チェルシー【5位】×エバートン【7位】

3連戦最後は勝利で
カイセドの不在期間でここまで2つ勝てていないチェルシー。ホームに戻っての一戦でなんとか最後は勝ち点3で締めくくりたいところではあるだろう。
チェルシーの保持は3-2-5。中盤が3枚以上に変形する形でエバートンの中盤3枚のマンツーを外していく。特に右のネトに預ける形は有望で彼に時間を与えることでパーマー、グストとのトライアングルでの攻撃にシフトできる。内にも入っていくグストに対して、グリーリッシュがどこまでついていくか?という点は曖昧だったため、サイドのトライアングルでの攻撃はチェルシーに手応えがあった形ではあった。
エバートンはセットプレーからチャンスを作るなど悪い立ち上がりではなかったが、デューズバリー=ホールの負傷などこの先を見据えたところも含めた不安要素が出てくる。さらにはチェルシーに定点攻撃から先制ゴールをあっさりと。グストからパーマーに繋いだ先制点は3-2-5で4-4-2を攻略するときのお手本のような形であった。
このゴールでチェルシーはプレスにもいい流れが。ワンサイドに追い込むような形から高い位置でエバートンのビルドアップを阻害する。エバートンもワンサイドカットからのハイプレスは狙っていたが、大きな展開でネトにボールを預けられると一気に押し下げられるという状況に持ち込まれていた。
展開を変えたのは右サイドのオブライエンのオーバーラップだろう。グリーリッシュと同じく上がっていくSBにベタつきしなかったガルナチョがオブライエンを開けてしまうことで、エバートンは右サイドからのクロスを乱発。決定機を迎えたシーンも。逆サイドのグリーリッシュの仕掛けを含めてエバートンが優位に立った時間帯だった。
だが、サイド攻撃で優位を取られたとしてもネトを軸とした攻撃の機能性は維持されている。前半の終了間際もこの右サイドの関係性をファストブレイク気味に生かしてグストが追加点。チェルシーが効率よくリードを広げてハーフタイムを迎える。
後半もペースはチェルシー。サイドにボールを当てつつ、マイナスのパスで中盤をフリーにする形で盤面を握る。エバートンは前線からの守備が制限をかけられず、プレスバックが甘い状況で中盤にスペースができてしまった。
フリーになった中盤から右サイドで手数をかける形と裏に狙う形からチャンスメイク。しかし、ガルナチョが度重なる決定機を決められず、リードは2点のままだ。
エバートンはマイコレイコのオーバーラップの形を作れればチャンスになりそうだが、そうした形は限定的。チャロバーとフォファナのCBの跳ね返しも非常に安定。サンチェスの間合いを外したエンジアイの決定機などチャンスは少ないわけではなかったが、そこは前線のアタッカー陣の失い方も関与してくるところ。エステヴァンは少しお疲れのタームに入ってしまったかもしれない。
終盤は増えてきたマイコレンコのオーバーラップからのチャンスを防ぎ切ったチェルシー。カイセド不在の3連戦の最後を勝利で飾った。
ひとこと
今のチェルシーは後ろの出来が天井を決めている感があるなと思った試合だった。
試合結果
2025.12.13
プレミアリーグ 第16節
チェルシー 2-0 エバートン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
EVE:21′ パーマー, 45′ グスト
主審:トーマス・ブラモール
リバプール【10位】×ブライトン【8位】

欲しいものを取り戻したアンフィールド
インテルに勝利を挙げてまたしても首の皮がつながった感があるスロットのリバプール。不振の本拠地でも勝利を挙げて上昇気流に乗っていきたいところだろう。
そんな願いをかなえるかのようにリバプールは早々にゴール。立ち合いの流れの中から行ったハイプレスから引き出したバタバタとしたプレーを見逃さず。エキティケが1分も経たないうちに先制点を仕留める。
早々に先制点が入ったことにより試合は沈静化する。リバプールは特にバックスへのプレスに行かず、列落ちをする前線や中盤にはあまり興味のない様子。インサイドのレシーバーには時折絞ってボールを受けるウィーファーも参加。浮いた選手に縦パスをつけることができればここから右のミンテにボールを展開し、1on1で攻撃を仕掛けていく。
