Fixture
UEFAチャンピオンズリーグ
リーグフェーズ 第1節
2025.9.16
アスレティック・ビルバオ
×
アーセナル
@エスタディオ・サン・マメス
Match facts from BBC sport
- 公式戦では初対戦。ビルバオにとってはCL(もしくはヨーロピアン・カップ)においてイングランド勢と当たるのは3回目。56-57のマンチェスター・ユナイテッドと83-84のリバプール。
- アーセナルが勝てば旧時代も含めてCLにおいてスペイン勢に6連勝した初めてのクラブになる。過去2シーズンでアーセナルはスペイン勢相手に5つ勝利を挙げている(レアル・マドリー×2、セビージャ×2、ジローナ)
- ビルバオは直近10試合のイングランド勢との欧州コンペでのホームゲームで2敗のみ(W5,D3)。しかし、その2敗のうちの1つは昨季のELのマンチェスター・ユナイテッド戦でのセミファイナル。
- 14-15以来、ビルバオにとっては初めてのCL。その試合においてもバルベルデが指揮をとっていた。ビルバオはバルベルデが帰還して以降の欧州コンペにおけるホームゲームにおいて7戦6勝(L1)
- 直近2シーズンにおいてリーグフェーズでアルテタのアーセナル(32)より勝ち点を稼いでいたのはレアル・マドリー(33)だけ。
- アーセナルは直近14試合のCLにおいては3敗だけ(W9,D2)。その3敗の内訳はパリに2敗、インテルに1敗でありどちらも24-25のファイナリスト。
- ビルバオのバルベルデは監督としてのCLで42戦で10敗だけ(W23,D10)。10試合以上を指揮したスペイン人監督の中で敗戦率がバルベルデ(21.4%)より低いのはグアルディオラ(17.1%)だけ。
- アーセナルは直近24試合のCLで18失点。20試合以上を指揮した指揮官のチームの中でこれより低い失点率(1試合平均:0.75)は過去に4例だけ。ファビオ・カペッロのミラン(0.38)、ルイス・ファン・ハールのアヤックス(0.63)、フランク・ライカールトのバルセロナ(0.68)、エルネスト・バルベルデのバルセロナ(0.71)。
- ヴィクトール・ギョケレシュは8試合の昨季のCLにおいて7得点に関与(6G,1A)。87分に1回ゴールに関与している。同時期に100分以下でゴールに関与しているアーセナルの選手は95分に1回のブカヨ・サカだけ。
- イニャキ・ウィリアムズとマロアン・サナディがプレーすれば史上初めてビルバオ所属の選手としてスペイン人ではない選手がCLに出場することとなる。
予習
第2節 ラージョ戦

