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「マドゥエケとギョケレシュから考える今季の方向性」~2025.8.17 プレミアリーグ 第1節 マンチェスター・ユナイテッド×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第1節
2025.8.17
マンチェスター・ユナイテッド
×
アーセナル
@オールド・トラフォード

戦績

過去の対戦成績

 過去5年間の対戦でマンチェスター・ユナイテッドの2勝、アーセナルの6勝、引き分けが3つ。

ホームでの成績

過去10回の対戦でマンチェスター・ユナイテッドの4勝、アーセナルの2勝、引き分けが4つ。

スカッド情報

Manchester United
  • リサンドロ・マルティネス、ヌサイル・マズラヴィは欠場。
  • アンドレ・オナナ、ジョシュア・ザークツィーはフィット。
Arsenal
  • ガブリエル・ジェズスは長期離脱中。
  • レアンドロ・トロサールは土曜日のトレーニング参加に楽観的で試合にはフィットする見込み。

Match facts from BBC sport

Match facts
  • ユナイテッドは直近18試合のプレミアリーグのホームのアーセナル戦で2敗のみ(W10,D6)。しかし、その2つの敗戦はどちらもミケル・アルテタが率いていたアーセナルに喫したもの。
  • アーセナルは直近11試合のユナイテッドとのプレミアのアウェイゲームで全て得点をしている(計14得点)。プレミアにおける初めの22回のオールド・トラフォード遠征では10得点しか記録していなかった。
  • ユナイテッドは243試合のアーセナルとの公式戦の対戦で99勝(D55,L89)。アーセナルより多くの勝利を挙げている対戦相手はアストンビラ(107)だけ。勝利すればアーセナル相手に100勝した初めてのチームになる。
  • ユナイテッドがホームにアーセナルを迎える開幕戦は英国リーグ史上2回目。1回目は89-90シーズンでユナイテッドがアーセナルを4-1で撃破している。
  • ユナイテッドは9シーズン連続ホームで開幕戦を迎えており、英国トップリーグ記録。
  • ユナイテッドはプレミアの開幕戦で22勝を挙げており、他のどのチームよりは多い。第1節における67%の勝率も1シーズンより多くプレミアを過ごしているチームでは最多。
  • 25-26シーズンはアーセナルの英国トップリーグの連続100シーズン目となる。現在進行形の記録としては最も長い(次点は72シーズンのエバートン)。アーセナルは直近6試合の開幕戦で5勝(L1)で現在3連勝中。2001年から2005年までの5連勝以来、長い連勝のラン。
  • ユナイテッドは24-25の最終節でアストンビラに勝利したが、リーグ1年を通して連勝はなかった。最後の連勝は23-24終盤の2連勝に接続した、24-25の開幕節のフラム戦となる。
  • 11月のニューカッスルでの敗戦以降、アーセナルは直近14試合のプレミアのアウェイゲームで負けなし(W7,L7)。03年8月から04年9月に記録した27試合無敗というプレミア記録以来、最も長い無敗のランを記録している。
  • ヴィクトル・ギョケレシュは直近2シーズンにおける欧州上位10位のリーグにおけるトップスコアラー。スポルティング時代は23-24から24-25シーズンにかけて66試合で68得点を記録している。オールド・トラフォードでの開幕戦でデビューゴールを決めれば史上3人目のこととなる。

予想スタメン

展望

前線のユニットがいつどう定まるか?

 約3ヶ月ほどのオフを経てプレミアリーグがいよいよ開幕。25-26シーズンのアーセナルに一番初めに立ちはだかるのはアモリム率いるマンチェスター・ユナイテッドだ。

 昨季はプレミアで15位に終わったユナイテッド。全てをリカバリーするラストチャンスだったトッテナムとのEL決勝でも敗れてしまい、文字通り再建のシーズンに位置付けられる25-26シーズンとなる。

 プレシーズンの試合のうち、U-NEXTでの配信があったプレミア勢との3試合をチェックした感想で週末のユナイテッドを展望したいと思う。基本的なフォーメーションは3-4-2-1。昨シーズンの後半戦にアモリムが重用したフォーメーションが継続されている。

 ただし、非保持においてはこの基本形を崩すケースもプレシーズンでは見られた。片方のシャドーをSH、片方のWBをSBとする4-4-2のような形でボールを刈りにいくシーンがそれなりにあったことは昨季からの変化と言えるだろう。

 4-4-2でのミドルブロックはピッチをバランス良くカバーしやすい陣形。スポルティング時代におけるアモリムの3-4-2-1は前線のプレスを中盤の可動域の広さでカバーしていたが、同じやり方をユナイテッドに持ち込んだ結果、ユナイテッドのかかえるCH陣の資質をミスマッチが発生したように思う。

 そういう意味では非保持4-4-2へのトライはカバーリングの負荷をCHだけでなくチーム全体に分散しやすい方策のように思える。全体の陣形のバランスを整えにいく方向性は今季も新戦力がいないCH陣にとってはありがたいものだと言えるだろう。

 3バックの陣形を組んだエバートンに対しては3-4-2-1をキープするなど、相手によっては陣形を4-4-2に変えないまま守る形は捨てていない。3バックのままの場合でもワイドのCBの迎撃の意識を高めることでCHの負荷を分散。逆に言えばこのCBが狙いを定めて迎撃に行けないようだと一気に背走を余儀なくされるシーンもあった。

 保持においては前3枚の選手の資質が依然として大きな要素を占めると言っていいだろう。後方での枚数をかけるポゼッションにもトライはしているが、この点はまだまだ発展途上でテストの域を出ていないように思える。チェックした試合ではホイルンドがその点で汗をかいていたように思えるが、彼らの今の移籍市場での振る舞いを見るとクーニャ、ムベウモ、そして遅れてやってきたシェシュコがその役割を引き継ぐことになるのだろう。

