MENU
アーカイブ
カテゴリー

「Catch up Premier League」~Match week 10~ 2025.11.1-11.3

目次

クリスタル・パレス【10位】×ブレントフォード【11位】

それぞれの形での均衡をセットプレーで解決

 今季、開幕からの最長無敗記録を達成したパレス。だが、そこからはなかなか勝ち点3を積み上げられずに苦戦している。対照的にコンディションを上げてきている印象のブレントフォードとの一戦に挑む。

 どちらのチームもらしい立ち上がり。パレスは前の3枚のタレントを生かす形。特に相手を背負うポストから時間を作り、シャドーやWBの攻めあがる時間を作っていくところからチャンスメイク。押し込んだ先のセットプレーでも惜しいシーンが見受けられた。

 やや縦に速い展開を好むパレスに対して、ブレントフォードはプレスに来ないパレスに対してDFのキャリーで勝負。アイエルのキャリーやそれに合わせるサイドフローのヘンダーソンからのチャンスメイクで少しずつ敵陣に進んでいく。

 ヘンダーソンのゲームメイク力はさすが。列を細かく変えながら幅を使いながらの攻撃でパレスのWB周辺を攻め込むことができていた。中盤の新しい核として攻撃を作っていく。

 それぞれの形からチャンスを作る両チームだが、先制したのはパレス。ロングカウンターから得たセットプレーの機会を生かし、マテタが先制ゴールを叩き込んで見せた。

 ブレントフォードは失点以降に一方的なポゼッションを敢行。後方を任意の3枚でメンバーを入れ替えながら進めることで、保持に変化を加えていく。

 パレスは得点シーンと同じくセットプレーからチャンスメイク。ライン間からのピノからの対角のクロスでWBを生かす形を作っていく。

 後半もブレントフォードはボールを持つスタート。前半よりもさらに対角のパスを増やして幅を使った攻撃を使っていく。パレスも前半と同じく縦にシャープなロングカウンターで勝負をする。同じ土俵でのスタートとなった後半だった。

 異なる均衡で勝負する展開の中で再びセットプレーから違いを見せたのはパレス。ロングスローからオウンゴールを誘い、リードを広げることに成功。動揺が見られるブレントフォードの守備陣は直後にロストから決定的なピンチを迎える。パレスはこれを仕留めればこの時点で試合は完全に決着がつくはずだった。

 だが、このゴールは仕留められず試合は続行。ブレントフォードはパレスの前線の脇に起点を作る形でショートパスからの組み立てで引き続きの解決を狙っていく。パレスはきっちりとローブロックで組んで跳ね返す形で対抗する。

 選手交代でネルソンとルイス-ポッターを投入した左サイドを活性化しゴールに向かうブレントフォード。だが、最後までこじ開けることはできず。セットプレー2発でこじ開けに成功したパレスが勝利を飾った。

ひとこと

 拮抗している流れの中でパレスがしたたかにチャンスをつかみ取った印象だ。

試合結果

2025.11.1
プレミアリーグ 第10節
クリスタル・パレス 2-0 ブレントフォード
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:30‘ マテタ, 51’ コリンズ(OG)
主審:ピーター・バンクス

ノッティンガム・フォレスト【18位】×マンチェスター・ユナイテッド【6位】

後半頭の畳み掛けで貴重な勝ち点確保

 アモリム体制初の連勝を3までに引き伸ばしたユナイテッド。ここに来て勢いに乗っており、上位への浮上を虎視眈々と狙っている。一方のフォレストはまだダイチが就任以降、初めてのリーグ戦勝利がない状況である。

 いい入りをしたのはユナイテッド。ラインの設定を高めにする守備で追い込みながら蹴らせて回収。保持では深さをとったバックラインがフォレストの前線を誘き寄せて、前半と中盤に浮いたスペースに長いレンジのパスを入れていく。構造としては悪くないメカニズムではあったが、シュシュコがやや長いボールを収めるのに苦戦した感がある。

 フォレストはサイドに枚数をかける形から前線に。シュートまで持っていくことができる圧は少しずつ高まり、少しずつ展開を盛り返していた。

 少ない攻撃のチャンスの中で試合を動かしたのはセットプレー。好調のカゼミーロの一撃で重たい試合の扉を開ける。

 先行を許したフォレストは保持の時間を長くしながらブロック攻略に移行。目立ったのは2人の中盤。積極的に動き回り、左のハーフスペースからの奥行き作りで貢献したアンダーソン、中盤におりてタメから抜け出しを促していたハドソン・オドイの2人は印象的であった。

