週間と言いながら1ヶ月ぶりです。あくまで報道をベースに自分の予想を話す記事。予報なので来てしまった人のことは振り返らない!別記事で移籍市場まとめ!みたいなのを書けたらいいなと思う。余裕があればだけど。
ノニ・マドゥエケ
アンドレア・ベルダは複数人の候補者を探りながら選定を進め、特定の人物に絞り込んでからは一気にギアアップするというのがこの夏を通して見て取れる交渉の特徴だ。もっとも、我々が目にする情報の中で言えばという感じだが。
そういう意味ではマドゥエケの案件においては他の案件に比べて大体候補者の話が聞こえてこなかったように思う。長らく話されているロドリゴ、ゴードンなどのターゲットに関してはポジションこそ同じではあるが「サカのバックアップが可能で左サイドもできる」というプロファイルにおいてははみ出してしまう大駒なので、同じ土俵の上の交渉なのかの判別は未だについていない。
移籍金は当初アーセナルが£40-45m、チェルシーが£50mという話であったが、いつの間にかチェルシーの要求は£50m以上となり、最終的にまとまったのは£48.5+3.5mのというパッケージのようだ。他の案件と比べてあっさりと相手チームの要求を飲んだ感があるが、その理由については粘ったとしても下がらないと踏んだだろうか。
しかしながら、チェルシーは選手の売却が必要な状況に見えるため、アーセナルにとっては全く足元を見れない状況ではないと思える。モスケラ、ギェケレシュと異なるのはマドゥエケ個人には足元を見る状況が紐づいていないことだろうか。チェルシーは売却益を得られるのであれば、必ずしもその対象がマドゥエケである必要はない。
いずれにしても移籍金の時においてハヴァーツの時と同じ顛末となったのはSDの変化があまり影響していないという点で意外だった。チェルシーとの関係性を重視したかどうかは定かではないが、あまりにもあっさりクラブ間合意が決着した。
チェルシーとの取引に関して変わらないのはファンベースも同じだ。ジョルジーニョがやってきた時のように(もしくはそれ以上に)現地のファンはマドゥエケに強い抵抗を示している。反発を受けながらもジョルジーニョが大きな敬意を持ってクラブから離れたその夏に、同じようなことを繰り返しているのだから本当に呆れ返る。個人的に現地のファンベースの意見を重視していない理由はここにある。無論、そういう人ばかりではないのは承知しているが、それならば「現地のファンだから」という理由で無条件で意見を受け入れる必要はないと思ってしまう。
もう1つ驚いたのはCWC決勝前のチームからの離脱。クラブと直接的に関わるわけではないというのは重々わかっているが、それでも代表のW杯では同じことは起き得ないだろう。まだ、CWCが市民権を得ている大会ではないのかなと思ってしまった。
ヴィクトル・ギェケレシュ
長らく続いたシェシュコとの天秤に決着がついたのは7月6日。ポルトガル勢の報道が先行して起こり、そこに英国有力ソース勢が乗っかる形で追認を行い、シェシュコ<ギェケレシュの構図がはっきりすることとなった。この日以降に、「シェシュコがギェケレシュよりも優先される」というこの流れに反論する報道は1つも見ていない。
すでに5年契約の個人条件は合意済みで、選手はアーセナルファンも驚くくらいロンドン行きに前のめりだ。問題なのは移籍金の決着ただ一つ。まとめれば総額は€80mのパッケージで合意。固定部分をアーセナルは€65mとしたいのに対し、スポルティングは€70mとしたいという「€5mのギャップ」だ。
先に述べたようにこのギャップはマドゥエケのケースであればアーセナルの歩み寄りにより簡単に埋まった差額でもある。ベルダがこの交渉において同じようにしないのはスポルティング側から譲歩の可能性があるということだろう。現地金曜日の時点でギェケレシュはスポルティングのトレーニングに復帰せず、スウェーデンで交渉が進むのを待っているとのこと。
あくまで「誰かを売れればいい」話だったチェルシーに比べると、スポルティングの件はより個人に紐づいているように思える。その状況をスポルティングがどこまで解決したいかによるだろう。選手側も「紳士協定」を盾に移籍金を増やさないアーセナルよりもスポルティングを問題視している。
これまでの傾向で言えば、ポルトガル勢はこういった駆け引きには応じないように思う。スポルティングよりも差し迫った話ではないが、新加入選手は早期合流した方がアーセナルにとってはありがたい。
この€5mの差に向き合うのはどちらなのか。個人的にはアーセナルが折れるしかないと思うが、バックアッププランもちらつかせながらスポルティングの出方を伺う姿勢も示しており、状況は流動的。一部のポルトガルメディアが破談の可能性を示唆する中で、RomanoやHand of Arsenalが交渉が続いていることを強調しており、この沈黙の見方も微妙に異なっている。少しバランスが崩れれば一気に物語は最終局面を迎えることになるのではないか。
クリスティアン・モスケラ
いつの間にかアーセナルはガブリエウだらけとなっているが、仮にモスケラがやってくれば、先に公式発表が出てきたノアゴールに続き「2人目のクリスティアン」となる。Hand of Arsenalから始まった一件はとんとん拍子で進み、いつの間にか交渉は佳境となっている。
マドゥエケ、ギェケレシュと同じく彼もまたアーセナル行きを望んでおり、個人条件面では問題がない。問題はやはり移籍金だ。アーセナルの立場はギェケレシュの件よりもさらに強いと思う。バレンシアの立場は一貫しており要求は€20m。アーセナルはこの要請に応じる要求はなく、€10mを少し上回る1stオファーが拒絶されてからはこの案件に動きはない。
バレンシアにとって苦しいのは残りの契約は1年で、契約更新のオファーは拒否されており、本人はアーセナルを希望しているという点。水攻めにあっているかのような状況となっており、アーセナルはそれに屈するのを待っているということだろう。ギェケレシュの件を先に片付けようとしているところから見ても、この件では「時間が経つ」ことが解決策になるという意識は強いのだと思う。
バレンシアからすれば逆転の一手は獲得の競合となる相手が出てきて移籍金が釣り上がる展開だろう。目標とする€20mを手にするためのシナリオは達成されることになるだろうか?
