アストンビラ【3位】×アーセナル【1位】

文字通りの死闘はブザービーター決着
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水曜ナイターから休む間もなく土曜のランチタイムキックオフ。好調の両チームとはいえ、ビラ・パークでの一戦は間違いなく両軍にとってはタフなスケジュール。目の前の敵以外にも日程とも戦わなければいけないというタイトな状況での一戦だ。
試合はアストンビラのポゼッションからスタート。パウ・トーレスを軸とした左サイドのユニットから深さを作り、アーセナルのハイプレスを誘導する。サカの外切りからのプレスでアーセナルは高い位置からチェイス。アストンビラはサカの背後に立つマートセンかもしくはスビメンディ周辺に立つティーレマンスやロジャーズから前進を図る。
ハイプレスマンツーで勝負したアーセナルはウーデゴールのミドルという釣果を得つつも、ひっくり返してワトキンスに1on1を作られてしまうなど展開としては一進一退。ハイリスクハイリターンのデュエルを繰り返していくことに。
そうした状況の中で先に差を作ったのはアストンビラ。時間と共にアーセナルの保持の色が強まることでカウンターベースの戦いにシフトしたアストンビラは左サイドから右に展開する形で攻撃を完結する形を見せるように。この形からキャッシュがゴールを仕留める。
アーセナルはサカとウーデゴールを中心とした右サイドの定点攻撃から反撃に出ていきたいところだが、なかなか堅いアストンビラの守備をこじ開けることができず。試合はアストンビラのリードでハーフタイムに移行する。
アーセナルは左サイドにテコ入れをしたハーフタイム。攻守にややお疲れモードだったエゼに代えて、トロサールを投入。右サイドから作った攻撃に対するフィニッシャー役として左サイドからインサイドに絞っていく。後半頭から再三狙っていたこの形からアーセナルは同点。ライスのボール奪取から縦にシャープに進んだカウンターを最後はトロサールが完結する。
だが、この失点からアストンビラは保持でリカバリー。なかなか前に出てこれないアーセナルのプレス隊を押し込みつつ、ギョケレシュ起点の陣地回復もコンサが封殺。徐々に押し込む時間を長く作っていく。
アーセナルも少ない枚数からのカウンターで反撃を狙うが、最後は枚数をかけたビラの攻撃に屈服。合計4回シュートを放った終盤のボックス内の攻撃をブエンディアが完結。劇的なブザービーターでアストンビラが首位狩りに成功した。
ひとこと
このコンディションでできることは全てやった感じ。本当に文字通りの死闘だった。
試合結果
2025.12.6
プレミアリーグ
第15節
アストンビラ 2-1 アーセナル
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:36′ キャッシュ, 90+5′ ブエンディア
ARS:52′ トロサール
主審:ピーター・バンクス
マンチェスター・シティ【2位】×サンダーランド【6位】

「勝ちながら修正」という最高の結果
アンフィールドからエティハドというタフな1週間を迎えているサンダーランド。ル・ブリの50歳の誕生日となる試合は首位との勝ち点差を縮める大チャンスを迎えているシティとの一戦だ。
サンダーランドは5バックを形成しシティの攻撃をきっちりと受ける構え。シティは右サイド中心の攻め筋。ベルナルド、チェルキを中心としたファーサイドへの相手のラインを下げさせるようなクロスから揺さぶっていく。インスイング一辺倒にならないのがシティのいいところ。ヌネスの裏抜けから速い折り返しもバリエーションとして持っている。
サンダーランドはファストブレイクから反撃。イシドールの抜け出しからチャンスを作ろうとするが、ハイラインで引っ掛けてシティはオフサイドからカウンターを封じ込める。それならばと左右に振りながらシティのハイプレスと全面的に勝負することができるのがサンダーランドのいいところでもある。
一時期はサンダーランドに押し下げられる時間もあったシティだが、再びポゼッションを回復。どのように壊すかを探っていくと、ディアスのミドルが炸裂。飛び道具から試合を動かす。
さらにはセットプレーから追加点。グバルディオルの走り込みながらの一撃でさらにリードを広げる。