一方のリバプールの保持もカーティスの左落ちなど中盤の降りるアクションから。ブライトンはリバプールと異なり、降りる選手に対してはハイプレスに出ていく姿勢だったが、単発である上にリアクションなのでかなりの頻度で後手に回る。
中央で時間が作れるリバプールはビルドアップが免除されたSBへの展開から前進。特に右サイドはSHのショボスライのオフザボールの動きが秀逸で奥を取ることができた。逆のSHのヴィルツは中央に加わってむしろズレを作る側であった。
保持局面が安定していたリバプールはゴメスの負傷にも冷静に対応。サラーが入ってからは右の大外をサラーに託す形に変更し、引き続き浮いた中央からチャンスを作っていく。ヴィルツのアクションは板についており、ほかの選手が上がるアクションと噛み合わせて中央突破ができるなど、少しずつなじんでいく様子を見せた。
ボールを奪い返せないブライトンはセットプレーに対するカウンターからミンテの一本足打法に。しかし、これはコナテを軸としたバックラインに落ち着いていなされてしまう。サラーがいるサイドから突っつくことはもっと狙いたかったが、あまりそういう素振りは見られなかった。
後半もペースを握ったのはリバプール。右サイドからのファストブレイクでゴメスが決定機を迎えたシーンもあったが、基本的には単発。ダンクの不安定さを突くようなエキティケを終点としたロングカウンターからチャンスを作っていく。
するとセットプレーから追加点を得るリバプール。驚くくらいドフリーのエキティケからゴールを決める。
ブライトンは三笘を投入することで左サイドにテコ入れ。ワンツーからごりっと侵入するシーンを見せるなど見せ場はあったが、反撃の決め手まではいかなかった印象。三笘個人にスポットを当てるのであれば、復帰戦なのでこんなものかなという感じもする。
最後にサラーの決定機が決まらなかったのはご愛敬ではあるが、リバプールはアンフィールドでようやく完勝。欲しかった本拠地での笑顔のフルタイムを迎えることとなった。
ひとこと
ブライトン、好調の流れをせき止めてしまう内容の負け方だった。
試合結果
2025.12.13
プレミアリーグ 第16節
リバプール 2-0 ブライトン
アンフィールド
【得点者】
LIV:1′ 60′ エキティケ
主審:クレイグ・ポーソン
バーンリー【19位】×フラム【15位】

クオリティを見せつける3ゴール
徐々に内容の良化は見られる一方で勝ち点の積み上げにはつながっていないフラム。一刻も早く残留争いのボーダーから離れるために勝ち点の近いバーンリーとの一戦は確実にものにしておきたいところだろう。
しかし、序盤から積極策が目立ったのはバーンリー。相手のバックパスに対して列を上げてプレスにいき、圧力をかけてマイボールを奪取。敵陣でのプレーを増やしていく。自陣での守備となればSHを思い切り下げる6-2-2型に移行。この2つを使い分けながら守備をしていく。
徐々にポゼッションを増やしながらバーンリーに6-2-2型の時間を強いるようになったフラム。オーソドックスな配置ながらも速いテンポのパス回しで相手を振り切っていく。
セットプレーから試合を動かしたのはフラム。ニアに入り込んだスミス・ロウが見事なゴールを打ち込む。ストーン役のハートマンは痛恨の空振りで完全にスミス・ロウに得点機会をプレゼントしてしまった格好だった。
しかし、バーンリーも反撃。不慣れな4-3-3のポゼッションも徐々にアンカーを解放するアクションが目立ってくるように。すると21分のゴールは素晴らしいポゼッションから。ブロヤで裏に引っ張りつつライン間に入ったラーセンがアンカーのカレンを解放。そこからのラストパスをウゴチュクが仕留めてゴール。見応え抜群の一撃で試合を振り出しに戻す。
3-2-5の保持から押し込むフェーズを取り返したフラムは再びセットプレーから加点。左サイドで神トラップを見せたウィルソンからバッシーがフリーでヘディングを決めてゴール。
失点したバーンリーは前半終盤に再びボールを持つタームを得る。同じくセットプレーからファーのエステーヴが決定機を迎えるが、ネットを揺らすことはできず。試合はフラムのリードでハーフタイムを迎える。