 ユナイテッドは攻撃を受け止めつつ、保持では移動を駆使してテンポをコントロール。ブルーノ、カゼミーロが動き回りながらマンツー気味のプレスを外し、前進ができるように。優勢をキープしたままハーフタイムを迎える。

 後半、いきなりスコアを動かしたのはフォレスト。アンダーソンの対角パスから右サイドまで展開すると、このクロスをファーのギブス=ホワイトが仕留める。前に入られてしまったディアロにとっては痛恨のワンプレーだった。

 さらに同じく右サイドからのクロスから発生した混戦をサヴォーナが仕留めてあっという間に逆転。ユナイテッドはインサイドでマークを外したわけではないが、空中戦での競り合いであっさりと敗れてしまい、後手を踏んだ。

 保持の時間を増やすユナイテッドは左右に相手を動かしながらポゼッション。幅を使う意識が強い中で縦に仕掛けるブルーノの存在はいいアクセントになっていた。

 なかなかゴールをこじ開けられなかったユナイテッドだが、セットプレーからディアロが見事な左足をシュート仕留めて同点に。失点シーンの面目躍如するかのような一撃で試合を振り出しに戻す。

 追いついた後も前向きな姿勢を失わなかったフォレスト。訪れたピンチもムリージョがギリギリのクリアで救い、3ポイントを狙いつつ1ポイントを確保した。

ひとこと

 勝ちたかっただろうが、フォレスト目線では1ポイントも重要な結果だろう。

試合結果

2025.11.1
プレミアリーグ 第10節
ノッティンガム・フォレスト 2-2 マンチェスター・ユナイテッド
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:48′ ギブス=ホワイト, 50′ サヴォーナ
Man Utd:34′ カゼミーロ, 81′ ディアロ
主審:ダレン・イングランド

バーンリー【16位】×アーセナル【1位】

苦手な11月を素晴らしい幕開けで

 レビューはこちら。

 前節は劇的な形でウルブスに競り勝ったバーンリー。これで連勝を達成したようだが、その前節で活用した4バックのシステムはこの試合においてはひとまず脇に置いておく形。5バックで首位のアーセナルを迎え撃つ格好である。

 ボールを持つ側となったアーセナル。序盤はサイドからカラフィオーリが抜け出す形からチャンスを作りに行く。左のハーフスペースはギョケレシュが抜け出す場面もあったため、アーセナルとしてはやや狙っていた部分なのだろう。

 バーンリーからすると中央を割られて失点するよりはいいが、陣地回復に手間がかかるチームである分、サイドの奥を取られてしまう時点でやや分が悪くなってしまう。なるべくならば前向きにボールを奪って少ない手数で攻め切りたいバーンリー。ウォーカーが前向きの矢印で止める場面はあったが、そこから少ない手数で攻め切るというところまではたどり着かず、チャンスはなかなか見えてこない。

 よって、相対的に優勢だったのはアーセナル。保持で押し込む機会を確保すると、セットプレーから先制点をゲット。ファーに走りこんだガブリエウを囮に折り返しをギョケレシュが仕留める。

 反撃に出たいバーンリーだが、強まるアーセナルのプレスに苦戦。ポゼッション志向はわからなくはないのだが、ショートパスでの繋ぎではパススピードが上がらず、前線と中盤のプレスからアーセナルにとがめられる場面が増えていく。

 なかなかボックス内に迫れずに苦戦するバーンリーはロングスローを多用。だが、これをひっくり返したところからのカウンターで先制。スローワ―のウォーカーのいなかったところから攻め込んだトロサールのラストパスをライスが仕留めてリードをさらに広げる。

 迎えた後半、アーセナルはやや苦戦。CFがギョケレシュ→メリーノに変わった影響でお手軽なロングボールでの前進が見られないように。バーンリーとしては前向きの圧力が刺さるという理想的な展開だった。