2点のリードを得たシティにとっては課題はここから。複数得点のリードをきっちり守り切る必要がある。サンダーランドは5-4-1をキープしたままでプレスの捕まえにいくアクションを強気にシフト。前から降りる選手を捕まえにいく。
その分、オライリーのオーバーラップやハーランドの速攻を活かす形から攻め上がるシティ。サンダーランドも縦に速い展開から反撃を狙っていく。
互いにシャープで縦に速い展開が続く状況。サンダーランドの得点が高まる状況はシティにとっては雲行きが怪しい状況ではあるが、なんとか無失点で粘って時計の針を進めていく。
すると、65分にフォーデンがゴールを決めてリードは3点差に。接戦であれば粘ることができるサンダーランドもこの3点目で意気消沈。最後にはオニエンの不要な退場で出場停止がついてくるというおまけまでもらってしまう。
直近2試合に勝ちながら残した課題の反省を生かしたシティ。勝ちながら修正という最高の形で連勝を重ねた。
ひとこと
ディアスのミドルという試合の動かし方がすごかった。
試合結果
2025.12.6
プレミアリーグ 第15節
マンチェスター・シティ 3-0 サンダーランド
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:31′ ディアス, 35′ グバルディオル, 65′ フォーデン
主審:アンディ・マドレー
エバートン【10位】×ノッティンガム・フォレスト【16位】

2分の先制点から主導権を譲らず
試合は早々に動く立ち上がり。セットプレーからのデューズバリー=ホールの角度のあるシュートがオウンゴールを誘発。ホームのエバートンがいきなり先制点を奪い取る。
先制したこともありポゼッションは安定しているエバートン。左右のDFラインを使いながら広げつつ、中盤中央にスペースを作りここから左右に散らしていく。デューズバリー=ホールは保持ではもちろんのこと、非保持においても十分なフィルター性能を見せたと言えるだろう。
フォレストはエバートンの中盤がマンツーでタイトであることを踏まえての外循環。サイドから深さをとりつつクロスを入れていく展開。エバートンは大人しくSHが列を下げてボールを受けていく。
エバートンは少しずつプレスを強めて、サイドの守備位置を高い方向にシフト。ショートカウンターから追加点を狙う。フォレストはこうなると逆に丁寧にポゼッション。左右に動かしつつ、CHをうかせてのゲームメイクを行う。
自陣でのつまらないパスミスで攻撃のタームを終わらせてしまうなど、エバートンが微妙にリズムを掴みきれない時間帯。ここでゴールを決めて追いつきたいフォレスト。ポゼッションを織り交ぜてサイドから奥を取っての侵入に手数をかけるなど工夫が見えている。
だが、前半終了間際にスコアを動かしたのはエバートン。ついに高い位置からのプレスがハマって数的優位のショートカウンターが成立。バリーがゴールを決めてリードは複数点に。フォレストは雑なハッチンソンのプレーが完全な命取りになってしまった。
3枚交代で流れを変えにいくフォレスト。フォーメーションを変えないながら右サイドを中心に人を入れ替えることで試合の展開を作りにいく。
だが、後半はエバートンの丁寧なポゼッションに蹂躙されてしまった感。フリーマンとなるグリーリッシュをどのように抑えるかというところを解決できず、逆にタメからボックス内付近に危うい横パスを刺されてしまう場面も目立った。
フォレストは3枚交代を実施した後にイエーツが負傷するなど相変わらず流れが悪い状況。ピックフォードが不安定な分、クロスを放り込むことができれば可能性はないことはなかったが、なかなか反撃までには至らず。
対するエバートンはアルカラスの投入から前線がギアアップ。コールマンが81分に3点目を決めて完全に勝負あり。ホームのエバートンが先制点から終始主導権を握る完勝を果たした。
ひとこと
ハイプレスで決まった2点目がターニングポイントだった。
試合結果
2025.12.6
プレミアリーグ 第15節
エバートン 3-0 ノッティンガム・フォレスト
ヒル・ディッキンソン・スタジアム
【得点者】
EVE:2′ ミレンコヴィッチ(OG), 45+3′ バリー, 81′ コールマン
