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「勝率93%の特効薬」~2025.9.28 プレミアリーグ 第6節 ニューカッスル×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第6節
2025.9.28
ニューカッスル(13位/1勝3分1敗/勝ち点6/得点3 失点3)
×
アーセナル(2位/3勝1分1敗/勝ち点10/得点10 失点2)
@セント・ジェームズ・パーク

戦績

過去の対戦成績

 過去5年の対戦でニューカッスルの5勝、アーセナルの7勝、引き分けが1つ。

ニューカッスルホームでの成績

過去10回の対戦でニューカッスルの5勝、アーセナルの5勝。

Match facts from BBC sport

Match facts
  • ニューカッスルはホームでの公式戦のアーセナル戦で直近3試合全て無失点で勝利。4試合連続勝利となれば1969年以来のこと。
  • ミケル・アルテタ政権下でアーセナルがアウェイでニューカッスル(4)以上に負けているのはマンチェスター・シティ(5)だけ。
  • ニューカッスルは今季5試合のプレミアにおいて4回のクリーンシートを達成。達成できなかったのはリバプール戦だけ。しかし、彼らは5試合中3試合で無得点でもある。
  • ニューカッスルは直近7試合のプレミアで1勝(D3,L3)。このランはアーセナルに5月に破れたところからスタート。ここ7試合で5試合無得点となっており、それ以前の41試合と同じ数字。
  • アーセナルは直近16試合のアウェイでのプレミアで1敗のみ(W8,D7)。その1敗は直近のリバプール戦。2022年の5月以降、アウェイでのプレミア連敗は2回だけだが、その2回はいずれも2敗目がニューカッスル相手。
  • ニューカッスルは今季被シュート数が37、被xGが2.6で最少。だが、シュート決定率が5.6%でこれより低いのはアストンビラ(1.9%)だけ。
  • ダビド・ブルックス(11)を除くとアンソニー・ゴードン(10)は無得点のプレミアの選手の中で最も多くのシュートを放っている選手。xGが1.0を超えている5人の無得点選手の1人(1.1)。
  • 今季プレミアにおいてファイナルサード(202)と敵陣PA内(85)で最もプレスをかけているのはヴィクター・ギョケレシュ。
  • ハーヴィー・バーンズは次のゴールがプレミア50得点目(レスター:35,ニューカッスル:14)。しかし、バーンズにとってアーセナルは最も多く対戦している無得点チーム(12)。
  • 54得点、45アシストのブカヨ・サカはあと1得点に関与すればプレミアで100ゴールに関与したアーセナルの8人目の選手となる。この試合で達成し、24歳23日での記録となれば、セスク・ファブレガス(23歳237日)についでの若さでの達成となる。

スカッド情報

Newcastle
  • ヨアン・ウィサ(膝)
  • ファビアン・シェア(顔)
  • ジェイコブ・ラムジー(足首)
Arsenal
  • マルティン・ウーデゴール(肩)
  • ガブリエル・ジェズス(ACL)
  • カイ・ハヴァーツ(膝)
  • ノニ・マドゥエケ(膝)
  • ピエロ・インカピエ(鼠蹊部)

予習

第3節 リーズ戦

第4節 ウォルバーハンプトン戦

第5節 ボーンマス戦

今季ここまでの道のり

予想スタメン

展望

序盤戦の評価が決まる6試合目

 難敵続きの開幕6試合も最終局面。マンチェスター・ユナイテッド、リーズ、リバプール、フォレスト、マンチェスター・シティ、ニューカッスル相手の6試合で勝ち点いくつ取れれば満足か?という問いへの回答はまちまちだろうが、多くの人は10だと物足りなくて、13だとそれなりに納得がいくという感じではないだろうか。

 つまり、序盤戦の出来の評価は6試合目にかかっているということになる。去年1点も取れなかったセント・ジェームズ・パークで去年もっとも負けたニューカッスルという対戦相手に勝利を挙げることが出来れば上々の序盤戦ということが出来るだろう。

 スタートダッシュという観点で言えばニューカッスルは苦しんでいる部類のチームだといえるだろう。欧州カップ戦、特にCL参戦チームにとっては開幕3試合の週1ペースで戦える試合ではきっちりと勝ち点を積みたいところ。それが開幕3試合で未勝利なのだからつらいだろう。

 ビラ・パークは難所とはいえ、今季の彼らは低調で退場者も出している。昇格組のリーズには勝っておきたかったはず。リバプール以外の2試合には悔いが残る結果となった。

 理由はもちろん編成の遅れである。FW大移動の爆心地といってよかったのが今季のニューカッスル。エースが8月になってから移籍志望を公言し、そこから慌てて動くのであれば後手を踏むのは仕方ない。加えて、第2節でゴードンが一発退場で3試合の出場停止を受けるのであれば、前線の編成がショートしてしまうのは致し方ないだろう。

 5-4-1よりも4-3-3の方がプレスの強度が出る!というのが昨季のニューカッスルの結論だと思うが、リバプール戦では奮闘したものの前述のようにゴードンが退場、バルセロナ戦ではラッシュフォード相手の守備の間合いが合わず、クロスは上げられるわ、インサイドに入り込まれてシュートを叩き込まれるわなど大暴れを許してしまう。