 それでも我慢することができるのが今のアーセナルの強み。バーンリーに先回りされるようなクロスを上げられ方がしていないのはさすがのひとこと。粘り強いサイドの封鎖、ボックス内での体の寄せをCB以外の選手もきっちりやっており、なかなかバーンリーの選手がフリーでシュートを振り抜ける場面が出てこない。

 後半の追加タイムにはエドワーズがクロスバーを叩く場面もあったが、反撃はここまで。アーセナルはプレミア4試合連続のクリーンシートを達成。苦手な11月を白星でスタートした。

ひとこと

 苦しい後半になったが、それでも粘れるのが今季のアーセナル。

試合結果

2025.11.1
プレミアリーグ
第10節
バーンリー 0-2 アーセナル
ターフ・ムーア
【得点者】
ARS:14′ ギョケレシュ, 35′ ライス
主審:クリス・カヴァナー

ブライトン【13位】×リーズ【15位】

相性がダイレクトに出るワンサイド決着

 プレミアリーグでの過去6回の対戦においてブライトンはリーズに対して無敗。ホームチームが一方的に好相性というカードだ。

 互いにバックラインにはプレスをかけずにポゼッションを行う立ち上がり。先にポゼッション色を強めたのはブライトン。外につけてSHにまずはボールを預けて、そこからボールを入れることができるかどうかを探る立ち上がりに。

 一方のリーズはバックラインのパス交換からプレスを引き寄せつつ、前線へのロングボールを狙っていく。惹きつけてキャルバート=ルーウィンにスペースを与える形からの組み立てを作っていく。

 互いに保持のカラーが強い展開の中で違いを見せたのはブライトンの右サイド。ラターをフェイクにハーフスペースに飛び出したウィーファーのラストパスから折り返しをウェルベックがゴール。好調のストライカーが連続得点記録を伸ばす一撃から試合を動かす。

 失点した後もリーズはなかなかプレスに出ていくことができずに強度を上げることができない。田中はキャルバート=ルーウィンに並ぶ形で前に出ていくが、ファン・ヘッケとバレバとの駆け引きの中でなかなかプレスのきっかけを掴めない。

 非保持ではなかなかテンポをつかめない中で保持の機会を増やしながらリーズはリカバリーを図っていく。田中、ロングスタッフ、アンパドゥが位置を変えながら相手のプレスを回避していく。アンカーの位置に入っていく田中は大きな展開からチャンスを作っていく場面もあったが、逆にバレバに潰されてピンチを迎える場面も。一進一退の攻防のままスコアはなかなか動かずにハーフタイムを迎える。

 劣勢のリーズは前半にはあまり見られなかったハイプレスで後半をスタート。しかし、ブライトンはこのプレスをあっという間に打ち破る。ラターからの横断でチャンスを作るなど、保持からプレスを平定。右サイドのミンテからのはーフスペースアタックや、左サイドのカディオグルの飛び出しなど工夫を入れることでサイドアタックを仕上げに行く。

 リーズはキャルバート=ルーウィンへのロングボールからなんとか陣地回復を行っていこうとするがなかなか前に進めず。一方的に攻めるブライトンは両サイドからそれぞれ追加点。右サイドからのミンテの突破で2点目、左サイドからのウェルベックのはーフスペースアタックで3点目。どちらもゴメスが仕上げることで試合を決める。

 リーズの反撃をいなしながら残りの時間は追加点をのんびり狙うブライトン。リーズは相性の悪さを露呈する完敗だった。

ひとこと

 サイドから深さをとる→折り返しで無限に攻撃を仕掛けられていた。

試合結果

2025.11.1
プレミアリーグ 第10節
ブライトン 3-0 リーズ
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:11′ ウェルベック, 64′ 70′ ゴメス
主審:マイケル・オリバー

フラム【17位】×ウォルバーハンプトン【20位】

停滞ムードに追い討ちをかける悪夢

 いまだ未勝利の沼を抜け出すことができないウルブス。内容はとても悪い!というわけではないのだけども、なだらかに下り坂という感じで守備での規律を整備するという点でかなり苦労している印象だ。

 この試合の立ち上がりでのそうした苦しみがあったように思う。保持がメインとなったフラムはまずはウルブスの2トップの脇から起点を作りにいく。ここからシンプルに外につけてSHの突破力勝負に持っていくケースもあるが、メインはむしろインサイド。ウルブスの中盤をプレスに引き出すと、その逆を取るかのように縦パスを差し込んでいく。

