Fixture
明治安田 J1リーグ 第29節
2025.9.13
横浜F・マリノス(17位/6勝7分15敗/勝ち点25/得点26/失点35)
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川崎フロンターレ(8位/12勝9分7敗/勝ち点45/得点50/失点38)
@日産スタジアム
戦績
近年の対戦成績

直近5年間の対戦で横浜FMの3勝、川崎の5勝、引き分けが3つ。
横浜FMホームでの戦績

直近10戦で横浜FMの2勝、川崎の4勝、引き分けが4つ。
Head-to-head
- 直近5試合の対戦でホームチームの勝ちがないカード(D2,L3)
- 直近6試合の対戦において85分以降に合計7得点が生まれている。
- 横浜FMは直近2試合のホームの川崎戦で無得点。
- 川崎は9月開催の横浜FMとの公式戦で4連勝中。
スカッド情報
- 遠野大弥、渡邊泰基は長期離脱中。
- 松原健は神戸戦の負傷交代以降、出場機会がない。
- トーマス・デンもベンチ外の試合が続いている。
- 欠場が続いていた家長昭博はフルトレーニングに復帰。
- 丸山祐市、大島僚太、車屋紳太郎は長期離脱中。
- ジェジエウは日曜の試合でベンチ外。
予想スタメン

Match facts
- 直近4試合公式戦で未勝利(D1,L3)。うち3試合で無得点。
- 7月以降のリーグ戦6試合で勝ち点10。それ以前の22試合で得た勝ち点は15だった。
- 今年の公式戦において先制された試合の逆転勝ちがない。
- 今季ここまで神奈川のチームにはリーグ戦で負けていない(W2,D3)
- 川崎もここまで4戦無敗(W3,D1)
- 谷村海那が加入後に得点をあげた2試合はいずれも勝利している。
- 植中朝日が今季国内で決めた5得点はいずれもホームで決めたもの。
- 公式戦直近5試合無敗。
- J1のチームとの公式戦は11試合クリーンシートがない。
- 直近3試合の公式戦での勝利は全て複数失点であり、直近2試合の1失点以下の試合はいずれも勝てていない。
- ここまでリーグ戦50得点であり、これより多いのは京都(52)だけ。
- 伊藤達哉は公式戦5試合連続ゴール中。
- エリソンは公式戦3試合連続ゴール中でこの期間で5得点を決めている。
予習
第26節 清水戦

第27節 町田戦

第28節 神戸戦

ルヴァンカップ QF 1st leg 柏戦

ルヴァンカップ QF 2nd leg 柏戦

展望
献身的に生まれ変わった横浜FMの未整備部分
昨年に続き今季も神奈川県勢は苦戦。とは言っても川崎のそれは優勝争いになかなか絡めないといったものであり、横浜FMの降格の危機が差し迫ったものとは毛色が違うものではある。ちなみに、横浜FMの残留争いのライバルには湘南と横浜FCがおり、どうにも今年は神奈川から降格チームが出ることは避けられない情勢である。
ホランド、キスノーボという2人の指揮官の交代に踏み切り、夏の移籍市場ではエウベル、アンデルソン・ロペス、ヤン・マテウスに別れを告げた今年のマリノス。色んな人の色んな思惑が混じったような退団を発端とする人事により、横浜FMは夏から残留に向けてのチャレンジを再スタートさせた感がある。監督はヘッドコーチからスライドする形で大島監督が指揮をとっている。
基本的なフォーメーションは4-2-3-1と変化はない。しかしながら、その性格はやや開幕当時からは変わったものと言っていいだろう。多くの外国人選手が前線から姿を消した影響からか、守備へのコミットは前線も例外なく求められている。前残りで前線がカウンターのチャンスを待っているという攻守分業のスタイルは姿を消して、全員守備の姿勢は新たに植え付けられたと言っていいだろう。
前から捕まえに行くアクションに連動するCHとCB、サイドへのスライドで封鎖する形など守備からリズムを作っていこうという姿勢が随所に見えている。プレスバックで戻る植中が中盤と連携して相手を挟み込む形は外国籍選手たちが名前を連ねていた頃にはなかなか見られなかった光景である。
その一方でどこに追い込んでどのようにボールを奪うかの設計に関してはまだ未整備の感が強いように思える。町田のようなボールを持てる選手が決まっているチームが相手であればそれでも問題はないが、チーム全体がローテしながら浮かせる選手を作る仕組みを持っている柏のようなチームが相手だと、明らかに後手に回ってしまう。
特に象徴的と言える現象はコンパクトな陣形を意識している割には相手のCHを空けてしまうケースが多いことだろう。受け渡しや周りの選手がどこを切っているかのイメージの共有が間に合っておらず、展開力を持っている相手のCHを自由にしてしまうことが少なくはない。
CHは前線への飛び出しについていく意識が高い分、前へのスライドが甘いケースがある。背後への積極的なランを行うほどライン間が使いやすくなるというような印象を受けた。
サイドの裏も気になるポイント。相手への食いつきがいいSBが手前の選手に釣られてしまうことでその背後のスペースがガラ空きになるというケースはかなり見られる。トランジッション局面だけでなく、より静的なポゼッションからでも十分に保持側は相手のSBの背後を狙う形は作れるだろう。