主審:クリス・カヴァナー
ニューカッスル【12位】×バーンリー【19位】

セーフティムードで完勝
勢いよく入っていったのはバーンリー。前から相手を捕まえていくとセットプレーからチャンスメイク。ラムズデールの怪しいハイボール対応も助ける形となり、手応えのある形を作っていく。
しかしながらニューカッスルは落ち着いてリカバリー。左右のWGにボールをつけて一旦ボールを押し下げると、ここから枚数をかけたサイド攻撃でチャンスを作っていく。抜け出す選手としてリヴラメントがかなり刺さる予感を漂わせていく。
バーンリーが好戦的な序盤戦はカウンターからWGの陣地回復からペースを掴むケースも。両翼のスピードを活かしたプランから斬り合い上等の姿勢を見せる。
バーンリーもIHが同サイドに移動するなどポゼッション的な工夫を見せてはいたが、徐々に試合はニューカッスルのポゼッションの一方的な展開にシフト。6-2-2の形に相手を押し下げながらボックス付近をつっかけ続ける。31分にはセットプレーからギマランイスが先制ゴール。CKを直接入れる形でスコアレスの状態を動かす。
押し下げられた状態だと一発でひっくり返すのは難しいバーンリー。ピレスを起点とする縦パスからの横断で逆サイドまでというショートパスでの組み立てから反撃を狙う。
しかし、そのピレスがエランガのスピードに翻弄される形で退場。10人になったバーンリーはこれ以降押し込まれるように。長い追加タイムもバーンリーの守備を叩き続けたニューカッスルはウゴチュクのハンドからPKを獲得。さらに追加点を上乗せすることでリードを広げる。
迎えた後半、5-3-1で撤退守備を組み直したバーンリーに対して、ニューカッスルは左右から押し下げていく。しかし、バーンリーも奮闘。中盤で体を当てられながらボールをキープするウゴチュクの奮闘もあり、ポゼッションから押し返しにいく。
だが、そうしたバーンリーの反発力も少しずつ減退。ニューカッスルの左サイドからの攻め筋に押し込まれると、なかなか自陣から脱出することができない時間帯に再び突入することに。
2点のリードがあることもあり、数的有利という状況も相まってムードとしてはセーフティ。ウィサのリーグデビューを飾らせるなど試運転をベースとした交代も敢行する。
だが、後半追加タイムにハンドからPKを獲得したバーンリーは遅まきながら1点差まで追い上げる。数少ない残り時間を猛追に費やすが、勝ち点を得るところまでは至らず。試合はニューカッスルが順当に勝利を挙げた。
ひとこと
バーンリー、10人ながらも見事な抵抗力を見せた試合だったと思う。
試合結果
2025.12.6
プレミアリーグ 第15節
ニューカッスル 2-1 バーンリー
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:31′ ギマランイス, 45+8′(PK) ゴードン
BUR:90+4′(PK) フレミング
主審:スチュアート・アットウェル
トッテナム【11位】×ブレントフォード【13位】

今季ベストパフォーマンスを旧友に
13位という順位自体はそこまで悪くはないものの、アウェイでの勝率が極端によくないブレントフォード。アウェイでの連敗を止めるべく乗り込むのは水曜と同じくノース・ロンドン。逆にホームでの成績がなかなか伸びてこないトッテナムとの一戦。フランクとアンドリュースというかつての同僚が敵として激突する試合となる。
どちらも非保持は4-4-2で構える形。バックラインに極端に強いプレスをかけるのではなく、様子を見ながら保持側に解決策を押し付けるような立ち上がりとなった。
保持を押し付けられたバックラインの中でまず口火を切ったのはファン・デ・フェン。華麗なキャンセルからのキャリーでボックス内に入っていく。
バックラインの積極的なスタンスでトッテナムは少しずつ押し込む時間を作るように。左サイドは細かなパスからのチャンスメイクでボックス内に入っていく。
一方のブレントフォードはチアゴへのロングボールを軸として組み立て。しかし、トッテナムはクドゥスのカウンターで縦に速い攻撃に対抗するなど撃ち合いもかかってこいというスタンスだ。
