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「Catch up J1 League」~2022.9.17 J1 第30節 アビスパ福岡×清水エスパルス ハイライト

■ビハインドを跳ね返してお得意の逃げ切り勝負に持ち込む

 ともに4-4-2というフォーメーションでがっちり組み合うことになった両チーム。立ち上がりに保持をする機会が多かったのは清水だ。両CHのうち片方がアンカーのように振る舞い(今日はホナウドがこの役割だった)、相手の2トップの間の背後に立つ。CBは幅を取りながら広がり、GKも活用したビルドアップを行う。中盤は白崎とカルリーニョスがホナウドと逆三角形を形成するイメージである。

 とはいえ、権田はそこまで足技が豊かなGKではない。よってSBのビルドアップ参加による枚数調整も比較的積極的に行われていた。山原も原も問題なく低い位置でもプレーできるタイプのプレイヤーだが、より低い位置に顔を出していたのはこの日は山原の方だっただろうか。

 サイドにポジションを取りながら低い位置まで降りてくるのは乾も同じ。低い位置に降りてきた乾を活用しながらどうこうという場面はあまりなかったのだけど、乾に前嶋がついてくるという現象自体を清水はうまく利用していたように思う。前嶋の背後にサンタナを走らせるなどで清水はサイドの深い位置に起点を作るようになる。ここからサイドの崩しに走るのが清水のプランである。

 一方の福岡はよりトランジッションを重視したやり方で反撃に出る。ボールを奪ったらなるべく早い段階でトップに当てながら縦に鋭い攻撃を繰り出していく。ルキアンというターゲットにボールを当てつつ、その周りを金森や山岸などが追い越していく形で前進する。

 福岡はようやく中村と前というコンビが揃ったこともあり、CHが動きながらマークを外して組み立てようとする場面もなくはなかった。ただ、メインストリームはあくまで縦への速さを重視した部分にあると言えるだろう。

 同じ4-4-2ながら少し攻め筋が違う両チームという構図。先制点を奪ったのは清水。左サイドの深い位置から山原のクロス性のボールがそのままゴールイン。やや偶発性が高いゴールではあるが、サイドの深い位置からの攻略という意味では清水の狙い通りと言えるだろう。

 一方の福岡は直後にセットプレーから反撃。中村が直接FKを決めて同点に追いつく。同点で勢いに乗った福岡は前半のうちにまたしてもセットプレーから追加点。CKからニアでスラしたボールに山岸が合わせて逆転する。

 後半の頭、主導権争いが繰り広げられている間にさらに福岡は得点を重ねる。ルキアン、クルークスと繋ぎ最後は山岸。トップに当てて、2列目が衛星的に動き回るというこの日の福岡らしい攻撃が炸裂し、リードを広げる。特に山岸の動きの良さは秀逸で70分付近にもマイナスへの見事な動き直しでPA内でフリーになってみせた。

 清水はワイドの選手が内側に絞る頻度を上げながら反撃。いわゆる中央合体のような形から早めの前線の裏に放り込む形から得点を狙っていく。PK奪取のシーンではこの日積極的にエリアを狙う意識を持っていたホナウドの献身性が実った。慌てて引っ掛けてしまった福岡のファウルにより、清水はPKをゲット。これで1点差に詰め寄る。

 しかし、ここから先は福岡の体を張った守備によって清水の攻撃はシャットアウト。ビハインドという苦手な状況を跳ね返して、リードという得意な状況を維持し切った福岡が清水相手に逃げ切りに成功。残留争いに向けて大きな勝ち点3を手にした。

試合結果
2022.9.17
J1 第30節
アビスパ福岡 3-2 清水エスパルス
ベスト電器スタジアム
【得点者】
福岡:36′ 中村駿, 42′ 49′ 山岸祐也
清水:29′ 山原怜音, 60′(PK) チアゴ・サンタナ
主審:西村雄一

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