 大外をケビンに任せて、インサイドを取る形となったセセニョンはヒメネスが潰れた場面を活かして一気に抜け出すことに成功。ジョンストンとの1on1と戦いを制して、フラムに先制点をもたらす。

 先制点以降も勢いに乗るフラム。ケビン、ウィルソンの切れ味豊かなサイドアタックからボックス内に迫っていく。ウルブスは引き続き苦しい展開に。サイドでも後手に回り、中央に降りるアクションにはついて行ききれずに中途半端な対応になってしまう。

 その結果がアグバドゥの退場につながってしまう。キングがオープンに走れてしまうという状況もまずいのは確かだが、明らかに間に合わないタイミングで普通にファウルを犯したアグバドゥの対応もなかなか拙いものであったことは確かだろう。

 5-3-1で受けるウルブス。終盤には右サイドからの突破でチャンスを見つけるが、なかなか押し返すためのきっかけを掴むことはできず。試合はフラムのリード、さらには1人の数的有利を手にしてハーフタイムを迎える。

 3枚交代で5-3-1を整備したウルブス。しかしながら、リズムを変えることはできず。一方的に押し込んでいくフラムは右サイドにフォーカスする形で勝負を仕掛けていく。ウルブスは前半のアグバドゥの退場シーンのように、一歩プレスが遅れてしまう守備が目立つ。

 右サイドからの猛攻からフラムは追加点。畳み掛けるような攻撃をミドルで仕上げたウィルソンによってフラムはリードを広げる。75分には逆サイドから。クロスからオウンゴールを誘発し、試合は完全に決着することに。

 前半から試合を掌握したフラムが90分を完全に制圧。ウルブスにとっては停滞ムードに追い打ちをかける悪夢のような敗戦になった。

ひとこと

 これはちょっとヴィトール・ペレイラ解任もやむなしという感じだろう。

試合結果

2025.11.1
プレミアリーグ 第10節
フラム 3-0 ウォルバーハンプトン
クレイヴン・コテージ
【得点者】
FUL:9′ セセニョン, 62′ ウィルソン, 75′ モスケラ(OG)
主審:ジョン・ブルックス

トッテナム【3位】×チェルシー【9位】

相性に則った完勝

 両チームの勝ち点差は3。チェルシーは上をいくトッテナムを追い落とすための絶好のチャンスと言える一戦。アゼルバイジャン遠征前の試合でなんとか勝利を収めたいところだろう。

 目新しいベリヴァルのSH起用はいきなりの負傷で狙いが見えないまま終了。交代したシャビ・シモンズもベリヴァルと同じくインサイドに絞りながらのポゼッション。CHに引っ張られるように出ていくジェームズの背後をポイントとする形で縦パスを引き出すように降りていく。

 大雑把に言えば、この形がハマるかどうかがチェルシーペースかトッテナムペースかに流れる分かれ目だったと言えるだろう。奪えればチェルシーペースだし、ここから加速できればトッテナムペースという感じであった。ややファウルが多く、展開としてはどちらのものでもないという感じであった。

 チェルシーの保持においてはサイドにボールをつける外循環。トッテナムからボールを奪うトランジッション要素を絡めればチャンスになりそうな場面もあったが、シンプルにプレッシャーのない状況でサイドにつけるパスがズレてしまい、攻めきれなかった。

 ファウルで試合がぶつ切りになるところも含めて試合はなかなかどちらかのものにならなかった展開。そうした試合を動かすのはミスかスーパープレー。この試合は前者だった。自陣での不用意としか言いようのないパスワークを掻っ攫われてしまい、カイセド→ペドロのラインで先制ゴールを決める。

 このゴールで勢いに乗ったチェルシーはハイプレスでリズムを掴み、トッテナムを自陣から出させない。チェルシーがペースを握った状態でハーフタイムを迎える。

 後半もテーマとしては同じで保持をベースにトッテナムが前に進めるかどうかがポイントになっていく展開。チェルシーのプレスは後半も機能性十分。トッテナムの左サイドに追い込むようなプレッシングからボールを奪いショートカウンターに。

