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「Catch up Premier League」~Match week 13~ 2025.11.29-11.30

目次

ブレントフォード【13位】×バーンリー【19位】

完成度の高さを知らしめる

 開幕節はなかなか凄惨な出来だったブレントフォード。しかしながら、試合数を重ねるごとに手ごたえは増していき、すっかりと中位に定着。ウィサ、エンベウモよりもチアゴがゴールを決めるシーズンとここまではなっているのはなかなかに摩訶不思議な状況である。

 そんなブレントフォードはこの日も通常運転。サイドの裏にボールをつけると、そこからロングスローでボックス内を一気に狙っていく。外循環からのロングスローという最も確実なゴールマウスを狙える手段で空中戦を仕掛けていく。

 バーンリーはウォーカーのインサイドに入るポジションを生かすためのボール保持を行うかと思いきや、これをおとりにサイドからの1on1を仕掛けていく形をとっていく。むしろ積極的なカラーを見せていたのは非保持の方。ハイプレスから徐々にブレントフォードのポゼッションを阻害していく。

 相手を捕まえての決定機を迎えるシーンもあったバーンリー。しかし、貴重なチャンスはハンニバルがシミュレーションという無駄な形でつぶしてしまい、バーンリーは先制の機会をトライすることのないまま消費してしまう。

 ただ、前に出ていく形に対してブレントフォードがあまりスマートに対応できなかったのは事実。プレッシャーがかかった状態では前線にボールをつなぐことができず、バーンリーによってボールは回収。いまいち波に乗れないままハーフタイムを迎える。

 後半、なかなかテンポをつかめなかったブレントフォードはライン間のダムズゴーをきっかけに加速。ボールが入るとここからSBが積極的な攻撃参加を見せてチャンスを迎える。

 バーンリーは一気にピンチ。セカンドボールを回収し続けられてしまい、一方的な展開が続くことに。ドゥブラーフカは大忙し。左右からのクロスラッシュにロングスローのコンボでボコボコにされる。

 後半は完全に優位を握ったブレントフォード。ダムズゴーからのパスに斜めに絞ったワッタラがPKを獲得。これをチアゴが仕留めて先制点を奪う。

 4分後にPKからフレミングが取り返し、一時的に同点に追いついたバーンリー。しかし、チアゴがファーのこぼれを押し込んですぐにリードを奪い返すことに成功する。

 80分以降に急に迎えたゴールラッシュはブレントフォードが笑うことに。後半追加タイムに裏へのランで抜け出したワッタラが試合を決める一撃を仕留めて3点目。バーンリーを置き去りにしてチームとしての完成度が上がりつつあることを感じさせる勝利を手にした。

ひとこと

 チアゴ、もう2桁とってんの。

試合結果

2025.11.29
プレミアリーグ 第13節
ブレントフォード 3-1 バーンリー
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:81′(PK) 86′ チアゴ, 90+2′ ワッタラ
BUR:85′(PK) フレミング
主審:サム・バロット

サンダーランド【7位】×ボーンマス【8位】

ホームでの強さを見せつける逆転勝利

 ここまで素晴らしいシーズンを過ごしているサンダーランド。やや停滞気味のボーンマスをホームに迎えてここからブーストをかけていきたいところだろう。

 序盤からボーンマスはアグレッシブ。前からのプレスでサンダーランドをハメに行く。しかしながら、サンダーランドもプレス回避で抵抗。ジャカの左サイドのタメなど時間を作るところから組み上げていく。

 ただ、サンダーランドの健闘も虚しく、ボーンマスはリズムから試合を作っていく。先制点は左サイドから。セメンヨの突撃からエヴァニウソンがゴールを狙ったところのこぼれ球からゴールを決める。

 失点後もタメからサイドの裏に抜けることでチャンス狙うサンダーランド。だが、そんなサンダーランドの健闘も虚しく、ボーンマスはカウンター。CKからのカウンターをアダムスが仕留めてゴール。無人のゴールマウスに技アリのシュートを持ち込む。

 ここからは縦の鋭さ勝負。サンダーランドがプレミアらしい直線的な攻撃で違いをみせていくと、ボーンマスもWGを軸とした攻撃で応酬。そうした展開の中でPKを献上したのはボーンマス。スコットがヘイニウドを掴んでPKを献上。ル・フェがこのPKを仕留めて点差を縮める。