後半、バーンリーはハイプレスから勝負に出ていく。フラムはがっちりこのハイプレスを受け止める形で対抗。特に自陣で相手を止めた後に敵陣までドリブルで入っていったバッシーは異質だった。
プレス回避が安定してきたフラムはミドルゾーンで加速した攻撃に打って出ることができるように。スミス・ロウ、チュクウェゼのキャリーから最後に仕留めたのはウィルソン。力の抜けたフィニッシュとネットを揺らす前にセレブレーションに動き出すところを見ると、今は本当に調子がいいのだなと思う。フラムにとっては大きな3点目が入る。
ハイプレスがハマらなかったバーンリーは保持の時間が長くなる中で得点の可能性を模索。フラムの4-4-2のミドルブロックに対して、バーンリーは得点できる可能性を探っていく。フレミングのタッチダウンパスなど奥行きのある攻撃を織り交ぜながら攻撃を仕掛けていく。
ソンヌのゴールから1点差に迫るバーンリーだが、反撃もここまで。優位をきっちりと勝利に結びつけたフラムがクオリティを見せつける3ゴールで完勝を飾った。
ひとこと
フラム、いい感じに仕上がってきたように思う。
試合結果
2025.12.13
プレミアリーグ 第16節
バーンリー 2-3 フラム
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:21′ ウゴチュク, 86′ ソンヌ
FUL:9′ スミス・ロウ, 31′ バッシー, 56′ ウィルソン
主審:マイケル・オリバー
アーセナル【1位】×ウォルバーハンプトン【20位】

冷や汗で積み重ねた3ポイント
レビューはこちら

アウェイでの苦戦が続くアーセナル。シティとアストンビラがジリジリと迫る中で迎えるホームでのウルブス戦は必勝だ。
序盤からボールを持つのはアーセナル。バックラインとスビメンディに全くプレスにこないウルブスに対して、サイドにいい形でボールをつけることは特に難しくはなかった。サイドにボールをつけてアーセナルはサカを起点としてサイドアタックで勝負を仕掛けていく。
しかし、この日のアーセナルはこのサカ以外の武器が冴えなかった。逆サイドのマルティネッリは前を向くことを制限してくるドハーティに苦戦。押し込める日には大きなチャンスになるはずのセットプレーも逆噴射。ウルブスにカウンターからヒチャンの独走を許すなど逆に相手にチャンスを与えてしまう格好になった。
だが、ウルブスも決していい戦いができていたとは言えないだろう。ロングカウンターとして成立するのはあくまでアーセナルのミスが絡んだ時だけ。それ以外は単発のプレスのみがチャンスのきっかけになっており、なかなか能動的にチャンスをつかめない。
それでもウルブスにとって救いだったのはバックラインの安定感があったことだろう。トティ・ゴメスはハーフスペース裏の対応をかなりケアしていたし、アグバドゥは空中戦での跳ね返しで優位に。マルティネッリを抑え込んだドハーティを含めて奮闘が目立つ展開となった。
後半も立ち上がりは同じ流れ。右サイドを軸に攻めるアーセナルに対して、ウルブスは耐えながらカウンターを狙っていく展開。アーセナルは左サイドにトロサールを入れることで逆サイドにも攻め筋を構築する。
押し込む展開を作ったアーセナルはセットプレーから先制点。サカのキックがジョンストンのオウンゴールを誘ってリードを奪う。
ここからアグレッシブな姿勢を見せるウルブス。CBのキャリーやアロコダレを使ったロングボールから反撃に。アーセナルはひっくり返しかける場面もなくはなかったが、大事なところでのミスが先立ってしまい、追加点を仕留めるところまでは至らず。
ジェズスの背後でボールを受けるジョアン・ゴメスが徐々に幅を利かすようになると、だんだんとアーセナルのボックス内の対応は冷や汗をかくように。すると、左サイドからのマネのライナー性のクロスをアロコダレが仕留めて勝ち越し。土壇場で同点に持ち込む。
冷や汗をかいたアーセナルだが、後半追加タイムに右サイドからのクロスで何とか加点。因縁のモスケラのオウンゴールで再びリードを奪う。肝を冷やしながらも勝利を手にしたアーセナル。粘りを見せたウルブスを振り切り、首位をキープする勝ち点を手にした。