エベレチ・エゼ
ギェケレシュ、マドゥエケ、モスケラと同じく、エゼもまたこの夏のアーセナル移籍を強く望んでいるとされている。幼い頃にアーセナルに所属していた彼にとって、この夏は古巣に堂々と帰還するまたとない機会と捉えているのだろう。
パレスの要求は明確で設定されるRCを払うかどうか?となっている。総額は£68mで£20m×3年+£8m×1年の分割払いが可能という条件付き。一括での支払いが求められる一般的なRCよりはハードルが低い性質のものだ。
アーセナルはこのRCを下回る条件での獲得を目指している。先んじて移籍が決まりそうなマドゥエケとは別案件として動いているというのは各報道一致しているところであり、金曜の段階でアーセナルがこの交渉に前向きなのは確かだろう。
モスケラ、ギェケレシュの案件と異なるのはこの案件には「時間が解決する」という要素がないことだ。次の夏に契約が切れるわけでもない、ギェケレシュのように不満分子となる可能性は今のところ示唆されていない。パレスの要求をアーセナルが飲む以外に物事を前進させる解決策はないように思える。
右が主戦場のマドゥエケの獲得が内定したことから、来季のヌワネリはインサイド起用が濃厚なこともこの案件におけるアーセナルの真剣度とコンフリクトがある部分だと思う。ギェケレシュも獲得するのであればメリーノ、ライス、ウーデゴール、プレータイム保証を求めるヌワネリとバリバリ稼働を希望する選手がこのポジションに溢れることとなってしまう。その中でエゼが必要なのかどうかはスカッド構築の観点からも気になるところだ。
他の案件と異なり、水攻めは効かないシチュエーションのように思える。そうした中で時計の針を動かすのは誰なのか。あるいは時計は止まったままなのか。マドゥエケのリリースが出た後に流れが見えることになるだろう。
ロドリゴ
元々、クラブW杯も絡むこともあり長期化が予想されていたこの案件。細かいピースから埋めていき、大物の枠を確保するという流れなのか、それとも単純に所属クラブの事情が関与しているのかはわからないが、ライスの時とは少し異なるテイストになっているように思う。
マドリーが敗退した後もまだ旗色ははっきりしていない。クラブはまずは選手の意向を確認するというスタンスで、そこ次第で交渉の扉が開かれるというのが流れとなっており、この扉が開くのかどうかが今は定かではないというニュアンスだ。
「マドリーは選手の意向を確認したい」「マドリーはロドリゴを売却したい」「ロドリゴは残留してチャレンジを希望している」「ロドリゴは移籍をするのであればアーセナルを希望する」という断片的な情報は一見矛盾がありそうで全てが共存する見立てでもあるように思う。
扉が開かれれば、アーセナルは交渉に向かうだろうが、一部では競合の存在も示唆されている。マドリーとロドリゴの関係を考えても単独交渉ですら安上がりな決着は見込めない。
ケパ、スビメンディ、ノアゴールに加え、マドゥエケの獲得も決定的。ここまででこの夏の支出は£100m超え。仮にエゼ、モスケラ、ギェケレシュに加えてロドリゴもとなれば£300mを越えることは確実。誰かを諦めるか、もしくは誰かを売るかでしか個人的にはないと思っている。
売却が示唆されているのはトロサールではあるが、規模感的にはしっくりくるのはむしろマルティネッリ。サウジアラビアルートが否定された現状で売り先があるのかは定かではないが、財政的+スカッド的には扉が開かれた上で売りが必要な案件なように思う。
最後に夢のターゲットを残しているかどうか?でこの夏のベルダへの評価は変わると思う。そういう意味では8月までスカッドが固まらない市場になる可能性もある。
レアンドロ・トロサール
フェネルバフチェが興味を持っているという報道がトルコ側から積極的に出ているが、Romanoは具体的な交渉を否定している。一見すると交渉自体が存在していない構図にも見える。だが、注意したいのはRomanoが否定しているのはあくまで「アーセナルとフェネルバフチェの話し合い」についてであり、トロサールとフェネルバフチェの交渉については何ら触れられていないこと。
Hand of Arsenalはむしろトロサールとフェネルバフチェの暫定合意に対して追認を行なっており、選手側の希望は見えてこない。昇給を希望しているという本人の願いをアーセナルが満たされていないことは確かであり、この状況がアーセナルが取り組んでいるとされている契約延長交渉にどのような影響があるか。トロサール陣営はまずはアーセナルの出方を伺っている状況ではないか。
まだまだ忙しそうだね。