前半の中盤にトッテナムのアタッカーが多く使った手法が右のハーフスペースの裏に抜けていく動き出し。ブレントフォードのDFの背後を取るアクションから押し下げていく。得点までつなげたのはシモンズ。背後に抜けるアクションで完全にブレントフォードの左サイドを切り裂くと、折り返しをリシャルリソンが仕留めて先制。流し込むだけの完璧な崩しを見せたシモンズに0.7点あげたくなるようなゴールだった。
この日はシモンズが絶好調。追加点も彼のカットからのドリブル。レッドブル仕込みを感じさせる見事なトランジッションで前半の終盤にリードを広げる。
細かいパスタッチを見てもこの日のトッテナムには自信を感じられる。一方のブレントフォードはボールを持つ機会があってもU字のポゼッションに終始。パスワークもトッテナムの中盤のスライドがついていける範囲で問題なく対応できた。
後半もトッテナムは優勢。トランジッションからチャンスを作っていく。ハイプレスからの縦の推進力を出していくプランからブレントフォードを飲み込んでいくというプランはこの日のトッテナムの中で共有されていたところ。ヴィカーリオの速いリスタートでカウンターを狙っていくことを2点差でも止めないという非常にアグレッシブなスタンスを維持していた。
ヘンリーの投入で左サイドを活性化したかったブレントフォードだが、後半になっても攻撃のギアはなかなか上がらず。トッテナムはプレータイムを管理を念頭においた余裕の交代で試合をクローズする。
最後まで優位をキープしたトッテナム。後半にもアグレッシブな姿勢で相手に主導権を渡さず、6試合ぶりのプレミアでの勝利を挙げた。
ひとこと
トッテナム、今季ベストの出来ではないか。
試合結果
2025.12.6
プレミアリーグ 第15節
トッテナム 2-0 ブレントフォード
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:25′ リシャルリソン, 43′ シモンズ
主審:ロベルト・ジョーンズ
ボーンマス【14位】×チェルシー【4位】

縦に速い展開ながらも貫く一撃を手にできず
エランド・ロードで手痛い敗戦を喫し、勝ち点を積み上げられなかったチェルシー。アーセナル戦で撃ち込まれたカイセド3試合不在という毒針はじわじわと遅れて効いてきている。今節の相手はボーンマス。持ち味である縦へのシャープさにやや翳りが出てきており、悩ましい時期を過ごしているチームだ。
持ち味を取り戻すようにプレスと縦に速い攻撃を繰り返す立ち上がりとなったボーンマス。その甲斐もあり、トランジッションから右サイドのクロスをセメンヨが叩き込んでネットを揺らす。しかし、これは直前に触ったエヴァニウソンがオフサイド。先制の絶好のチャンスを逃してしまう。
立ち上がりはハイテンポを作り出したボーンマスペース。リーズ戦では後方のユニットの不安定さを露呈したチェルシーはその出来を引きずってしまっているかのような序盤戦だった。しかし、そうしたチェルシーを支えたのはジェームズ。アーセナル戦でも獅子奮迅の活躍を見せたジェームズはこの日はビルドアップの調整役として奮闘。細かく立ち位置を変えながらマンツー気味の相手を外していく。
前への推進力を見せていたデラップも気持ちは見えないこともなかったが、アグレッシブな気持ちがやや裏目に出るような形で相手と組み合ったセットプレーで脱臼。離脱を余儀なくされてしまう。それでもパーマーが安定して運ぶためのスペースを作るためには一定の貢献はしていた。
デラップがいなくなったことでボーンマスのプレス強度がジリっとアップ。ボール奪取の位置が高くなり、敵陣の深い位置でのプレータイムが増えていく。チェルシーはなんとかこの時間を踏ん張りつつスコアレスをキープしてハーフタイムに突入した。
後半もアグレッシブな連携でスタートしたこの試合。バタバタとした流れから両チームのサイドアタッカーであるネトとタヴァニアが早速見せ場を作るなど激しい展開が続く。
サイドアタッカーのシャープさはややチェルシーの方が上。しかしながら、ボーンマスも中央からスコットがキャリーを行うことでチャンスメイク。フォファナの防波堤としての役割が際立つシーンも目についた。
終盤はボーンマスを少しずつ押し込んでいくが決め手がなかなか刺さらないチェルシー。切り札として投入した感のあるエステヴァンも精彩を欠き、ボーンマスのゴールマウスを強襲するところまでは至らない。
