ノッティンガム・フォレスト【17位】×チェルシー【7位】

失点が悪い流れを思い出させる
代表ウィーク後の再開はシティ・グラウンドから。未だ、ポステコグルーの初勝利がないフォレストに対して、メンバーのやりくりがハードなチェルシーが乗り込んでくる構図。
チェルシーは負傷者だらけのCBに加えて、南米組の2人がスターターから外れた構成となっている。まずは保持のフェーズが長いチェルシー。5-3-2ながらWBの前ズレ、IHのスライドが積極的なフォレストのプレスを交わすところから。CHが縦に大きく動きに周りが合わせる形が有力。SBのジェームズが絞ってグストのポジションを押し上げたり、ラヴィアが開いたところにペドロが降りたりなど。
確かにこの形はフォレストの中盤を広げるのには有効。しかしながら、過程でミスが出ることもしばしば。フォレストはショートカウンターからチャンスメイク。抜け出しかける形もあったが、チェルシーの緊急事態への対応はギリギリ間に合っていた感がある。
時間の経過とともにフォレストは保持の時間を増やす。3CHにトップ下のギブス=ホワイトもしくはSBのジンチェンコが中盤の4枚目に加わる形から相手のズレを作っていく。だが、定点攻撃はもう一味。長いレンジのボールの精度が刺さればチャンスになりそうな予感はあった。
長いレンジのボールの精度が合わないのはチェルシーも同じ。30分付近にはどちらのものでもない時間が続いていくことに。
前半の終盤は上下に動くペドロがチャンスメーカーとして躍動。20分までシュートチャンスがなかったチェルシーがシュートの機会を得るが、ゴールを得られないままハーフタイムを迎えることとなった。
3枚交代を敢行した後半のチェルシー。押し込むフェーズを続けると、セットプレーからの流れから先制。前に残ったアチェンポンが先制ゴールを仕留める。
立て続けにセットプレーから追加点を奪うチェルシー。イゴール・ジェズスが動いたことで割れた壁をネトは直接FKで撃ち抜いてみせた。
追いかけるフォレストは2点を取られたところでハドソン=オドイを投入してのシフトチェンジ。しかし、構造的に何かのズレを生み出すことはできず。それでも交代したハドソン=オドイのところからなんとかチャンスメイク。ニコ・ウィリアムスには左サイドから生み出された決定機をいかすチャンスが与えられたが、モノにできなかった。
同じ交代枠でもやや物足りなかったのがイゴール・ジェズス。なかなか長いボールの収めどころになれず、ハドソン=オドイが作り出したチャンスも仕留めることができなかった。
ハドソン=オドイ起点のチャンスを延々とフォレストが捨ててしまう中でチェルシーは試合を完全に決める3点目。ジェームズが自らの200試合出場を祝うミドルをCKから沈めてリードを広げる。
グストの2回目の警告でまたしても退場者を出してしまったが、それ以外は問題なかったチェルシー。苦しいやりくりとなった中断明け初戦のアウェイをクリーンシートで飾った。
ひとこと
まぁ、これまでの試合よりは良かったような気もするけども、やはり点を取られた後の流れは悪い時期を過ごしているチームであることを実感せざるを得ないフォレストだった。
試合結果
2025.10.18
プレミアリーグ 第8節
ノッティンガム・フォレスト 0-3 チェルシー
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
CHE:49′ アチェンポン, 52′ ネト, 84′ ジェームズ
主審:クリス・カヴァナー
サンダーランド【9位】×ウォルバーハンプトン【20位】

互角の展開に潜む崩しの差
近年苦戦傾向の昇格組ながら堂々たる戦いぶりを見せているサンダーランドと、毎年のようにスロースターターながらも今年はほんのり危機感が迫るウルブス。対照的な状況に置かれる2つのチームの対戦だ。
序盤からボールを持つのはサンダーランド。ウルブスはFW-MF間をコンパクトにする形で高い位置から回収を狙う。
いつもよりもややパスワークは不安定なサンダーランドはサイドに振る過程の中でミスが出るなどらしくない立ち上がり。だが、段々とリズムを掴むと、ムネツィの背後をバラードが運んだりなど、前がかりなウルブスを咎める場面も。