 敵陣でのプレーはファーサイドのクロスが有効。逆サイド狙いでトッテナムのマークの薄いところを狙っていく。

 トッテナムはなかなか自陣から脱出することができない苦しい展開。ボールを奪い返すフェーズでは立ち上がりとは異なりむやみやたらに追いかけるケースが見られてしまい、チェルシーに受け流される場面もあった。

 なかなかおい上げムードにならないトッテナムを尻目にチャンスを積み上げていくチェルシー。ヴィカーリオのセーブに阻まれて1点差は広がらないがそのまま試合を終えることには成功。チェルシーが相性のいいトッテナム相手に勝利をあげて先週の雪辱を果たした。

ひとこと

 トッテナムはなかなかホームで勝てていないということで少し終盤にチームの追い上げを願うムードにスタジアムが染まりきらなかったなというのが気になった。

試合結果

2025.11.1
プレミアリーグ 第10節
トッテナム 0-1 チェルシー
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
CHE:34′ ジョアン・ペドロ
主審:ジャレット・ジレット

リバプール【7位】×アストンビラ【8位】

リスクはリスク

 第5節の時点では全勝のリバプールと未勝利のアストンビラという構図だったが、そこから前者は4連敗、後者は4連勝。第10節での対戦では同じ勝ち点で並ぶという驚きの展開で迎える対決となった。

 勢いよくハイプレスに出ていくアストンビラに対して、リバプールはゆったりとしたポゼッションでスタート。右に流れるショボスライがサラーとブラッドリーというデュオを支えに行く形からフォローしていく。逆に左のガクポは孤立気味にボールを受けることが多かった。ただ、ロングキックの精度が怪しかった分、少し幅を使う攻撃の精度は怪しいところがあった。

 むしろ、インサイドに入っていくガクポ、ショボスライへの縦パスの方が有力。大外への長いボールではなく、インサイドに差し込んでいく形の方がベターな感じはした。

 アストンビラは保持においても彼ららしさをキープ。GKにギリギリまで寄せられても構わずに繋ぐというスタンスを維持し、リバプールのハイプレスと渡り合う。実際に引き寄せた分、ロジャースが浮くシーンなどもあり、リスクをとった際のリターンは示せていたように思う。

 しかし、やはりリスクはリスク。23分のプレゼントパスはリバプールの温情によりお目溢しをいただいたが、2回目は同じような温情をかけてもらえず。サラーのゴールで先制点を奪い取る。ややアタッキングサードの淡白さが目立っていた展開だっただけに、リバプールは前半終了間際に美味しいゴールを手にすることとなった。

 後半もリバプールはポゼッションからテンポを整えていく。アストンビラの縦に急いでいきたい攻撃に対して、保持からリズムを制御していく格好だ。

 リバプールは主導権を握りながら順当に追加点。久しぶりのインサイドの好連携。1つ前の列に入り込んだフラフェンベルフが追加点を奪い取ることに。

 この後半のゴールで試合は決着。残りの時間は追い縋るビラを振り切り、リーグ戦では連敗を4で止める勝利を挙げた。

ひとこと

 ビラ、らしさを体現するためとはいえやや勿体無い感じが先行する。

試合結果

2025.11.1
プレミアリーグ 第10節
リバプール 2-0 アストンビラ
アンフィールド
【得点者】
LIV:45+1′ サラー, 58′ フラフェンベルフ
主審:スチュアート・アットウェル

ウェストハム【19位】×ニューカッスル【12位】

ソリッドさが戻らない相手に就任初勝利

 監督が交代してもなかなかエンジンがかからないウェストハム。CLでは勢いをつけているがこちらも国内ではなかなかハードな思いをしているニューカッスルとの一戦でヌーノの初勝利を狙っていく。

 強気のプレスに出ていくのはニューカッスル。ウェストハムはプレスを引きつけながら左サイドで背後を狙って抜け出し。ハイラインの背後を狙っていく。

 一方のウェストハムの守備はまずは中盤を封鎖する形。ニューカッスルのバックラインは自由にボールを持つことができる。ミドルブロックに対してどのようにアプローチするかが悩ましい展開なのかと思いきや、バーン→ゴードンのコンビネーションで簡単に左サイドから背後を取るなど、カジュアルにサイドから裏を取ることができていた。

