を使いながらマンツーマン守備の強度を高めていく。
リバプールの中盤はややバタバタ気味。ボールを奪われた後のニューカッスルのカウンターを止めるフェーズを含めて、序盤は後手となる展開が目立つように。保持においてもニューカッスルはサラー周辺でリヴラメントが浮くことでボールをスムーズに運ぶことができていた。
アリソンが間を作りたがるほど落ち着きができなかったリバプール。しかしながら30分を過ぎたところでようやく押し込むように。瞬間的にトナーリから浮くヴィルツはサイドの導線となっており、ニューカッスルはこういうギャップを埋めようと自陣側に4-5-1のブロックを敷くように。
押し込んだリバプールはフラフェンベルフのミドルから先制。狙い澄ました一撃で劣勢の中で先にスコアを動かす。このゴールですっかりペースはリバプールに。なかなかハマらなかったハイプレスでもニューカッスルを押し込んでいくと、左サイドのエキティケとガクポの連携から決定機を迎える。
悪い流れはいいプレーをしていた選手も飲み込んでしまうのだから恐ろしい。前半終了間際にはゴードンが一発退場。ニューカッスルは数的不利での戦いを余儀なくされる。
後半、リバプールは一手目で追加点。ガクポとエキティケの連携からエキティケがシュートを撃ち抜いてさらにリードを強固なものにする。
ニューカッスルの4-3-2に対して一方的な保持で試合を進めるリバプール。このまま試合をコントロールしながら進めるかと思われたが、ニューカッスルはここから数的不利をものとしない押し込み方を見せる。
一気に押し返すと左サイドからのクロスをギマランイスが押し込んで1点差に追いつく。以降もカウンターもプレスもなかなか冴えを取り戻すことができないリバプール。一方のニューカッスルも度重なる負傷によってなかなかリズムを掴めず、試合は一進一退の展開に持ち込まれる。
すると、ニューカッスルはセットプレーの流れから同点に。自陣からのFKで抜け出したオスラが貴重な同点弾を呼び込む。
勢いに乗るニューカッスルだが、最後の最後にドラマが。右サイドから奥を取ったリバプール。クロスは中央のショボスライを抜けてファーに待ち受けていたングモハの元に。試合を決めたのは16歳。久しぶりに見せた数的優位を生かした攻撃でリバプールは土壇場で勝ち越しに成功する。
どうなるかわからないシーソーゲームを制したのはリバプール。セント・ジェームズ・パークを黙らせる16歳の一撃で開幕連勝を飾った。
ひとこと
マンデーナイトには勿体無いくらいスリリングな展開となった一戦だった。
試合結果
2025.8.25
プレミアリーグ 第2節
ニューカッスル 2-3 リバプール
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:57′ ギマランイス, 88′ オスラ
LIV:35′ グラフェンベルフ, 46′ エキティケ, 90+10′ ングモハ
主審:サイモン・フーパー
今節のベストイレブン