イシドールのダイナミックなシュートはオフサイドで認められなかったが、直後にサンダーランドは先制。ロングスローで左サイドに出張していたムキエレがワンツーの侵入からゴール。アタッカーのような突撃から先制点を生み出す。
以降もサンダーランドは保持主体。ウルブスを押し込むながらペースを握って時計の針を進めていく。
25分くらいから少しずつポゼッションを回復していくウルブス。左サイドに人を固める形からのクロスでボックス内にまとまった数のクロスを入れていく。だが、これはサンダーランドが跳ね返すことに成功。
試合の流れはやや変化したように思えたが、主導権は大きく動く状態じゃないまま前半は終了。サンダーランドのリードでハーフタイムを迎える。
後半もウルブスはポゼッションを敢行。CHはアンドレがサリー、ジョアン・ゴメスが高い位置に突撃するという分業制で前と後ろに分断。サイドから幅を取り、クロスを入れていく。
だが、クロスが味方に届かないなど押し込む以上の回答を出すことができないのがこの日のウルブス。ゴメス、ムネツィの両ワイドからの攻撃を活かすことができないまま時間が過ぎていく。
20分ほどのクロスノックを耐え続けたサンダーランドは徐々にポゼッションを回復。フラットな試合展開に戻っていく。
試合は一進一退でボールは行ったり来たり。サンダーランドのリードは1点だけだが、特にリトリート主体に移行することはなく、ウルブスとガッツリ組み合っての勝負が続いていく。
縦に速い展開の応酬はオウンゴールで決着。タルビのカウンターをクレイチーが処理し切ることができずにオウンゴールを誘発してしまう。
終わってみれば試合は今の流れを象徴する結果に。上位に立つサンダーランドが順調に勝ち点3を積み重ねた。
ひとこと
均衡はしていたが、押し込んでいた時のブロックを崩すためのオフザボールの手応えはサンダーランド優勢だったように思う。
試合結果
2025.10.18
プレミアリーグ 第8節
サンダーランド 2-0 ウォルバーハンプトン
スタジアム・オブ・ライト
【得点者】
SUN:16′ ムキエレ, 90+2′ クレイチー(OG)
主審:ロベルト・ジョーンズ
バーンリー【18位】×リーズ【15位】

陣形を高くする意識がハマったバーンリー
昇格組同士の一戦。直線的なスタイルになるかと思われた試合だったが、個人的には意外に落ち着いた展開だったように思う。リーズは過度に前から追い立てることはせず、バーンリーは後ろに下がりすぎることなく、ミドルプレスで組み合う展開に。
保持においてもいきなり蹴り込むのではなく、少し相手を誘引してから。リーズのキャルバート=ルーウィンは当然ターゲットにはなってはいたが、なるべくプレスを自陣に引き寄せようという意識は感じた。
バーンリーはキャルバート=ルーウィンの同サイド圧縮の誘導を回避するために、バックラインを経由してのポゼッション。浮いた選手を作るとドリブルから空いたコースを入り込むことで陣地回復を行なっていく。
押し込む機会を安定して作ることができたバーンリーはセットプレーから先制。ロングスローもどきからのリターンをもらったウォーカーからのクロスをウゴチュクが仕留めてゴール。リーズは完全にフリーでシュートを許してしまった。
リーズはこの失点でややギアアップ。それでもバーンリーは左右にボールを動かしながら脱出を狙う。キャルバート=ルーウィンくらいフレミングが収まれば楽だっただろうがない袖は触れない。
バーンリーが圧力に屈する時間はそれなりに出てくるようになり、左右からの枚数をかけたクロスでボックスに迫る。カレンはそうした中でも非保持から列を上げながら押し込まれないように抵抗する姿が見えた。
後半は再びポゼッションから相手を動かしていく形。バーンリーも細かいパスを繋いでいくが、降りるIHが1stプレス隊の脇に入り、そこから枚数をかけたサイド攻撃を仕掛けることができていたリーズの方がやや押し込むことができていたかなという印象を受ける。
インサイドにもボールをつけてリズムよくパスワークを仕掛けることができていたため、内と外のバランスは良好。キャルバート=ルーウィン以外にもボックスに入っていく選手を作り、クロスのターゲットの枚数も確保する。
しかし、スコアを動かせないでいるとその隙をついたバーンリーが追加点。何もないところからチャウナが生み出した素晴らしいミドルシュートでリードを広げることに成功する。