 この得点から少しずつリズムはサンダーランドに。雨に打たれる中でひたすら前に前に進んでいく姿は非常にサンダーランドに似合う光景だったと言えるだろう。

 後半早々に試合は同点。トラオレのゴールで恐ろしいほどあっさりと試合は振り出しに戻す。ボーンマスは直後にエヴァニウソンがネットを揺らすがこれはわずかにオフサイド。再度の勝ち越しのチャンスを活かすことができない。

 だが、ボーンマスはバタバタとした展開からサイドに深さを取ることでテンポを掴み、サンダーランドを自陣から脱出させない。ポゼッションからボーンマスが押し込んでいく。

 苦しくなったサンダーランドは3枚交代を敢行。右サイドに流れるところからブロビーがいきなり決定機を迎える。このチャンスは仕留められなかったサンダーランドだが、直後にブロビーがセットプレーからネットを揺らして逆転勝利。

 押し込みながら終盤に勝負を仕掛けるボーンマス。サンダーランドは5-4-1にシフトして自陣を固める。ただ、少し焦りが先行した感があり、ゴールをこじ開けることができない。保持においても前線のタメから時間を作ることができるサンダーランドが優勢だった。

 試合はそのまま終了。サンダーランドがホームでの強さを見せつける逆転勝利を見せた。

ひとこと

 ボーンマス、最近やや強度負けしがち。

試合結果

2025.11.29
プレミアリーグ 第13節
サンダーランド 3-2 ボーンマス
スタジアム・オブ・ライト
【得点者】
SUN:30′(PK) ル・フェー, 46′ トラオレ, 69′ ブロビー
BOU:7‘ アドリ, 15′ アダムス
主審:ティム・ロビンソン

マンチェスター・シティ【3位】×リーズ【18位】

後半の変身のよるリーズの猛追を振り切る

 ここに来て公式戦連敗とちょっとしたブレーキがかかっているシティ。ここから始まるプレミア連戦で巻き返しを期すために連敗ストップをかけてホームのリーズ戦に臨む。

 シティは1分も経たないうちに先制。ベルナルドのタメから抜け出したヌネスの折り返しをフォーデンが仕留めて早速リードを奪う。

 得点後も一方的な保持を見せるマンチェスター・シティ。4-5-1と5-4-1のハーフのような形でコンパクトにブロックを組むリーズ。シティのホルダーになかなかプレスをかけることができない。2列目の自由度の高さも健在のシティは自由なポジションを取るドクを中心にボールサイドに人を片寄らせながらチャンスを作りにいく。

 ドクがいないサイドからリーズはボーグルと田中で前進を狙う。裏をとるジェームズから一発を狙うがオライリーとのマッチアップで優位を取るのは容易ではなく、多少押し返す以上の効果を期待するのは難しそうだった。

 ドクが立ち位置を守り、オライリーのオーバーラップとインサイドへの折り返しへの両睨みをするようになってからはシティはさらに一方的に。リーズのボールの前進どころを奪うと、サイドから延々と殴り続けていく。25分にはセットプレーから追加点。グバルディオルが混戦から押し込んでリードを広げる。

 2点というセーフティなリードを得たシティはリーズの中盤のブロック手前で余裕を持ちながらサイドでの突破という安全運転で余裕の展開。リーズはリードを縮めるというよりはなんとか2点差を保つのがいっぱいという状態だった。

  2点のビハインドとなったリーズは選手交代でシステム変更。5-3-2でのブロックを組んでいく。ポゼッションで後方に数的優位を作ったリーズは左右に揺さぶりつつ前進。2枚となったターゲットにロングボールを当てつつ、プレスのラインを上げながら回収する。

 高い位置を取りながら奪う意識を取ることができたのがリーズの後半最大の変化。久しぶりの先発となった田中もこのアグレッシブな姿勢を体現していた。

 息を吹き返したリーズの中でも特に効果的だったのは交代で入ったキャルバート=ルーウィン。長いボールのターゲットとして起点となると、ハイプレスからのショートカウンターで見事な動き出しを見せて追撃弾をゲットする。