 怪しいウェストハムの守備をつくことでニューカッスルは早々に先制。やや前がかりに攻撃を出てきたウェストハムに対して、陣形を整える前にニューカッスルは攻め切ることに成功。4分でマーフィーが先制点を生み出す。

 ウェストハムは失点以降はボールを持つ流れに。こちらもSHとSBの連携からボックス内にスペースメイク。ボーウェンはボックス突撃であわやPKという場面も迎えるなど確実に攻撃は手応えがある状況。

 この場面はOFRで覆されたが簡単にハーフスペースから背後を取られてしまう守備はらしくないニューカッスル。押し下げられたところからの列を上げるアクションが遅れ、パケタの同点ミドルが寄せきれないというのは本来の彼らでは考えられない。

 ゆるさが目立つニューカッスルは前半のうちに更なる失点。右サイドから抜け出したワン=ビサカの対応でオウンゴールを献上してしまい、ビハインドでハーフタイムを迎えることとなった。

 後半はボールを持つことでリカバリーを狙うニューカッスル。トナーリの列落ちから中盤の間延びを誘発し、右サイドから攻める形を探っていく。ウェストハムは中盤の5枚がフラットに並ぶことで押し下げられることを許容しながらもライン間にスペースが空かないように警戒をしていた。

 ウェストハムはサイドのアタッカーのスピードを生かしたファストブレイクから。ボーウェンとサマーフィルから縦に一気に進む形で陣地回復をしていく。

 時間の経過とともに主導権を握ったのはウェストハム。押し込む時間を作っていくと、ファー狙いのセットプレーからチャンスを作り出していく。一方のニューカッスルは積極的な選手交代から前線の活性化を狙っていくが、攻守に停滞感を変えることができなかった。

 段階を踏んで前がかりになるニューカッスルに対して、ウェストハムは徐々にカウンターからチャンスを得るように。後半追加タイムのゴールも捨て身の攻撃を跳ね返したところからのカウンターで。ポープが処理しきれなかったボールを最後はソーチェクが押し込んで勝負あり。

 試合はウェストハムの完勝。ヌーノはホームで就任初勝利を挙げることとなった。

ひとこと

 ニューカッスル、なかなか非保持のソリッドさが戻らない。

試合結果

2025.11.2
プレミアリーグ 第10節
ウェストハム 3-1 ニューカッスル
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:35′ パケタ, 45+4′ ボットマン(OG), 90+8′ ソーチェク
NEW:4′ マーフィー
主審:ロベルト・ジョーンズ

マンチェスター・シティ【5位】×ボーンマス【2位】

真っ向勝負を制して「元に戻る」

 首位のアーセナルを追うポールポジションに立っているのは現在ボーンマス。彼らがここに立っているのは前の週にシティが勝ち点を落としたから。シティにとってこの試合はそのポールポジションを取り返すための一戦ということとなる。

 ボーンマスはいつも通りに高い位置からのプレスでスタート。敵陣でのボール奪回に成功すると、そのまま横断からいきなりクルーピがネットを揺らすがこれはオフサイド。それでも攻守に積極性を出し続けて、シティのビルドアップを阻害する。 

 シティはこのハイプレスをどのようにいなせるかの勝負。左サイドのドクとオライリーはレーンを細かく変えながら敵陣に。高さも微妙に捕まえにくい形でボーンマスのSHを翻弄する。

 もう1つの武器になるのは当然ハイラインを一発で破れるハーランド。先制ゴールはこちらの攻略法をベースにしたもの。引く位置まで下がるアクションを釣りとして使い、。一気にゴールまで。降りるアクションの状態で「出る!」というタイミングを対面のディアキテに先手を打って敢行することで一手先に前に出ることができたシーンだった。

 この場面のように前に出ていく意識の強いボーンマスに対して、ハーランドの一撃というのは致命的になりかねない。セットプレーで追いついたボーンマスだったが、シティは直後にも早い展開から延々とチャンスを作り出していくこととなった。

 一時期は追いついたボーンマスだったが、すぐにシティは勝ち越しに成功。前半の内にシティは強気のボーンマスの姿勢を打ち砕くことでリードを生み出し、ハーフタイムを2-1で折り返すことに。