展開的には青天の霹靂というような失点を喰らってしまったリーズ。中盤には田中を入れた終盤戦に攻勢をさらに強めるが、ブロックの外の循環が中心でボールを内側に刺すことができず。最後までミドルゾーンに高さをキープするバーンリーの守備の前に屈して、クリーンシートでの敗戦を喰らうこととなった。
ひとこと
バーンリーの陣形を高く保つ意識がとても良かった。
試合結果
2025.10.18
プレミアリーグ 第8節
バーンリー 2-0 リーズ
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:18′ ウゴチュク, 68′ チャウナ
主審:ティム・ロビンソン
クリスタル・パレス【6位】×ボーンマス【4位】

愛すべきオープン合戦は痛み分け
ともに前への推進力を持ちながら今季のプレミアでは素晴らしいスタートを決めている伏兵同士の一戦。まずはボールを持つのはボーンマス。バックラインにプレスに来ないパレスの守備陣に対して、自由にボールを持てるボーンマスのDFが配球を行っていく。
押し込むボーンマスはセットプレーから先制。ニアフリックをファーに詰めたクルーピが先発起用に応えたゴールを奪う。先制点の前にパレスは得意のカウンターからシュートチャンスを迎えていたが、先にスコアを動かしたのはボーンマスだった。
ややカウンターのシャープさが欠けてしまっていた失点後のパレス。前からのプレスに来るボーンマスに対して、左右に揺さぶるポゼッションから少しずつ押し返していく。サイドからのシンプルなクロスからマテタをいかす形や、サールでサイドをえぐる形でゴールに向かっていく。彼らをハンドリングするために降りてボールを受ける鎌田やピノを潰せるかがボーンマスの守備がうまくいっているかどうか?の指標だったと言えるだろう。
それでもパレスの一番の脅威であったファストブレイクにボーンマスの守備陣は難なく対応。パレスは何か1つ上乗せする必要があるという状況だった。
そんなパレスをよそにボーンマスは追加点。左サイドのセメンヨの馬力をいかす形で対面のリチャーズを置いていくと、またしても仕留めたのはクルーピ。前半だけで2得点。見事な活躍でチームを牽引する。
終盤のパレスはひたすらプレスで押し込んでいくが、そこから生まれたチャンスを仕留めることはできず。リードを2点許す形でハーフタイムを迎える。
後半、追いかけるパレスはチェイシングをスタート。ボーンマスはゆったりとボールを動かすことでまずはこのプレスをスローダウンしにかかる。
テンポの駆け引きで勝利した感があったのはパレス。アップテンポな状況は一度はOFRによって阻まれたが、徐々に行ったり来たり感を復活させる。すると、右サイドのムニョスの暗躍でマテタがついにゴールをゲット。
さらには直後にも鎌田のサイドチェンジを引き取ったところからムニョスが再びアシスト。マテタの2ランで試合はタイスコアに。
一気に攻め立てたいパレスだが、ややアップテンポな展開はボーンマスとしては受けて立つのは臨むところ。試合は段々とオープンな流れに推移する。
殴り合いで先にチャンスを掴んだのはボーンマス。再三チャンスを作っていた左サイドからの折り返しをクリスティーが仕留めて前に出る。
この終盤のゴールで決着かと思われたが、後半ATにセットプレーのホールディングでPKを獲得。マテタがハットトリックを決めてパレスが同点に追いつく。
そのマテタは終了間際に絶好期を迎えるがまさかの枠外。チームを勝利に持たせなかったエースはハットトリックを決めながら頭をかかえる幕切れとなった。
ひとこと
愛すべきオープン合戦が見られた終盤戦だった。
試合結果
2025.10.18
プレミアリーグ 第8節
クリスタル・パレス 3-3 ボーンマス
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:64′ 69′ 90+7(PK) サール
BOU:7′ 38′ クルーピ, 89′ クリスティー
主審:ジャレット・ジレット
ブライトン【12位】×ニューカッスル【11位】

またしてもCL狩り
今季、ここまでの2勝はチェルシーとマンチェスター・シティとどちらもCL出場チーム。大物に強いという実績がある今季のブライトンはイマイチ調子が上がりきらない今季のニューカッスルにとっては頭の痛い相手だろう。