第3節 ベティス戦

第4節 アラベス戦

予想スタメン

展望
看板役者不在をどう補うか?
9月ということでいよいよ今季のチャンピオンズリーグが開幕。ブダベストで行われるファイナルに向けて長い戦いの火蓋が切って落とされることとなる。
昨季のベスト4より上を目指したいアーセナルと初戦で顔を合わせるのは11年ぶりにCLの舞台に来たバスクの雄であるビルバオ。アルテタをはじめとしてソシエダでのキャリアがある関係者が多いアーセナルの選手にとってはやや因縁がある対戦と言えるかもしれない。
基本的なフォーメーションは4-2-3-1。オーソドックスな形で攻守ともに組むことが多く、そこまで癖のないチームだと言えるだろう。保持時に時折見せる3-2-5への変形も今や多くのチームが標準装備するものの範疇と言って差し支えがない。
コンパクトな4-4-2で相手を捕まえつつ、ボールを奪ったら縦に早く進んでいくというのがビルバオの特徴。前線の3枚を軸として少ない手数の攻撃で一気にゴール前まで迫っていく形を作っていく。
相手がプレスに来た場合は前線が降りるアクションからボールを引き出してプレスを回避。ショートパスで相手のプレスをいなすメソッドは持ってはいるが、予習した試合の出来で言えば低い位置でのパス交換はややミスが目についたのも確かであった。
静的な攻撃においては左サイドに流れるトップ下のサンセトが左サイドのWGと絡めたレーン交換からフリーになり縦パスを引き出しながら前進。フリーになるギャップを作り出して、前向きの推進力を作り出す。
抱える目下の問題としてはやはりニコ・ウィリアムスの負傷だろう。EURO2024ではスペインのタイトル獲得に貢献し、今夏のメルカートを騒がせたWGは9月の代表戦で欠場。アーセナルとのCL初戦の出場は絶望的とされている。
上に挙げたビルバオの攻撃の特徴はいずれもニコ・ウィリアムズのキャリー能力やボックスに入っていく能力の高さが威力の下支えとなっている。ベレンゲル、イニャキ・ウィリアムズも当然こうした縦への速さを兼ね備えているが、やはり看板役者がいない状況では爆発力が落ちてしまうのは否めない。
不在初戦となった週末のアラベス戦ではやはりこの破壊力不足が顕著となり、ゴールに迫るシーンは限定的。今はエースの不在をどのように埋めるか模索するフェーズと言えるだろう。
アラベス戦で見られたアプローチとしてはプレスの強化が挙げられる。4-4-2のブロックはボールサイドへのスライドが顕著になり、より高い位置からでボールを奪うことで、カウンターに出ていく際の負荷を下げていくような方策にトライしていたように見受けられた。
だが、この手段に関してもCHの運動量には限界があるなど難点も見える。試合終盤の間延び感を踏まえると、持続性があるプランとは言い難い。エースの穴埋めをあらゆる手を使いながら模索中という状態でホームのCL開幕戦を迎える格好になりそうだ。
週2でもとにかく継続する
アーセナルの戦い方についてだが、ビルバオに対してもまずはこれまでのリーグ戦のように自陣で深さを作りながらポゼッションを敢行する入りがいいと思う。おそらく、ニコ・ウィリアムズの穴を埋めるために高い位置からボールサイドにスライドしながら非保持で阻害するところからリズムを作ろうとしてくるはず。アーセナルはその出方を挫きつつ、ラヤを絡めて相手を左右に振りながら空いているスペースからドリブルを敢行していきたい。
こういう形で背走させることができれば、ビルバオの中盤にはギャップができるはず。縦にそのまま進んでいくか、中盤を横断して逆サイドを使い、手薄なサイドを攻めにいきたい。好調な選手が多いWGで攻撃の仕上げを狙いつつ、sセットプレーから確実に得点の機会を積み上げていきたいところ。
非保持においては大枠としてはフォレスト戦と同強度を維持できれば問題はなさそう。ニコ・ウィリアムスがいないという前提であれば、裏を取られる脅威がフォレストよりも大きく上ということはないので、CBは強気に前向きなプレッシャーをかけることができるはず。ここはリーグ戦のいい流れを継続し、相手に攻撃の起点を作らせないようにしたい。
アーセナルの今季のスカッド構築の方向性を考えれば重要なのは1試合ごとの出来よりも、一定のクオリティを長期間維持しながら戦い続けることができるかどうか。少なくともCLもプレミアも勝ち点の積み上げフェーズが続く年内はこの目標に取り組むことになる。週末だけよくて、ミッドウィークがヘロヘロでは意味がない。あくまで目標は両立だ。
CL全体の流れについても話しておきたい。昨季から始まった新フォーマットをやった感想としては負荷が爆発的に上がるのはやはり1月だということ。カラバオカップやFA杯で勝ち上がるとカレンダーはギチギチ。CLの第7節、第8節をコンペティティブな状態で迎えてしまったり、あるいはプレーオフに回ってしまうと負荷はさらに上がることとなる。
それを踏まえれば昨季のリーグフェーズは理想的。第7節、第8節までになるべく突破の算段を整えてプレーオフを回避するというのが目指したいシナリオ。16を突破の目安と考え、第8節のホームゲームでは3ポイントを確保するという皮算用をすると、年内の6試合で勝ち点13を取ることができれば楽観的な見通しは立てやすい。アトレティコ、バイエルンといった過酷な相手が控えることを踏まえれば、初戦はアウェイとはいえ是が非でも勝利を手にしたいところである。
その中でもう1つの目標があるとすれば、大きなスカッドを活かすためのプラン構築だろう。すでに怪我人によって強制ターンオーバーが行われていることで幸か不幸かある程度新戦力にできることは整理できている感がある。あとは既存戦力と合わせながら、どれだけ相手によって使い分けを図ることができるか。
特にエゼが参入した左サイド争いは要注目。特徴の全く異なるマルティネッリやトロサールといった面々とどのように使い分けるのかは気になるところ。個人的には昨季も国外のSBであれば1on1が通用することが多かったマルティネッリをこの試合のスターターには推していきたい。
もう1つ気になるのはCH陣。ノアゴールの出遅れもあり、このセクションだけは潤沢な戦力を回すことができていないように見える。新加入ながらフル稼働状態なスビメンディに何かがあれば、一気に機能性が下がってもおかしくない。復帰が迫るノアゴールを組み込みながら早い段階で有事に備えたいところだ。
基本的には負荷を下げるようにコンペティションを向き合いつつ、戦力を最大活用することを模索するのがグループステージのテーマになるだろう。週2で戦うことに備えたスカッドの強みを発揮できるか。アルテタにとっても試されるシーズンとなる。