 さらには右サイドへのロングボールから抜け出してPKを獲得。このPKは一度はドンナルンマに跳ね返されるが、こぼれをヌメチャが自ら冷静に押し込んだ。

 シティはプレスの勘所をつかみきれず、両翼ではドクとフォーデンが陣地回復役としての仕事を果たすことができない。ドンナルンマが負傷のポーズをとったタイミングでグアルディオラが青空作戦会議をはじめたことこそシティが苦戦していた何よりの証拠だろう。

 シティはゆったりとしたポゼッションから主導権を取り返し。右のフォーデンからのファーのクロスと横断の使い分けからチャンスを作りに行く。しかしながら、リーズも2トップへのロングボールやそこからの列上げでのボール奪取から互角にシティと渡り合う。

 ATまでもつれた試合はフォーデンの一撃で決着。混戦の中でがむしゃらにゴールに向かう姿勢のご褒美のようなゴールで試合を決める。

 激しいリーズの抵抗に遭いながら結果を出したシティ。何とか連敗ストップという結果を引き出した。

ひとこと

 リーズ、見事な後半の変身だった。

試合結果

2025.11.29
プレミアリーグ 第13節
マンチェスター・シティ 3-2 リーズ
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:1′ 90+1‘ フォーデン, 25‘ グバルディオル
LEE:49‘ キャルバート=ルーウィン, 68’ ヌメチャ
主審:ピーター・バンクス

エバートン【11位】×ニューカッスル【14位】

前節と打って変わって淡白なエバートン

 前節はマンチェスター・ユナイテッド相手に1人少ない状態で得点を決めてゴールを守り切ったエバートン。今節はホームに帰ってニューカッスルとの一戦に挑む。

 すると、前節の粘りが嘘かのように前半早々にエバートンは失点。右サイドからのスピーディーなエランガの抜け出しからセットプレーを奪うと、ティアウがヘディングでのゴール。わずか1分で試合を動かして見せる。

 先制したこともあり、ニューカッスルはきっちりと構える4-5-1。エバートンは1トップの脇に立つCH陣から攻撃を組み立てていく。ポゼッションから試合を動かしていきたいエバートンだが、バリーのポストから左右に振りながらもサイドからの攻撃で打開策が見えず。

 ボックス内での空中戦ではエバートンが優位を取れそうだったので、そこを徹底的に!という線もあったのだが、得点につながるまで繰り返すまでにニューカッスルが追加点。安定したプレス回避からポゼッションで敵陣まで押し返すと、マイリーのミドルが2点目を生み出す。ピックフォードにとっては痛恨のトンネルとなった。

 なんとか打開したいエバートンだが、サイドからの旋回はニューカッスルのカバー範囲の中。人についていく形で徹底的に潰していく。面白いように得点を重ねていくニューカッスルは前半終了間際にもう1点。瞬間的にイロエブナムと入れ替わったエランガで一気に加速すると、折り返しを受けたヴォルテマーデが冷静にループでピックフォードの頭の上をぬく。前半だけで3得点。リードを十分とった状態でニューカッスルはハーフタイムを迎えることとなった。

 後半、エバートンはイロエブナムに代えてアルカラスを投入し、攻撃的な布陣を作っていく。流れるバリーからチャンスを作っていくがあくまで単発。プレス回避で即時奪回を阻害するニューカッスルにテンポを見出される。

 すると、敵陣にするする進んでいったニューカッスルが追加点。ヴォルテマーデの決定機の直後にティアウがゴールを決めてこの日2点目。リードをさらに広げる。

 エバートンは好調のデューズバリー=ホールのアクロバティックなロングボールのコントロールから1点を返すが反撃もそこまで。前節の粘りを見せられなかったエバートンが勢いを止めてしまう大敗を喫した。

ひとこと

 ニューカッスル、決定機を次々と面白いように決めていった。

試合結果

2025.11.29
プレミアリーグ 第13節
エバートン 1-4 ニューカッスル
ヒル・ディッキンソン・スタジアム
【得点者】
EVE:70′ デューズバリー=ホール
NEW:1′ 58′ ティアウ, 25′ マイリー, 45′ ヴォルテマーデ
主審:クレイグ・ポーソン