序盤はハイテンポな立ち上がり。スピード勝負ができるアタッカーをサイドにそろえている両チームらしく、縦に速い展開の応酬となっていく。ゴードンのドリブルやエランガの突破などややこの点ではニューカッスルが前に出ているのかな?という感触もあった。
時間の経過とともにブライトンは列移動からのショートパスでの繋ぎを行うことでニューカッスルのプレスを撃退。ミドルブロックを組むように。ニューカッスルの4-5-1のミドルブロックはコンパクトではあるが、とにかくホルダーを放置する分、なかなか進むことができない。
特にインサイドのラターのところをどのように捕まえるかを整理できておらず、捕まえられないままずるずると下がるシーンも珍しくなかった。インサイドのラター、そしてトランジッションにおけるミンテという二本足からブライトンは徐々に攻勢を強めていく。
ライン間のラターと誰が繋がるか?というところが解決しなかったブライトンだったが、先制点の場面ではその解決策が。縦のウェルベックの抜け出しから1on1を作り、あっさりとゴールを陥れる。見事なパスワークであると同時に、ノープレッシャーのCBからの2本の縦パスであっさり崩壊する守備はやはりニューカッスルらしくないなと思ってしまう。
後半になっても流れを作ることはできないニューカッスル。マーフィーとマイリーを入れたところからリズムを変えに行きたいが、ブライトンは右サイドから機能的に進撃。ハーフスペースアタックやトランジッションのスピードを活かす形でミンテとバレバが躍動。
惜しむらくは左サイドが仕上がらなかったことだろう。もっとも、ゴメスが負傷してカディオグルが1列前に上がる状況ではシャープな仕上げを期待するのは少し難しい状況ではあったかと思うが。
決定機を逃し続けると、徐々にブライトンの馬力が落ちていく。右サイドから攻めるきっかけを掴んだニューカッスルはクロスをヴォルテマーデがおしゃれなクロスで仕留めることで同点に。試合を振り出しに戻す。
だが、最後に意地を見せたのはブライトン。後方から見事に列に潜入したウィーファーから再びシュートチャンスを得たウェルベックがこの日2得点目。エースの見事な2得点でまたしてもCLチーム相手に白星を挙げたブライトンだった。
ひとこと
ニューカッスル、コンパクトだけども相手に与える圧迫感が薄い守備だなという感じ。
試合結果
2025.10.18
プレミアリーグ 第8節
ブライトン 2-1 ニューカッスル
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:41′ 84′ ウェルベック
NEW:77′ ヴォルテマーデ
主審:クレイグ・ポーソン
マンチェスター・シティ【5位】×エバートン【8位】

左サイドがやり遂げたミッション
徐々に攻守にクオリティが安定してきたように見えるシティ。少し足踏みをしているリバプールを今のうちに捉えるためにもここで3ポイントを稼いでおきたいところだろう。
ボールを持つのはシティ。バックラインにボールを持たれることは許容する形の様子。まずは後ろが重めのポゼッションからシティは後方からサイドを迂回しつつ、ハーフスペースアタックとそこから生み出されたマイナススペースを狙うという非常にオーソドックスな入りであった。
時間の経過とともに押し下げられたエバートン。高さを微妙に変えるパスの連続で徐々にシティのバイタルに圧力がかからなくなるように。ミドルから少しずつチャンスを作っていく。
エバートンは反撃に出たいところだが、グリーリッシュの不在が響いているのが難しい。アルカラスが悪いというよりはいつもは絶大なグリーリッシュがいないなというニュアンスの方が強い。それでもシティはボールを無理には追いかけまわさかったので、それなりに保持の時間ができる。
CFのベトは前進のポイントとしては機能するが、やはり課題はゴール前。序盤の10分過ぎの絶好の決定機は是非とも決めて欲しかったところでもある。
苦しむエバートンだが、右サイドのエンジアイの馬力が冴え渡っていたのは印象的。左サイドに足りないキャリーの要素を含ませながら右サイドからチャンスを作っていく。ネガトラではこちらもアタッキングサードのキーマンになっていたドクを止める役割も。バチバチ火花が散るようないいマッチアップだった。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