結局試合はそのまま終了。縦に速い展開ながらも最後まで相手ゴールをこじ開ける一撃は決まらず。スコアレスドローで勝ち点1を分け合う結果となった。
ひとこと
チェルシー、何よりも欲しかった勝ち点3が手に入らなかった。
試合結果
2025.12.6
プレミアリーグ 第15節
ボーンマス 0-0 チェルシー
ヴァイタリティ・スタジアム
主審:マイケル・オリバー
リーズ【17位】×リバプール【9位】

またしても大仕事を果たした田中碧
アンフィールドでの連勝を逃してしまったリバプール。試練が続く今節の舞台はエランド・ロード。昇格組との一戦とはいえ、熱狂が渦巻くホームサポーターが作り出す雰囲気は今のナイーブなリバプールにとっては大きな不安要素と言えるだろう。
序盤はロングカウンターの応酬。リーズはGKまでプレスを引き込むところから一気に長いレンジのパスを入れることで前進。セカンド回収から左右に展開すると、そこからのクロスでチャンスを作っていく。
一方のリバプールも縦に速い攻撃からスタート。シャープなロングカウンターでアグレッシブなリーズのプレスに対応していく。
10分が過ぎると少しずつリバプールがポゼッションに移行。左サイドにケルケズやジョーンズといった選手が立つことでリーズの2トップの脇に起点を作っていく。この左サイドからの枚数をかけた攻撃で敵陣に。ローテーションの一角としてもフリーになった時の働きとしてもジョーンズのこの日の働きは上々のものだったと言えるだろう。押し込んでのセットプレーからのファン・ダイクはリーズにとって脅威だった。
ただ、あらゆる局面を見てみればリーズはきっちりとリバプールと組み合うことができたと言えるだろう。前に当てるところからデュエル勝負に持ち込むことができれば、中盤では当たり負けをしないし、何よりワンプレーごとにスタジアムが着火したように盛り上がる。剛の強さだけでなく、柔らかなアンパドゥの身のこなしなどポゼッションからも前進することができていた。
後半も展開はキープ。だが、組み合うリーズに痛恨のミス。ロドンのパスミスをさらったエキティケがゴールを仕留めてアウェイチームが先制する。さらに間髪入れない時間帯でエキティケがさらに追加点。リードを広げていく。
だが、ここからでも諦めないのがエランド・ロードのリーズ。ボックス内でキャルバート=ルーウィンが空中戦で粘りつつ、組み立てではアンパドゥが躍動。4バックにシフトして攻撃の枚数を増やしてさらに攻撃を増やしていくと、ニョントの突破がPKを呼び込むことに。
1点差となったリーズは立て続けにゴール。今度は背中背中を取るプレーの連続で最後はシュタハがゴールを決める。
追いつかれたリバプールだが、非常に冷静に追加点。抜け出したショボスライが強かにゴールを決めて再びリードを奪う。ゴールの決め方的にはもうこれで決まりか?と思われたが、勝ち逃げムードを台無しにしたのは田中碧。セットプレーからの2試合連続ゴールで後半ATにリーズが再び同点に追いつく。
ギリギリで勝利を逃したリバプール。試合後の大騒動を踏まえればこの試合で失ったものは2ポイント以上に大きかったかもしれない。
ひとこと
田中碧、大舞台になればなるほどバフがかかる仕組みなのは相変わらず。
試合結果
2025.12.6
プレミアリーグ 第15節
リーズ 3-3 リバプール
エランド・ロード
【得点者】
LEE:73′(PK) キャルバート=ルーウィン, 75′ シュタッハ, 90+6′ 田中碧
LIV:48′ 50′ エキティケ, 80′ ショボスライ
主審:アンソニー・テイラー
ブライトン【7位】×ウェストハム【18位】

またしてもクローズに失敗
序盤からボールを持つのはブライトン。ウェストハムの3-4-1-2型の守備はブライトンにとってはやや想定外だったかもしれないが、ゆったりとボールを持ちながら対抗。中央を固める分、サイドは浮きやすいという構造の3-4-1-2に対して、最近のブライトンのトレンドであるカディオールとデ・クーパーを併用する左サイドの攻めはカジュアルに利用できていた。
ウェストハムの守備は全体的に僅かに距離が遠め。本来閉じたい中央もラターに前を向かれるなどあまり閉じきれないいないのは気になった部分ではある。