ひとこと
エドワーズ就任後としてはウルブスはベストパフォーマンスだったように思う。
試合結果
2025.12.13
プレミアリーグ
第16節
アーセナル 2-1 ウォルバーハンプトン
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:70‘ ジョンストン(OG), 90+4‘ モスケラ(OG)
WOL:90’ アロコダレ
主審:ロベルト・ジョーンズ
クリスタル・パレス【4位】×マンチェスター・シティ【2位】

終わってみれば完勝
徐々に連勝を伸ばしていきアーセナル追撃体制が整っているシティ。4位を調子を上げているパレスの本拠地を攻略し、首位の背中にピタッとついていきたいところだろう。
序盤からボールを持つのはシティ。ドクがいなくともいつものように左サイドハーフのフォーデンは内側に絞りながら外を開ける形。パレスの5-4-1ブロックに対して穴を開ける場所を探していく。
パレスは特にベタ引きというわけではなく、相手のマイナス方向のパスに押し上げるアクションを敢行。隙があれば列を上げるアクションからプレッシャーを強めていく。そうすることで徐々に攻撃に転じた時の位置を高め、カウンターからのシュートまでの形を射程圏内に持っていく。
パレスはポゼッションでも好調。3バックからの縦パスで中盤が簡単にターン。ここから前線へのラストパスからチャンスを作っていく。この日、チャンスが多く巡ってきたのはピノ。彼が確かな決定力を見せていれば、おそらくはパレスは前半に先制点を手にしていたはずだった。
段々とパレスの圧力を退けて保持モードに入るシティ。だが、サイドを変えながら隙を作っていこうというアクションにも関わらず、ギャップに入り込めないまま時間だけが経過する。
だが、ワンチャンスからシティは先手を奪う。ヌネスが上げたクロスに対してリチャーズがあまりにもあっさりとマークを外してしまい、ハーランドが高い打点からゴール。一瞬の隙から先制ゴールを生み出し、シティはリードでハーフタイムを迎える。
後半、追いかけるパレスがボールを持つスタート。広く使いながらのポゼッションで相手を押し下げてサイドアタック。ボールをロストしたところからもスムーズに相手を潰してカウンターを打つなどチャンスを多く迎えた。サールの一発裏抜けのような決定的なチャンスもあったが、角度があったこともありサールはシュートを打てず。チャンスをフイにしてしまう。
シティは序盤の波を凌ぎ切ると落ち着いたポゼッションからリカバリー。後半もひたすらライン間に人を置くことで中央でフリーマンを作って前進。時にはアンカーのゴンサレスが一列前に入ることもあった。
集中的に狙っていたライン間からシティは追加点。ドリブルで加速したチェルキが相手を引きつけると見事なリリースでフォーデンにアシスト。狙い澄ましたシュートで追加点を奪う。
追加点の直後に鎌田が負傷してしまったこともあり、反撃ムードは下火。シティはゆったりと残りの時間を過ごしていく。
最後にはサヴィーニョが独走でPKを獲得。このPKをハーランドが仕留めて試合の幕引き。強かにアウェイでゴールを重ねたシティが連勝を伸ばした。
ひとこと
圧倒!という感じではないのだけども、終わってみれば完勝という試合運びのうまさと決定力を感じる試合だった。
試合結果
2025.12.14
プレミアリーグ 第16節
クリスタル・パレス 0-3 マンチェスター・シティ
セルハースト・パーク
【得点者】
Man City:41′ 89′(PK) ハーランド, 69′ フォーデン
主審:ダレン・イングランド
サンダーランド【9位】×ニューカッスル【12位】

プレゼントゴールを余裕を持って守り切る
およそ10年ぶりの開催となったウェア・タイン・ダービー。3部への降格に苦しむ時期もあった中で今季プレミアに帰ってきたサンダーランドと、サウジアラビア資本の注入でCLにも参戦したニューカッスルではこの10年はかなり違うものだった。だが、今のところ今季のプレミアにおいてはサンダーランドが上。台風の目となっているダークホースがCL帰りの宿敵を堂々とホームで迎え撃つという構図だった。
