Fixture
プレミアリーグ 第4節
2025.9.13
アーセナル(3位/2勝0分1敗/勝ち点6/得点6 失点1)
×
ノッティンガム・フォレスト(10位/1勝1分1敗/勝ち点4/得点4 失点5)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績

過去の10回の対戦でアーセナルの6勝、フォレストの3勝、引き分けが1つ。
アーセナルホームでの戦績

過去10試合でアーセナルの7勝、引き分けが3つ。
スカッド情報
- ベン・ホワイト(フィットネス)
- クリスチャン・ノアゴール(フィットネス)
- ガブリエル・ジェズス(ACL)
- カイ・ハヴァーツ(膝)
- ウィリアム・サリバ(足首)
- ブカヨ・サカ(ハムストリング)
- オラ・アイナ(フィットネス)
- ニコラス・ドミンゲス(膝)
- オレクサンドル・ジンチェンコ(所属元クラブとの対戦)
Match facts from BBC sport
- アーセナルホームにおける直近6回の公式戦においてアーセナルはフォレストに全勝。AGGは19-2。1989年3月の3-1での敗戦以降、フォレストに対して14試合公式戦の無敗を継続中。
- フォレストは直近16試合のアーセナルとのプレミアリーグの試合で2勝だけ(D4,L10)。2勝ともザ・シティ・グラウンド開催のもので96-97と22-23。
- アーセナルはリバプール戦の敗戦でリーグ戦の4連勝がストップ。リーグ戦の連敗は2023年の12月以来ない。
- フォレストは直近11試合のプレミアで5敗(W3,D3)。それ以前の24試合より1敗少ないだけ(W15,D3,L6)。
- プレミアリーグにおいてフォレスト(11)よりも長くクリーンシートがないのはフラム(12)だけ。アウェイにおいては3試合連続無失点を達成した昨年12月〜1月以降、9試合連続クリーンシートがない。
- アーセナルはセットプレーからのゴール期待値がチェルシーに次いで2番目に多い(2.34)。しかしながら、オープンプレーにおけるゴール期待値はサンダーランドに次いで2番目に少ない(1.54)。ゴール期待値のうち50.1%がセットプレー由来で全体のチームの中で最多の割合。
- ノッティンガム・フォレスト(301,2位)とアーセナル(280,3位)は今季のプレミアにおけるハイプレスの回数のトップ3に入る。個人としてもヴィクトル・ギョケレシュ(76, 2位)とクリス・ウッド(72, 3位)はともにトップ3に入る。
- フォレストは今季ファイナルサードでのパスの本数が471本で最も多い。ボックス内での114本もリーグ最多。85本のクロスもリーグ最多であり、1試合平均28.3本を上げており、昨季の16.3本よりも大幅に多い。
- ギョケレシュは彼が出場した直近7試合のホームでのリーグ戦で10得点をあげており、エミレーツデビュー戦であるリーズ戦でも2ゴールを決めた。ホームのデビューから2試合連続で2得点以上決めた選手は1992年のデイビッド・ハーストと2011年のセルヒオ・アグエロの2人だけ。
- エリオット・アンダーソンは32本のラインブレイクパスを出しており、プレミアの全MFの中で最多。敵陣のPA内におけるラインブレイクパスも4本を通しており、これより多いのはアレックス・イウォビ(5)だけ。
予習
第1節 ブレントフォード戦