 前からのプレスの意欲は感じるのだが、それを90分完遂できなかったり、あるいは自陣に入り込まれた時のスペースを埋めるところが物足りなかったりなど、詰めの甘さが目立っている。ウィサ、ゴードンなどのアタッカーがいないこともあり、直近のボーンマス戦では結局5-4-1で構える形に立ち返ってしまっていた。

 攻撃面で言えば新戦力の特性を生かす得点が増えている。右サイドから対面の相手をぶち抜くことが出来るエランガ、厳しい体勢からでも空中戦を制することができるヴォルテマーデなど、前線の選手たちのスペシャリティがそのまま得点パターンに繋がっている。

 こうした特性が生きやすい状況を作れればいいのだが、押し込んで相手の守備ブロックを攻略するパターンの確立はやはりここからの課題になるだろう。昨季までの戦力においても課題だったこのポイントに新しい戦力と共に立ち向かうことができるのか?は来季もCLに出場するための重要な要素になるだろう。

 状況を上向かせる材料が欲しいニューカッスル。相性がいいホームのアーセナル戦を契機に国内外で巻き返しを図るための90分にしたいというのが彼らの青写真だろう。

強烈な先制点バイアス

 去年エミレーツでのニューカッスルとのリーグ戦を配信している時に「先制するとだいぶ楽だね」という話が挙がった。気になったので調べてみたのだが、このカードは想像以上に先制点を取ったチームが有利。直近28回の対戦で先制されたチームが勝ち点を得たのはたった2回だけ。2012年3月にアーセナルが、2018年4月にニューカッスルがそれぞれホームで逆転勝利を挙げている。

 それ以外の試合において先制されたチームは勝利はおろか、勝ち点すらない。28試合の中には1回だけスコアレスドローがあるが、それ以外は27試合で先制したチームが25勝2敗である。「25勝」の中で「同点弾が存在した」試合は2012年12月ただ1回だけ。

すなわち、先制を許したチームはそのあと肩を並べることすらできないのがこのカードの特徴だ。先制点を取ったチームというのはもちろんどのカードにおいても有利だが、これだけリードされている方が追いつくことすらできないというのはかなり極端に先制点が有利になっているというカードだろう。

 そのため、ミスは許されない試合となる。個人的には昨シーズンもすでにミスが少ない堅いチームを体現できる陣容になっていると思っているのだが、退場祭りでどうにもならない追いつかれ方をした結果、なし崩し的に粘れないシーズンが続いた。

 今季は我慢することに関しては明確にいいシーズンとなっていると思う。与える決定機の数も多くはないし、1試合で数少ない決定機を決められるような甘さが続くこともない。この甘さはセント・ジェームズ・パークで立ち回るためには致命傷になりかねないので、立ち上がりに先に相手にチャンスを与える形は是が非でも避けたい。

 前節のテスト色が強い5-4-1+ゴードンの復帰というニューカッスルがどういう布陣で来るのかは少し読みにくいのだが、基本的にはまずは相手を引き込むように後ろに重たいポゼッションからスタートして問題ないように思う。

 4-3-3で来るのであれば、ニューカッスルのIHにサイドの封鎖と中央の封鎖の両方に顔を出させないことが最優先。そのためにはギマランイスとジョエリントンを自陣側にプレスでおびき寄せる形は必要。もちろん、リスクはあるが今のアーセナルならばそこを回避する力がある。

 引き寄せたIHの背後、トロサールやエゼといった面々がこのライン間に侵入し、攻撃を前に進められれば理想的。手前で手数をかけて、一気に加速してゴールを陥れるパターンで何とか先制点が欲しい。

 逆に先制点を許してしまうと、5-4-1も含めて自陣に下がりながら受ける形を許容させてしまうのがつらいところ。エランガ、バーンズ、ゴードンなどイサクがいなくとも彼らは自陣の深い位置からカウンターを打つことが出来るアタッカーは揃っている。ローブロックで受けることを正当化できる材料があるチームだ。

 日程が詰まっている中で難しいところもあるかもしれないが、おしこむ状況を続けるのであればクロスの入り方は工夫したいところ。ギョケレシュ個人の飛び込むタイミングを掴めない課題もそうだが、2人3人で飛び込むコースを工夫するような場面は今季ここまであまり見られていないので、追いかける展開であればそこが問われることになるだろう。

 個人的には今のニューカッスル相手ならば強引に中央につっかける方が押し込んだ時の得点の可能性があるのではないかと思う。ミドルシューターは増えてきたし、プレーキャンセルしながら中央の縦パスのスペースを探すのは「対アーセナルスペシャル仕様」の仕上がりでなければ、十分に可能性はあるはずだ。

 それでもやはり先制点を得て、相手が出てくる状況を作るほうが楽だ。27戦25勝という勝率93%の特効薬を手にして、苦しかった序盤戦を何とか乗り切ったと総括したいところだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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