トッテナム【9位】×フラム【15位】

拙い立ち上がりのツケを払う

 前節はホームで好調のサンダーランドに勝利。勝てば今季2回目の連勝となるが、ここまでアウェイでの勝利はなし。一気に浮上のきっかけを掴むためにもトッテナムとのロンドン・ダービーには勝利を収めておきたいところだろう。

 序盤にいきなり試合は動く。左サイドのチュクウェゼからのクロスが逆サイドに少し拍子抜けの形で横断すると、そこに顔を出していたテテがゴール。早速試合を動かす。

 この場面以外にもトッテナムの守備は気を抜くシーンが多く集中力を欠いていた。15分のシーンではおそらくオフサイドの笛が鳴る前にプレーをやめてしまっている。旗が上がっていたのかもしれないが、主審が採用しないせずにディレイする可能性を踏まえればセルフジャッジはリスクが残る。

 逆にトッテナムは好調さを感じる流れ。アンデルセンの落ち着いた配球が光る展開に。先制点を演出したチュクウェゼはキレのある動きで対面に優位。ポゼッションから深さを作り、ポストから左サイドのチュクウェゼ勝負で優位を握っていく。

 劣勢のトッテナムは2トップが左右の背後に流れて時間を作る展開。荒削りながらも少しずつ前に進んでいく。自陣に押し込まれてしまうと少しクロス対応は怖いフラム。だが、クドゥスに前を向かせないところなど要所を押さえる対応は光った。

 前半の終盤は左右からの速いクロスでセットプレーを視野に入れたトッテナムが仕掛けていく。しかし、セットプレーが淡白。オープンプレーだけでは物足りないクオリティの展開が続く。

 後半もテンポをキープしたのはトッテナム。ポロの右サイドからの侵入でいきなりチャンスメイク。この場面のようにSBのチャンスメイクが際立つ展開に。もう一人チャンスメイクで存在感が出てきたのはコロ・ムアニ。この日はリシャルリソン以上の存在感でサイドに流れながら攻撃の起点となってきた。

 押し込むトッテナムは角度のないところからクドゥスのシュートで1点差に。見事な精度と速度のシュートだった。

 後半はハイプレスも含めてボールの回収も安定していたトッテナム。フラムは前進のきっかけがなく苦しい展開に。このままであればトッテナムが押し切れるかなと思われたが、終盤はもう一段攻撃のギアが上がらず。攻め疲れが目立つトッテナムに対して、フラムはポゼッションで時間を作りながら試合をクローズする。

 結局は序盤の立ち上がりの拙さを咎められたトッテナム。フラム相手にホームで痛恨の負けを喫した。

ひとこと

 ホームでの結果が出ないからなのか、結構ファンが簡単に諦めているように見えてしまう。

試合結果

2025.11.29
プレミアリーグ 第13節
トッテナム 1-2 フラム
トッテナム・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
TOT:59 クドゥス
FUL:4′ テテ, 6′ ウィルソン
主審:スチュアート・アットウェル

クリスタル・パレス【5位】×マンチェスター・ユナイテッド【10位】

プレータイム偏りの納得感

 前節はホームで10人で大半を過ごしたエバートンに敗戦を喫したユナイテッド。混戦模様の中位から抜け出すには少し上にいるパレスは絶好のターゲットとなる。

 立ち上がりからユナイテッドは攻勢。セットプレーからカゼミーロがいきなりチャンスを迎えるなど、力技で早々に決定機を作り出す。パレスのプレスは控えめでミドルゾーンから後方に5-4-1を構える形から。ポゼッションで主導権を握ったユナイテッドが圧力をかけてのスタートとなった。

 しかし、パレスもロングカウンターで反撃。マテタ、サールといった反転加速が怖い面々に対して、ユナイテッドはタイトにマークをつくことができず。素早い攻撃からあっさりと陣地回復をされるように。

 徐々にポゼッションから押し返すクリスタル・パレス。高さを生かしたセットプレーでユナイテッドは得点チャンスを迎えてはいたが、パレスも押し込み返すことができれば危うい守備対応のユナイテッドを脅かすことはできていた。

 ユナイテッドは徐々に右サイドから縦に急ぎすぎるなどポゼッションの主導権を失っていく。試合はオープンな縦に速い展開の中で守備側がリスキーなスライディングを敢行しながら相手が加速する前になんとか防ぐという展開の連続だった。