特にキニョーネスをサイドに釣り出すことができればチャンスは広がる。中央で壁のように構えるCBに真っ向勝負でぶち当たるよりはサイドでのスピード勝負の方が分がいいはずだ。
相手を釣って、動かして浮いたスペースに走り込む。もしくは走り込んだことで生まれたケースを使うという2人以上が連携する形は非常に刺さりやすい相手。柏ほどではないにせよ、佐々木とウレモヴィッチのDFラインのビルドアップはそれなりに相手の矢印を折るボール回しはできそうな雰囲気はある。ダービーでもその雰囲気を継続したビルドアップを頑張りたいところだろう。
1ヶ月で完成度を高めていく
横浜FMの保持は一時期と比べれば非常にオーソドックスと言えるだろう。ショートパスへの意識はそれなりに見えるが、2CB,2CHはそこまで大きく陣形を崩すことはなく、一般的な列を落ちるアクションに終始していると言えるだろう。
少し気になるのは逆サイドからボールを引き取る時のLSBの鈴木のポジション。川崎で言えば登里がよくやっていた、やや内側に絞って左サイドの攻撃の入り口となるボールの引き取り方を時より見せる。彼のドリブルでの持ち運びからのチャンスはそれなりに怖い形である。
鈴木に限らず、前線の選手たちのドリブルは誰も馬力がある。植中は単独でゴールに向かって進むことができるし、井上はサイドでスピード勝負に挑める。クルークスはタメながら味方の裏抜けと自らのクロスの二択のうち景色がいい方を使うことができる。どの選手も前を向いた時にきっちりと武器を持っている。
問題は背負った時のプレーを得意とする選手がいないこと。味方に前を向かせるのが得意な選手が少なく、なかなか前線の選手が得意な状況を作ることができない。押し込まれた時の陣地回復に関してはやはり以前の外国籍選手たちの得意分野。今のチームだと、自陣に下げられてしまったという戦況は変えづらいのが正直なところだろう。
よって、川崎のDFラインは躊躇泣く前に潰しに行く形にトライしていきたい。浦和相手にはやりきれなかったハイラインの構築から、相手に陣地回復を許さない意識を持つことで自分たちの時間をなるべく長くしていきたいところだろう。
一方で2トップとSHの守備の連携はルヴァンカップ2試合で見られた課題。横浜FMと同じく、川崎も相手のCHを浮かせてしまう問題はあるので、この点に向き合いながら守備の向上にも取り組んでいきたい。目の前の相手を攻略しつつ、ルヴァンカップのタイトルを取るためにチームの練度を高めていく必要があるのが今の川崎。残してしまった夏休みの宿題はこの1ヶ月で仕上げて、自信を持った状態で準決勝の柏戦を迎えたい。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)