ウェストハムの保持は基本的にはボーウェンとサマーフィルのスピード勝負。ライン間でパケタがフリーになれば、そこから背後を狙うことができる。実際、そういう場面は稀でなかなか前進に苦労。15分が過ぎたあたりからはボールをゆったり持てるようにはなるが、ゆったり持ちながら押し下げても崩しのところで解決策が見出せないという苦しい展開になった。
ブライトンも右サイドのミンテからファーへのクロスを狙うが、人が多いウェストハムの守備に対してニアで陣形を動かせずに苦戦。やや単調さが目につく。同様にサマーフィル、ボーウェンで背後を狙うウェストハムもシンプルさゆえに相手の守備に先読みされてしまい、なかなか先回りすることができなかった。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半も前半と陸続き。その中でやや変化があったのはウェストハムの方。定点攻撃においては2トップがサイドに流れることで攻撃の指揮を取るなど、前半と異なる傾向もちらほら。
それでも楽に攻撃に打って出ることができるのはカウンター。サマーフィルとボーウェンからファストブレイクでブライトンのバックラインにスピード勝負を挑んでいく。
ゴールを決めた73分の速攻は見事の一言。やや外に流れたように見えたボールだが、先に触ってそのまま素晴らしいコースに流し込む。
左右のサイドから攻勢を強めるブライトン。押し込むところからハーフスペースアタックなどでさらにチャンスを広げていく。
きっちりと5-4-1で構え直したウェストハムの守備ブロックを切り崩したのは後半追加タイム。ラターのシュートで水際で試合を振り出しに戻す。またしてもクローズに失敗したウェストハム。目の前に勝ち点3を落とすこととなった。
ひとこと
今節は若干仕方ない感があるとはいえ、またしてもクローズに失敗した感があるウェストハム。
試合結果
2025.12.7
プレミアリーグ 第15節
ブライトン 1-1 ウェストハム
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:90+1′ ラター
WHU:73′ ボーウェン
主審:サイモン・フーパー
フラム【15位】×クリスタル・パレス【5位】

接戦はセットプレーが決め手に
序盤からボールを持つのはフラム。アンデルセンとバッシーの配球からボールを動かしていく。パレスはミドルゾーンに構えながらコンパクトな陣形を維持しつつ、ホルダー近くの選手が動きながらプレッシャーとの両立を図っていく。
フラムの組み立てはアンデルセンの長いパスを駆使しつつ、左サイドでポジション変えながらカスターニュ、イウォビ、スミス・ロウなどからチャンスを作っていく。左サイドの細かいポジションチェンジからチャンスを作っていく形は今季のフラムではあまり見られなかった光景で練度が少しずつ上がってきた証左かもしれない。
外循環のポゼッションからセットプレーでチャンスを作っていくのはクリスタル・パレス。ジリジリとした形でチャンスを動かしていく。徐々に押し込んでいくパレスは見事なパスワークから先制。裏の鎌田を囮に手前でボールを受けたエンケティアが豪快にシュートを打ち込む。
反撃に出たいフラムは左サイドから。パスワークに絡めてチュクウェゼのアナーキーなドリブルからチャンスを作っていく。プレスが下がったパレスに対して、フラムは前線の動き出しとアンデルセンの配球力を絡めつつ押し込んでいく。パレスはサールがいない影響もあり、いつものようなファストブレイクの馬力が出ない状態だった。
すると、フラムは素晴らしい連携からゴール。好調のウィルソンとヒメネスの細かいパスの連打からゴールをこじ開ける。
同点ゴールを決めたフラムは後半も引き続き攻勢に。インサイドとアウトサイドを使い分けながらフラムのゴールに迫っていく。スミス・ロウがネットを揺らす場面を作ったが、これは惜しくもオフサイド。それでも内側に差し込むパスが効いているからこそのシーンではあった。
序盤は押し込まれたパレスも間をクリティカルに繋いでいく形を作るなど、徐々にリカバリーに成功。試合は一進一退の攻防に。そうした中でパレスはマテタを下げるという賭けに出る。交代で入ったウチェはポストからのチャンスメイクで根性を見せていく。