 その状況を打破したのはやや静的な裏を取る形から。ウォートンの巧みな縦パスから抜け出したマテタを慌ててヨロが倒してしまいPK。ダブルタッチでのやり直しを取られてしまいながら、やり直しをきっちりと仕留めて先制ゴールを決める。

 直後にサールが負傷交代をしてしまうパレス。だが、左サイドからのカウンターの目線は死なず、引き続き攻勢に出ていく。この日の滑りやすいピッチも手伝い、エンケティアには特大の決定機もあったが、ショウのセーブでこれは事なきを得る。ただ、ボールを持っている状況でもなかなか打開ができないユナイテッドにとっては渋い時間が流れるままハーフタイムを迎えることとなったとも言えるだろう。

 後半、ユナイテッドはポゼッションから巻き直し。きっちりと段差をつけた形から前を向く選手を丁寧に作り、ボールを動かしていく。

 押し込む機会を得たユナイテッドはセットプレーから同点ゴール。FKからニアに抜けたザークツィーが角度のあるところからシュートを沈めて後半早々に追いつく。

 セットプレーからはパレスもチャンスがある展開ではあったが、再びスコアを動かしたのはユナイテッド。ブルーノとの連携で壁を壊したマウントがヘンダーソンからはブラインドとなる位置からグラウンダーのシュートを決めて逆転する。

 追いかけたいパレスだが、交代選手は軒並み不発。なかなか序列を覆すのは難しいという証明を逆にする格好になってしまう。

 結局ユナイテッドはそのまま逃げ切りに成功。リード以降は最小得点差ながら影も踏ませないまま試合をクローズした。

ひとこと

 これだと主力にプレータイムが偏るのは仕方ないなという感じのパレスだった。

試合結果

2025.11.30
プレミアリーグ 第13節
クリスタル・パレス 1-2 マンチェスター・ユナイテッド
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:33′(PK) マテタ
Man Utd:54′ ザークツィー, 63′ マウント
主審:ロベルト・ジョーンズ

ウェストハム【17位】×リバプール【12位】

ついに目覚めの時が

 ついにスロット監督に解任を見据えた話が出るようになったリバプール。ここから数試合はより結果にシビアな状況が続くことになる。

 ヌーノに監督が代わって軌道に乗ってきたウェストハムはこの試合では好調の3センターにマガッサを加えるという守備的な形からスタート。4-2-3-1で縦関係をキープしながら、リバプールにボールを持たせるスタートとなる。

 重心が低めのウェストハムは中盤でパケタが時間を作れるかが鍵。右サイドの攻め上がりを促す時間を作れるか次第で攻撃に出ていくことができるかが決まるといった風情だった。

 押し込むことには成功しているリバプール。だが、ウェストハムは押し込まれながらもボックス内ではきっちりとした跳ね返しに成功。なかなか簡単にチャンスを渡さない。

 ファストブレイクのような相手の中盤のスペースが空いた状況であればオープンな環境自体はできているのだが、ヴィルツやイサクといったボックス付近に陣取る選手たちのフィニッシュのタッチはなかなか戻ってこないまま。GKを脅かすような形を作ることができない。

 試合はスコアレスのままハーフタイムに。決定機を作り合うというよりは重さが目立つ展開という時点で試合はややウェストハムの思うように進んだと言える前半だったかもしれない。

 後半もポゼッションはリバプール。しかしながら、なかなか決め手となる一手が出てこない状況は前半と同じ。しばらくすると逆にウェストハムにボールを持たれてしまうなど、雲行きが怪しくなっていく。

 その状況を打開したのはイサク。相手の陣形が下がる中で動かないことによってフリーを手繰り寄せて狭いところをコントロールショット。悪い流れのチームと彼自身に取っては待望のゴールとなった。

 ウェストハムは失点以降もギアが上がらず淡々と試合を続けてリバプールを苦しめることができず。挙げ句の果てにはパケタが執拗な抗議で不可解な退場をすることで勝手に数的不利を持ってきてしまう。

 リバプールは退場直後はややお付き合いムードだったが、ガクポの後半ATの一撃で試合は完全決着。ようやく目覚めたエースの一撃で勝ち点3を積み上げた。

ひとこと

 イサク、浮上のきっかけになればいいが。

試合結果

2025.11.30
プレミアリーグ 第13節
ウェストハム 0-2 リバプール
ロンドン・スタジアム
【得点者】
LIV:60′ イサク, 90+2′ ガクポ
主審:ダレン・イングランド