ニューカッスルは4-5-1のフラットな布陣でブロックを構築。ある程度サンダーランドにボールを持たせる形だった。サンダーランドは強豪相手には5-4-1でのスタートもある今季だが、ダービーでは4バックでガッツリ組み合うことを示唆していく布陣となる。
序盤からキーになったのはサンダーランドの左サイド。ヴォルテマーデの脇を起点としてサディクやアルデレーテがニューカッスルの2列目に前に出てくることを促す。ギマランイスが前に出ていくとアンカーのジャカを活用して出てきたスペースの背後をつくパスを差し込んでいく。
ジャカは自在にボールを動かすことができたことはサンダーランドにとっては大きかったと言えるだろう。ここからサイドに安定してボールをつけることができることで、サンダーランドは一方的に押し下げていく。
ヴォルテマーデは厳しくジャカにマークにつくことを命じられない分、トランジッションの起点となることを求められた感があった。右サイドでボールを奪い、エランガとヴォルテマーデのコンビネーションから敵陣に一気にカウンターで進んでいく形がニューカッスルの理想。ギマランイスの背後を狙うところとどちらが自分たちの色を出せるかの鍔迫り合いだったが、どちらかといえばサンダーランドの方が狙い通りの動かし方ができたと言えるだろう。
ただ、20分が過ぎたところで少しずつ試合はダービーモードに。特にヴォルテマーデの縦パスに対して厳しくチェックする意識が高かったサンダーランドに少しずつファウルが嵩んでいく。細かいファウルから徐々にテンションが上がっていくとムキエレのバーンへのタックルでついに負傷者が出てしまう。
やや乱闘に軸足が置かれた展開は保持側の雑なプレーから敵陣に入っていけない展開が続く。緊張感が高まる一方でゴールの予感はなかなか出てこないというジリジリした展開で試合はハーフタイムを迎える。
後半、早々に試合は動く。右サイドからのムキエレのクロスをヴォルテマーデがオウンゴール。後ろの状況はわからないといえばわからないのだけども、彼がボールを触らなければ後方でティアウが余裕を持ってクリアができそうだったの切ない。オウンゴールにしてはあまりにも見事なヘッダーでサンダーランドにプレゼントゴールを与えてしまう。
以降も試合はサンダーランドが優位。左サイドのタルビは前半から初速でリヴラメントをあっさりとおいていくことで敵陣に進撃していたし、退場しそうだったもののハーフタイムに残す決断をしたブロビーは攻撃の起点として存在感抜群。引き続き優勢をキープする。
ヒュームを投入したところでサンダーランドは4-5-1と5-4-1を使い分けるような布陣を作っていく。カウンターはタルビからスイッチされたマンドルとイシドールのコンビから攻撃を少人数で完結させていくイメージである。
保持の時間が増えてクロスから敵陣に入っていくニューカッスル。しかし、どのセクションにおいても明確に優位なマッチアップを作ることができず。安定した跳ね返しを見せるサンダーランドに有効な攻撃を打ち込むことができない。
最小得点差ながら余裕を持ったゲームクローズに成功したサンダーランド。今季の勢いをそのままに因縁のライバルを蹴落としての勝利を手にした。
ひとこと
試合後に集合写真撮ってるのは笑った。スタジアム・オブ・ライトはまるで昇格が決まったかのようなテンションだった。
試合結果
2025.12.14
プレミアリーグ 第16節
サンダーランド 1-0 ニューカッスル
スタジアム・オブ・ライト
【得点者】
SUN:46′ ヴォルテマーデ(OG)
主審:ピーター・バンクス
ノッティンガム・フォレスト【17位】×トッテナム【11位】

3歩進んで3歩下がる
前節、ようやく快勝と言える結果を出したトッテナム。一気に連勝を重ねて欧州カップ戦争いに食い込んでいきたいところ。今季ここまで苦しんでいるフォレストの本拠地に乗り込んでの一戦に挑む。
最近板についてきたテンポの良いフォレストのボール回しでスタート。トッテナムはワンサイドに追い込みながらハイプレスに出ていこうとするが、フォレストは左右に大きい展開を織り交ぜながらテンポを作っていく。
トッテナムのプレスを押し下げると右サイドを中心にオーバーラップからクロスでボックスに迫っていくフォレスト。ずるずると自陣側でのプレーが増えるトッテナムに対して、徐々にフォレストはムリージョ起点の縦パスからインサイドを攻める形も作る。