 クーニャ、ムベウモは共に前所属チームでは低い位置からボールを引き取って攻撃を前に進めてゴールに迫り、スコアリングにも絡んでいったという万能型。左右でプレーエリアは異なるが広い範囲で攻撃に関与するという資質にはやや共通点がある。この役割ができる選手が2人いることが助けになるか、それとも持ち味を相殺することになるかは今季のユナイテッドの気になるポイントでもある。

 いずれにしても前線で時間を作り、ワイドアタッカーに時間がある状態で展開することが目下のユナイテッドの攻撃の形になるだろう。大外から仕掛けていくディアロはより静的なフェーズで、推進力を見せるドルグはより縦に速い攻撃において存在感を発揮することができる。

 後方の選手たちが彼らに時間を与えるというよりはシェシュコを含めた前線の選手たちが彼らを生かす方が今のユナイテッドではイメージしやすい。総入れ替えとなった前線の選手の完成度と最適なユニット構築がまずは序盤戦のユナイテッドの立ち位置を決める大きなポイントになるだろう。

少なめの不確定要素は?

 プレシーズンのユナイテッドを見る限り、最も得点を狙いやすい場合は彼らの中盤が前に進めると思っているところを咎めるシーンである。例えば、スピードに乗った相手のアタッカーに対して、安易なタックルを交わされた瞬間はその1つである。

 やはり、カバーの範囲が広くないユナイテッドのCHにとって前線のプレスである程度方向を限定できないのは苦戦の要因になっている印象。前述した4-4-2での非保持は前からプレスに行くための方策に思えるが、前線が入れ替わったこともあり、前からのプレスの完成度は現時点ではそこまでのように思う。

 アーセナルからすればGKを絡めて前からのプレスをまずはきっちりと外すことが最優先。ユナイテッドのMF陣に迷いを与えるために、特にアンカーのスビメンディをフリーにして縦パスを差し込むための準備を整えることをビルドアップで行っていきたい。CHが迷えば、その歪みはCBへの皺寄せとなるはず。1つずつ数珠繋ぎのように相手の守備を崩すことができれば得点に準ずるチャンスを作ることはできるだろう。

 もう1つ、ユナイテッドを咎めるために行っていきたいのは敵陣での即時奪回。ユナイテッドのCHは自陣からの陣地回復によるロストからピンチを迎えるシーンがプレシーズンで散見された。スピードに乗った状態で相手を迎え撃つとなると、アーセナルはスビメンディのトランジッション精度が新シーズンの大きな懸念となる。スピードに乗る前に相手の攻撃を咎めて、あわよくば敵陣のゴールに迫っていく形を作りたい。

 さて、今季1つ目のプレビューとなるので簡単にアーセナルのシーズンプレビューを行いたい。今季のここまでのアーセナルの補強、そしてプレシーズンでの振る舞いを見ると、アルテタが今季掲げているテーマは昨季までのプレー原則をより多くのメンバーで踏襲できるようにしたいということにあるように見える。

 昨シーズンは主力が順番に離脱しながらその穴をカバーしていくことに追われたシーズンだったが、今季はそこに関してより強固なスカッドを用意して対抗したいということだろう。もっともそれを強く感じたのはマドゥエケの補強だ。サカ以外の右サイドの大外の専門職を同リーグのライバルに安くない移籍金を支払ってでも獲得したいというのは、ここ1~2年のマルチロールを意識したスカッド構成とはやや異なる哲学のように思える。

 ヌワネリのようなMFタイプやトロサール、マルティネッリといった逆サイドを主戦場にするタイプではなく、右の大外でサカと似たようなタスクを託せるマドゥエケをあえて獲りにいったというのは今季の移籍市場における1つの大きな方向提示のように感じる。

 ここ1〜2年で進めていたマルチロール化の選手を増やすことでコアメンバーを15人前後にしていくという試みは個人的には層を厚くすることに一定の効果を見せていたと思う。だが、重なる離脱者と1月にも全てのミッドウィークが埋まるような今のカレンダーではそれでもスカッドはショートだということだろう。それなりに放出もしてはいるから人数がとても多くなったわけではないが、冨安、スターリングの枠をよりプレータイムの積み増しが期待できるモスケラ、マドゥエケにスイッチするスカッド構成はより強固に思える。

 多少の怪我人がいても高い位置からのプレスに軸足を置いた強度の高いプレーモデルを実現するためのスカッド構築。それが今季のアーセナルのテーマのように思える。

 逆に言えばプレシーズンで見られるような目新しいトライはあまり見られなかったのは気がかりなポイントでもある。あまりプレシーズンマッチを真剣に見るタイプではないので、単に見逃しているだけかもしれないが、今季はこういうことをやりたいのかな?という点で目新しさという要素はそこまでアーセナルに感じなかった。

 新しさを担うのはスカッド構築の観点では唯一「純増」と位置付けることができるギョケレシュということになるだろう。ボックス内で勝負できるストライカーの存在はここ2〜3年のアーセナルが待望していた部分でもある。一方でスコアラー色の強い選手を外部から獲ってきた時に、高い位置からの守備での貢献度で見劣りしないか?というのは当然大きなポイントになるだろう。

 新ストライカーの存在がアーセナルにもたらすのはプラスか?マイナスか?良くも悪くもやや新鮮さには欠けるプレシーズンを過ごしたアーセナルにとって、このスウェーデン人ストライカーがどのようにチームと融合するかは今季の不確定要素の多くを占めることになりそうだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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