 後半も試合の展開は変わらず。主導権を握っているのはシティ。速い攻撃においてはハイライン破りのハーランド、ゆったりとした展開においてはSHのファジーなポジショニングから相手にズレるギャップを埋める作業を押し付けることで、緩急を付けながら主導権を握っていく。

 後半15分のオライリーのゴールは試合を決着させる一撃。相手が捕まえるのを遅れたタイミングを逃さず、ボールをコントロールしながら足を広げさせてシュートを仕留めるコースを見つけるという形で見事に打ち抜いて見せた。グバルディオル然り、シティのレフトバックは非常にフィニッシュの精度が高いことを示す得点だった。

 真っ向から向かってくるボーンマスを見事に撃退したシティ。2位の座に戻り、首位のフォロワーとして立場を見事に取り戻した。

ひとこと

 こういう向かってくる相手を吹き飛ばせるだけの馬力がきっちりと備わっていることを感じさせる勝利だった。

試合結果

2025.11.2
プレミアリーグ 第10節
マンチェスター・シティ 3-1 ボーンマス
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:17‘ 33’ ハーランド, 60‘ オライリー
BOU:25’ アダムス
主審:アンソニー・テイラー

サンダーランド【4位】×エバートン【14位】

らしさを見せた後半のサンダーランド

 今季ここまで順調に勝ち点を積み上げているサンダーランド。強いチーム相手との対戦は残している感があるが、前節はチェルシーをアウェイで撃破するなど今後に控える強い相手との対戦にも期待が持てる内容を見せている。

 今節の相手はエバートン。サンダーランドほどの派手さはないものの、こちらも堅調にチームとしての完成度を上げている印象だ。

 非保持側は互いに構えての勝負。バックラインにはプレスをかけず、後方からのつなぎでポゼッションを行っていくスタートに。サンダーランドは幅を使いながらの前進。ムキエレを右に押し上げる形で保持時は4バックに変形する。いつものように変形要素は左サイドが多め。サディク、ル・フェ、ヘイニウドがポジションを入れ替えながら縦に相手を引きの伸ばしながら揺さぶっていく。

 エバートンは2列目のアタッカーの反発力が効いていた印象。縦に速い攻撃の中でグリーリッシュのキープ力やデューズバリー=ホールの反転からチャンスを作っていく。

 しかし、エバートンが先制点を取ったのは右サイドのユニット。右サイドでエンジアイ、ガーナーのコンビネーションにバリーの粘りが加わり、ファストブレイクから先制点を奪い取っていく。

 先制点の際にこの一連のプレーでファウルまがいのコンタクトがあったこともあり、試合は荒れ模様に。ややバタバタした展開の中で割を食った感があったのは繋ぎの局面で平時の安定感を保てないサンダーランドの方か。エバートンは平常心で黙々とストロングの左サイドからのカウンターを狙っていた。

 サイドから奥行きを使える攻撃を繰り出せた前半の終盤からペースは少しずつサンダーランド。幅を使いつつ、サイドのギャップを生み出しながら奥を取っていく。だが、バックラインの安定感はさすがのエバートン。前半はリードを守ってハーフタイムを迎える。

 後半、エバートンは前半よりは落ち着いたポゼッションに。ただ、サンダーランドの戻りの速さは非常にシャープ。敵陣でスペースレスの状態にやや苦しんでいた感があった。

 前半とは逆に縦に鋭く進む形からゴールを生み出したのがサンダーランド。イシドールが作り出した奥行きから最後はジャカがミドルシュートを放って先制。後半の早い時間に試合を振り出しに戻す。

 後半はこのゴール以降はサンダーランドのペースで進んでいた印象。シュートすら打つことができないエバートンに対して、トランジッションで優位に立ち、静的なポゼッションでも右の幅を取る形というレパートリーを見せながらハーフスペースに突撃していった。

 押し込む終盤は得点までつながった経験があるムキエレのロングスローまで飛び出したが、リードを奪うまでには至らず。試合はドローでの決着となった。

ひとこと

 サンダーランド、この粘りはさすが。前半は負け試合と思ったが。

試合結果

2025.11.3
プレミアリーグ 第10節
サンダーランド 1-1 エバートン
スタジアム・オブ・ライト
【得点者】
SUN:46‘ ジャカ
EVE:15’ エンジアイ
主審:トーマス・ブラモール

今節のベストイレブン

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次