トッテナムのポゼッションはオーソドックスな配置にシモンズが降りるアクションでプラス1を上乗せする。4-4-2のミドルブロックに対して、アンカーが背中を向いて受ける形から少ないタッチで叩き、ファン・デ・フェンを解放する。
失敗してもリトリートが間に合う範囲の加速しかされなかったフォレストは少しずつプレスを強めていく。すると、アンカー位置に落ちたグレイが潰されたところで失点。ハドソン・オドイが先制ゴールを決める。ヴィカーリオのパスはやや地雷っぽかったが、ワンタッチでCBを解放するという形があるのであれば、確かにパスを出す余裕もなくはなかったので、受ける側にも多少の責任はあったように思える。
グレイは失点を跳ね返すかのように反転から豪快なシュートを見せるが、これはヴィクトルがストップ。簡単に反撃を許さない。トッテナムは右サイドのクドゥスから攻め筋を探るが中央へのカットインはCHが網を張っているところに飛び込んでしまっている感があったし、ハドソン・オドイのプレスバックも強烈でなかなか打開策にはならなかった。
1on1でも優位を取れないトッテナム。なかなかフォレストのボックス内にアプローチできる方策がない状態が続く。得点後もフォレストペースが続いた試合だった。
後半もポゼッションからトッテナムのプレスを外したフォレストは左サイドからハドソン・オドイがクロス性のシュートを決めて追加点。さらにリードを広げる。トッテナムはそもそも自陣からの脱出がままならず。ようやくプレスを振り切ったと思ったら、ガッチリと構えるフォレストの守備に対してきっかけが掴めない。
時折、フォレストに綻びがあるようなシーンもあるが、トッテナムはカウンターをつまらないミスで潰してしまう。前節の手応えはあっさりと消え去ってしまったかのようだった。
極めつけとなるサンガレのミドルで試合は完全に決着。AFCON前の置き土産で完勝に花を添えた。90分間試合を支配したフォレストがトッテナムに完勝。大きな勝ち点3を手に入れた。
ひとこと
トッテナム、3歩進んで3歩下がったような試合。フォレストを何一つ上回ることができなかった。
試合結果
2025.12.14
プレミアリーグ 第16節
ノッティンガム・フォレスト 3-0 トッテナム
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:28′ 50′ ハドソン・オドイ, 79′ サンガレ
主審:サム・バロット
ウェストハム【18位】×アストンビラ【3位】

対策を突破し勢いを増す連勝
立ち上がりからウェストハムの仕掛けが先制点につながる。流れの中からのハイプレスからマティアス・フェルナンデスがゴール。1分も経たないうちからリードを奪う。
ウェストハムは非保持ではきっちりとアストンビラ対策を敢行。4-3-1-2と中央を固めるプランであくまで中央で突っかける隙間を作りたいアストンビラを封殺。サイドからボールを運ぶのは容易だが、サイドでギャップを作れるワイドアタッカーはいないという悩みを顕在化させる。
一番怖いロジャースはワン=ビサカが前を向く前に封殺。時間を稼いでいる間に中盤が自陣を埋めるという形からスペースを埋める。
勝負したいところから勝負ができている!という状況を作れたウェストハムであったが、シンプルなサイドからのクロスで失点。ワトキンスと競り合ったマヴロパノスがオウンゴールを喫してしまう。この形であればある程度深くえぐられることは許容しなければいけないので、耐空性能であっさりいかれるというのはできれば避けたい形ではあった。
ウェストハムの保持はポッツのサリーから数的優位を確保。サイドからギャップを作ることで外循環の状態から奥を取りに行く。すると、ディウフのバックドアから追加点。ハンドっぽい?と一瞬時は止まったが、確認の必要はなし。チェックをする前にボーウェンが素晴らしいゴールで勝ち越しゴールを奪う。
リードしたウェストハムは4-3-1-2から2トップがSHに変化するような4-5-1にシフト。クロスを上げる手前のサイドのチェックをマークしていく。