アストンビラ【4位】×ウォルバーハンプトン【20位】

またも1失点で崩壊

 開幕から続いていた未勝利の時期を脱してV字回復に成功したアストンビラ。すっかりCL出場権を狙える位置まで順位を上げている。まだ下位で今季初勝利を手にすることができていないウルブスにとってはこうなりたい!と言える存在だろう。

 ウルブスは2トップが主導してワンサイドカットからアストンビラをサイドに追い込んでいく。アストンビラは2トップへのロングボールで押し返しながらセットプレーでのチャンスメイクを敢行する。

 ウルブスはセンターラインに縦パスを差し込みながらポストから左右に展開。ジリっと構えるアストンビラの4-4-2に対して内と外を使い分ける。ライン間に入ったベルガルドから裏抜け→折り返しでラーセンがネットを揺らすが、これはわずかにオフサイド。貴重な先制の機会をものにすることができない。

 徐々にSBを効率的に活用できるようになっていったアストンビラの保持。浮きやすいSBから押し込んでいくと、サイドから斜めにパスを差し込んでいく。

 構造でやられてしまうウルブスはトランジッション局面のやり合いの方が手応えが良好であった。押し込む局面を作ったとしてもマッギンの高さを変えながら5バックと4バックを使い分けるアストンビラの布陣を崩すことができない。メリハリがある形でローブロックを組むアストンビラに対して、距離の近い細かいポゼッションからチャンスを作っていく。苦労しながら作った決定機であるモスケラのヘディングは惜しくもクロスバー。またしても先制のチャンスを活かすことができない。

 後半もアストンビラは一方的なポゼッションスタート。ウルブスはファストブレイクが中心。ラーセンのファストブレイクから縦に速い展開を仕掛けていく。この抜け出しから一気に試合はオープンに。縦に鋭く進む形を作るという点ではウルブスが優位ではあったが、マルティネスのファインセーブでチャンスを阻む。

 膠着した展開を動かしたのはカマラのスーパーミドル。見事な一撃で均衡を破る。この先制点に続き決定機が続くアストンビラ。攻め立てて試合を決めにいく。

 失点で一気に流れを失ったウルブス。アリアスは退場まがいのタックルで10人に追い込まれかけるなど、先制点を献上して以降はボロボロである。

 試合はアストンビラの勝利。先制点で事実上試合を決めて勢いを持続した。

ひとこと

 1点が決め手になってしまうのがウルブスの辛さ。

試合結果

2025.11.30
プレミアリーグ 第13節
アストンビラ 1-0 ウォルバーハンプトン
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:67′ カマラ
主審:クリス・カヴァナー

ノッティンガム・フォレスト【16位】×ブライトン【6位】

悪い流れに逆らっての先制ゴール

 序盤は縦に速い展開からスタート。シャープな形で進んでいくフォレストに対して、ブライトンもミンテの突破から縦へのシャープさを出していく。

 展開が落ち着くと、ボールを持つのはブライトン。前節のハーフタイムから採用し出した左サイドにデ・クーパーとカディオールを並べる形から可変成分を増やして勝負。詰まりそうになったらダンクの大きな展開から右のミンテで仕掛けるという形でボールを動かしていく。

 押し込むところまでは安定したブライトン。敵陣では数で勝負。SBは高い位置を取って厚みを出して、早めのクロスから処理ミスを誘うようなボールを入れる。セットプレーからもガンガン攻め立てて15分ほどでかなりの数のシュートを浴びせていく。

 フォレストにとってこの展開が許容範囲内だったかは微妙なところ。少なくともいい奪い方はできていなかったのでめっちゃ良かったということはないのだろう。実際、フォレストは徐々にラインを上げながらサイドの高い位置でボールを止めてカウンターを発動。ギブス=ホワイトがチャンスを迎える。

 保持で攻めあぐねつつ、奪われる位置が下がっていくという流れは完全にブライトンにとってはまずい流れ。しかし、そうした中でゴールを決めることができたのがこの日のブライトン。ウェルベックのフリーランを活用したデ・クーパーのゴールでハーフタイム前に先行する。