迎えた後半。前半の終盤と同じく、互いにゆったりと敵陣を攻めていくスタート。前半と同じくドクとエンジアイのマッチアップの激しさが見られる展開だった。
そうした中で違いを見せたのはシティのもう1人の左サイド。オライリーの巧みなランで完全にエバートンのDFラインをおいていくことに成功すると、折り返しをハーランドが仕留めてゴール。シティがリードを得る。
このゴールで試合を完全に掌握したシティ。引き続き、左サイドから攻め続けると1点目と同じような左サイドの攻撃を完結することでハーランドが追加点をもたらす。
やや崩しの局面では苦戦したシティだったが、最後は左サイドが違いを見せることに成功。エバートンのブロック攻略というミッションを見事にやり遂げた。
ひとこと
仕方のないことだが、今のエバートンにグリーリッシュがいないというのはあまりに重たすぎるように思う。
試合結果
2025.10.18
プレミアリーグ 第8節
マンチェスター・シティ 2-0 エバートン
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:58′ 63′ ハーランド
主審:トニー・ハリントン
フラム【14位】×アーセナル【1位】

負け筋なしの安定感
レビューはこちら。

昨年はここで勝ち点を落としているアーセナル。首位で10月の代表ウィークを迎えた状態をキープするために、昨季は超えることができなかった難所を超えたいところだろう。
しかし、立ち上がりはむしろ相手に難所であることを痛感させられる立ち上がり。4-4-2のミドルブロックで勝負したフラムの守備は非常にコンパクト。中央にパスを誘導されるところから、カウンターで一気に敵陣に進んでいく。
アーセナルはミスから被カウンターを連発。降りて受けるエゼはプレスの脱出役ではなく、むしろプレスを引き寄せてカウンターのきっかけを生み出してしまうような展開だった。それでもバックラインはなんとか粘りを見せて攻撃を遅らせる。フラムは縦に早く進みきれればチャンスになりそうだったが、相手がブロックが整ってしまうと苦しい状況になっていたし、早く攻め切れる鋭さもなかった。
徐々にアーセナルはフラムの守備ブロックを押し込んでいくように。フラムはSHが自陣の大外を埋める6バックのような形からスペースを埋めていく。CBが攻撃に参加することができたアーセナルは厚みをもたらすことはできていたものの、なかなかシュートコースを見つけるためのパスワークができずに苦戦。コースが空いても後ろからシュートブロックが飛んでくるような人口密度ではなかなかにクリーンな状況を作ることができない。
そうした中で後方から攻撃参加をする両方のSBは攻撃のキーマン。右のティンバーがサカの作ったスペースを使い、左サイドから飛び込むカラフィオーリに合わせるという形から徐々に勢いを掴んでいく。
後半、ティンバーの対策としてフラムはイウォビをマンツー気味にケア。しかし、これによってサカのダブルチームが緩和されたことにより、アーセナルは右サイドから異なる攻め筋を見せつけるように。
アーセナルは押し込む状況を安定させるとセットプレーからゴール。ファーサイドに余ったトロサールがガブリエウのすらしに合わせて先制。ようやく試合を動かす。
押し返したいフラムだが、縦に速い攻撃もアーセナルのDFのカットの邪魔が入ることでなかなか前に進めることができず。特にティンバーの存在は邪魔になっていたはずだ。
問題なく試合を運んだアーセナルは最小失点差ながら安定してゲームクローズ。中断明けでも連勝とクリーンシートを継続する形となった。
ひとこと
勝ち筋はなんとかこじ開けたが、負け筋はあまり見えなかった試合だったと思う。
試合結果
2025.10.18
プレミアリーグ
第8節
フラム 0-1 アーセナル
クレイヴン・コテージ
【得点者】
ARS:58′ トロサール
主審:アンソニー・テイラー
トッテナム【3位】×アストンビラ【13位】

尻上がりの逆転勝ち
両チームのプレスの姿勢は対照的。バックスにボールを持たれることは許容するアストンビラに対して、バックラインからガンガンプレスに出ていくトッテナムという構図。押し込むトッテナムが早々に試合を動かすことに成功。セットプレーの流れからベンタンクールが早々にゴールを決める。