アストンビラは保持の時間が長くなるが、ウェストハムは余裕を持った対応ができるように。ロングカウンターベースの戦い方になるウェストハムもサマーフィルとボーウェンで攻めきれる感じではないが、無理に進めないとなれば手数をかけたポゼッションに移行するなど柔軟な姿勢を見せていく。
後半、ウェストハムはじりっとしたハイプレスからスタート。前半の立ち上がりの二匹目のどじょうを狙う形からさらに追加点を狙う。
しかし、ポゼッションからのエラーをとがめられる形で逆に失点。パケタのタメからディウフの攻め上がりを使おうと思ったところでロスト。ティーレマンスがサイドから背後を取り、そこからのクロスをロジャースが仕留めて同点ゴールを決める。
同点になってからは縦に速い展開の応酬。力業の繰り出しあいで前半とは異なった展開に移行する。ウェストハムはボーウェンの抜け出しからチャンスを作るが、この日はロジャースの日。中央のギャップから縦パスを受けると、見事なミドルで勝ち越し。逆転でリードを奪う。
ウェストハムは3枚交代からチャンスを作りに行くが、最後までロジャースのカウンターがさえわたる展開は止められず。対策をしのいだアストンビラが勢いを止めずに勝ち点3を積み上げた。
ひとこと
やはりアストンビラは真ん中をこじ開けてナンボのチーム。
試合結果
2025.12.14
プレミアリーグ 第16節
ウェストハム 2-3 アストンビラ
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:1′ フェルナンデス, 24′ ボーウェン
AVL:9′ マヴロパノス(OG), 50′ 79′ ロジャーズ
主審:アンソニー・テイラー
ブレントフォード【14位】×リーズ【16位】

ダメージが大きい痛み分け
ここまでアウェイではなかなか結果を出せず、勝ち点のほとんどをホームで手にしているブレントフォード。対するは本拠地でチェルシーとリバプールと立て続けに止めて、アウェイでの勢いを持続できるか?というところに注目が集まるリーズ。ともに分岐点となりそうな一戦に挑む。
リーズの3-5-2とブレントフォードの4-2-3-1は一見すると噛み合わせが悪いように見えるが、大外レーンが勇気を出して前に出ていけばがっちりと噛み合う形といえる。ミラーっぽくないけども隠れミラーといけるマッチアップだ。
というわけでこの試合でも両チームはその気になってのハイプレスでスタート。リーズはプレスのスイッチが入った時はWBが前に出ていくことでホルダーを制限。ただし、GKまでの二度追いはせず、マーカーを外してまでの深追いはしないという選択だ。
対するブレントフォードも前からのプレスを敢行。はまらないと判断すれば素早く自陣に戻り、4-4-2でブロックを組む形でリーズよりもさらにはっきりとリトリートとハイプレスのメリハリをつけていた印象だ。
「その気になれば」プレスはハマるが、常にその気というわけではないので保持側のチームはサイドを中心に時間はもらえる展開。しかしながら、保持側がギャップを作るところはうまくいかず苦戦。保持の時間が長いのはブレントフォードだが、その時間の長さを優位につなげることはできず。逆にトランジッションからオカフォーのスピードを生かすことができるリーズの方がブレントフォードのポゼッションを優位につなげていた感があった。
そうした中でワッタラがグズムンドソンに倒されてPK判定を受けたシーンはブレントフォードにとって千載一遇のチャンス。だが、このPKはオフサイドが起因となって無効に。前半終了間際に得た大きなチャンスをモノにはできなかった。
後半の頭にペースをつかんだのはリーズ。左はシュタハ、右はボーグルで押し下げていくとひたすら縦に突破してクロスで攻撃の完結を狙う。特に左サイドは繰り返しの攻撃を敢行。ミドルゾーンでのボール奪取も機能し、敵陣でのプレータイムを増やしていく。
徐々にひっくり返してのカウンターが出てきたブレントフォードはダムズゴーの投入から縦に速い攻撃におけるテコ入れを実施。この交代ならではのセットアップから先制する。ダムズゴーの縦パスにリアクションしたのは交代で入ったヘンリー。ギリギリ相手の一歩前で触った脚力も交代選手ならではといったところだろうか。わずかにリーズの守備陣より先に触り、先制点を仕留める。
