■猪突猛進を保持でコントロール
序盤から良さが出たのはセルティック。立ち上がりからいきなりギアクマリスのポストからアバダのシュートでレアル・マドリーのゴールに迫る。
今思えば、セルティックのこの試合におけるスタンスはこの立ち上がりのシュートに詰め込まれていたように思う。ダイナミックで直線的にゴールに向かうスコットランドのチームらしいスタイル。トップの選手にポストのためにボールを当てて、落としを拾いながらゴールまで猪突猛進!という形でレアル・マドリーを攻め立てる。
とはいえ、セルティックが遅攻で全く望みがないわけではない。その部分は旗手やマクレガーなどの中盤がテンポをコントロール。早く攻められなかった時はサイドをバランスよく使いながら幅をとる。プレスの回避も含めて、事前のイメージよりはボール保持がきっちりできるチームだなという印象を受けた。
中盤でフリーの選手ができれば、まずは裏に抜ける選手がいないかチェック。それが難しそうならばとりあえずボールを回しながら様子を見ていくというのがセルティックのスタンスだった。
レアル・マドリーはゆったりとしたボール保持で反撃。序盤は右サイドがボール運びに専念。モドリッチとバルベルデを軸に陣地回復を狙う。中盤は全員がボールを運ぶことができるので、多少低い位置に落ちても問題はないというスタンス。モドリッチ、クロース、チュアメニの3人はポジションを落とすことを躊躇することがなかたt。
マドリーは横のドリブルの使い方がうまい。細かく方向を変えながらのドリブルで相手を振り切ることが多いのがすごい。セルティックのプレスは間に合っているのにはじかれてしまうシーンが散見された。
後半、ペースを作って引き離したのはマドリーだった。改善されたのはパスミスが減ったこと。前半からショートパスを繋ぎ倒すスタンスではあったが、繋ぎの途中でパスミスが出てしまうせいで得点まで至らなかった。この部分で改善が見られたため、後半のマドリーは保持の安定感が数段向上した。
もう1つ、前半のマドリーで気になっていたのはゴールに向かう動きだしが少なかったこと。30分のベンゼマの負傷交代以降はその傾向がさらに顕著になった。後半に挙げたマドリーの先制点はチームの中で最もそうした走り出しがうまかったバルベルデが牽引。彼に導かれるように前線に走り込んだヴィニシウスが先制点を奪った。
マドリーの2点目は中盤のボールの奪い合いがきっかけ。フィフティーのボールをチュアメニが根性で繋ぎ、アザールが加速。最後はモドリッチが技ありのフィニッシュで仕留めて見せた。セルティックからすると「いつの間に斬られた?」という感じのゴールだったはず。
アザールは攻撃を加速させたシーンは正直この得点のシーンくらいだったのだが、落ちてポゼッションに絡んでくるのでビハインドを背負うセルティックとしてはウザかったはず。後半のセルティックはちっともボールを奪えなかった。ボールを奪えないのであれば、前線をリフレッシュしてもそれを披露する機会がない。
ボールを動かしながら時計を進めるマドリー。終盤は大きなカルバハルへの展開からアザールが仕上げて3点目。猪突猛進のセルティックのスタイルを諌めるように試合をコントロールしたマドリーが3得点で快勝を決めた。
試合結果
2022.9.6
UEFAチャンピオンズリーグ
Group F 第1節
セルティック 0-3 レアル・マドリー
セルティック・パーク
【得点者】
RMA:56′ ヴィニシウス, 60′ モドリッチ, 77′ アザール
主審:ザンドロ・シェーラー