第2節 クリスタル・パレス戦

第3節 ウェストハム戦

今季ここまでの道のり

予想スタメン

展望
再びシーズンの幕を上げる
過去に何度も言っているが、プレビューを書くことにおいて最も恐ろしいことは予習する試合がないこと。その国やカテゴリーのリーグの配信がそもそもなかったり、昇格組との開幕戦だったり、あるいは監督交代を行われた直後の試合がそのケースに当たる。
今回の対戦相手であるフォレストはまさに監督交代直後。ということでこれまでの予習は全ておじゃん。後任になったポステコグルーについてはひとまず置いておいてここまでの今季の道のりを振り返りたい。
昨季は最終局面まで躍進したフォレスト。基本的にはセルス、ムリージョ、ミレンコヴィッチのトライアングルを軸とした4-4-2ベースでの強力な非保持のブロックと、エランガとハドソン=オドイの両翼にギブス=ホワイトとウッドが絡む形で縦に速い攻撃を構築していた。
大まかな陣形の話をするのであれば、そこまで大きな変化はないと言っていいだろう。昨季の終盤戦はやや前線と中盤をアシンメトリーに組むことで王道の4-4-2から外れたブロック守備にトライしていた印象だが、今季はオーソドックスな4-4-2への回帰が見て取れる。個人的にはこの方がバランスがいいように見える。
CBはボックス内での守備をきっちり守る分には固さをきっちりと発揮できる一方で、カバーする範囲が広くなるとやや対応にらしくない軽さが見えることとなる。終盤に畳み掛けられて大量失点を喫したウェストハム戦ではボックスから釣り出されたミレンコヴィッチがサマーフィルに手玉に取られてしまいそこから決壊。その流れから速い攻撃で失点を繰り返してしまうこととなった。
このポイントはポステコグルーになった際の最大の懸念と言っていいだろう。トッテナム時代、そして横浜FM時代も共通してポステコグルーはCBに広い守備範囲をカバーすることを求めてきた。これは昨季のフォレストの持ち味とは真逆と言ってよく、その点でCBの適正にはあやしさがある。
保持においてはエランガがニューカッスルに去った影響からか縦に速くシャープな成分はやや鳴りを潜めているようにも見受けられる。ウェストハム戦ではゆったりと押し下げながらサイドに枚数をかけて勝負を仕掛けていく。例年であれば速攻でギブス=ホワイトと誰が繋がれるかの構築次第という形だったが、今季はよりポゼッション色が高い展開での打開にもトライしている印象。もしかするとたまたまウェストハム戦がそういう展開に持ち込まれただけかもしれないけども。
しかしながら、ハーフスペースを取るアクションから先がなかなか見えず苦戦していたのも確か。保持型チームが陥る1つ目の関門で苦戦していたのがウェストハム戦のように見えた。おそらくは前線を中心に多くいる新加入選手がここからアクセントをつけていこうという矢先の解任劇だったということだろう。
前々から噂があったとはいえ、移籍市場が終わったタイミングでの解任劇、そして代表ウィークが1週過ぎた段階での監督交代はフォレストにとっては予定通りというわけではないだろう。残された戦力を元手にポステコグルーはどのような構築をするのか。ここから再びシーズンの幕を上げる作業を始めなくてはならなくなりそうだ。
週2でここから底力勝負
監督の就任初戦というのは置かれている状況次第で様々な色の出方がある。置かれている状況、シーズンにおける時期、目標、監督のキャラクターなどいくつかの観点次第でこの色の濃さは変わる。
アンジェ・ポステコグルーという指揮官はおそらく遠慮することはないだろう。どちらかといえば就任初戦だからこそ、自らのスタイルがこれであるということをきっちり証明するタイプの指揮官だと考えることができる。ということで今回は新監督のスタイルが初戦から色濃く出るパターンと予想する。
保持面での整備、特にワイドアタックにおけるオフザボールの関係性作りに関して言えば新監督に期待していい部分だろう。その一方でハイラインを敷いて高い位置から奪いにいくポステコグルーのスタイルと相性が懸念されるのはCB。先に述べたようにムリージョ、ミレンコヴィッチの2人はボックス内でどっしりと構えて受けるスタイルが持ち味である。ハイラインを敷くようにおびき寄せるように試合を運んでいきたいところだ。
ポステコグルーが持ち味をきっちり出してくるのであれば、そこを狙い撃つまで。CBに広いスペースを守らせるように相手の中盤とFWを間延びさせるような形で縦に引き出してのスピード勝負に持ち込むことができる。いわば、新しいスタイルを植え付ける際のギャップに漬け込むような動きをアーセナルに期待したい。リバプール戦と同じ水準を引っ張り出せれば、ミドルゾーンまでで引っ掛けてしまうことはまずないだろう。
CB陣とは逆に移籍したジンチェンコにとっては面白い監督が就任したとも言える。やや補強と監督交代が逆な奇妙さも否めないが、これまでのスタイルがSBにスタンダートな大外仕事を求めていたことを考えれば、この人事は彼にとってはプラスだ。
アンフィールドでは敗れてしまったアーセナル。だが、リーグ戦は年間を通しての戦いであるため、勝負はここから。人数を揃えて人が入れ替わったとしても同じフットボールを展開できるようなスカッドを構築したアーセナルにとっては週2でのスケジュールが始まるここからがライバルたちに差をつけたい本番でもある。
リバプール戦での収穫は近年のレギュラー格が不在ながらも強度面で遜色なく昨年王者と渡り合えたことだろう。サリバと入れ替わったモスケラはデビューから好調をキープするエキティケを封殺し、マドゥエケは前半に起点となり続けた。敗れはしたものの、1年間を多くの選手と共に戦うための準備を感じた試合だった。ついに始まる週2試合のスキームでこのスカッドの底力を発揮したいところだろう。