タイスコアで推移した終盤はセットプレーで決着。グエイの一撃で勝利を手にしたのはぱれす。なかなか一方的に主導権を持ってこれない接戦をものにしたのは上位に君臨するパレス。粘るフラムを振り切って上位にキャッチアップする勝ち点3を積み上げた。
ひとこと
パレス、好調のチームらしいしたたかさだった。
試合結果
2025.12.7
プレミアリーグ 第15節
フラム 1-2 クリスタル・パレス
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:38′ ウィルソン
CRY:20′ エンケティア, 87′ グエーイ
主審:サム・バロット
ウォルバーハンプトン【20位】×マンチェスター・ユナイテッド【8位】

生き生きする速攻祭り開催でモリニューを冷え込ませる
ミラーフォーメーションということで序盤から積極的にボールハントを行っていくウルブス。しかしながら、反転するムベウモや逆サイドに出張するクーニャなどユナイテッドはシャドーの動きからこの奇襲を鎮圧。落ち着いたボール保持で試合を進めていく。
徐々に試合はユナイテッドのゆったりとした保持に移行。押し込むところからは右のユニットから崩しを模索する。ディアロ、ムベウモもライン交換もすっかり板についており、特にディアロが大外固定から外れたのは後方のCBに幅を取ることができるマズラヴィが起用されていることも大きい。
シャドーの個の力だけでなくあらゆるところでのポジションチェンジを繰り返すことでウルブスにマークの受け渡しを発生させるユナイテッド。押し込むことに成功すると、セットプレーでも相手よりも先に触るシーンを繰り返し、いつゴールが生まれてもおかしくない状況だった。
ウルブスも保持に回れば噛み合わせられている状況をどうにかしなきゃいけないのは同じ。アリアスとベルガルドが縦に重なることでギャップを作るなどこちらも工夫を見せる。
しかし、先行したのはユナイテッド。ハイプレスからカゼミーロがボールを奪うことに成功すると、そこからのショートカウンターをブルーノが沈めてゴール。さらに立て続けにワンタッチから右サイドを切り裂くなどチャンスを作る時間が続く。前半の終盤は水際で相手の攻撃を食い止めるトティ・ゴメスが多く目撃された。
反撃に出たいウルブスは受けに回ったユナイテッドに対してポゼッションを強める展開に。どうにかしてCHが前をむけばスピードアップができるので、そのためにアバウトなロングボールでわちゃわちゃを作り、セカンド回収からCHが前を向いて背後というのが基本プランの中で前線の関係性からチャンスを作りにいく。
とにかくウルブスは試行回数勝負。迷わずボックス内にクロスを入れることでユナイテッドを繰り返し殴っていく。前半追加タイムのベルガルドのゴールはまさに試行回数の賜物と言えるだろう。
だが、後半は再びペースはユナイテッドに。右サイドからガンガン背後を取って猛攻を仕掛ける。中盤でフリーマンを作ってスムーズに背後を取る形を作り続けると前半もあったダロトの抜け出しでジョンストンの飛び出しを誘発。無人のゴールにムベウモが流し込んでリードを再び得る。
ここからは完全にペースはユナイテッド。ブルーノが生き生きするような速攻祭りが開催できる中盤のスペースが生まれ、ガンガンユナイテッドは縦に進んでいくように。前線を囮にマウントが後方から飛び出して生んだ3点目までいつユナイテッドに追加点が生まれてもおかしくない時間帯だった。
4点目となるハンドでのPKでモリニューの観客の多くはグラウンドに背を向けてスタンドから去る素振りを見せる。冷え込みが始まった冬のようにウルブスにとっては非常に厳しい敗戦となった。
ひとこと
後半はワンサイド。ユナイテッドの勝ち以外はありえない内容だった。
試合結果
2025.12.8
プレミアリーグ 第15節
ウォルバーハンプトン 1-4 マンチェスター・ユナイテッド
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:45+2′ ベルガルド
Man Utd:25‘ 82′(PK) ブルーノ・フェルナンデス, 51′ ムベウモ, 62′ マウント
主審:マイケル・サリスバリー
今節のベストイレブン