バックラインを高くキープしようとするもホルダーへのプレスはイマイチ整理することができないアストンビラ。その隙を逃すまいとクドゥスはハイライン破り。惜しくもオフサイドとはなったが、十分に狙いは見える形ではあった。
ただ、徐々にプレスを強めていくビラを見るとホルダーへのプレスは整理されている感じが見られた。ハイプレスからチャンスを作るビラに対して、トッテナムはベンタンクールの位置を動かしながら対応していくが、なかなかポゼッションを強められず、裏抜けでのハイライン破りのタイミングもいまひとつ合わないという感じとなってしまう。
逆にアストンビラはパウ・トーレスのキャリーから少しずつリズムを取り戻していく。前線では今季ここまでは調子が上がってこなかったロジャーズが躍動。巧みなターンから起点となると、素晴らしいミドルシュートで同点に追いつくスーパーな一撃をお見舞いする。
ハイテンポでテンポを上げてトッテナムを追い込んでいったビラ。タイスコアながらハーフタイムへの勢いはやや対照的なものを感じる前半の45分となった。
トッテナムは後半に向けてプレスを巻き直し。ハイテンポ、ハイプレスからアストンビラを敵陣に押し込んでいく。しかし、アストンビラもビルドアップでハイプレスを撃退。互いにミドルブロックをどのように攻略するかに試合の展開は推移する。
ミドルブロックに対してクドゥスのバックドアを活用するトッテナムと、ブロックの中にいるマッギンに縦パスを差し込んでいくアストンビラ。それぞれの攻略法で時間を作っていく。
だが、ワトキンスで左サイドに起点を作れるようになったビラが徐々に押し込んでいくと、セットプレーの二次攻撃からブエンディアが素晴らしいミドルで勝ち越し。トッテナムはずるずると下げられてしまった影響でシューターに圧力をかけることができなかった。
リシャルリソン、コロ・ムアニの2トップに放り込みにいくトッテナムだが、最後までアストンビラを崩すことはできず。ホームで手痛い逆転負けを喫することとなってしまった。
ひとこと
尻上がりに調子を上げているアストンビラ。今季もそうだし、この90分でもそうだった。
試合結果
2025.10.19
プレミアリーグ 第8節
トッテナム 1-2 アストンビラ
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:4′ ベンタンクール
AVL:37′ ロジャース, 77′ ブエンディア
主審:サイモン・フーパー
リバプール【2位】×マンチェスター・ユナイテッド【10位】

アンフィールドを黙らせたマグワイア
続いていた連勝がピタッと止まり、立て続けに負けが混んでいるリバプール。公式戦の連敗を止めたい今節はホームに宿敵のマンチェスター・ユナイテッドを迎えての一戦に挑む。
立ち上がりはロングボールの応酬。様子見のフェーズかと思いきや、そのロングボールのところからユナイテッドがあっさりと先制。ファン・ダイクの雑な競り合いと戻りきれないミスをついたのはユナイテッドの右サイド。ディアロとエンベウモのコンビネーションから一気にママルダシュヴィリの守るゴールマウスに穴をあける。
先制を許したリバプールは以降はポゼッションからユナイテッドの5-4-1を壊しにいく。ローからミドルブロックにコンパクトに陣形をキープするユナイテッドに対して、リバプールはCHを縦関係にする形でビルドアップ。中盤はマック=アリスターが前に張り、グラフェンベルフが後ろになるという前後分断の形で組んでいく。
ボールホルダーにプレスをかけにくい重心だったこともあり、リバプールは裏パス一撃からチャンスメイク。イサクは右のハーフスペースからの抜け出しを行っていく。
だが、こうした縦パス一撃以外ではなかなかチャンスを作れないリバプール。中盤の列の入れ替わりも少なく、ユナイテッドの守備ブロックを揺さぶりきれない状態が続く。
非保持でもイマイチリズムを作ることができないリバプール。綺麗に繋がれ続けるとまでは言わないまでも、ロングボールで逃げられたり、あるいは横断からサイドを自在に使われたりなどリズムを作れず。先制点をもたらした右サイドのコンビは引き続き攻撃の脅威になっていた。
単騎突破と縦パスだけでは仕留めきれなかったリバプール。前半はビハインドでハーフタイムを迎える。