 リードを奪う形で前半を終えることができたブライトン。前半よりは受けに回る展開が出てきてはいたが、後半は余裕を持って受けることができたおそらくスコア的な優位が成せる業だろう。瞬間的な隙を見せて敵陣に入っていけるギブス=ホワイトはそうした中でもチャンスを探って行けたが、フォレストにとってはなかなかに難儀な展開となった。

 サイドから追い込んでいくブライトンは保持でも良好な流れ。いつ追加点が入ってもおかしくない状況を繋ぎ止めたのがGKのセルス。ファインセーブにハイラインのケア、さらにはハッチンソンまでのフィードと自陣を固めて敵陣に素早く出ていくところまでの指揮を取る。

 しかし、そんなセルスの奮闘も虚しくフォレストは失点。直前から怪しさがあったモラートのバックパスを狙い撃ちし、そのままブライトンは追加点奪取に成功。追加タイム前の失点で意気消沈をしたフォレストはそのままブライトンに逃げ切り勝利を許すこととなった。 

ひとこと

 ブライトン、悪い流れに逆らった先制ゴールが見事だった。

試合結果

2025.11.30
プレミアリーグ 第13節
ノッティンガム・フォレスト 0-2 ブライトン
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
BHA:45+1′ デ・クーパー, 88′ ツィマス
主審:マイケル・オリバー

チェルシー【2位】×アーセナル【1位】

自信をつける1ポイントに

 レビューはこちら。

 2位のチェルシーが1位のアーセナルを追い上げるためのビッグ・ロンドン・ダービー。挑戦者の立場のホームチームは決戦仕様でアーセナルを迎え撃つ。敵陣から積極的に追い立てるハイプレスからアーセナルを苦しめる。

 特に中盤の移動に徹底的についていくスタイルはこの日のチェルシーの旗印。下がるエゼや列を挙げるスビメンディにカイセドやエンソがついていくことで徹底的にアーセナルにチャンスを許さない。

 アーセナルはサカとククレジャのマッチアップからチャンスを作るが、サカの得意技である半身の横断からの中央を経由するパスはカイセドがカット。不慣れなCBコンビとなったアーセナルのバックラインがバタバタだったこともあり、チェルシーは非保持からペースをつかむ。

 保持では同じくハイプレスに出てきたアーセナル相手にジェームズが見事な移動で受け手になることでプレス回避に成功。中央で加速する選手がアーセナルの中盤とバックラインから警告を引き出していく。

 完全に試合の流れを握ったチェルシーだったが、カイセドの退場で試合は一変。中央に下がることで浮いたメリーノへのチャレンジが遅れてしまい、チェルシーは数的不利に追い込まれてしまう。

 5-3-1でリトリート色を強めるチェルシー。サンチェスのファインセーブで失点ことしなかったものの、重たい負債を背負うこととなってしまった。

 後半、チェルシーはセットプレーから早々に先制。CKからチャロバーがネットを揺らし先行。千載一遇の3ポイントのチャンスを得る。

 ネトを右の前に残し、サンチェスのクロスカットからひたすらネトを狙うという形で速攻を確立したチェルシーに対してアーセナルは苦戦。10人のチェルシーに対してなかなか有効打を打つことができない。

 それでも1つ目の有効打を得点につなげるのだからアーセナルもさすが。サカの突破からサンチェスを超えるクロスでメリーノの同点ゴールを生み出し、試合を振り出しに戻す。

 失点してもチェルシーの光は消えず。CBのトランジッション時のキャリーやネトやデラップを軸としたファストブレイクにより、確実にアーセナルから時間を奪い取っていく。

 ウーデゴール、ギョケレシュといった復帰明けの面々を投入し得点を狙うアーセナル相手に最後まで10人で食い下がったチェルシー。互角以上の内容で首位に対峙した90分は勝ち点3こそのがしたものの大きな自信となっただろう。

ひとこと

 10人でのねらい目を整理したチェルシーと10人相手のねらい目を整理できなかったアーセナルのコントラストが際立った後半だった。

試合結果

2025.11.30
プレミアリーグ
第13節
チェルシー 1-1 アーセナル
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:48’ チャロバー
ARS:59‘ メリーノ
主審:アンソニー・テイラー

今節のベストイレブン

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