追いかけるリーズはアーロンソンとニョントの投入でおなじみのWG投入。翼を授けるレッドブル的なフォーメーションチェンジでキャルバート=ルーウィンの高さを生かして同点に。ブレントフォードは5バックにシフトしたものの、交代で入ったアイエルが競り負けてしまった。
試合はドロー決着。どちらかといえば追いつかれたブレントフォードの方がダメージが大きそうな痛み分けだった。
ひとこと
5バックシフトで空中戦シンプル負けは切ない。
試合結果
2025.12.14
プレミアリーグ 第16節
ブレントフォード 1-1 リーズ
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:70′ ヘンダーソン
LEE:82′ キャルバート=ルーウィン
主審:ジョン・ブルックス
マンチェスター・ユナイテッド【6位】×ボーンマス【13位】

大味な打ち合いに勝者はなし
大型の連勝こそないものの、ジリジリと順位を上げているユナイテッド。今節の相手は対照的に順位をジリジリと下げているボーンマスだ。
序盤から試合はオープンな展開でスタート。とにかく人を捕まえることに主眼をおいている守備の中で優位を見出すことができていたのはユナイテッド。右サイドから背後を取ることで押し下げる局面を作り出してくる。
セットプレーやクロスにおいて目についたのはボーンマスのGKであるペドロヴィッチの飛び出しの危うさ。ボックス内での甘い対応も相まって、アバウトなクロスでもユナイテッドは簡単にチャンスを作っていた。先制ゴールは案の定クロス対応の甘さから。左サイドから入ってくるクロスに対してボックス内でボーンマスは対応ができず、ユナイテッドに先制点を許す。
ボーンマスはハイテンポなハイプレスでハイリスクハイリターンの攻防が続いていく形。基本的には序盤はボーンマスが少し損するような勘定になっていたが、ユナイテッドは少しずつ右サイドの守備ユニットの重さが目立つようになり、徐々に後手を踏むシーンが出てくる。
ユナイテッドの脆さが出たことで試合はアグレッシブというよりは間延びした冗長な展開に。そうした中でチャンスをものにしたのはボーンマス。左サイドのパスワークの詰まりを咎めると、そこからのカウンターで角度のあるところからゴールを仕留めたのはセメンヨ。40分に同点ゴールを決める。
しかし、前半終了間際にユナイテッドは追加点。セットプレーからファーのカゼミーロがヘディングを叩き込んでリード。ボーンマスはまたしても空中戦での対応がうまくいかなかった。
追いかけるボーンマスは後半早々にゴール。CBの間をかち割るタヴァニア→エヴァニウソンのパスから入り込んでいき、そのままラマースのゴールを破る。
勢いに乗ったボーンマスは直接FKから追加点。タヴァニアのゴールは壁の間をすり抜けてGKには反応が難しい軌道でゴールを貫いてみせた。
逆転をしたところで試合は前半のようなオープンさがどちらに転がるかがわからない展開に。大味な流れの中でまたしても流れを変えたのはセットプレー。ブルーノ・フェルナンデスの一撃で再びユナイテッドは同点。直接FKのお返しで試合を振り出しに戻す。
2分後にクーニャのゴールで逆転したユナイテッドだが、クルーピが5分後にゴールを返して再び試合は同点に。どちらのゴールもCBの対応に疑問が残る流れとなってしまった。大味のまま終盤まで進んだ試合は引き分けで決着することとなった。
ひとこと
1試合で2本の直接FKが生まれるのはとても珍しい。
試合結果
2025.12.15
プレミアリーグ 第16節
マンチェスター・ユナイテッド 4-4 ボーンマス
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:13′ ディアロ, 45+4′ カゼミーロ, 77′ ブルーノ・フェルナンデス, 79′ クーニャ
BOU:40′ セメンヨ,46′ エヴァニウソン, 52′ タヴァニア, 84′ クルーピ
主審:サイモン・フーパー
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