引き続き保持からチャンスを作りにいくリバプール。SHとSBの二人称から一気に押し下げていく。しかしながら、もう一人がなかなか絡んでこれず、どこか力技感が否めない。相手のセットプレーのミスから鋭いカウンターを放つ場面もあるが、連携不足と決定力不足でこちらもゴールに届かず。ガクポのシュートは前半に続き、ポストに阻まれてしまう。
15分でスコアが動かなかったことを踏まえて、スロットは3枚交代で一気に攻撃的な布陣にギアチェンジ。カウンターから前がかりに人数をかける形から一気に敵陣に入り込んでいく。
前傾姿勢が実ったのは78分。左サイドからの仕掛けを仕留めたのはガクポ。なかなか試合を動かせなかったストライカーの一撃で試合は振り出しに戻る。
燃え上がるアンフィールドの興奮を鎮めたのはセットプレーのマグワイア。ブルーノの見事な導きから勝ち越しのゴールを挙げる。リバプールはややラインコントロールが不安定だったところから与えたセットプレーが致命傷になってしまった。
リバプールの残り時間の猛攻を凌ぎ切ったユナイテッドはアンフィールドで勝利。アモリム体制初のプレミア連勝を決めた。
ひとこと
サラーの不調は相当深刻なように見える。
試合結果
2025.10.19
プレミアリーグ 第8節
リバプール 1-2 マンチェスター・ユナイテッド
アンフィールド
【得点者】
LIV:78′ ガクポ
Man Utd:2′ エンベウモ, 84′ マグワイア
主審:マイケル・オリバー
ウェストハム【19位】×ブレントフォード【16位】

初勝利はまたしてもお預け
ヌーノが就任して3試合目のウェストハム。そろそろお預けになっている初勝利が欲しいホームでのリーグの初陣はブレントフォードを迎えての一戦となる。
ウェストハムの保持は相手のワンサイドに閉じ込めて行こうとするプレスに抗うような形のもの。ハイプレスに来る相手の背中をとりながら逆サイドにボールを逃す。
縦と横のパスのルートを使いながらスムーズに前進するウェストハム。サマーフィルの加速、出口となるボーウェンからチャンスを作りにいく。
一方のブレントフォードはサイドの突破からのクロスが主体。主に右サイドからのクロスに逆サイドからファーに飛び込んで行くシャーデがシュートを積み重ねていく。
ブレントフォードはサイドの突破の確実性がある。彼らの精度の高いアタッカーのおかげというのもあるのだが、ウェストハムはズルズルとラインを下がってしまうのが気になるところ。
シューター、クロッサーなどへのプレスも少しずつ弱まり、ブレントフォードは自由にプレーできる幅が広がっていく。しかし、チアゴやワッタラはなかなかシュートをするチャンスを活かすことができず。シュートの本数は増えるがなかなか仕留めきれない状況が続く。
だが、前半の終盤にスコアは動く。シャーデとチアゴの2人でロングボールでの抜け出しに成功。攻撃を完結させたチアゴが先制点をもたらすことに成功。試合はブレントフォードのリードでハーフタイムを迎える。
ビハインドのウェストハムは3枚交代を敢行。5バックにシフトして、最後尾の枚数を確保してDFの強度を上げにいく。ブレントフォードは左サイドからのファストブレイクでスタート。前半もゴールに絡んだシャーデのところから陣地回復しにいいく。
ハイプレスにも出ていくようになったウェストハムだが、こちらの効果はやや怪しいもの。背中を使われる頻度が多く、ダムズゴーやヤルモリュクの加速から一気に進んでいかれるように。
徐々に推進力が出てこなくなる展開となる両チーム。選手交代も両チームなかなか流れを変えることができず、試合は一進一退の攻防となる。
そんな状況で試合を仕留めたのはブレントフォード。ウェストハムの攻撃を跳ね返しつつ、カウンターで試合を決めたのはイェンセン。95分に試合を決めるゴールを叩き込む。
ヌーノの初勝利はまたしてもお預け。監督交代後のホーム初戦を飾ることができなかった。
ひとこと
クロス対応のところのウェストハムの甘さは気になるところ。本来であればヌーノには厳しく指導してもらいたい箇所であるが、ちょっとCB陣のパフォーマンスが上がっていない感がある。
試合結果
2025.10.20
プレミアリーグ 第8節
ウェストハム 0-2 ブレントフォード
ロンドン・スタジアム
【得点者】
BRE:43′ チアゴ, 90+5′ イェンセン
主審:アンディ・マドレー
今節のベストイレブン

